ハイスクールDxD 〜うたわれるもの〜   作:フォートナー

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前回投稿していた10話ですが時系列が2年も飛んでいました…

それに伴い、以前投稿していた10話から内容を大幅に変更しています

旧10話以降についても時系列を調整し、話数をずらして再構成する予定です

以前の10話を読んでくださった方には申し訳ありませんが、こちらを修正版として読んでいただければと思います

大変申し訳ありません

お久しぶりです
6年ぶりの更新を待っていてくださった方がいたようで、本当にありがとうございます
さて、なんでこんなに更新が止まっていたのかという話なんですが……
この作品の大まかな設定自体は2020年の段階で作ってありました
なので続きを書こうとはしていたんですが、その後『うたわれるもの ロストフラグ』などから設定がゴロゴロと……
「あれ? これ今書かない方がよくない?」
となっている間にまた新しい情報が出て
「待って待って、その設定こっちで使おうとしてたところなんだけど!?」
となり
ちょっと整理したらまた増えて
気が付けば6年経ってました
なんで?
そんなわけで、当時考えていた設定を土台にしつつ、現在までに追加された公式設定と照らし合わせながら続きを書いていこうと思います
もちろん、この作品はあくまで二次創作なので、公式設定そのままではなく独自設定や独自解釈もかなり入ります
その辺りも含めて楽しんでいただければ幸いです
それではLife.10お楽しみください


Life . 10 再会です!転校生です!近所だったの!?

夏休みが終わり、俺達はいつもの学校生活に戻っていた

 

海へ行ったのも少し前のことになり、イッセーは早速次はどこへ遊びに行こうかなんて話をしている

 

俺も普段なら一緒になって考えていたんだろうが、今回はどうしても頭から離れないことがあった

 

猫音

 

江留さん

 

そして海で助けた久遠

 

…………いや、おかしいだろ

 

猫音はネコネに似ている

 

江留さんはエルルゥに似ている

 

久遠に至っては顔と声だけじゃなく名前までクオンだ

 

しかも俺の名前を聞いてどこかで聞いたことがあるような気がすると言い、猫音とは初対面だったはずなのに二人揃って会ったことがあるような気がするとまで言い出した

 

一人なら偶然で済ませられる

 

二人でもまだ頑張れば偶然と言い張れる

 

三人続いた上に本人達まで妙な反応するのは無理だろ!

 

流石に気になるわ!

 

そんなわけで俺はオシュトルとしてアザゼルのところへ来ていた

 

「総督殿、また一つ調べていただきたいことがあるのですが」

 

「今度は何だ?」

 

慣れた返事が返ってくる

 

こういう裏の情報を調べるなら俺なんかよりアザゼルの方が遥かに顔が広い

 

今までにも何度か頼っているし、今回も何か分かるかもしれないと思って来たわけだ

 

「以前某が千里眼で視た者達についてです」

 

「またお前の千里眼か」

 

アザゼルが呆れたように言う

 

俺だって好きで使ってる設定じゃないよ!

 

昔の俺が原作知識を誤魔化すために適当に作った千里眼設定なのに、木場の過去までこれで誤魔化したせいで今更引っ込みがつかないんだよ!

 

昔の俺!

 

もう少し後のこと考えて嘘つけ!

 

「それで、今度は何を見たんだ?」

 

「視た、というよりも……今回は某の知る者達と酷似した者が、この世に複数いることについて調べていただきたいのです」

 

「酷似?」

 

「名、姿、声、その全てが似ております」

 

「一人じゃないんだな?」

 

「はい」

 

「それだけなら、たまたま似てるってこともあるだろ」

 

「某も最初はそう考えました、ですがその者達のうち二人が初対面にもかかわらず、互いに以前から知っているような感覚を覚えたようでして」

 

「……記憶があるのか?」

 

「いえ、本人達にも理由は分からぬようです」

 

「なるほどな」

 

アザゼルが少し考え込む

 

「で、お前の千里眼じゃそこまでは分からなかったと」

 

「左様です」

 

分かるわけないだろ!

 

存在しないんだから!

 

まさかゲームの登場人物にそっくりな奴が何人もいる上、クオンとネコネにそっくりな二人が初対面で互いに既視感を持ちましたなんて言えるわけがない

 

俺が転生したのはハイスクールD×Dの世界だったはずなのに、なんでうたわれるものの登場人物に似た奴が何人もいるんだよ

 

「分かった、こっちでも調べてみる」

 

「お願いいたします、総督殿」

 

「しかし、お前の千里眼絡みは毎回面倒な話を持ってくるな」

 

「……某もそう思います」

 

主に俺のせいだけどな!

 

 

それからしばらくして、再びアザゼルのところを訪れた

 

「で、総督殿、何か分かりましたか?」

 

「悪い、今回は大した収穫なしだ」

 

「左様であるか」

 

「似たような事例がないか、古い記録も含めて俺が当たれる範囲では調べてみたんだが、お前が言ってる現象を説明できそうなものは見つからなかった」

 

「そうですか」

 

「似た顔や名前なんて話ならいくらでもあるんだがな、初対面の人間同士が互いに妙な既視感を持ったって部分まで来ると手掛かりが少なすぎる」

 

アザゼルが椅子に深く座り直す

 

「そもそもお前が千里眼で見た連中が何者なのか、俺には分からんしな」

 

それはそうなんだよな

 

存在しない千里眼でゲームの登場人物を見ましたなんていう無茶苦茶な話を元に調べてもらっているんだから、むしろここまで調べてくれただけありがたい

 

「お手数をおかけしました」

 

「気にすんな、俺も気になって調べたんだ、それに何か分かったらまた教えてくれ」

 

「承知しました」

 

結局何も分からなかった

 

何か理由があるのか

 

それとも本当にただの偶然なのか

 

今のところは何一つ分からない

 

まぁ、分からないものをいつまでも考えていても仕方ないか

 

何か分かるまでは様子を見るしかないだろう

 

 

それから季節が過ぎていった

 

秋になり、冬になり、年が明ける

 

学校へ行って、イッセーや木場と馬鹿な話をして、放課後になればリアス先輩達と顔を合わせる

 

家に帰れば黒歌と白音と猫音がいて、鍛錬をして、時々オシュトルとしてアザゼルのところへ行く

 

結局あの三人について新しく分かることは何もないまま、中学一年の残りは過ぎていった

 

そして春

 

俺達は中学二年生になった

 

 

クラス替えをして、今年もイッセーや木場と一緒かなんて話をしていたある日、担任が教室へ入ってくるなり転校生を紹介すると言い出した

 

この時期に転校生とは珍しいなと思いながら前を見る

 

そして教室へ入ってきた人物を見た瞬間、俺は固まった

 

「戸倉久遠です、よろしくお願いします」

 

…………なんでいるの!?

 

いや、いること自体はおかしくない

 

日本に住んでるんだからどこかの学校には通うだろう

 

問題はなんでここなんだよ!

 

久遠も教室を見回していたが、俺を見つけたところで目を見開いた

 

「白くん?」

 

「久遠?」

 

「やっぱり白くんだ」

 

「ハク、海の時の子だよな?」

 

隣からイッセーが小声で聞いてくる

 

「あぁ、久遠だ」

 

「すげぇ偶然だな」

 

「俺もそう思う」

 

海で助けた女の子が数ヶ月後に同じ学校へ転校してくるとか、そんな偶然ある?

 

いや最近の俺の周りならあるのか?

 

あってほしくないなぁ!

 

休み時間になると久遠が俺達のところへやってきた

 

「まさか白くんがいるとは思わなかったよ」

 

「俺もだよ、こっちに引っ越してきたのか?」

 

「うん、少し前にね」

 

「体はもう大丈夫なのか?」

 

「海の時のこと?大丈夫だよ、あの後も何ともなかったから」

 

「なら良かった」

 

「白くんにはちゃんとお礼を言いたかったんだけど、あの時はあまり話せなかったから」

 

「別に気にしなくていいって」

 

「でも助けてもらったのは本当だからね、ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

久遠が小さく笑う

 

海で会った時は助けた直後だったこともあって、まともに話した時間はそれほど長くなかった

 

こうして改めて話してみても、やっぱりクオンに似てるんだよなぁ

 

「そういえば家はこの辺なのか?」

 

「白くんの家からそんなに遠くないと思うよ、丘の方に洋館があるのは知ってるかな?」

 

「……まさか」

 

「あそこだよ」

 

あれお前ん家だったの!?

 

昔から近所にあるのは知っていたが、海で助けた女の子がそこへ引っ越してくるなんて普通思わないだろ!

 

「それならハク達と一緒に来ればいいんじゃないか?」

 

イッセーが何でもないことのように言う

 

「俺達いつも一緒に登校してるし」

 

「いいのかな?」

 

「俺は別に構わないぞ」

 

「それならお願いしようかな」

 

こうして次の日から、俺達の登校に久遠が加わることになった

 

 

翌朝

 

家を出る準備をしていると呼び鈴が鳴った

 

「お兄ちゃん、誰か来たよ」

 

「多分久遠だ、今日から一緒に学校行くことになったから」

 

「久遠さん?」

 

猫音が少し驚いた顔をする

 

「海で会った?」

 

「あぁ、こっちに引っ越してきたらしい」

 

「そうなんだ」

 

猫音が玄関へ向かい、少しして声が聞こえた

 

「久遠さん」

 

「猫音ちゃん、久しぶりだね」

 

俺も玄関へ行くと、二人が向かい合っていた

 

「おはよう、白くん」

 

「おはよう、早いな」

 

「初日から待たせるわけにはいかないからね」

 

「別にそこまで気にしなくていいぞ」

 

「久遠さん、この近くに住んでるんですか?」

 

「うん、あっちの洋館なんだけど」

 

「あそこ?」

 

「知ってる?」

 

「うん、お兄ちゃんの家から近いから」

 

「じゃあ猫音ちゃんともよく会うかもしれないね」

 

「……うん」

 

猫音が少し嬉しそうに笑う

 

久遠も同じように笑った

 

海で初めて会った時から妙だったんだよな、この二人

 

互いに初めて会った気がしないなんて言ってたし

 

その二人が今度は近所になるってどういうことだよ

 

「以前海でお会いした方ですね」

 

後ろから白音がやってくる

 

「あ、白音ちゃん」

 

「お久しぶりです」

 

「うん、久しぶり」

 

白音も海で会っているので当然久遠のことを覚えていた

 

「兄さま、そろそろ出ないと遅れます」

 

「おっと、そうだった」

 

「お兄ちゃん、いってらっしゃい」

 

「おう、行ってくる」

 

「いってらっしゃい」

 

家を出て少し歩いたところでイッセー達と合流し、そのまま学校へ向かう

 

最初はそれだけだった

 

 

海で一度会った女の子

 

中学二年で同じ学校へ転校してきた

 

しかも家が近かったから一緒に登校するようになった

 

それだけだったはずなのだが、毎朝顔を合わせて同じ学校へ行き、同じ学校で過ごしていれば自然と話すことも増えていく

 

昼を一緒に食べることもあれば、帰る時間が合えば一緒に帰ることもある

 

イッセーや木場とも普通に話すようになり、俺達の中に久遠がいることも段々当たり前になっていった

 

そして家が近いということは、当然大神家へ来る機会も増えるわけで

 

 

「久遠さん、これ見て」

 

「ん?どうしたの、猫音ちゃん」

 

「白音ちゃんと見つけたんだけど、どっちがいいと思う?」

 

「私はこっちかな」

 

「やっぱり?」

 

「でも猫音ちゃんにはこっちも似合いそうだね」

 

「本当?」

 

海で会った時から何故か互いを気にしていた二人だったが、顔を合わせる回数が増えるにつれてあっという間に仲良くなった

 

特に久遠は猫音を可愛がっているようで、猫音の方も随分懐いている

 

最初の頃こそ少し遠慮していたのに、今では家へ来た久遠を見つけると猫音の方から寄っていくことも珍しくない

 

白音ともすぐに打ち解けた

 

「白音ちゃんって本当に力持ちだね」

 

「これくらい普通です」

 

「普通の女の子はそれ片手で持たないと思うよ?」

 

「そうでしょうか?」

 

「久遠さん、白音ちゃんに普通を求めたら駄目だよ」

 

「猫音?」

 

「何でもない」

 

「聞こえてます」

 

三人で出かけることも増えた

 

久遠が猫音の髪を整えてやったり、猫音が久遠の服を選ぶのに付き合ったり、そこへ白音が混ざって買い物へ行ったりしている

 

中でも久遠と猫音は、気づけば本当の姉妹みたいに仲が良くなっていた

 

「猫音ちゃん、髪少し跳ねてるよ」

 

「どこ?」

 

「ここ、直してあげるから動かないでね」

 

「うん」

 

「……本当に姉妹みたいだな、お前ら」

 

「そうかな?」

 

「そう?」

 

二人が同時に首を傾げる

 

…………いや

 

待て

 

顔と名前が似てるだけでも十分おかしいのに

 

なんで関係まで似てくるんだよ!

 

クオンとネコネじゃねぇか!

 

……違う

 

こいつらは久遠と猫音だ

 

俺だってそれくらい分かってる

 

分かってるんだけど、俺の知ってる光景に似すぎなんだよ!

 

海で初めて会った時から互いに妙な感じだったし、今度は本当に姉妹みたいになってるし!

 

アザゼル!

 

やっぱりもうちょっと調べられない!?

 

……手掛かりがないって言ってたな

 

畜生!

 

 

久遠自身とも、付き合いが長くなるにつれて話すことが増えた

 

「白くんって、いつもそうなのかな?」

 

ある日の帰り道、久遠が突然そんなことを言った

 

「何が?」

 

「困ってる人がいるとすぐ手を出すところ」

 

「そうか?」

 

「今日も一年生が荷物を落とした時、真っ先に拾ってたよね」

 

「目の前で落としたんだから拾うだろ普通」

 

「この前は先生の荷物を運んでいたし、その前は道に迷っていた人を案内してたよね」

 

「……よく見てるな」

 

「そうかな?」

 

久遠が小さく笑う

 

「海の時もそうだったから、白くんはそういう人なんだなって思っただけだよ」

 

「別に大したことじゃないぞ」

 

「白くんにとっては、そうなんだね」

 

なんだその言い方

 

まぁいいか

 

 

久遠が転校してきたばかりの頃は、朱乃もただ新しく俺達の周りに加わった友人として見ていたと思う

 

「白、お待たせ」

 

「おう朱乃」

 

「白くん、この人は?」

 

「あぁ、姫島朱乃、昔からの付き合いだ」

 

「姫島朱乃よ、よろしくね」

 

「戸倉久遠です、よろしくお願いします」

 

「久遠は中二になってから転校してきたんだ、家も近所だから最近は一緒に学校行ってる」

 

「あら、そうなの」

 

「うん、白くんには海でも助けてもらったから」

 

「海で?」

 

「溺れてたところをな」

 

「そうだったの、大変だったわね」

 

「もう大丈夫だよ」

 

「それなら良かったわ」

 

普通に自己紹介をして、普通に話している

 

この頃は本当にそれだけだった

 

 

久遠が転校してきてから更に時間が経つ

 

毎朝一緒に学校へ行くのが当たり前になり、休日にも顔を合わせる

 

大神家へ来ても最早誰も客扱いしない

 

久遠と猫音は相変わらず仲が良く、白音も含めた三人で出かけることも増えていた

 

「久遠さん、今度のお休み空いてる?」

 

「空いてるよ、どうしたの?」

 

「白音ちゃんと買い物に行くんだけど、一緒に行かない?」

 

「いいの?」

 

「もちろん」

 

「私も構いません」

 

「じゃあ一緒に行こうかな」

 

「俺は?」

 

「お兄ちゃんは留守番」

 

「なんで!?」

 

「女子だけで行くから」

 

「兄さまが来ても退屈だと思います」

 

「白音まで!?」

 

「ご主人は仲間外れにゃー」

 

「黒歌、お前はどっちの味方だよ!」

 

「面白い方にゃ」

 

知ってた!

 

 

そんな日々の中で、久遠の俺に対する呼び方もいつの間にか少し変わっていた

 

「ハク、今日は一緒に帰れるかな?」

 

「あぁ、今日は大丈夫だぞ」

 

「なら少し寄り道してもいい?」

 

「いいけど、どこ行くんだ?」

 

「行ってからのお楽しみかな」

 

「なんだそれ」

 

最初は白くんだった

 

いつからハクになったのか、はっきりとは覚えていない

 

ある日突然何かが変わったわけでもない

 

毎日顔を合わせて、話して、一緒に過ごしているうちに自然とそうなっていた

 

海で会った頃はクオンにそっくりな女の子だと思った

 

転校してきた時もそうだった

 

でも今は久遠の顔を見れば、最初に浮かぶのは戸倉久遠だ

 

似ているから気になった

 

でも今一緒にいる理由は、それだけじゃない

 

 

久遠が俺をハクと呼ぶことが当たり前になった頃には、朱乃も何となく久遠を見るようになっていた

 

最初の頃とは少し違う気がするが、何が違うのかはよく分からない

 

「白、今日は一緒に帰れる?」

 

「今日は――」

 

「ハク、今日帰りに猫音ちゃん達へのお菓子を見に行くって話してなかったかな?」

 

「あ」

 

忘れてた

 

「そうなの?」

 

朱乃が笑う

 

「約束してたのかしら?」

 

「昨日ちょっと話しただけだよ」

 

久遠も笑う

 

「でも朱乃さんも一緒にどうかな?」

 

「あら、いいの?」

 

「もちろん」

 

二人とも笑っている

 

普通に笑っている

 

なのになんだろう

 

なんか居心地が悪い

 

「ハク」

 

後ろからイッセーに肩を叩かれる

 

「なんだ?」

 

「頑張れ」

 

「何をだよ?」

 

本当に何なんだよ!

 

少し離れたところでは木場が苦笑している

 

お前分かってるなら説明しろよ!

 

 

そんな毎日を過ごしているうちに、俺達は中学三年になった

 

久遠は相変わらず毎朝一緒に登校している

 

猫音とはもうすっかり姉妹のような関係で、久遠が家へ来れば猫音が真っ先に話しかけることも珍しくない

 

白音とも仲が良く、三人だけで出かけることもある

 

イッセーや木場との付き合いも変わらない

 

鍛錬も続けているし、リアス先輩や朱乃達とも今まで通りだ

 

白音は俺達より一学年下

 

猫音は俺より二歳下

 

皆少しずつ成長しているが、顔を合わせればやっていることは昔と大して変わらない

 

ただ、その中に久遠がいることも当たり前になった

 

それくらいだ

 

 

そして俺達は中学校を卒業した

 

 

高校へ進学しても、俺達の日常が急に別物になったわけではなかった

 

イッセーも木場もいる

 

久遠もいる

 

中学の頃から続いてきた付き合いもそのままだ

 

朝になれば久遠と合流し、イッセー達と学校へ向かう

 

放課後になればリアス先輩や朱乃達と顔を合わせる

 

家へ帰れば黒歌、白音、猫音がいる

 

違うことといえば授業が難しくなったことと、イッセーが高校生になった途端に彼女が欲しいと言う回数が増えたことくらいだろうか

 

「ハク、俺高校では絶対彼女作るからな!」

 

「中学でも似たようなこと言ってなかったか?」

 

「高校生は違うんだよ!」

 

「何が違うんだよ」

 

「色々だ!」

 

何も考えてないだろこいつ

 

「そういうハクはどうなんだよ」

 

「何が?」

 

「彼女」

 

「いないけど」

 

「……お前それ本気で言ってる?」

 

「いないものはいないだろ」

 

イッセーが何故か頭を抱える

 

「どうした?」

 

「なんでもない」

 

「変な奴だな」

 

「ハク、おはよう」

 

「おうクオン」

 

久遠が俺達のところへやってくる

 

中学二年から毎朝一緒だったので、高校へ進学してもそれは変わらなかった

 

「今日も一緒に行こう」

 

「毎日一緒だろ」

 

「そうだね」

 

久遠が笑う

 

イッセーが俺と久遠を交互に見る

 

「なぁハク」

 

「今度はなんだ?」

 

「お前らまだ付き合ってないの?」

 

「なんでそうなる!?」

 

何言ってんだこいつ!?

 

久遠が少しだけ目を丸くした後、俺を見る

 

「ハクは嫌なのかな?」

 

「え?」

 

「なんてね」

 

久遠が先に歩き出す

 

「ほら、遅れるよ」

 

「お、おう」

 

なんだったんだ今の

 

「ハク」

 

「なんだよ」

 

「頑張れ」

 

「だから何をだよ!」

 

こいつ中学からずっとこれだな!

 

 

高校生活が始まっても鍛錬は続いた

 

イッセーは赤龍帝の籠手の扱いにもかなり慣れ、昔とは比べ物にならないほど強くなっている

 

リアス先輩達も同じだ

 

特にリアス先輩は以前より魔力の扱いが上手くなり、滅びの魔力を身体の一部へ纏わせるような使い方まで練習していた

 

俺自身も鍛錬を続けているが、最近は身体の感覚が以前よりしっくりくる

 

身長も伸びたし、顔つきも昔と比べれば随分変わった

 

まぁ成長期なんだからそんなものだろう

 

 

「ハク、今日のお昼一緒に食べよう」

 

「いいぞ」

 

「あら白、今日はこっちに来るんじゃなかったの?」

 

「え?」

 

「昨日そういう話をしたでしょう?」

 

「そうだったっけ?」

 

「したわよ?」

 

「じゃあ私も一緒でいいかな?」

 

「もちろんよ」

 

「ありがとう、朱乃さん」

 

「どういたしまして、久遠さん」

 

「…………」

 

まただ

 

二人とも笑ってる

 

なんで俺は嫌な予感がするんだ?

 

「ご主人も大変だにゃー」

 

「黒歌、お前分かってるなら説明してくれ」

 

「嫌にゃ」

 

「なんで!?」

 

「その方が面白いからにゃ」

 

「兄さまは多分説明しても分からないと思います」

 

「白音!?」

 

「お兄ちゃんだから仕方ないよ」

 

「猫音まで!?」

 

いつの間にお前らそんな連携取るようになったんだよ!

 

「久遠さんも大変だね」

 

猫音が小さく呟く

 

「猫音ちゃん?」

 

「なんでもない」

 

お前までそれ言うの!?

 

 

結局そんな調子のまま、高校一年の一年間も過ぎていった

 

久遠とは中学二年の頃から変わらず毎朝一緒に登校し、学校でもよく話し、帰る時間が合えば一緒に帰る

 

猫音と久遠は相変わらず姉妹のように仲が良く、白音も含めて三人でいることも多い

 

朱乃と久遠が顔を合わせると時々妙な空気になる理由だけは未だによく分からない

 

猫音や白音は何か知っているようだし、黒歌は完全に面白がっている

 

イッセーからは何度も呆れた顔をされた

 

なんでだよ

 

 

そして春

 

 

「兄さま」

 

「ん?」

 

「どうでしょうか?」

 

新しい制服を着た白音が俺の前で少しだけ身体を動かす

 

「似合ってるぞ」

 

「……ありがとうございます」

 

白音が少し嬉しそうに笑う

 

今日から白音も高校生

 

そして俺とイッセーは高校二年生になる

 

「白音ちゃん、いいなぁ……」

 

隣では猫音が白音の制服を見ている

 

「猫音もそのうちだろ」

 

「まだ先だもん」

 

「すぐだって」

 

「お兄ちゃんはそう言うけど……」

 

「その時は猫音の制服も見てやるから」

 

「……約束だよ?」

 

「おう」

 

猫音が少し嬉しそうに笑う

 

「ご主人、朝から妹二人に囲まれて幸せそうだにゃー」

 

「黒歌もいるだろ」

 

「私は妹じゃないにゃ」

 

「知ってるよ!」

 

「兄さま、そろそろ出ないと」

 

「おっと、そうだった」

 

「お兄ちゃん、いってらっしゃい」

 

「行ってくる」

 

家を出ると、いつもの場所に久遠が待っていた

 

「おはよう、ハク」

 

「おう、おはようクオン」

 

「おはようございます、久遠さん」

 

「おはよう白音ちゃん、制服似合ってるね」

 

「ありがとうございます」

 

「猫音ちゃんが羨ましがってなかった?」

 

「羨ましがってたぞ」

 

「ふふ、帰ったらちゃんと見せてあげないとね」

 

「毎日見られるだろ」

 

「そういうことじゃないんだよ、ハク」

 

「?」

 

「……やっぱり兄さまですね」

 

「白音まで何だよ!?」

 

久遠と白音が笑う

 

途中でイッセーや木場とも合流し、学校へ向かう

 

中学二年の頃から何度も歩いた道だ

 

俺達は高校二年生

 

白音は高校一年生

 

猫音はまだ中学生

 

学校へ着けばリアス先輩や朱乃達もいる

 

今年も去年とそんなに変わらない一年になるんだろう

 

少し賑やかになるくらいで、いつも通りの日常が続いていく

 

この時の俺はそんなことを考えていた

 

 

まさかこの少し後

 

イッセーから

 

 

「ハク、俺彼女できるかもしれない」

 

 

なんて話を聞くことになるとは思っていなかった

 

 

そして

 

その女の子の名前が

 

 

天野夕麻

 

 

だということも

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