ハイスクールDxD 〜うたわれるもの〜   作:フォートナー

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お久しぶりです
今回はタイトル通り幕間回になります
前回はアーシアにイッセーに禁手と色々ありましたので、今回は少し落ち着いた話を――
…………落ち着くかな?
それではどうぞ


Life . 13 幕間です!病院です!なんだこれ!?

 

「ハクさんは、本当に人間なんですよね?」

 

「…………」

 

 放課後のオカルト研究部で、アーシアから真面目な顔でそんなことを聞かれた

 

「……アーシアまでか」

 

「え?」

 

「いや、こっちの話」

 

「おいハク、なんで俺を見るんだよ」

 

「別に」

 

「絶対この前のこと根に持ってるだろ!」

 

「幼馴染を人類から外した奴に言われたくない」

 

「外してねぇよ!」

 

 ついこの前も似たようなやり取りをした気がする

 

「あ、あの、すみません! そういう意味ではなくて……」

 

「分かってるって」

 

 慌てて頭を下げるアーシアにそう返す

 

「この前、フリード神父のところでイッセーさんが、二人とも人間だって言っていましたよね?」

 

「あぁ」

 

「でもハクさん、フリード神父の剣から私を助けてくださいましたし、その後も庇ってくれて……それに皆さんと一緒にいても普通なので、本当に人間なのかなって……」

 

「一緒にいて普通ならいいんじゃないか?」

 

「そうなんですけど……」

 

「なんでそこでまだ悩むんだよ」

 

「いやぁ、でも気持ちは分かるぞ」

 

「イッセー?」

 

「だって今ここにいる奴ら見てみろよ、部長達は悪魔だろ、黒歌達もいるし、俺まで悪魔になったし」

 

「だから俺だけ人類から別枠にするな」

 

「してねぇって!」

 

「安心しなさい、アーシア」

 

 俺達のやり取りを見ていたリアス先輩が苦笑する

 

「白は間違いなく人間よ」

 

「そうなんですね」

 

「何故そこで安心する」

 

「だってハクさん、とても強いですから」

 

「鍛えてるからな」

 

「お前、本当にそれで全部片付けるよな」

 

「実際鍛えてるだろ」

 

「そういう問題じゃねぇよ!」

 

 うるさいな

 

 お前だって昔から鍛えてきた結果、原作とは比べ物にならないくらい強くなってるじゃないか

 

 まあ、赤龍帝という時点で普通という言葉からは大分離れてるけど

 

【挿絵表示】

 

「でも、人間ならハクさんも風邪を引いたり、体調を崩したりするんですよね?」

 

「そりゃ――」

 

 人間なんだから当然だろ

 

 そう答えようとして、ふと今朝のことを思い出した

 

「…………」

 

「ハク?」

 

「いや、なんでもない」

 

 そういえばクオン

 

 今日も少し顔色悪かったな

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「クオン」

 

「ん?」

 

「まだ頭痛いのか?」

 

「……少しだけかな」

 

 やっぱりか

 

 学校からの帰り道、隣を歩くクオンを見る

 

 ここ数日、クオンはどうにも調子が悪そうだった

 

 最初は軽い頭痛

 

 その後に微熱

 

 昨日からは時々眩暈まで起こしている

 

「病院には行ったんだよな?」

 

「うん、でも特に悪いところは見つからなかったよ、風邪でもないみたい」

 

「それで今日も学校来たのか?」

 

「朝は結構平気だったんだよ?」

 

「朝は?」

 

「…………」

 

「クオン」

 

「ちょっとだけ熱あるかも」

 

「あるんじゃないか」

 

「ちょっとだよ?」

 

「帰ったら測れよ」

 

「はーい」

 

 返事が軽い

 

「明日も調子悪かったら休めよ」

 

「ハクは心配性だね」

 

「何かあってからじゃ遅いだろ」

 

「…………」

 

「なんだよ」

 

「ううん」

 

 クオンが小さく笑う

 

「ありがとう」

 

「別にこれくらい――」

 

「……あれ?」

 

「クオン?」

 

 不意にクオンの足が止まり、その身体が大きくふらついた

 

「おい!」

 

 咄嗟に腕を伸ばして抱き留める

 

 熱い

 

 触れた身体は、さっきまでより明らかに熱を持っている

 

「クオン、大丈夫か?」

 

「ごめん……ハク……急に、目が……」

 

「クオン?」

 

 そのまま身体から力が抜けた

 

「おい、クオン!」

 

 返事がない

 

 意識を失っている

 

 すぐに抱き上げようとして――

 

「…………?」

 

 なんだ

 

 今

 

 トクン

 

 そんな感覚だった

 

 腕の中にいるクオンの身体、その奥で何かが一度だけ脈打ったような感覚

 

「…………」

 

 魔力じゃない

 

 悪魔や堕天使から感じるものとも違う

 

 神器でもない

 

 そもそも、これが力なのかどうかすら分からない

 

「……なんだ、今の」

 

 いや

 

 今はそれどころじゃない

 

 俺はクオンを抱き上げ、そのまま病院へ向かった

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「原因が分からない?」

 

「現時点では、ですが」

 

 検査を終えた医者から返ってきたのは、そんな答えだった

 

 頭痛

 

 眩暈

 

 発熱

 

 症状は確かにある

 

 それなのに、原因になるようなものが見つからない

 

 以前診てもらった時と同じだった

 

「それと……」

 

 医者がもう一度体温を確認する

 

「下がってる?」

 

「はい」

 

 ついさっきまで高かった熱が、急に下がり始めていた

 

 三十七度

 

 三十六度

 

 さらに下がる

 

「ちょっと待ってください、これ低すぎませんか?」

 

「ええ」

 

 医者と看護師の動きが慌ただしくなる

 

 だが、しばらくすると今度はまた体温が上がり始めた

 

「……なんなんだこれ」

 

 クオンの家族には既に連絡してある

 

 すぐに命に関わる状態ではないらしい

 

 けど原因が分からないままじゃ安心なんて出来ない

 

「…………」

 

 一人

 

 こういう時に頼れそうな奴がいる

 

 俺は病室を出た

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 病院を出て、人目のない場所まで移動する

 

 神器(セイクリッド・ギア)を発現させると、仮面が直接顔を覆った

 

 オシュトルとして使っている携帯を取り出し、慣れた番号へ電話を掛ける

 

 数回の呼び出し音

 

『おう』

 

「総督殿、某です」

 

『オシュトル? どうした、珍しいな』

 

「少々、ご相談したいことがありまして」

 

 クオンの症状を説明する

 

 数日前から頭痛と眩暈が続いていること

 

 発熱もあること

 

 一般の病院で検査を受けても原因が分からないこと

 

 そして、体温が異常なほど上下していること

 

『魔力反応は?』

 

「某が確認した限りではありません」

 

『神器は』

 

「それとも違うかと」

 

『呪いとか術式の類は?』

 

「それらしいものも確認出来ませんでした」

 

『……なるほどな』

 

 少しだけ沈黙が続く

 

『なら、一度こっちで診た方がいい』

 

「可能なのですか?」

 

『表向きは普通の病院として動かしてる施設がある、人間用の設備もあるし、こっち側の検査も一通り出来る』

 

「助かります」

 

『本人と家族の許可は取れよ』

 

「無論です」

 

『場所を送る、患者の名前も送っといてくれ』

 

「承知致しました、感謝致します、総督殿」

 

 通話を切る

 

「…………」

 

 手にした携帯を見る

 

 このままはまずいな

 

 俺が白に戻った後でアザゼルから電話でも掛かってきたら面倒だ

 

 携帯の電源を落とす

 

「これでいいか」

 

 完全に電源が切れたことを確認してから、仮面を神器へ戻した

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「知り合いに相談した」

 

「知り合い?」

 

「オシュトル」

 

「あぁ、前に話してた人?」

 

「そう」

 

 病室へ戻り、クオンにも事情を説明する

 

「普通の病院じゃ原因が分からないなら、もっと詳しく診てもらえるところで検査した方がいいと思う」

 

「その病院を、オシュトルさんが?」

 

「紹介してくれた」

 

「そっか」

 

 クオンの家族にも同じように説明する

 

 一般の病院では原因を特定出来なかったためオシュトルに相談し、より詳しい検査が出来る施設を紹介してもらった

 

 俺や大神白(おおがみ はく)がその施設と直接繋がっているわけではない

 

 あくまでオシュトルからの紹介だ

 

 向こうも原因不明という状況を心配していたらしく、追加の検査と入院についてすぐに了承してくれた

 

 その日のうちに、クオンは紹介された施設へ移ることになった

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「……普通の病院だな」

 

 最初に見た感想はそれだった

 

 受付があって、医者や看護師もいて、普通に患者までいる

 

 何も知らずに来れば、ここがグリゴリの施設だとは思わないだろう

 

 ただ中へ入れば、人間ではない気配が何人か混じっているのが分かる

 

 クオンはそのまま検査へ回された

 

 俺は病室で待つ

 

 しばらくして――

 

「大神(おおがみ)か?」

 

「…………」

 

 来た

 

 扉のところに立っていたのはアザゼルだった

 

 オシュトルとしてなら何度も会っている

 

 最初こそ互いに探り探りだったが、今ではたまに一緒に釣りをするくらいには長い付き合いだ

 

 だが大神白(おおがみ はく)として直接顔を合わせるのは、これが初めてだった

 

「はい」

 

「アザゼルだ、オシュトルから話は聞いてる」

 

「初めまして」

 

 初めまして

 

 うん

 

 初めまして

 

 長い付き合いだけど

 

「それで、オシュトルは?」

 

「さっき帰りました、急ぎの用事があるとかで」

 

「はぁ? あいつ、自分で紹介しといて帰ったのかよ」

 

「紹介だけしてもらえれば十分だったので」

 

「ったく、相変わらずだな」

 

「……そうなんですか?」

 

「そうなんだよ」

 

 知ってる

 

「まあいい、大神(おおがみ)、倒れる前の様子をもう一回聞かせてくれ」

 

「分かりました」

 

 こうしてアザゼルと、大神白(おおがみ はく)として初めて話すことになった

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「……分からんな」

 

「こっちでもですか?」

 

「ああ」

 

 しばらくして、アザゼルが検査結果を見ながら頭を掻いた

 

「今のところ既知の病気には当てはまらん、魔力反応もなし、神器もなし、呪いも既知の術式も見つからん、外から何かされた痕跡もない」

 

「じゃあ普通の体調不良とか?」

 

「だったらこんな妙な結果は出ねぇよ」

 

 アザゼルが端末を操作する

 

 いくつかの波形が画面に並んだ

 

「おかしいのは外じゃない、本人の中だ」

 

「中?」

 

「ああ」

 

 画面を見る

 

「…………」

 

 一人の人間から測っているはずなのに、反応の出方が妙に違う

 

「これ……一つじゃない?」

 

「俺もそう見える」

 

「複数の力を持ってるってことですか?」

 

「そこまで決めつけるのは早い」

 

 すぐに否定された

 

「そもそも、これを力って呼んでいいのかも分かってねぇ、今言えるのは戸倉久遠(とくら くおん)の身体の中から、複数の違う反応が出ているように見える、それだけだ」

 

「なるほど」

 

「それと体温」

 

 別の記録が表示される

 

「熱が高い時と、異常に下がった時で反応の出方が違う」

 

「じゃあ連動してる?」

 

「可能性はある」

 

「可能性?」

 

「体温が変わったからこっちが変化したのか、こっちが変化したから体温が動いたのか、それとも別の何かが両方に影響してるのか、そこまでは分からん」

 

「分からないことばっかりですね」

 

「未知のもん調べてんだから、最初はそんなもんだ」

 

 それもそうか

 

「……そうだ」

 

「ん?」

 

「俺が触ってみてもいいですか?」

 

「何でだ?」

 

「倒れた時です、抱き留めた時に一度だけ、身体の中で何かが脈打ったような感じがしたんです」

 

「魔力じゃない?」

 

「違いました」

 

「神器でも?」

 

「多分」

 

 アザゼルが少し考えてから頷く

 

「やってみろ」

 

 ベッドの横へ移動し、眠っているクオンの手に触れる

 

「…………」

 

「…………」

 

 数秒後

 

「あ」

 

 波形の一部が僅かに動いた

 

「変わりましたよね?」

 

「ああ」

 

 一度手を離す

 

 少し待つ

 

 もう一度触れる

 

「……また」

 

 今度も僅かに数値が変わった

 

「俺が何かしてるんですか?」

 

「まだ二回だ」

 

「でも二回とも」

 

「だからって因果関係まで決めるほど雑なことはしねぇよ」

 

 アザゼルが結果だけを保存する

 

「条件も揃ってない、お前が触れたから変化したのか、たまたま同じタイミングで変わっただけなのかも分からん」

 

「じゃあ?」

 

「今は記録だけ残す、それでいい」

 

「……分かりました」

 

「焦って決めつけると、見えるもんまで見えなくなるからな」

 

 その後も検査は続いた

 

 だが結局、その日のうちに原因が分かることはなかった

 

「今日はこのまま入院だ、しばらく測定を続ける」

 

「お願いします」

 

「ああ、何か分かったら連絡する」

 

 アザゼルが端末を閉じる

 

「オシュトルにも今の結果くらい伝えとくか」

 

「…………!」

 

 待て

 

 アザゼルが携帯を取り出した

 

 今ここで掛けられたら――

 

 ………………

 

 あ

 

 切った

 

 そうだ

 

 電源切ったじゃん、俺

 

「どうした、大神(おおがみ)?」

 

「……何でもないです」

 

「そうか?」

 

 そのままアザゼルが電話を掛ける

 

 数秒

 

「…………あいつ」

 

「どうしました?」

 

「電源切ってやがる」

 

 よし

 

「急ぎの用事があるって言ってましたから、そのせいじゃないですか?」

 

「だからって携帯まで切るか普通?」

 

「さあ?」

 

「ったく、こういう時に限って連絡つかねぇんだよな」

 

 危なかった

 

 いや

 

 危なくない

 

 ちゃんと対策してた

 

 さっきの俺

 

 よくやった

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 深夜

 

 アザゼルは一人、検査結果をまとめていた

 

 戸倉久遠(とくら くおん)

 

 人間

 

 既知の疾患、該当なし

 

 魔力反応、なし

 

 神器反応、なし

 

 呪術、既知術式、なし

 

 外部からの干渉、現時点では確認出来ず

 

 身体内部に複数種類とも取れる異常反応

 

 体温変化との相関あり

 

 大神白(おおがみ はく)との接触時、一部反応に軽微な変化を二度確認

 

 因果関係、不明

 

 経過観察

 

「……これだけ調べて分からんか」

 

 記録を保存し、別の資料を開く

 

 大神白(おおがみ はく)

 

 今回のことと直接関係があると決まったわけではない

 

 ただ、少し気になった

 

 大神の家系自体は表向き普通の人間だが、古い記録まで遡れば、人ならざる存在や裏側の世界と接触していた形跡が僅かに残っている

 

 そして

 

「……オシュトルか」

 

 別の記録へ目を移す

 

 オシュトルという存在の噂が聞かれるようになった時期

 

 大神白(おおがみ はく)の年齢

 

「…………」

 

 重ねようと思えば重なる

 

 だが、それだけだ

 

 証拠は何もない

 

 今日初めて会った大神白(おおがみ はく)と、長い付き合いのあるオシュトルでは話し方も雰囲気もまるで違う

 

「考えすぎか」

 

「何を?」

 

「うおっ!」

 

 突然後ろから声が聞こえた

 

 振り返ると、カップを持った江留瑠羽(えるるぅ)が立っている

 

「驚きすぎじゃない?」

 

「いや、急に声掛けんなよ」

 

「何回か呼んだわよ?」

 

「……マジで?」

 

「マジです」

 

 机の上にカップが置かれる

 

「今日は何だ?」

 

「疲れてるみたいだから、落ち着けそうなものを何種類か合わせてみたの」

 

「また何となく?」

 

「何となくじゃありません」

 

「じゃあ何基準だよ」

 

「……今はこれがいいかなって」

 

「それを何となくって言うんじゃねぇの?」

 

「違います」

 

 江留瑠羽(えるるぅ)が少し不満そうな顔をする

 

 アザゼルは苦笑しながら一口飲んだ

 

「……美味い」

 

「でしょう?」

 

 嬉しそうに笑う

 

 アザゼルはもう一度画面へ視線を戻した

 

 江留瑠羽(えるるぅ)

 

 戸倉久遠(とくら くおん)

 

 大神白(おおがみ はく)

 

 そしてオシュトル

 

「……最近、分からんことばっか増えてんな」

 

「何か言った?」

 

「いや」

 

 もう一口飲む

 

「独り言だ」

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「……ハク?」

 

「起きたか」

 

 翌朝

 

 クオンがゆっくりと目を開けた

 

「朝?」

 

「ああ」

 

「ハク、ずっといたの?」

 

「途中で少し寝たよ」

 

「家に帰らなくて良かったの?」

 

「一日くらいどうにでもなるって」

 

「……ごめん」

 

「なんで謝るんだよ」

 

「だって、迷惑かけてるし」

 

「クオン」

 

「うん?」

 

「原因が分からないなら調べればいいだろ、分かるまで付き合うよ」

 

「…………」

 

 クオンが少しだけ目を見開く

 

 それから困ったように笑った

 

「ハクって、本当に頑固だね」

 

「今更だろ」

 

「うん」

 

 小さく頷く

 

「知ってる」

 

 原因はまだ分からない

 

 倒れた時に感じたあの脈動も

 

 身体の中にある複数の反応も

 

 俺が触れた時に数値が変わった理由も

 

 何一つ分からない

 

 まあ

 

 分からないなら調べればいい

 

 今はそれでいいだろ

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 それからしばらくして

 

「すみません……」

 

「ん?」

 

 声を掛けられて振り返る

 

 一人の女の子が、少し困ったような顔でこちらを見ていた

 

「どうした?」

 

「あの、その……少し困ってしまって……」

 

「俺でよければ手伝うけど」

 

「本当ですか?」

 

「ああ」

 

「ありがとうございます」

 

 女の子がほっとしたように笑う

 

「…………」

 

「あの?」

 

 待て

 

 今

 

 顔をちゃんと見た

 

 声も聞いた

 

 ………………

 

 いや

 

 待て待て待て

 

 似てる

 

 いや、似てるなんてもんじゃない

 

 落ち着け俺

 

 世の中には似ている人間くらいいる

 

 猫音

 

 クオン

 

 江留瑠羽(えるるぅ)さん

 

 ………………

 

 その三人を思い出したら全然落ち着けないだろ

 

「あの、まだ名乗っていませんでしたね」

 

「あ、ああ」

 

 女の子が少し姿勢を正す

 

「久住瑠璃(くじゅう るり)と申します」

 

「…………」

 

 久住

 

 くじゅう

 

 瑠璃

 

 るり

 

 ………………

 

 クジュウリ

 

 ルルティエ

 

「…………」

 

「あの……?」

 

 いや

 

 待て

 

 いやいやいやいや

 

 またかよ

 

「どうかしましたか?」

 

「……なんでもない」

 

 本当に

 

 なんでこうなるんだ




最後まで読んでいただきありがとうございます
今回は幕間ということで、前回の事件後から少し離れて久遠のお話でした
原因不明の体調不良に、本人の中から出ているよく分からない反応
しかもハクが触ると何故か少し変化する
アザゼル
「なんだこれ」
ハク
「こっちが聞きたい」
そんな状態です
そして地味に今回、オシュトルとして長い付き合いのあるアザゼルと、大神白(おおがみ はく)としては初対面という妙なこともやっています
ハク
「初めまして」
アザゼル
「おう」
ハク
(初めまして)
ハク
(…………長い付き合いだけど)
さらに最後には新しい女の子
久住瑠璃(くじゅう るり)
ハク
「…………」
作者
「偶然ですね」
ハク
「猫音、久遠、江留瑠羽さんと続いてまだそれを言うか?」
作者
「偶然ですね」
ハク
「こっちを見ろ」
というわけで次回からは、この新しい出会いについて少しずつ進めていく予定です
今回も読んでいただきありがとうございました
次回もよろしくお願いします
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