ありふれた(平均)値で世界最強って言ったよね!   作:simasima

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09 それぞれの夜

 

 

評価バーに初めて色が付きました。嬉しいです。

感想ありがとうございます。返信は遅れがちになると思います。

どうも返信の文章を書くのが中々慣れなくてすみません。

 

では本編を迷宮前夜の話です。

 

 

 

 

                                  

 

 

 

 

 

(栗原さんのお姉さん。この旅でかなり印象が変わりました)

 

と愛子は隣のベッドで寛いでいる。海里を見てそう思っていた。

 

(教会と交渉してた時の彼女を見てたら、今の服装、想像できませんし)

 

愛子の視線の先の海里はネコ耳フード付きのパジャマを着ているのだった。

海里は地球で愛用していた。ネコパジャマを再現し使っていた。マイルの時は

仲間たちに不評で着ていなかったが、今は海里だし経緯子とハジメのまえでも

自分の家の中だとこの格好だったので再び着ているのだ。

ちなみに愛子先生はゆったりした上着とズボンのパジャマである。実は王国から

女生徒に寝間着としてネグリジェが用意されたのだが、愛子に合うサイズがなく

その為この野暮ったいパジャマが用意された。

(女生徒の中に一人だけ同じパジャマを支給された者がいる)

 

愛子が見ている事に気づいた海里が

 

「畑山先生?何かありました?」

 

「いや〜そのですね。コレだけのテントをパッと出せるの凄いですね。

ベッドに机や椅子これが何処のホテルの一室と言われてもおかしくないものが、

何もない所にポンと出てくるのは昔アニメでみた何とかカプセルみたいです」

 

そう今は次の村に寄る。途中の野営中のテントの中なのだ。トータスでは海里は

自重を止めてるので、海里本人が楽するためなら出し惜しみなしで人前で

収納魔法を使っていた。大量の物が出し入れする様を見た。

愛子の巡回に従って付いて来た騎士達はその荷馬車2、3台で済みそうに無い

収納能力に海里の有用性を認識するのだった。

 

「海里さん。召喚された時、教会と交渉して下さった事ありがとうございます。

あらためてお礼を言わせて頂きます」

 

「畑山先生。お礼を言われる様なことでは、志願制にしただけで、協力するとは

言った訳ですし」

 

「協力するのは仕方ないですよ。相手は中世の様な宗教組織ですから。

完全拒否したらどうなるか?考えたくもありません」

 

「ハジメちゃんも同じ様な事を言ってました」

 

「そうですか南雲君が・・彼は危うさを認識してるのですね。クラスの皆もそうであれば

トータスで色々な力を得て神の使徒とか担ぎあげられ。そのせいか浮かれ気味になってる

生徒たちもチラホラいるものですから」

 

「そうですね。一度痛い目にあえばと、でも痛い目で済むかどうか」

 

「ですね・・・・あっ海里さん」

 

愛子は重くなった空気を変えようと話題を変える。

 

「海里さんは子供好きなんですね。巡った村々で小さい子供たちに

お菓子をあげたり。お話しを聞かせてたりしていましたものね」

 

「えへへ だからこそこの国現状に不満があります。亜人族(獣人)を差別して

まともな交流が無い。これじゃ宿屋の受付にケモ耳幼女なんているわけないですかぁ‼︎」

 

「え〜〜?海里さん?」

 

困惑し返事に困る愛子。海里(マイル)は何処だろうケモ耳と幼女にこだわる女なのだ。

ちなみにこの海里が出したテントは結界が張ってるために外に声は漏れてません。

 

 

 

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宿場町[ホルアド] ここはオルクス大迷宮に挑む者達が集う町。

騎士団も新兵訓練に迷宮をよく利用する為王国直営の宿屋があり

そこに生徒達は泊まり明日迷宮に挑む事となる。

 

その宿屋の二人一組で割り当てられた一室

 

「ねぇ?経緯子?南雲とは本当の所どうなの?」

 

「え〜と優花さんそれは・・・」

 

経緯子が同室になった優花からの質問に戸惑っていた。

なお参考までに女生徒の部屋割りを書くと

 (香織・雫) (鈴・恵理) (綾子・真央) (妙子・奈々) (優花・経緯子)となっている。

 

「ハジメちゃんは 幼なじみなだけだし。それ以上は」

 

「檜山が経緯子にしようとした事に南雲。魔力暴走する程ブチ切れたんでしょ」

 

あの時のハジメの錬成は感情の昂りからくる魔力の暴走という事で通っていた。

無理やり納得させた形だが勇者の仲間のイザコザを大事にしたくなかった教会の意向で

あり神の使徒が無理やり、同じ使徒の女生徒を襲おうとしたなど表沙汰に出来るものではない。

なので訓練中の行き違いから起こるトラブルとして説明された。檜山のした事はボカシてだ。

 

しかし女生徒の間では真実が噂として広まっているので今の優花の発言である。

 

「ハジメちゃんは私じゃ無くても同じ様に守るよ」

 

「そりゃ南雲なら体を張ってでも止めるだろうけど。我を忘れる程に怒るのは経緯子だけじゃない?」

 

「・・・・・」

 

「それと南雲さぁ。香織と付き合ったりはしてないんでしょ?お互いが只のヘタレかも

知れないけどさぁ。それでも香織に一年近く好き好きオーラ出されてたら香織の気持ちに

気付くでしょ?よっぽどじゃなきぁクラスで解って無いのは天之河ぐらいだろうし。

だから経緯子と南雲はと思っんだけど?」

 

「・・・・私とハジメちゃんは優花さんの言ってるような関係じゃ無いよぉ。

でもトータスに来てから私がハジメちゃんをどう思っているのか、

家族同然で大切なのは変わらないけど、何かハッキリしなくてモヤモヤして

何があるか分からない今だから答えが判らなくて焦ってるわ」

 

「そっかぁ・・・ホント何故こんな所に居るのかなぁ?私たち」

 

「早く帰りたいよね。 で私が恥ずかしい事を言わされたから

次は優花さんだし。優花さんは付き合ってる人はいないの?」

 

「いないわよ。特に好きなヤツとかいないわ」

 

「ヘェ〜 多少でも気になってる男子とかはどう優花さん?」

 

その質問をされた優花はふと頭の中に浮かんだものに焦ったのか少しどもる。

 

「いっ・・いないわよ‼︎ 経緯子えらく押してくるね」

 

「だって先に優花さんが強引に聞いてきたんだし。だからだよぉ⁉︎」

 

「わかったから経緯子!悪かったって!明日に備えて、そろそろ寝よう?」

 

「いいわ今日はココ迄で、そうね寝ましようか」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ハジメは一人部屋だった。組み合わせでそうなった。

ベッドの上で借りてきた迷宮の魔物図鑑を読んでいると

扉がノックされる。

 

「南雲くん、起きてる?白崎です。ちょっといいかな?」

 

こんな深夜になぜ?と戸惑いながらも扉を開けると。

そこには純白のネグリジェにカーディガンを羽織っただけの香織が立っていた。

 

「・・・・・なんでやねん。ワナや」

 

「えっ?」

 

その刺激的な姿に思わず関西弁でツッコミを入れるハジメ。

よく聞こえ無かったのか香織はキョトンとしている。

ハジメは香織をなるべく見ない様にしていた。

まだハッキリさせて無いとはいえ香織の事を多少意識している。

ハジメにとって今の香織の姿は色々ヤバイ。なんとか平静を装い言う。

 

「え〜と白崎さんどうしたの?何かあったの?」

 

「どうしても今南雲くんに話したい事があるの・・・」

 

香織の真剣な表情にハジメは何かを感じ部屋に招き入れる。

窓際にあるテーブルセットに座らせるとお茶を準備し香織に

渡し向かいの椅子に座る。

 

「ありがとう」

 

とカップに口をつける香織。窓からの月明かりに照らされる彼女は

少し憂いを帯びた表情をしている事もあり。神秘的で大人びて見える。

ハジメはそんな香織に見惚れてしまう。カチャリとカップを置く音に

われに返ったハジメは胡麻化す様に早口で話を促す。

 

「話って明日の迷宮での訓練の事かな?」

 

「うん・・・明日の訓練には参加しないで欲しいの。教官やクラスの

人達は私が必ず説得するから!お願い!」

 

話をしている内に興奮したのか身を乗り出して懇願する香織。ハジメの目の前に

何かヤバイ谷間が見える。ハジメは自分の動揺を抑えるため

そして必死な様子の香織に落ち着くように言う。

 

「白崎さん落ち着いていきなり訓練に参加するなと言われても困るし

どうしたの何があったのか、ゆっくり話して」

 

その言葉に椅子に掛け直し手を胸当てて深呼吸してから静かに語り出す。

 

「さっき迄寝てたのだけど。夢を見たの・・・南雲くんが居たんだけど・・・

声を掛けてても全然気付いてくれなくて・・・追いかけても追いつけ無くて

・・・・それで最後は・・・」

 

その先を口に出すのを恐れて黙ってしまう香織にハジメは静かに落ち着いた

声色で香織に続きを聞く。

 

「最後は?」

 

「消えてしまうの・・・」

 

「・・・そっか」

 

確かに嫌な夢だ。でも単に夢は夢と切り捨ても香織の不安は消えないだろう。

ハジメは香織を安心させる様、なるべく優しい声色を心掛けて話掛けてた。

 

「夢は夢だよ。白崎さん。今回は騎士団の人達が引率してくれるし、

低層で攻略がしっかりされてる所だけだから、

それと明日は白崎さん側で戦ってくれるんだから大丈夫だよ」

 

「でも・・」

 

「それでも不安なら守ってくてないかな?」

 

「南雲くんそれって・・・・」

 

「白崎さんは治療師だからそれに今はナノさんの力で治癒能力強化されてるから

だからもし僕が大怪我しても治してもらえるから、絶対僕は大丈夫だよ」

 

ハジメは真っ直ぐ香織を見つめて言う。しばらく見つめて合っていると

香織が微笑みながら言う

 

「変わらないね。南雲くんは」

 

「?」

 

「実はね私、南雲くんの事中学二年の時から知っていたの。だから高校に入学してすぐに

話掛けてたの」

 

ハジメは香織と何時会ったのかまるで記憶に無く。首を傾げていると

 

「私が一方的に知っているだけだよ。私が最初に見た南雲くん土下座してたから

私を見ていたわけないしね」

 

「ど・・・土下座⁉︎」

 

香織が話してくれた内容によるとハジメが不良に絡まれてたお婆さんと子供を

助けるために土下座していた所見ていたらしい。

 

「見苦しい所を見られたなぁ」

 

「見苦しくなんてないよ南雲くん!」

 

「白崎さん・・・」

 

「強い人が暴力で解決するのは簡単だよね。光輝くんとかよくトラブルに

飛び込んで相手の人を倒してるし・・でも弱くても他の人のために立ち向かえる人は

そんないないと思う。実際あの時私、自分が弱いからって言い訳して動けなかった。

だからあの時に動いた南雲くんは私の中で一番強くて優しい人なんだ。

高校に入って南雲くん見つけたとき嬉しかったの。だから直ぐに話掛けたの」

 

(白崎さん入学前から僕の事知っていたんだ。初めて声をかけられた時何故

こんな美少女がと警戒したからなぁ。理由がわかったけど凄く恥ずかしいや)

 

「だからかな南雲くんが一人で無茶しそうで不安なの?守るって決めたから

南雲くんも一人で無茶しないで私は何があっても側にいるから!」

 

「うんわかったよ。ありがとう白崎さん」

 

ハジメが真っ直ぐ見つめ肯くと少しは安心したのか微笑み見せる香織。

 

それから少し雑談して香織は部屋に戻って行った。

 

ハジメはベッドに横になりながら

 

(土下座かぁ・・・そういえば海里姉ちゃんと“猛虎落地勢”練習したなぁ・・・

でも白崎さんの事をどう思っているのかハッキリさせないとでも経緯子ちゃんも

この前の事でよくわからなくなったし。自分が最低な人間に・・・・)

 

ともんもんとした気持ちを抱えて中々寝付けずいたが。王都からホルアドまでの

慣れない馬車の旅の疲れも出ていつの間にか寝てしまっていた。

 

 

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深夜、香織がハジメの部屋から出ていくるの姿を見た者がいた事を

その者の表情が醜く歪んでいた事を知る者はいない。

 

 

 

 

                                 

 

 

 

少し海里の様子と経緯子と優花のガールズトークとコイバナを

挟み込みました。部屋割りは捏造です。

原作とはハジメと香織のやり取りを少し変えてあります。

関係性の差を出せたかは自信ないですが。

次回やっと迷宮入りだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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