ありふれた(平均)値で世界最強って言ったよね! 作:simasima
迷宮攻略開始ですが。
スロースタートです。
かぽ〜ん
この擬音で表す事柄すなわちお風呂である。
湯気で少し白く霞みがかる室内で
雫はしっとりとした黒髪を束ね上げあらわになったうなじは
ほんのり桜色に染まり濡れた後れ毛が張りついてる。
彼女はその猫科を思わせるしなやかな背中を丸め
長く引き締まった脚を湯船に下ろすと
程よい温かさが足元から全身にやんわりと伝わり雫は思わず
「んっふうっ」
弛緩していながら、どこか艶やかさを感じる声をもらす。
「エロッ!あざとエロッ!」
先に湯船につかっていた鈴が言う
その言葉を聞いた雫が頬を赤く染め
湯船に体を沈めながら
「鈴!エロってなによ⁉︎」
「シズシズの自覚無きエロさに鈴のリビドーが高まったのだ!
それを鎮めるため!お湯に浮いてるそのたわわを揉ませ・・ブッ」
「お風呂の中で暴れないの!鈴!」
鈴のセクハラは恵里の鈴への脳天チョップで止められる。
鈴は雫のたわわに未練の視線を向けながら己の頭を手でさすり
「ぐぬっう。恵里が鈴にチョップをかますとは
恵理?少しうかれてる?」
軽い発言が多いが他人の心の機敏に鋭い鈴の言葉に
恵里はトータスに来てから存外の幸運に恵まれ
無意識に警戒が薄くなった事に反省し
気持ちを引き締めなおすと話の矛先を変えるため
「ここが迷宮の中なんてまだ信じられないよね」
「うん。お姉さんすごすぎ」
恵里達の対面でボヘ〜と弛みきった顔で
湯船につかっている海里を見ながら
三人は先程の海里自身の非常識を思い返していた。
メルドら騎士団に引率されながら
生徒たちは魔物相手に訓練を続け
順調すぎるペースで下層へと降りて行った。
そして三十階層の開けた所にでた時メルドが
「今日はここで野営を行う。全員で手分けして準備にかかれ」
その言葉に生徒たちはホッとするが
「ううっ真央、体が汗でベタベタする」
「だね〜こんな所じゃシャツを替えて体を拭くぐらいが
せいぜいだよね〜綾子」
綾子が訓練で汗をかき、その不快感を言葉にし
どことなくのんびりとした口調で真央が返事している中
突然 ドスン! ドスン!と連続で何か
重量物を置く様な音が響く
音のした方向を見て全員が呆然とする。
なんという事でしょう。迷宮の壁沿いに
三棟のプレハブ小屋らしき物がいつの間にか建っておりました。
右から“湯” 、“女”、“ 男“と入り口のドアに書いてあった。
このプレハブ擬きは海里が万が一の逃亡用に作り上げたもので
マイルの世界と違いトータスでは自重も普通もよそおう事を
止めているので中の施設は現代的であり。
建物の強度はオークが百匹乗っても大丈夫だ。
そんなわけで雫達女生徒は迷宮の中で5、6人は
一緒に入れる浴槽にシャワーや石鹸、シャンプー完備の
移動式風呂を堪能していた。
さらに男女別の寝室も用意され中には二段式だが
人数分のベッドがあると言う至れり尽せりの環境である。
これも海里が自分自身が快適に過ごすため
こだわった故の結果なのだ。
メルドが目の前にある建物に理解がついていけない中
周囲を警戒しているとラフな服装に着替えた海里が話かけた。
「メルドさん。女の子達は皆お風呂から上がったので
男の子達や騎士団のみなさんも交代で入って下さいね。
お湯も張り替えたので綺麗ですから」
「おおう」
気の抜けた返事をしながら生徒たちを見ると
それぞれ自分のパーティメンバーに女生徒が話しかけていた。
永山達には綾子と真央が近付き綾子が
「いいお湯だったよ。野村君達も早く入ってきなよ」
と話すが健太郎は今すぐに入るには不味い状態だった
何故ならラフな格好に着替えた綾子が
風呂上がりで頬がほんのりと桃色に染り
水気を含んだ艶のある髪からはシャンプーの香りが
健太郎の鼻腔をくすぐる、そのせいで彼の一部が冷めるまで
風呂に入れない状態になっていた。
光輝達に恵里と鈴は二人に風呂をすすめた後
鈴が龍太郎に
「あっちに声かけといてね」
と檜山達をアゴで示してながら頼む。
檜山達は経緯子に対する行いのせいで女生徒は皆
近寄りたくない。なので鈴は龍太郎に頼んだのだ。
ちなみに部屋付きのメイドだが檜山達4人の
世話役は全て屈強な男性に替えられている。
教会としても勇者の仲間の醜聞は不味いからだ。
そんな光景を見ながらメルドは海里に
「海里、すまないが迷宮の索敵時に少し手控えをしてもらってもいいか」
「手控えですか?」
「今日と同じだと楽過ぎて、直接戦闘はともかく
索敵や警戒の訓練がまったく出来ないからな」
「なるほど」
海里の探索魔法なら魔物が壁に同化しようとも
発見できるし範囲も広いので先手を取ることが
容易だがこれでは生徒たちが頼りきってしまい。
海里がいない時には不味いと言うことなのだろう
赤き誓いのメンバーといる時も彼女等の成長のため
探索魔法の能力を抑えていたので海里は
「わかりました。緊急時以外は抑えますね」
「すまない。・・・風呂の前に食事の用意しないとな」
メルドは海里が早く迷宮を攻略したいのにと思って
いるだろう事を言葉に出せず。別の話題を振る。
メルドがアランに携帯食を用意する様に命令する前に海里は
「これホルアドの宿で作ってもらいました」
とアイテムボックスから出来たてホカホカの
シチューの入った寸胴鍋を出す。
皆が食事を食べ終わる頃には全員が海里が便利すぎると思う事となった。
こうして迷宮の一日目はゆるダン□としてし終了するのだった。
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ハジメ達は爪熊を倒した後地上に戻るため
上を目指して進んでいたが
何階層か上がった所で足踏みする事となった。
何故ならいくら探しても上に登る階段は見つからず。
ハジメが錬成で天井や壁に穴をあけ進もうとするも
ある程度掘り進むと。
バチィッ!
「どう?ハジメちゃん?」
「ダメ。この先は魔法が弾かれて錬成ができないや経緯子ちゃん。
どうやら僕らがいる階層は隠しダンジョンみたいだね」
「隠しダンジョン?どうゆう事ハジメちゃん」
「本来は表と言うべき僕たちが落ちる前にいた
迷宮を攻略した後に来るべき所で一度入ったら
クリアーするまで出れないんだろうね」
「じゃあハジメくん。迷宮から出るためには
どのくらい下に降りる必要があるのかな?」
「そうだなぁ香織さん。多分表の迷宮が百階層と伝わっていたから
ここも百は降りる必要があると思うよ」
ハジメの予想を聞いた香織と経緯子は思わず「うへぇ」という顔をする。
そんな二人とハジメも同じ気持ちなので肩をすくめ
「気を取り直して進むしかないよ。とりあえず拠点で一度休もう」
そして三人は無駄足になった事に少し落ち込み
とぼとぼと上がって来た道を再び降るのだった。
ピチャ、ピチャと壁に取り付けられた緑光石によって
淡い光が灯るやく二畳ほどの室内に水が揺れる音が響いている。
部屋の半分を占める岩をくり抜いて作った浴槽に
アイテムボックスから出した水を入れ、火魔法で温めたお湯に
香織は体を沈めていた。
少しだけ温めお湯に身を委ねていると疲れが体から
抜けていくその心地良さに香織の口から
「ハフッ〜」
と体の中の熱を含んだ吐息がもれると
同時に形の良い顎の尖端から一雫の汗が
湯面から半分ほどのぞいている豊かな双丘の合間に落ちる。
「ハジメくんもお風呂を出た後お湯を入れ替えないでいいのに
お水がもったいないよね」
香織は言外に水の節約以外の事が含んだ事を
独り言ちながらのんびりと入浴を続けていた。
奈落に落ちて二週間近く過ぎ拠点の設備はアイテムボックスで
移動が容易な事もあり前述の簡易風呂や簡易ベッド、テーブルなど
やたら充実していた。この生活環境の充実はハジメ、一人ではなく
経緯子と香織も一緒に落ちた影響であろう。
ハジメが作業台の前にあぐらをかき、新しい装備を錬成していると
「ハジメちゃん。何作ってるの?」
経緯子がハジメの左隣に座りながらたずねる。
「経緯子ちゃん今のままだと近接戦闘に難があるから
そのために・・・・・」
ハジメから詳細を聞いた経緯子はハジメの左手の
残っている所を両手で優しく包みながら
ハジメの肩に頭を預けてささやく
「ハジメちゃん好き」
その言葉を聞いたハジメは照れなが作業を止め
経緯子の手に自分の手を重ね二人は言葉も交わさず
あふれ出す多幸感の中ただお互いの体を預けていた。
短い時が過ぎて自然とハジメと経緯子の顔が近付き唇が触れそうになる
コッン
と経緯子が唇の代わりにハジメとおでこをくっ付ける
「この先に進むと私はきっと動けなくなるから今はここまでだよ」
「うん」
そう言うと経緯子はハジメから離れ食事のため魔物の調理を始めた。
その後風呂から上がった香織は何かを感じ取ったのか
作業しているハジメの背中にピトッとくっ付きハジメの耳元に後ろから
「好きだよハジメくん・・・」
とささやいた後。香織はそそくさとハジメから離れ
経緯子を手伝いにいった。
香織のその声にゾクッと快感を覚えたハジメは
己の節操のなさとヘタレ具合に悩み。
甘いというか酸っぱい様な空気の中
三人は食事をして就寝するのだった。
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王城のテラスで優花は風呂上がりの火照ってた体を夜風で冷ましていた。
髪は何時もと違いふんわりゆるく肩口でおさげにしており。
勝ち気な雰囲気は抑えられ、いつもより柔らかくそして幼なく見える。
優花は一人、テラスの椅子に座り城の庭を所在なさげに眺めていたが。
「ヒャッ⁉︎」
優花が小さな悲鳴をあげる。いつの間にか近づいた奈々が
首筋に冷たい水の入ったコップを当てていたからだ。
「奈々か脅かさないでよ!」
「優花っち夜風にあたるのも程々にしないと湯冷めするよ。
お水を持ってきたから飲んだら中に戻ろうよ」
優花は奈々に礼を言いコップに口をつけると
「うわっ!すごくキンキンに冷えてるし」
「へっへぇん!私は氷術師だからね」
「ありがとう奈々。おかげで頭がスッキリした」
「優花っちまた考えこんでたからね」
「自分達はこうしてお風呂に入ってるけどさぁ。
雫や海里さんは迷宮の中で不自由してるはずだし」
「だね。雫っち達は大変だよね」
と二人は迷宮で海里達が不自由してるのに
自分達は快適に過ごしている事に後ろめたい思いをしていた。
その思いは海里によって全くの見当違いになってると知らずに。
テコ入れ?のお風呂回です。
一家に一台!海里(マイル)です。雫たちのの○太くん化待ったなしです。
ハジメ達は空気がアマッ!です。
優花の風呂上がりのヘヤスタイルはアフターの修学旅行回からです
原作のアフターは香織の扱いが残念すぎるのがちょっとなんですが
優花は色々と可愛い所が出てくるのでナイスです。