ありふれた(平均)値で世界最強って言ったよね!   作:simasima

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なんとなく香織さんが書きたくなって

では本編です。

 

 

 

                 

 

 

 

魔導駆動四輪車ブリーゼがライセン大峡谷を目指して走っている。

ただハンドルを握るのは経緯子である。

そしてハジメはというと、柔らかさと弾力のバランスが素晴らしくほのかに甘い匂いのする。枕に頭をのせ心地良い車の振動を友に眠っていた。香織はそんな眼下で己の膝を枕にして眠る、ハジメの頭を優しくなでており。そんな後部座席の様子をミラーで確認して微笑む経緯子であった。

 

「…うぬ」

 

助手席のユエはいささか不機嫌である。経緯子はユエをなだめる様に言う。

 

「まぁまぁユエさん。今日はクジで香織さんが当てたんだし。

次はユエさんが、してあげればいいんだし今は優しく見守ろう」

 

とまぁハジメは昨晩の色々とシアの武器を作成していた為、寝不足だったのでライセン大峡谷まで経緯子に運転してもらい昼寝する事にして、香織とユエが膝枕権を争い、香織が当選したのだ。

 

「私はその権利争いにすら参加できませんでした」

 

運動席と助手席の間から顔を出したシアは愚痴る。

 

「シア…10年早い」

 

ユエが冷たくあしらい。経緯子がミラーをチラ見して

 

「でもねシアさん。あの香織さんの表情を見たら許せるよぉ」

 

その言葉にシアは後ろの座席の香織を見る。

膝枕されたハジメは安らかな顔で静かに寝息を立てていて、膝枕している香織の顔は慈愛に満ちて、全身から出る幸せオーラによって最後尾座席は癒し空気に満ち溢れていた。

全身から出る幸せオーラによって最後尾座席は癒し空気に満ちていた。

 

「はう~」

 

とシアはその空気に当てられ、ほんわかとしてしまう。

 

「…仕方ない」

 

とユエもハジメの安らか寝顔を見て機嫌を直す。

 

「ふふっ」

 

と微笑をこぼす経緯子にシアがたずねる。

 

「ハジメさんと皆さんのイチャイチャをそばで見てて思いますけど、ケイコさんとハジメさんのは落ち着いてますよね」

 

「…見て無い所だと…?」

 

「コホン…まぁ物心つく前からの幼馴染だしね」

 

「なるほど。ハジメさんとケイコさんは許嫁で、カオリさんは第2みたいな感じだったんですね」

 

とシアは一夫多妻が普通のトータスでの価値観で納得する。経緯子は慌てて否定する。

 

「向こう世界は重婚NGだし。それに…」

 

経緯子は言葉を切るとハジメをチラと見て

 

「もし…たら、ハジメちゃんが私を…なんでもない」

 

「経緯子…ハジメの小さい頃カワイイ?」

 

ユエが聞いてくる。話題を変えてくれたみたいだ。

経緯子はユエに感謝し

 

「そうねぇ。幼稚園ときにハジメちゃんが…」

 

と自分の記憶と両親たちから聞いた。ハジメの幼少期を語り出す。

ユエとシアは興味津々だ。そして勿論、香織もカオリイヤーは地獄耳状態である。

ハジメは自分の恥ずかしい過去が語られると知らずに眠っている。

とほんわかした空気でライセン大峡谷に向かうハジメたち一行だった。

 

 

 

 

 

_____________________________

 

 

その頃、無事にブルックの街に入った。

海里と雫にフードで耳を隠したルリファたち三人は

ハルツィナ樹海の情報とアイテムボックスに入れてある。

オルクス迷宮で回収した魔石を換金するために

冒険者ギルドに訪れていた。

 

やはりと言うか当然の如く、黒髪美人の海里と雫は好奇の目を向けられていた。

 

(何故か妙に注目されてるわね。やっぱり子連れだからかしら)

 

雫は目立つのは自覚してるが、それでも注目されてると感じる。

何故なら昨日のハジメ達に続き美人の冒険者が来たからだ。

もしかすると子連れなので、どちらかが未亡人と見られてるかもしれない。

 

好奇の視線の中海里はカウンターに座る恰幅の良い女性に

 

「魔石の買取お願いします」

 

とカバンから出すふりをしてアイテムボックスから魔石を出しカウンターに並べる。

カウンターの女性、キャサリンは海里たちを一瞥すると

 

「冒険者登録はしてるのかい?」

 

海里は頷きステータスプレートを見せる。

キャサリンはプレートを確認すると

 

「鑑定なら私が出来るから、すぐ換金できるよ」

 

その言葉通り僅かな時間で鑑定を終える。

 

「全部で10万ルタだね」

 

「ありがとうございます。それで樹海についての資料とか

ギルドにあれば見せて欲しいのですが」

 

お金を受け取った海里は尋ねる。キャサリンはフードを被ったルリファを改めて見てから

 

「二階の資料室はギルドに登録してたら自由に閲覧できるよ。

ただし持ち出しと飲食は禁止だからね。樹海の魔物の素材は金にはなるが無茶するんじやないよ」

 

「はい。狩りと言うか、興味があってブルックの街なら詳しい資料が有るかなと」

 

「なら良いよ。あんた達、小さい子を連れてるからね。つい、お節介心がでちまってね」

 

キャサリンは年を取るとねぇなどと軽口を叩くと世間話をするように海里達に言った。

 

「そうそう。小さい子と言えばフューレンの貴族の屋敷から亜人の奴隷が盗まれたと被害届がね」

 

キャサリンの言葉に雫はルリファを庇う様に体勢を整え。海里は初めて聞いたと言わんばかりに

 

「それは怖いですね。気を付けます。

この子を親御さんに届け無いといけないので」

 

「そうかい。子供は親元にいないとね」

 

「その通りです」

 

キャサリンは笑顔で言い海里も笑顔で応える。

海里は今、出来るお姉ちゃんモードだ。

キャサリンは海里に紙を一枚渡す。

 

「この街の地図だよ。そこに書いてある”マサカの宿”なら()()()()()()()()()()()()()

 

「そうですか。ありがとうございます」

 

海里は礼を言い。雫を促しギルドを出る。

キャサリンは三人を見送りながら

 

(よく分からない娘だったけど、悪い感じはしなかったしね。あの貴族は評判が悪いしね。昨日の連中と関係がありそうだったけど、冒険者の情報を勝手に漏らす訳にはいかないからね)

 

とほくそ笑むのだった。

 

 

ギルドを出た三人は

 

「海里さん。キャサリンさんはルリファちゃんのこと…」

 

雫はルリファと手をつないで歩きながら海里に言う

 

「キャサリンさんはお節介なオバチャンと言う事で雫さん」

 

海里はそこは曖昧にしておけばいいと雫に応える。

雫は己の顔を不安気に見るルリファに大丈夫と微笑み

なるようになるわねと納得した。

 

 

その後マサカの宿に泊まったのだが、受付のソーナがケモ耳でもロリ、ショタでもなかったので、「チッ…外れか」と海里がぼやいた。手遅れなお姉ちゃんである。

そして夕食をとり、入浴すると

 

 

 

 

♪~ていこくは~とてもつよいぃ~♪

 

「キャー助けてぇ」

 

「ハッハッ俺はコウテイ仮面!今日からお前は俺のカキタレになるのだぁ!!」

 

暗がりで胸の大きい女性が、筋肉モリモリの白いヘルメットを被った男に襲われていた。

 

「「「そこまでよ!」」」

 

「誰だ!」

 

三つの人影が見える。

 

「レッドフォックス”レーナ”」

 

「ゴールドドック”メーヴィス”」

 

「グリーンのタヌキ”ポーリン”」

 

「「「三人揃ってケモノレンジャイ赤き血がイイ!」」」

 

 

 

そして赤き血がイイ!によって悪のコウテイの事案は防がれたのです。

と、これは海里がルリファに聞かしていたにほんフカシ話だ。雫がルリファに「カキタレ?」

は何かと質問され誤魔化すのに苦労し、ルリファが寝た後に雫は海里をくどくどと話の内容に説教したのだった。

 

 

 

次の日、海里達は街でのトラブルを避けるため朝食をすますと街を出て暫く歩くと

 

「これで行くのね」

 

と雫がやや疲れた口調で言った。彼女の目の前に流星号そうママチャリがあった。樹海方面は人の行き来きが少ないので使う事にしたのだ。なぜ自転車なのか

ナノちゃんの力で自動車でも作ればと思われるかもしれないが、内燃機関が存在しない世界で作るのは禁則事項に抵触するのでできないのである。自転車なら仕組みが分かればトータスでも再現出来るのでOKであった。

海里はママチャリ前部のチャイルドシートにルリファを座らせ、後ろに雫を乗せ幼稚園に子供を送るお母さんの様に樹海に向けて疾走するのだ。

ルリファが乗っているのでスピードを抑えたとはいえ昼前には樹海に到達したのだった。

 

「ルリファちゃん。自分の里が樹海のどこにあるかよくわからないのよね」

 

「ごめんなさい。シズクおねぇちゃん」

 

「ルリファちゃんは悪くないわ。里から出た事なかったんだから」

 

「樹海の真ん中の大樹の側に一番大きな里があるみたいなので、そこで猫耳族の里を教えてもらいましょう」

 

「でも樹海は霧が濃くて迷うのよね」

 

「探索魔法で方向が分かるのでそこは”直進行軍”大丈夫です」

 

雫はその言葉に不安を感じるが、海里は

 

(ケモ耳❤ケモ耳もふっもふっでルンルン)

 

とまだ見ぬケモ耳幼児たちに期待を膨らませていた。

 

「雫さん。装着です」

 

と海里は獣人に変装するための猫耳を装着し

雫も本来の耳を隠すため髪を下し犬耳を装着した。

そして三人はハルツィナ樹海に足を踏み入れたのだった。

 

 

__________________________

 

 

その頃ハジメ達も崖の上で一晩過ごした後にライセン大峡谷に入っていた。

 

うさ耳がフルフル震えている。シアがへっぴり腰でドリュッケンを構えていた。

 

「はううぅう」

 

シアは涙目である。そんなシアにユエが

 

「シアは私が育てた…やれる」

 

「ユエさんでも…ハジメさん」

 

「今のシアなら大丈夫だよ」

 

とハジメの励まし言葉にシアはモジッと

 

「ハジメさん。まだ怖いのでキスでもしてくれたら勇気が…きゅ!」

 

「隙あらば発情兎…」

 

とユエに小突かれる。

香織と経緯子のプレッシャーがかかる。

 

そしてハジメは苦笑いを浮かべながらもシアに

 

「シア自分の力とドリュッケンを信じて」

 

とハジメに後押しされたシアは

 

「やってやるですぅ」

 

背筋を伸ばし自分に向かってくるダイヘドアにドリュッケンを振りかぶるのだった。

 

直後にライセン峡谷に轟音が響いたのだった。

 

 

 

 

 

                          

 

 

少し短いですがここまでです。次回はやっと迷宮攻略開始です。

 

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