ありふれた(平均)値で世界最強って言ったよね! 作:simasima
無料の校正アプリで少しは誤字脱字を減らしていければと
それでも見逃しは多いと思いますが。
前回のおまけのシーンを絵にしてみました。
では本編を久々に海里がでます。
奈落でハジメが自分の心を捨てないと誓った頃。
クラスメイト達はホルアドから王城に戻って来ていた。
鈴がトレイに食事を載せて廊下を歩いていると声をかけられる。
「谷口。それ雫の所に持っていく分か?」
「龍太郎、うん。シズシズ、部屋から出てこないから」
「俺と光輝は雫の所に行けないから、谷口と中村に任せて、すまない」
「いいよ。シズシズに龍太郎達が近づくの止められてるから」
今、龍太郎と光輝は雫に会うことを医師らから禁止されていた。
どうしてか、それは三日前、香織たちが落ちたショックで眠っていた
雫がようやく目覚めた時にさかのぼる。
その日も鈴と恵里は雫の眠るベッドの脇に座っていた。
「シズシズ、今日も目を覚さないのかな?」
「体には異常ないらしいけど、このままだと」
二人が雫を心配し話していると。雫の眉がピクッと動き、口から言葉がもれる。
「・・・うぅん ここは?」
「シズシズ!」 「目覚めたの雫ちゃん」
「あぅ・・鈴?恵里も?」
雫は体を起こそうとするも、うまく起こせない。
「シズシズは四日も寝てたんだよ。」
「四日も・・・そうだ香織は?経緯子に南雲くんはどこ?」
「雫ちゃん、三人ともいないわ」
「えっ?恵里それはどう言うこと?香織たちはベヒモスを抑えた後逃げ切ってそれで・・・」
「三人とも橋が崩れて落ちたのよ。雫ちゃんも見たでしょう」
「あっぁぁそうよ・・落ちた。落ちた。香織たちは落ちた。
・・・香織、経緯子、南雲くんは死んだ。どうして」
「どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうしてどうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして・・・」
ぶつぶつと同じ言葉を繰り返す雫を、なにもできず鈴達は見ていると
やがて雫はどこを見ているかわからない虚ろな顔で言う。
「鈴、恵里?アイツは自分勝手の行動であのトラップを作動させた。
檜山は今どうしてるの?
それと南雲くんに魔法を撃ったのは誰?」
「シズシズ、檜山はね、自室謹慎中だよ」
「はぁ⁉︎それだけなの?」
「うん。故意でトラップを作動させたわけじゃないと、
光輝くんが擁護して謹慎だけですまされたの
それと南雲くん達が落ちる原因の魔法は誤爆で誰が撃ったのか
もし自分だと思うと怖くて追求してないんだよ」
「なによ⁉︎それは檜山は皆を危険にさらしたのよ。
それに香織も落ちたのに光輝はなぜ簡単に許せるの?
あの魔法は誤爆じゃない誰かが狙って撃ったものよ。
あの時、香織の視線は特定の魔法を追ってた。
だから南雲くんを庇えたのよ」
雫の言葉に恵里は驚愕し問う
「まさか?クラスメイトの誰かが故意に狙って撃ったの?
誰が?なんのために」
「たぶん犯人は・・・」
雫が恵里に自分の推理を述べようとしたとき
部屋の扉が開き光輝が龍太郎を伴って入ってくる。
「恵理、鈴。雫はまだ目覚め・・! 雫!目が覚めたのか!」
光輝が雫が起きている事に気づき近寄ろうとするも
「光輝ィイ!なぜ許したぁぁ!香織たちが落ちたのにィイ!」
雫が今まで光輝たちが見た事のない怒りの形相で叫ぶ。
その様に光輝は困惑しながら雫に答える。
「落ち着くんだ雫。あれは事故だし、
香織と経緯子さんは生きてる」
「⁉︎」
光輝をさらに睨みつける雫、ベッドから出て詰め寄ろうとするも
寝込んでいたためか、足に力が入らず。ベッドのわきにへたり込でしまう。
光輝が雫を立ち上がらせようと手を差し伸べるも
「わたしに触るな!生きてるなんて軽く言うな!
あんたは自分の都合ばかり!あの時も早くメルドさんの指示に従っていれば!
南雲くんに香織や経緯子が無茶しなくてすんだのに!」
雫の言葉に苦悶の表情を浮かべる龍太郎、彼も光輝と一緒に
指示に従わずベヒモスと戦おうとしていたからだ。
「どうして?あそこから落ちて生きてるなんて言えるの?
三人は死んだのよ!わたしの前から消えたの!それなのにあんたは!
それにあの時わたしも・・・・ちぐしょううう!」
その後も光輝たちが部屋を出て行くまで喚きちらす雫に
医師の指示で当面の間、光輝と龍太郎は面会を禁止する事となった。
場面は今に戻る。
「三人が落ちた。原因の一つが俺の行動だからな」
「・・・龍太郎は今からまた訓練を?」
「俺は、光輝みたいに三人が生きてるって信じきれないが、
あいつらの、なにかを見つけるためには強くなるしかないからな」
と答えると龍太郎は鈴と別れ訓練場に向かった。
「龍太郎・・」
雫は自室のベッドの上で上半身を起こし虚ろな目で座っている。
彼女が目覚め光輝たちに激しい怒りをぶつけ、それで心が燃え尽きてしまったのか。
彼らが部屋を出て行った後からずっと声をかけようがほぼ反応せず。
今の状態が続いていた。
「ほら雫ちゃん、鈴が食事を持ってきてくれたよ」
あの日から恵里と鈴は付きっきりで食事も取ろうとしない雫を世話していた。
「シズシズ、少しだけでも食べて」
「・・・・」
鈴は雫になんとか食べさせようとスープを掬った、
スプーンを雫の口に持っていくが、口を開こうとしない。
以前の凛々しさなど、みる影もない今の雫の姿に
鈴は泣きそうになる。
扉をノックする音が聞こえ、その音に続く言葉に
鈴たちだけでなく雫も反応する。
「海里です。八重樫さん、いいかな?入りますね」
予定より遅れて城に戻った海里は雫の様子を
聞いていたので、返事を待たず部屋に入る。
「海里さん」
「お姉さん」
「・・あっ」
海里は雫のベッドに近寄り雫の視線を合わせるため膝をおる。
雫のやつれ具合に海里は心を痛めながら
「八重樫さん、経緯子たちの事は聞いたわ」
「海里さん・・香織も経緯子・・南雲くんも落ちて。
死んだの 私一人になっちゃた」
「八重樫さん、経緯子たちは死んでないわ」
海里の言葉に雫はまなじりを上げる。
「海里さんも・・・あいつと同じような慰めを言うのですか?
あの高さから落ちて助かるはずが」
「八重樫さん。経緯子たちには誰がついてますか?」
「・・・⁉︎そうかナノちゃんたちが、海里さん香織たちは本当に生きてる」
「経緯子とハジメちゃんそれに白崎さんのナノちゃんたちから無事なのを確認したわ」
その言葉に雫の瞳に光が戻る。
「海里さん?今の香織たちの様子を知ることはできますか?」
「う〜ん少し待ってね」
(ナノちゃん?どうできる?)
『海里様。ここからだと距離があるのと、かなり深い所にいるらしく。
双方向は無理ですが、音声だけなら少し不明瞭ですが聞くことが可能です』
(それでいいから、この場に音声を再生して)
恵理と鈴が海里と雫の会話についていけずにいる中
部屋に女性の荒い息づかいが聞こえ始める。
「ハァ・・ハァ・・・痛かっ・・・あんな激しいなんて・・・ハジメくん・・・一緒に・・・」
「アッ・・・フゥ・・・ハジメちゃん・・・激しい・・・壊れる・・・」
「「・・好き・・愛して・・」」
途切れ途切れの香織と経緯子の声が聞こえ
「カットォオオ!!」
海里の言葉で音声が切られる。
部屋がなんとも言えない空気に包まれ
海里、雫、鈴、恵理の四人は反応に困り沈黙していた。
それぞれの心の声は
鈴 (えっ?え〜カオリンたち登っちゃったの?階段をしかも三人なんてハードだよ)
恵里 (まさか生きてて関係がここまで進んでいるとは。でもこれで・・・)
雫 (にゃに?コレはアレでアレをしたの?親友の・・聞くなんて・・・
でも少し羨ましい・・・はぅ!私はなにを?)
海里 (あわわぁ。経緯子に先を越された・・私は海里とマイルで歳は三・・・
そうじゃなくて肉親のコレは反応の困る。ハジメちゃん、白崎さんもなんて
はっ!これがポーリンさんが言ってた濡れ場が必要ってことか!)
と盛大に誤解し混乱する海里たち。
しばらくすると雫は香織たちが生きていた事を
実感したのか涙をこぼし
「香織、経緯子、南雲くん生きてた・・ぐすっ」
鈴と恵里も雫に抱きつき三人の生存を泣きながら喜ぶ。
ひとしきり泣いた後、恵理が海里に質問する。
「あの海里さん、ナノちゃんって何ですか?」
少しの間、悩むも海里は
「超高性能のナノマシンの事、私はナノちゃんと愛称で呼んでるの
SFとかで聞いた事あるでしょう?」
この二人も雫が信頼してるようなので正直に答える。
「え〜ファンタジーからいきなりSFなの?
世界観がブレブレだよ〜お姉さん」
「ほら鈴。混乱しない。そのナノマシン達が三人の側にいて
今も守っているから無事と言う訳なのですね」
「え〜と恵理さんだっけ?理解が早いね」
「中村恵里です。読書が好きで色々読んでるから・・・」
「谷口鈴です。よろしくね。お姉さん」
「中村さんに谷口さんね。できればナノちゃんの事は
この場だけことにしておいてほしいかな」
「そうですね。トータスの人達にナノマシンを理解することができないし。
余計な混乱をよぶことになりそうですから」
「じゃじゃ!カオリンたちが生きてる事も今は秘密にするの?」
「なぜ生きてることが、わかったのか説明出来ないし、仕方ないよ鈴」
「海里さん。香織たちの救出はどうするつもりなの」
「今、経緯子たちがいる所は迷宮のかなり深い所でどうも100層より下らしく
私でもすぐに行けそうにないの。だから今はナノちゃん達信じて
経緯子たちが自力で出てくるのを待つしかないの」
「そんないくらナノちゃんたちがいても、経緯子も南雲くんも戦闘職でないのに」
「八重樫さんナノちゃんたちが送ってくれた三人のバイタルデータだと勇者くん以上に強くなってるの」
「!」
海里の言葉に雫はなにか決心したのか
「私!もっと強くなります。海里さん頼ってもいいですか?」
海里は雫の言葉にすこし迷いながらも答える。
「できる事は手伝うよ八重樫さん」
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バタン!
海里は自室に戻ると結界を張り床にしゃがみ込む
「ううっ経緯子ぉお・・ハジメちゃんぁああんうわーん」
自分の甘さと不甲斐なさに号泣する海里
涙が枯れるほど泣いたあと
(ナノちゃん!経緯子たちの専属ナノちゃんに出来るだけ三人を守るように伝えてお願い)
とナノちゃんに頼む海里だった。
おまけ
ハジメたち専属ナノマシン会議開催
『海里様からなにをおいても守る事を命令された』
『これで腕を切られるなどと失態をおかさずにすむ』
『海里様に付いている奴にバカにされたからなぁ』
『でもこれからは』
『攻撃は・・・』
『『『『防ぐ!!』』』
『敵は・・・』
『『『『潰す!!』』』』
『『『ぐっはははははは』』』
ハジメたちは知らないうちに強化されるのだ悪ノリで。
※雫は頼る事ができた三人が落ちたせいでかなり不安定になりました。
次回は奈落のハジメたちの様子と地上との半々ぐらいかな。