ありふれた(平均)値で世界最強って言ったよね!   作:simasima

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10 パーティと大迷宮

 

 住んでる所が緊急事態宣言の範囲内で色々暇な上

外出もままならないので投稿ペースが上がるかも。

 

やっと迷宮に突入です。

 

 

 

                             

 

 

 早朝、ハジメたちは[オルクス大迷宮]の正面入り口付近の広場に集合していた。

迷宮の入り口にはしっかりとしたゲートがあり、また受付でステータスプレートを確認し

迷宮へ入る冒険者を管理しており。どこかのテーマパークのアトラクションの様だ。

事実入り口の付近には様々な屋台が出ており美味しそうな香りが漂っている。

そんな中をハジメたちはお上りさんよろしくキョロキョロ周囲を眺めながら立っていた。

 

「シズシズ!今腰に挿してる剣。初めにもらったのと違うね?」

 

「あっコレは南雲くんが作ってくれた刀なのよ。鈴」

 

「ナグモン⁉︎そんなのまで作れる様になってるんだ。どんなのか少し抜いてみせてよ?」

 

「ん〜仕方ない無いわね。少しだけね」

 

 

と雫は刀を鞘に収めまま胸の辺りで水平に持つと3分の1程抜いて刀身を見せる。

 

「ほへ〜中々綺麗でカッコイィ刀だね。ナグモンもやるねぇ」

 

「今の雫ちゃん。側から見たら少し危ない人に見えるよ」

 

と鈴と共いた恵里が雫に言う

 

「だって刀を半ば抜いて顔がにやけてるから」

 

「なにゅ⁉︎」

 

焦って刀を鞘に収め再び腰に挿す雫。

 

「シズシズ最近何か素直になった気がする?」

 

「鈴の言う通り余計な力が抜けた感じがする」

 

「んっそうかしら?」

 

「シズシズ。トータスに来てからナグモン達と

よく話をするようになって少し変わった?」

 

「そう?自分自身だとよくわからないのだけど」

 

「でも私や恵里をあまり構ってくれなくて寂しいな〜それにパーティの事も」

 

「ごめんね鈴。でもパーティの事はどうしても積極的に関わる気になれないから・・・」

 

「雫! その刀を使うのはやめるんだ」

 

と光輝が話に割り込んで来た。

 

「南雲が中途半端に作った刀なんて使ったら戦闘中に折れたりして危険だ。

だから今日はそれは置いて今まで使ってたのに戻すんだ」

 

「光輝!この刀は南雲くんが鍛治師の親方さんの元でしっかりと作ったのよ。

それにメルドさんにも見せて使用許可も貰ったし。出来も褒めてくれたのよ」

 

「それはメルドさんが南雲に気を使って言ってくれたに違いない。

それと雫も香織も南雲とパーティまで組むなんて南雲を構うのにも

構いすぎだろう。さぁ雫。俺とパーティを組み直そう」

 

「はぁ・・・光輝。刀の事は・・・もういいわ。でもパーティは

私も香織も戦争の前線に出るつもりは無いから積極参加派の

光輝のパーティに入る気はないと何度も断ったでしょ。私、怖いもの」

 

「大丈夫さ雫。俺が君を守るから一緒に行こう」

 

「ねぇ光輝?私や香織を守りたいなら何故“二人は安全な城で待って居てくれ”とか

言わないでどうして、あなたの側に連れて行こうとするのかしら?」

 

「雫。それは・・・」

 

光輝が言葉に詰まっていると

 

「光輝。戦争なんて参加したく無いなら無理に参加させる物じゃないだろう。

それにだ。南雲も栗原さんも戦闘職じゃないから雫と香織がパーティを組んでやるべきだろ?」

 

龍太郎が雫をフォローする様に声を掛ける。

 

「光輝も俺も強いし谷口と中村が入ってくれてるんだ。充分じゃないか」

 

「龍太郎・・・だれ?」

 

「雫なんだよそれは?雫と香織が少し距離をおくようになって俺もちょっとは

考えてみたんだよ。それに南雲はダチだから頼まぁ雫」

 

「うん。そろそろ迷宮に入ると思うから香織達のところに戻るわ」

 

光輝は引き止めたそうだったが雫はかまわず、この場を離れる。

 

ここで生徒たちのパーティの振り分けを明記すると

 

戦争参加派2組

 

※天之河光輝・坂上龍太郎・谷口鈴・中村恵里

 

※檜山大介・中野信治・斎藤良樹・近藤礼一

 

中立派1組

 

※永山重吾・遠藤浩介・野村健太郎・清水幸利・辻綾子・吉野真央

 

戦争非参加派2組

 

※園部優花・菅原妙子・宮崎奈々・相川昇・仁村明人・玉井淳史

 

※南雲ハジメ・栗原経緯子・白崎香織・八重樫雫

 

 

の五組に分かれている。

 

 

 

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迷宮の中は、外の賑やかさと無縁だった。縦横5メートル以上ありそうなうな通路は

所々緑光石と呼ばれる名の通り光る鉱石が露出しており、そのおかげで松明などの

灯りを用意しなくても視認が可能だ。

メルド団長の先導の元パーティごとに隊列を組んでしばらく進むと、

ドーム状の広場に出ると壁の隙間からラットマンと呼ばれる。二足歩行ネズミの様な魔物が現れる。

ムキムキの上半身でなぜか大胸筋の所だけ体毛が無くまるで自慢している様だ。

メルドが指示をとばす。

 

「まずは光輝たちのパーティが前に出ろ。他は後ろに下がって待機だ。交代で戦ってもらうから準備をしておけ」

 

まずは光輝たちが戦う事になったが、流石は勇者組あっさりとオーバーキル気味に倒して

魔法支援組の鈴と恵理が注意されやり過ぎたと恥ずかしそうにしていた。

 

その後パーティを交代しながら進んで行くが皆チート持ちなのであっさりと倒していく。

迷宮で怖いのはトラップなのだが。その対策としてフェアスコープというものがある。

迷宮におけるトラップは殆ど魔法を使用したものでこの道具は魔法の流れを狭い範囲ながら感知する事ができる。

とはいえ本来なら慎重に進むべきなのだが低層部分はマッピングがしっかりされており、メルドたち騎士団の先導に従えば危なげ無く進めるのだ。

そしてハジメ達のパーティに順番が回ってくる。相手は黒い犬型の魔物が数匹だった。

 

「あれはモーザドック。素早く連携して襲って来るから囲まれ無い様に注意して!」

 

とハジメは訓練の合間に図書室で調べておいた魔物の特徴を皆に知らせ続いて言う。

 

「経緯子ちゃん!」

 

経緯子がその声に応えて構えていたスリングショットでビー玉大の球をハジメ達に襲い掛かろうとした先頭のモーザドックの顔に当てると球が砕け赤い液体が飛び散り、モーザドックは「ギャン」と声をあげ、のたうちまわり其の様に他のモーザドックも動きが鈍る。そこに雫が一気に間合いを詰め先頭の魔物を斬り裂き返す刀ですぐ側の魔物を斬るとすぐにハジメの後ろまで下がる。雫を追って来た残りのモーザドックがハジメに飛び掛かって来るがハジメが飛び退きモーザドックの着地点に伸ばしておいた警棒の先を当てると「錬成」で穴を開け落しすかさず再び錬成を使いモーザドックをの半身を埋め動けなくなった所に警棒の先端を錬成で鋭くしモーザドックを刺し弱らせると止めと

 

「白崎さん今!」

 

既に大方の詠唱を終えていた香織が魔法を発動させる。

 

「大地に帰れ、“螺炎”」

 

炎の渦が動けないモーザドックを容赦なく焼き尽くし、ハジメたちの戦闘は終わった。

 

それを観ていたメルドと騎士団員たちはハジメ達の戦い方に感心しまた興味を持った。

特に戦闘職で無い錬成師のハジメと薬剤師の経緯子の戦い方だった。

経緯子は見た事のない道具を使い薬(今使用したのは香辛料からカプサイシンを抽出した物)

の入った容器をぶつけ魔物を牽制しハジメは錬成で魔物の

動きを封じ込めるなど生産職で戦う術など無い思っていたのに

各々の特性を使った戦い方に目から鱗がおちる思いだった。

経緯子が使ったスリングショットはトータスに似たような物は有るがもっと簡易な物であり

経緯子が使用しているような握りやすいハンドグリップや

リフトロックが付いている近代的なものでは無い。

またコレは海里(マイル)が使用していた物ではなく

新たにハジメが錬成で作りあげた物でバランスもしっかり取ってある。

ただチューブはハジメでは用意出来ないので海里に用意してもらったが、

もちろんカーボンナノチューブ製でなく強度が常識的な範囲のゴム擬きで出来ている。

後ナノちゃんの弾道補正も行われるので命中率は高い。

なお薬品の容器は簡単な物であればナノちゃんの土魔法で経緯子自身で作成することができる。

ハジメについても道具を通して錬成させるなど今まで聞いた事もない技能であり。

メルドは鍛治師よりハジメの派生技能が多数出ている事は聞いていたが、

この様な事ができるとは思ってもみていなかった。錬成といえばハジメが刀という剣を

作ったと使用許可を求めに来た雫に見せてもらったが、かなり良い出来だと覚えている。

それに刀を使った雫は今までに比べ動きのレベルが上がった。

やはり彼女の剣術は刀の使用を基に創られたものだと認識した。

香織の魔法も精度が高いものであり。ハジメを中心にしたこのパーティは

この先の成長がかなり期待出来るのではないかとメルドは思った。

 

その後も全員が危なげ無く魔物を倒していき。今日の訓練のゴールである二十階層に到達する。

この後次の階層に降りる階段まで行けばそこから引き返して地上に出ることになる。

階段に向かってしばらく歩いていると先頭を歩いていたメルドが立ち止まり。臨戦態勢に入る

 

「擬態しているぞ!周囲を警戒しろ!」

 

その直後、壁に保護色で同化していたゴリラ型の魔物ロックマウントが姿を現す。

光輝と龍太郎が迎えて討とうと構えるとロックマウントは大きく息を吸い込み。

 

「グゥガガァァァアアアアー!」

 

とロックマウントの固有魔法“威圧の咆哮”使う。まともに受けた光輝と龍太郎は硬直してしまう。

ロックマウントはその隙に傍らに有った岩をつかみ恵里と鈴に投げつける。

二人は岩を迎撃するため魔法を発動しようとするがそれは叶わなかった。

何故なら投げつけて来たのは岩で無くロックマウントであった。

それは両手を広げ「〇〇さん好きじゃー」と言わんばかりのどこぞの番長よろしく分厚い唇を

突き出し迫ってくる姿に恵理と鈴は「ヒッ」と魔法の詠唱を中断してしまうがメルド団長が、

ダイブ中のロックマウントを切り捨て事なきを得るが。

 

恵里達はかなり気持ち悪かったらしく顔を青ざめていた。

そんな二人をみてキレる若者が一人。正義感と思い込みの塊。

我等が勇者天之河光輝様である。

 

「貴様・・・よくも恵里達を・・・許さない‼︎」

 

恵理達が青ざめているのを気持ち悪さでなく死の恐怖を感じたと勘違いしたらしい。

彼女たちを怯えさせるなんて!と何とも微妙な点で怒りをあらわにする勇者様。

純白の魔力が噴き上がり、聖剣が輝きだす。

 

「万翔羽ばたき、天へと至れ、天翔閃!」

 

「あっ、こら、馬鹿者!」

 

メルドの制止する声を無視して。一気に聖剣を振り下ろす。

 

      ちゅど〜ん‼︎

 

ロックマウントは吹き飛びその斬撃は奥の壁を破壊してようやく止まる。

 

「ふぅ〜」と息を吐きイケメンスマイルを恵理達に向けてたときにメルドに拳骨を食らった。

 

「この馬鹿者が。気持ちはわかるが、こんな狭い所で使う技じゃないだろうが!

崩落でもしたらどうするんだ!」

 

とメルドに叱責され、バツが悪そうに謝罪する光輝。恵理が寄って来て遠慮がちに励ます。

その時、ふと鈴が崩れた壁の方に視線を向けた。

 

「なんだろう?あれキラキラしてるよ」

 

その言葉に、全員が鈴の指差した方に目を向けた。

それを見たメルドが説明する。

 

「ほぉ〜、あれはグランツ鉱石だな。大きさも中々だ。珍しい。

あれは求婚の際によく選ばれる宝石だ」

 

その説明に女生徒たちは青白く美しく光るグランツ鉱石をうっとり夢を見るような眼差しを向ける。

 

「素敵・・・」

 

と香織が頬を染めバレない様にハジメをチラリと見て呟く。

そんな香織に気づいた雫は苦笑するが実はもう一人香織の視線に気がついた・・・・・・

 

「だったら俺らで回収しようぜ!」

 

唐突に檜山がグランツ鉱石に向けて崩れた壁を登って行く。メルドが注意も無視して鉱石の場所に辿り着く

 

「団長!トラップです!」

 

がその警告は僅かに遅かった。檜山がグランツ鉱石に触れトラップが発動するのとほぼ同時だったからだ。

ハジメ達が白い光に包まれる。

 

光が収まった時ハジメたちは巨大な造りの橋の上にいた。どうやら転送系のトラップだった様だ。

メルドがいち早く現状を把握し指示を飛ばす。

 

「おまえ達!すぐあの階段へ向かえ!」

 

生徒達が動き出した時橋の両サイドに魔法陣が現れ階段側は骸骨騎士の魔物トラウムソルジャーが

次々と溢れれくる。反対側の魔法陣からは魔物が一体だけだが、それを見たメルドは呻くように呟く。

 

「まさか・・・ベヒモス・・・なのか・・」

 

 

 

                            

 

 

 

今回は定番の区切りここまでです。

原作と違い雫と香織が魔人との戦争参加に拒否の姿勢を明確に示し

光輝とパーティを最初から組んでいません。

後雫は光輝を構う事を意識して減らし見守るだけに留めようとしてます。

コレはとある人物にとって好都合であり動きが変わるかも。

 

 

 

 

 

 

 


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