ありふれた(平均)値で世界最強って言ったよね! 作:simasima
ハジメが、経緯子に続いて寝不足の体を引きずって
教室にはいると
「南雲君、経緯子ちゃん、おはよう!」
ニコニコと微笑みながら一人の女生徒が挨拶してくる。
その瞬間ハジメは、くっ!人が殺せたらと言う様な視線を感じながら
「おはよう、香織さん」
と挨拶を返した経緯子に続いて。
「あっ、うん、おはよう白崎さん」
挨拶を返すと、更に笑顔になる香織。
それと同時にも周りの視線が、きつくなる何故なら。
白崎香織という。少女は学校で二大女神と言われる美少女だ。
腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味な大きな瞳、
スッと通った鼻梁に小ぶり鼻、そして薄い桜色の唇が完璧な配意で並んでいる。
そんな彼女が、平凡でイケメンでも無いハジメに笑顔を向けるのだから、
周囲の視線もさもありなんである。
ハジメはそんな周囲にたいして内心
(僕じゃなくて白崎さんは経緯子ちゃん友達だから、ついでだからそう言う事にしといて)
と思っていたがその経緯子も、香織ほどではないが、
名前のとうり栗色の肩の辺りで切りそろえた髪、優しいながらもしっかり意志を感じる瞳、
小ぶりな鼻、小さめの唇が、バランス良くならんでいる。
彼女も充分可愛いタイプの美少女だ。そのうえ面倒見の良い委員長タイプの彼女は、
高嶺の花的な香織と違い、より親しみ易いせいかモテた。
告白された数は多いが、誰かと付き合っていると言う話も聞かないのだ。
そんな二人に朝から構われてるハジメは、ため息つきながら自分の席に向かおうとすると
三人の男女がハジメたちに、近寄ってくる。
「経緯子、南雲君、おはよう。南雲くんは毎日大変ね」
「おはよう、栗原さん、南雲 。相変わらず眠そうだな、南雲。手伝いも好きな事とはいえ、ほどほどにしないと体こわすぞ。」
「経緯子さんおはよう。朝から香織と経緯子さんも、また彼の世話を焼いてるのか?全く二人は優しいな」
最初に朝の挨拶してくれた女生徒は八重樫 雫。香織の親友で二大女神のもう1人だ。
ポニーテールの形をした長い髪がトレードマークである。
切れ長の目、百七十二センチという女子にしては高い身長と引き締まった身体、凛とした雰囲気は侍を彷彿とさせる。
事実、彼女の実家は八重樫流という剣術道場を営んでおり、彼女自身小学生の頃から
剣道大会負け無しの現代に現れた美少女剣士として有名で、特に後輩の女生徒からは
熱の孕んだ瞳で“お姉さま”と慕われて頬を引き攣らせている光景はよく目撃されている。
香織のハジメへの想いを知っており、そんな親友の突撃癖に
巻き込まれるハジメにすまないという思いからくるのが、
挨拶の後に続くセリフだ。気使いと世話焼きのオカン気質だ。
次に挨拶をした男子生徒は坂上 龍太郎といい、短く刈り上げ髪、百九十センチの身長の
空手部所属の猛者で、見た目通りの細かい事は気にしない脳筋タイプだ。
龍太郎は努力とか熱血とか根性とか大好きな人間で、昼間は何時もダルそうにしている
オタクのハジメとは接点は無さそうなのだが、
一年程前ハジメがナイスバルクなアニメと「筋肉をつけよう」と言ってくるアニメキャラに
ハマって自分自身感化され、体作りは将来のため必要だからと自分自身に言い訳しながら始めて
少女漫画家の母親の仕事場に母とアシスタントの“お姉さま”方のダイエットのための器具が
押し入れの肥しになっており、それら使うことで飽きずに続ける事ができた。
その内自身の腹筋が割れはじめると、「筋肉は裏切らない」などと思い、そう、ぶっちゃけハマったのだ。
なので件のアニメが終わった後も続けていて、今では痩せ型だがそれなりに引き締まった体だ。
龍太郎とは半年程前の体育の着替えの時に、
ハジメがハマってたアニメの影響で「大胸筋が、キレてるよ。」などと呟いてしまい、
それがたまたま耳に入った龍太郎は何故かニカッと笑い、ポーズ決めながら
苦笑いするハジメの体を観察。意外と体が仕上がっているのに感心して、
それがきっかけで筋肉談義をする様になり、オタク趣味など軟弱でくだらないと思っていたのだが、
ハジメと話す内に、ハジメが将来を見据えて両親の手伝いをしている事を知り、
自分の意思で其のための努力するハジメを見て、
龍太郎自身が知る努力とは違う形もあるのだと思った。
元々龍太郎は脳筋だが裏表のない真っ直ぐ性格なので、
ハジメの事を一度認めると素直に感心し、
今ではハジメから格闘漫画を借し借りする仲だ。
ちなみにお気に入り漫画はナイスバルクと同じ原作者だったりする。
あと最近はハジメの筋肉について訊いてくる
香織の目が少し怖いと思っている。
最後にナチュラルにハジメを省いた上、些か臭いセリフで香織と経緯子に
声を掛けたのが天之河 光輝。ひと昔前の主人公っぽい名の彼は
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の完璧超人だ。
サラサラの茶髪と優しげな瞳、百八十センチに近い高身長に細身ながら引き締まった体。
誰にでも優しく、正義感も強い(思い込みが激しい) 。
小学生の頃から八重樫道場に通い、その縁で雫と香織とは幼なじみで、
雫と同じく全国クラスの猛者だ。ダース単位で惚れてる女子がいるとの噂が
真実として語られるぐらいの筋金入りのモテ男だ。
「おはよう。雫さん、坂上くん。で天之河くん」
「おはよう。八重樫さん、坂上くん。 (間) 天之河くん」
と経緯子に続いて挨拶を返すハジメ。
すると光輝が自分自身の正義に従って言う。
「南雲、君は毎日眠そうにして朝から香織と経緯子さんに世話をやかれてる。
自分が恥ずかしく無いのか?何時迄も二人の優しさに甘えるのはどうかと思うよ。
経緯子さんと香織も構ってばかりはいられないんだから」
ハジメは経緯子ちゃんには兎も角、白崎さんには甘えた覚えは無いけど。
でも下手に言うと面倒くさくなりそうだし、多分このまま黙っていても
同じ事になりそうだしな、と考えていると
経緯子が光輝にハッキリと言う。
「ハジメちゃんは、自分から構ってくれなんて言った事ない。
私がしたいからしてしているだけ」
続いて香織も天然突撃娘らしい発言をする。
「私は南雲くんと話したいから話し掛けてるだけだよ?南雲くんが私に甘えてる?
どう見ればそう見えるのかな?南雲くんは甘えたりして来ないよ?本当はそうだったら良いのに」
と彼女自身の天然からくる、
本人は自覚してないが割と過激な発言に
周りの男子からの嫉妬の目がハジメに突き刺さる。
特に檜山 大介と言う男子生徒は殺さんばかりに睨み付けている。以前ハジメを呼び出し、
自分を入れた仲間4人でハジメにヤキを入れようとしたが、ハジメの機転で上手くいかず、
高校生になって直接的手段に訴えればどうなるか身に持って知ることになり、
次は無いと言う事になった。特に最近ハジメは龍太郎と仲のいいことあり、
あとは口で言うしか無くなり、「キモオタ」など罵るも、
その言葉を耳にした周りの女子生徒達からの不快感を露わにする
視線に耐え切れず、今は舌打ちぐらいだ。
ハジメの周りからの評価はと言うと、男子の嫉妬からくる僻みは兎も角、
女生徒からの評価は割と高く、オタクだけど髪は短く切り揃え整えてるし、
身嗜みもしっかりして清潔感があり、最近は筋トレを続けているおかげで体も締まってる。
授業態度も眠そうにしつつも、ハジメが経緯子に負担をかけるのイヤなので
両親の手伝いで徹夜などはしてないがそれでも睡眠不足がちではあるが
頑張って起きて授業を聞いているので、隠れて内職してる事もあるが、概ね真面目に見える。
それと文化祭等の行事で頼られる事の多い経緯子に付き合い手伝いをしている中で、
ハジメが親の仕事の手伝いで培った交渉スキルの高さや、頼り無さそうに見えるけど
一度決めると人一倍集中して根気よく続けてる姿を見たり。
経緯子やハジメと同じ中学から進学して来た生徒は、中学三年生の時に起きた不幸と、
その当時の経緯子と
あと女子の打算的な視点から
両親が自分たちも良く知っている漫画家とゲーム会社の社長の
息子で本人が既に何方共に即戦力な話を彼の幼なじみの経緯子と
妙にそんな家庭事情に詳しい香織(それについては彼女の親友が頭を抱えてた)から
話を聞いた彼女たちは、「もしかして、南雲君って優良物件で買いじゃない?」と考え、
そうなると平凡な外見も、清潔感はあるし優しいし少し可愛いかもなどの感想に変わった。
幼なじみの経緯子はともかく、高校入学してすぐにハジメに話しかけた香織に
そんなにも早くツバつけようとするとは恐るべし嗅覚すごいと
妙なところで感心されたりした。(真実は香織がハジメの事を入学前から知っていただけ)
そんな訳でハジメのクラスでの立場は悪くない。
ここで現実に戻ると経緯子と香織の反論を聞いた光輝が
「え?・・・ああ、ホント、二人とも優しいよな」
どうやら光輝の中で二人の発言はハジメに気を遣ったと解釈された様だ。
完璧超人なのだが、そのせいか自分の正しさを疑わなさ過ぎる欠点が彼にはある。
やっぱり面倒な事になったなと思ってるハジメに
「・・・ごめんなさいね?光輝はを悪気はないのだけど…」
こっそりと雫がハジメに謝罪する。ハジメはそれを受けて
「いいよ。八重樫さんが謝る必要無いし、気を使いすぎだよ。もう少しほって置いて
良いと思うよ僕は?」
光輝の善性ゆえのトラブルのフォローに回っている雫の噂を耳にしてたので、
雫にそう答えたのだ。
「・・ありがとう。考えてみるわ。南雲くん」
そうこうしてる内に始業のチャイムが鳴り、皆席につく。
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そして昼休み。
「はい。ハジメちゃん、お弁当」
「いつもありがとう、経緯子ちゃん。毎日大変じゃない?」
「1人も2人も手間は変わらないし、おばさんから材料費も預かってるし」
と言いながら、ハジメと経緯子は机をくっつけて食べ始める二人。
「南雲くん、経緯子ちゃん、私も一緒に食べてもいいかな?」
と香織が、話しかけてくる。ハジメはチラッと経緯子の顔を見て
彼女がうなずくとハジメは返事する。
「いいよ、白崎さん。一緒に食べよう」
「うん!ありがとう!」
その返事に満面の笑みを浮かべる香織。その笑顔を向けられているハジメは、
少し前の学校からの帰り道に経緯子に言われた事を思い返す。
『香織さんの事、ハジメちゃんはどう思ってるの?』
『どうって?経緯子ちゃんの友達だから側にいる。僕に話しかけてくるだけじゃないの?』
『ハジメちゃんのついでは、私!彼女が話したいのは本当はあなただし』
『まさか?僕なんかに白崎さんみたいな人があり得ないよ』
『ハジメちゃん!僕なんかって言って誤魔化さない。気づいているよね?彼女の気持ち?』
『うん。一年生の頃からずっと構ってくるし、他の男子との対応の差を見たらね・・・』
『で?もう一度聞くけど。白崎さんの事。ハジメちゃんからはどう思っているの?』
『そりゃあんなに綺麗な人が慕ってくれるのは男として嬉しいし、最初は強引さが
苦手だったけど、最近は白崎さんと話すのも楽しいなって。でもその先に僕はまだ・・・』
と言葉濁しハジメは経緯子の顔見て、そしてふと空を見上げて経緯子も何か察したのか
そのまま黙ってその日は帰路についた。
ハジメが思い返し香織がいそいそと席に着こうした時
「香織。こっちで一緒に食べよう。南雲には経緯子さんが居るんだ。
香織がわざわざ相手にしてあげる必要はないよ。さぁ早くこっちにおいで」
と光輝がキラキライケメンスマイルで話しかけてくるが、
香織は先程のセリフにピクッと眉しかめ光輝を一瞥した後、返事もせず席につきハジメに笑顔で
「今日の卵焼き。お母さんに新しいレシピ教わって作ったの。よかったら食べてくれないかな?」
と話す。香織を見て雫は思う。
(さっきの光輝の言葉だと香織の態度も仕方ない。気になる男子のそばに他の女子が居るから
香織は居なくて良いと言われたのと同じだもの。問題は自分の言った地雷発言に気づいて無い光輝が、
更に何か言おうとしてる事ね。南雲君の言う通り構いすぎも良く無いけどそれは今度からで、今は)
と香織たちに更に何か言おうとしている光輝を止める為に雫が動き出した時、
光輝の足下に光輝く魔法陣らしきものが現れて、教室全体を光で満たしていく。
「皆! 教室から出て」とまだ教室に残っていた畑山 愛子先生が叫んでいたのと同時に
魔法陣の光が爆発した様にカッと光った。
光が収まった後の教室には、彼らの持ち物、教室の備品はそのままそこにあった。
只そこに居た人間だけが消え失せていた。
原作との違い
南雲ハジメ
経緯子のため行動が原作に比べるといくらか積極的。
授業態度も経緯子の負担になるのが
嫌なので授業中居眠りしない等改善している。
その為男子の嫉妬は変わらないが。
女子からは別に悪く思われていない。
栗原経緯子 ハジメの幼なじみで2年前姉の海里と死別している。
その当時の落込み様は酷く
友人達も同付き合えば良いか判らない状態の中
ハジメは積極的、根気強く寄り添ってた
結果以前の明るさを取り戻した。
委員長タイプの彼女は学校行事等で頼られる事も多く
それにハジメも付き合わされた結果
ハジメ本人の評価も上がった。
白崎香織 原作通りハジメに想いをよせる。学校1、2の美少女
今作にはハジメの側に経緯子が居るため
より分かりやすくアプローチした結果。
ハジメと経緯子と3人でお弁当を食べることも
しばしばある様になっている。
たまには天然で過激な発言、行動するこがあり。
オカンな親友の気苦労は絶えない。