ありふれた(平均)値で世界最強って言ったよね!   作:simasima

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40 邂逅

 

更新遅れました。次回は早く更新したいです。

 

では本編です。

 

 

 

 

 

                                 

 

 

霧の中、三つの人影が動いている。

 

「先が全然見えないわね。それに感覚にズレも感じるわ」

 

「ナノちゃんの探索魔法なら迷わず行けます雫さん」

 

「そうだけど海里さん。探索魔法と感覚のズレが気持ち悪いかしら」

 

海里、雫、ルリファの一行は探索魔法で方向を見失なわずに樹海を歩いていた。

しかし雫は己の感覚と探索魔法の違和感に馴染めないようだ。

 

それでも三人は順調に森の中心に向かっている。海里は直進行軍と言ったが、

流石に魁的な森林破壊はせず木々を迂回しながら、しばらく進むと

 

ピピン!

 

と海里の頭頂部の髪が直立する。

 

「雫さん。獣人アンテナに反応です」

 

海里の警告に雫はルリファを庇いつつ、自分の探索魔法の感度を上げると連動して雫の犬耳がヒクヒク動く

 

「二人?いえ三人?かなり隠蔽が巧みね」

 

と言いつつ雫は周囲を見渡すが肉眼では何も見つけることが出来ない。

方向と距離は分かっていてもなおである。

 

「どうします海里さん。こちらから声を掛けます?」

 

「んっ~多分向こうは素直に出てこないと思うので炙り出しましょう」

 

「炙り出すって過激なことは無しですよ」

 

「少しビックリさせるだけです。その前に結界を雫さんとルリファちゃんに張りますね」

 

二人に結界魔法を張ると海里は軽く深呼吸すると獣人たちが潜んでいる方を向き

 

「”スーパーソニック ゴットボイス”ララ~ラームウ~

 

と叫び不快感全開の超音波の魔法を使う。

人族には聞こえない音が樹海に響き渡ると

 

「ひぎぃ」 「ぎゃっ」 「ぐひぃ」

 

悲鳴と共にドサドサと音がして前方の樹から人が落ちる。

 

海里達は慎重に落下した人物に近づく

そこには二十歳前後の女性と十歳ぐらいの男の子と女の子が伸びていた。

ただし、かの者達の頭にはうさ耳がついている。

 

更に海里達が近づくと彼女たちのうさ耳がピクッと動いたかとおもうと

素早く跳ね上がり何やら香ばしいポーズを決め名乗りを上げる。

 

「疾影のラナインフェリナ」

 

「必滅のバルトフェルド」

 

「外殺のネアシュタットルム」

 

廚二的な二つ名を持つ名前だった。しかし名乗られのなら名乗らないのはシツレイなので

 

「赤き誓い!栗原海里」

 

「八重樫雫…」

 

「ブラウンキャット。ルリファ」

 

割とノリノリで海里は名乗り。雫はつられて名乗り。ルリファは、にほんフカシ話を真似て言った。

 

「クリハラ・ミサトまさか・・」

 

「シズク・・・マムの?」

 

「さっきのボスたちと同じ…」

 

海里たちの名前を聞くと恐れおののく三人だった。

その様子に海里たちが首をかしげていると。

 

ラナなんとかと名乗った胸の大きな女性が聞いてくる。

 

「ボスたち・・・ハジメ様、ケイコ様、カオリ様をご存知ですか」

 

ラナが口にした名前に目を見開き驚愕する。海里と雫だった。

 

「どうして…その名前を経緯子は妹でハジメちゃんは幼馴染です」

 

「香織は私の親友よ!」

 

戸惑い気味に海里は返事をし、雫は香織の名前が出たことに感情を抑えきれずに声を荒らげる。

海里たちの返事を聞くとラナたちは背筋を伸ばし踵を鳴らし足を揃え

 

「「「失礼いたしました。姉さん方。我らはハウリア。ボスの忠実な部下であります」」」

 

声を揃え言った。そして海里と雫は訳が分からず間抜けに返事をしてしまう

 

「「アネ…さん?ボス?」」

 

「ボスである。ハジメ様。ビックママのケイコ様。マムのカオリ様の身内ならば我々は敬意を持ってアネさんと呼ばしてもらいます」

 

 

 

それからどうした?

 

 

 

「なるほど」

 

要領がえなかったので、落ち着いてハジメ達とハウリア達の関係を聞いた海里はそうつぶやいた。

雫は「香織たちは何してるのよ」と言いながらも、香織が生きていることは分かってたが

こうして他人から無事な事を知らされると安心から目じりに涙が溜まるのだった。

 

「アネさん方は豚貴族からその猫耳族の娘を奪って来たと」

 

とラナ達に海里も樹海に来た理由を説明したのだが

それを聞いたバルとネアはキラキラした目で

 

「怪盗聖闘士(セイント)テール!カッコイイですぜ」

 

「仮面の怪盗!ステキです。ミサトのアネさん!シズクのアネさん!」

 

とまぁ海里達の変装したくだりに興奮し称賛するのだった。

海里は胸を張ってドヤ顔をかまし。雫はその時の衣装を思い出し顔を赤くしポニテガードをしてしゃがみ込んでいた。

 

「バル!あなたは族長にアネさん方の事を報告!私とネアでお二人を猫耳族の里に案内します」

 

事情を聞いたラナがバルに命令する。

 

「アネさん方!失礼します」

 

と言い残しバルは森の奥に消えた。その直後

 

「ひゃああぁ」

 

と驚きの声が響く見れば辛抱たまらず海里が(変態紳士)高速移動しネアを抱きしめ

 

「うさ耳モフモフ❤クンカクンカですぅ」

 

「はぅ~そこはダメです~」

 

海里のスキンシップにネアは身を悶え抜け出そうとするも

海里の博愛固めを振りほどく事ができずされるままである。

 

ゴッン!! ゴッン!!

 

「み・さ・と・さん。 いい加減にしなさい」

 

雫が海里の後頭部を刀の鞘で叩く。海里の奇行に馴染んだ雫の突っ込みだった。

 

「うっうっ雫さん…レーナさんみたいです」

 

たいして痛くないのに涙目で痛がる海里であった。

 

「海里さん。構い過ぎるとルリファちゃんみたいに避けられますよ。だいたい…」

 

「「・・・じっ」」

 

海里を説教する雫をネアとルリファが憧れの様な同情する様な目で見ている。

そんな二人に雫は何やらいたたまれなくなり

 

「そうだ…アメちゃん食べる」

 

と思わず大阪のオカンの様に飴玉を二人に渡すのだった。

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

少し時間が進んだ

とある夜。

 

熱気漂う黒い大地の上をこげ茶色の薄い帯の様な物がユラユラと踊っている

そこに突然。上方から黒い板が突き刺さる。

 

 

「はふっはふっ…美味しいですぅ」

 

お好み焼きを頬張るシアだった。

先程の場面はハジメ謹製魔導ホットプレートの上で

焼かれたお好み焼きのカツオ節だった。

ちなみに日本のカツオ節と同じでなく

ブルックの街で見つけたのはカビ付けしてないので

荒節もしくはモルディブフィシュに近いものであるが

ソースはウスターソースモドキがあったので

それに果汁などを経緯子が調合の技能でお好み焼きソースモドキを作った。

 

「今日の具は豚じゃなくてクルルー鳥のミンチだけどね」

 

ハジメがタウル鉱石製のコテでお代わりのお好み焼きをひっくり返しながら言う

なおクルルー鳥とは、空飛ぶ鶏のことだ。肉の質や味はまんま鶏である。この世界でもポピュラーな鳥肉だ。

 

「シアは小麦粉料理。粉もんにハマったねぇ。確か鶏ミンチだと”かしみん焼き”とかあったよね?」

 

経緯子が街でパンを食べて以来、小麦粉がマイブームのシアの事を言って関西ローカルの料理に言及する。

 

「はむ、はむ…ハジメと香織のオオサカとヒロシマの拘りは意味不明」

 

そんな事をユエがはふっはふっしながら言うと香織が

 

「ハジメくんの事は好きじゃけぇ。だからこそ譲れん物があるんじゃ」

 

と謎の広島弁で応える。どっち風で焼くかハジメと揉めたらしい

結局のところ麺を用意して無かったのでハジメに譲ったのだ

この手の争いは色々と業が深いのである。なお経緯子はもんじゃ焼きのもち明太推しである。

 

「ライセン峡谷に入って一週間になるけど、迷宮の手掛かり全然ないね」

 

経緯子が言う。彼女の言う通りハジメ達は迷宮の入り口を探しているのだが、

見つけられずにいる。そして既に一週間は峡谷でキャンプしている。

勿論ただのテントで寝泊まりしているわけでなく、ハジメが生成魔法と錬成を駆使し

女性陣の意見を取り入れ作り上げた。冷暖房設備、キッチン、風呂、トイレ、完備し

骨組みの要所要所の場所には〝気配遮断〟が付加された〝気断石〟を組み込んであるので敵に見つかりにくい。

プレハブ住宅型の拠点としてやりすぎな気がするが、ハジメ曰く「神代魔法超便利」の事。

 

「一度探索を打ち切って、大火山に行く?元々大火山に行くついでに探そうとしてたわけだし」

 

香織がそう提案する。それにハジメが応える。

 

「迷宮の入り口の探査についてはシアに試して欲しい事があるんだ」

 

「私にですかぁ?」

 

 

 

 

 

 

翌朝。

 

 

朝食を終えたハジメ達は

 

「ユエ。説明した通りにゆっくりと回りながら笛を吹いて」

 

「んっハジメ…わかった」

 

ユエは亜人にとっての悪魔の笛アーティファクトの”ノーキルの笛”を宝物庫から取り出す。

 

「私はそのチョウオンパの反響音を聞き分ければ良いのですね。でもあの音は…」

 

シアは前に聞いたスーパーソニックを思い出し嫌な顔をする。

 

「大丈夫だよシア。笛の音の不快感は調整して消したから」

 

その言葉にシアは安堵すると

 

「ふぅおおおぉお」

 

と気合を入れ耳をピンと立て、耳に集中的に身体強化を掛け感度を上げる。

 

「んっ」

 

ユエが笛を唇に当て吹き始める。指向性の強い超音波が鳴り始める。

そうハジメが提案したのは超音波によるライセン峡谷の壁の裏の空間の探索なのだった。

 

移動しながら何度か繰り返すとシアが

 

「そこです!」

 

と叫び耳の向いていた方向に走っていき。

 

「ハジメさ~ん!皆さ~ん!見つけました!入り口です!」

 

壁に持たれかかっている一枚岩を指さしながら手を振り大きな声でハジメ達を呼んでいる。

 

 

壁と一枚岩の間には壁面が少し窪んでいて、意外と広い空間が存在していた。

そして壁を直接削って作ったのであろう見事な装飾の長方形型の看板があり、

 

 

 

〝おいでませ! ミレディ・ライセンのドキワク大迷宮へ♪〟

 

 

と、妙に女の子らしい丸っこい字でこう掘られていた。

 

「本当かな?かな?」

 

「怪しいけど。ライセン峡谷の底で悪戯は考えにくいし」

 

「……ミレディと書いてある」

 

「となると本物かぁ…」

 

 

〝ミレディ〟その名は、オスカーの手記に出て来たライセンのファーストネームだ。

ライセンの名は世間にも伝わっており有名ではあるがファーストネームの方は知られていない。

故に、その名が記されているこの場所がライセンの大迷宮である可能性は非常に高かった。

 

 だがしかし、はいそうですかと素直に信じられないのは…

 

「何でこんなチャラのか……」

 

そう言う理由である。ハジメとしては、オルクス大迷宮の内での数々の死闘を思い返し、

きっと他の迷宮も一筋縄では行かないだろうと想像していただけに、この軽さは否応なくハジメを脱力させるものだった。

経緯子も香織もユエも大迷宮の過酷さを骨身に染みて理解しているだけに、

若干、まだ誰かのいたずらではないかと疑わしそうな表情をしている。

 

ハジメ達が微妙な表情をしている中、シアは

 

「どこかなぁ~入口どこかなぁー♪」

 

上機嫌に辺りをキョロキョロしながら、壁をペタペタ触っている。

 

「シアさん。不用意に触りまくると…」

 

ガコンッ!

 

「ふきゃ!?」

 

経緯子がシアに慎重に動くように注意しようとしたとき

シアの触っていた窪みの奥の壁が突如グルンッと回転し、

巻き込まれたシアはそのまま壁の向こう側へ姿を消した。

さながら忍者屋敷の仕掛け扉だ。

 

「ハジメくん。こんな仕掛けがあるのなら本物だね」

 

「なんだなかぁと思うけどさぁ」

 

 

奇しくも大迷宮への入口も発見したことで看板の信憑性が増した。やはり、ライセンの大迷宮はここにあるようだ。

まるで遊園地の誘い文句の様な入口に、「これでいいのか大迷宮」とか「オルクスでのシリアスを返せ」とか言いたいことは山ほどあるが、

シアが消えた回転扉を見つめていたハジメ達四人は、一度、顔を見合わせて頷き合うと、シアと同じように回転扉に手をかけた。

 

回転扉をくぐった瞬間。暗闇の中から漆黒の矢がハジメ達に飛んでくるが

”夜目”の技能を持つハジメ、経緯子と香織に難なく弾き落される。

 

そしてハジメが軽く回転扉を押すと半回転した扉には

ピラミッドの壁画の様に矢に縫付けられたシアがいた。

 

矢を抜いてシアを解放してると囲の壁がぼんやりと光りだし辺りを照らし出す。

ハジメ達のいる場所は、十メートル四方の部屋で、奥へと真っ直ぐに整備された通路が伸びていた。

そして部屋の中央には石版があり、看板と同じ丸っこい女の子文字でとある言葉が掘られていた。

 

〝ビビった? ねぇ、ビビっちゃった? チビってたりして、ニヤニヤ〟

 

〝それとも怪我した? もしかして誰か死んじゃった? ……ぶふっ〟

 

 

「「うざっ」」

 

と経緯子と香織が言う。ハジメとユエも言葉にしないが同じ気持ちである。

ただでさえ鬱陶しい文章なのにわざわざ”ビビっ チビっ、ニヤニヤ〟

の部分を強調するように深く彫っていた。

 

無言で石板を睨むシアにユエがたずねる。

 

「シア…もしかして漏らした?」

 

「もっ…漏らしてません。2パーセントぐらいですぅ

 

シアは赤面し言った直後にドリュッケンを取り出すと一瞬で展開し、渾身の一撃を石板に叩き込んだ。

ゴギャ! という破壊音を響かせて粉砕される石板。

 

砕けた石板の跡、地面の部分に何やら文字が彫ってあり、そこには……

 

〝ざんね~ん♪ この石板は一定時間経つと自動修復するよぉ~プークスクス!!〟

 

「ムキィーー!!」

 

 シアが遂にマジギレして更に激しくドリュッケンを振い始めた。部屋全体が小規模な地震が発生したかのように揺れ、途轍もない衝撃音が何度も響き渡る。

 

暴れ回るシアを見ながらハジメは言う

 

「ミレディ・ライセンだけは〝解放者〟云々関係なく、人類の敵で問題ないな」

 

「「「……激しく同意」」」」

 

経緯子達もその言葉に頷く。

どうやらライセンの大迷宮は、オルクス大迷宮とは別の意味で一筋縄ではいかない場所のようだった。

 

 

 

                             

 

 

やっとハジメたちが迷宮に入りました。

飯のくだりが無駄に長いです。

これだから展開が遅くて進まない。

 

*ありふれ学園は雫回だったけどまともな顔が一コマもなかった。

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