ムルタ・アズラエル滅殺RTA ブーステッドマンチャート   作:ちゅーに菌

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 お気に入り3000人突破記念に初投稿です。

 マンモスうれぴー(死語)

 どうもご愛好ありがとうございます。





砂漠の虎 初戦

 

 

 

 

>うわっ……。

 

>どうしたクローセル? 珍しい声出して?

 

 もう始まってる!!!(挨拶)

 

 現在、アークエンジェルのドックのハイドラガンダムと強襲偵察型ジンが並んで置いてある場所で、ローンちゃんとムウさんが自分の機体の整備をしています。そして、その合間にいつの間にか持っていた茶封筒の中を見ながら、ローンちゃんが妙な声を上げたところですね。

 ローンちゃんもレベルが大分上がったので、クッソ低い整備値も上昇したことで、多少ちゃんと整備出来るようになっていますけれど、最初の頃とか酷かったんだろうなぁ……(半笑い)

 

 レベルと言えば、今のところ余りにローンちゃんが突出してレベルが上がり過ぎているので、キラくんとムウさんとキリシマ姉貴にもレベルの分配をしないといけませんね。

 今作は鬼畜な事に過去作のGジェネシリーズで猛威を振るっていた戦艦連携や、遊撃連携が存在しないため、撃破した経験値をユニットへ均等に分配する方法が存在しません。まあ、仮にそれらがありましたら、RTAも連携ゲーになってしまうので、よりシュールだったんでしょうなぁ。

 現状、既にローンちゃんのレベルはオーブ連合で三馬鹿と初めて対峙する時の推奨レベルより、やや低いぐらいまで上がっていますので、他のパイロットに与えた方がいいですね。ローンちゃんの絶望する顔が見える見える。

 

>いえ、月基地からハルバートン提督が持ってこられた私の上司からの指示書なんですけれど……。要約すると、"引き続きストライクを護衛しつつアークエンジェルに着いて行きアラスカ基地へ向かえ"とのことでしたので、落ち着いた時間も無かったですし、もう片方の茶封筒の方を今まで確認していなかったんですよ……。

 

>はーん、大西洋連邦ブルーコスモス派(そっち)のお偉いさんも、造るのは渋っていたが、いざ"G"が出来れば、その有用性は認めているってトコか。まあ、モビルスーツの量産が掛かっているしなぁ……で? 茶封筒に何入ってたんだ? 臨時ボーナスの小切手とか?

 

>使うところがあればそれの方がマシでしたね。新しい階級章ですよ。

 

>へー……ああ、お前も昇進したのか。まっ、でも自然に考えればそうだよなぁ。

 

 おー、ええやん。

 

 ちなみにムウさんはこのとき、ハルバートン提督の計らいで大尉から少佐になっていますね。他にラミアス艦長も同じく少佐、ナタルさんは中尉です。また、キラくんは少尉になっており、他のお友だちの学生は二等兵となっております。

 

 そして、ローンちゃんは茶封筒を傾けて階級章を取り出し、ムウさんに見せました。

 

 

>クローセル・レヴィアタン大尉改め、クローセル・レヴィアタン中佐となりました。

 

 

 おファッ!? ローンお姉様がアークエンジェルでトップの階級になってしまわれましたの!?(化けの皮)

 

>おお……いつの間にか俺より上になっちまってたのか。おめでとさん。

 

>二階級特進ですね。うーん……そう言うと死んだような気分になりますねぇ。

 

 ちなみにぶっちゃけ生体CPUルートだと、昇進のうまあじはほぼありません。(なので肩書き以外の何物でも)ないです。

 普通に地球連合軍ルートをナチュラルやコーディネーターでやると、最終的に最前線でソードカラミティを乗り回してザフト軍に襲い掛かる中将やら大将という、頭ソードラインな英国面(ブリティッシュ)スタイルも可能なんですけど、今回は特に関係のないことですね。

 他のゲームの"連合vs.Z.A.F.T."なんかだと、その場で縦に大回転するザムザザー(蟹型パンジャンドラム)や、横になって大回転するMA形態デストロイ(最終兵器パンジャンドラム)がまだ開発されていないことが悔やまれます。あぁ、これでヤキン・ドゥーエ攻略したいなぁ(ぱんころ~) 

 

>まあ、私としてはこの状況では逆に混乱を招くため、アークエンジェルでは年功序列で良いと思っていますので、引き続き今まで通りでよろしくお願いいたします。

 

>そう言ってくれりゃこっちも気が楽だぜ。後で一応、他の奴等にも説明しとかないとな。

 

 (二人とも)人間の鑑がこの野郎……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

>うふふ、出撃ですねぇ……!

 

 原作通りキラくんとフレイちゃんのセックス(保護者激怒)の後、まだ夜明け前の時間に早朝バズーカならぬ、夜間ミサイルによる強襲と共にバルトフェルドさんの部隊がやって来ました。

 ちなみに前回、ローンちゃんの闇をキラくんが知りそうになりましたが、ムウさんが頑張ってフォローし、遠回しに聞きたいなら個人的に聞くといいと誘導してくれたので、非常に助かりました。ローンちゃんの闇を"砂漠の虎"マップで知るのは少し早過ぎますからね、仕方ないね。

 

>クローセル中佐。まだ敵影も見えないため待機を――。

 

>ザフト軍の標的のひとつに私かストライク、あるいは両方がカウントされているでしょう? だったら私が前に出た方が分散してアークエンジェルの被害も減る筈です。今のところ、アークエンジェルは弾薬の補給すら受けれる目処もない状態なんですから極力消耗は避けるべきでは?

 

>……………………ええ、そうね。わかったわ。

 

 嘘だゾ。最近のローンちゃんはお部屋で出撃する口実考えているんだゾ。ローンちゃんはそろそろラミアス艦長の言うこと聞いて、どうぞ。

 

 すぐにローンちゃんはアークエンジェルから飛び立つと、砂漠には降りずアークエンジェルの上方を飛び、艦橋の前のスペースに着陸すると、ショルダークローを変形させて砂漠を見据えました。

 

 そして、ショルダークローが分離し、どんな原理なのか当然のように空中を駆けると、闇夜と砂塵に紛れたザフト軍戦闘ヘリ――アジャイルから発射されるミサイルを次々に迎撃して行きます。

 

>――それにラミアス艦長。私ならこの艦にミサイルなんて一発も寄せ付けませんよ? イーゲルシュテルンの節約になりますねぇ。

 

 人力CIWSとはたまげなぁ……。空間認知能力持ちにインコムもどきは鬼に金棒過ぎますねぇ……。ちなみにハイドラガンダムは一歩も動かずにミサイルを撃ち落としながら、中のローンちゃんはモビルスーツや戦艦の姿を索敵中なので無駄に有能です。

 

>攻撃してくるのに姿を見せないなんて……つまらないですねぇ。

 

 ああ、ちなみにこの戦闘では、一定時間が経過orキラくんのランチャーストライクのENが一定値を下回ると、レジスタンスの"明けの砂漠"が来て、残ったバクゥをキラくんが誘導して爆弾で破壊してしまうため、経験値的にも時間的にもまずあじです。

 なので今回はレセップス級の撤退を含む敵戦力の短期殲滅を目的とします。また、今回の戦闘のみ、"砂漠の虎"ことアンドリュー・バルトフェルドの部隊単独との戦闘となるため、敵ユニットが初期配置のバクゥ5機、ザフト軍戦闘ヘリことアジャイル3機、旗艦のレセップス級1隻のみの非常に緩い戦闘になりますね。まあ、前々回ぐらいまでが異様過ぎただけとも言えます。"明けの砂漠"については、どのみち戦闘終了後に接触してきますので問題ありません。

 ちなみに今回の戦闘だけなぜ、難易度上昇フラグが適応されないのかというと、ニュートロンジャマーが打ち込まれまくっている関係で、今の地球は電波状況がとても悪い上、アークエンジェルには衛星から発見されないようにする機能等もあるため、現在ザフト軍は完全にアークエンジェルの位置を見失っているからですね。

 そして、今回の戦闘はバルトフェルドさんからすれば、とりあえず自分の手持ちの部隊を幾らか宛がって、その対応などから評価するための戦闘なので、難易度上昇によるモビルスーツ増加はありません。よってザフト軍の大きな基地への報告を丁度終えた程度の段階ですので、うじゃうじゃモビルスーツが送られてくるのは次回の戦闘からとなります。

 

>うへっ!? コイツはやべぇな……!

 

 そんな話をしていると、ランチャーストライクのキラくんと、76mm重突撃機銃と専用スナイパーライフルを装備した強襲偵察型ジンのムウさんが砂漠に着陸しました。

 そして、直ぐに砂漠の柔らかで流動性のある土壌に足を取られて四苦八苦し始めます。ナチュラルにそれを回避する場所にいるローンちゃんはなんなんですかね……。

 

 すると突然、発砲音と共に砂塵の中でアジャイルが1機爆発して燃え盛る残骸が砂上に叩き付けられます。見ればスナイパーライフルを構えたムウさんがいました。

 

>えっ、ムウさん今の見えたんですか?

 

>いや、勘だ!

 

 やっぱりフラガ家の家系はニュータイプじゃないか!(決め付け)

 しかし、敵がアジャイル以外に見えないためか、ローンちゃんは割りとシラフですね。闇夜と砂塵に紛れたアジャイルから飛来してくるミサイルを苦もなく迎撃しつつ、モビルスーツの索敵を続け、遂に視界の端に影を捉えます。

 

>今少しだけ見えました。バクゥが来ますよ。最低でも3機以上。

 

>バクゥ!? ザフトの陸上四つ足モビルスーツが!?

 

>わ、わかりました……!

 

>了解だ!

 

>敵影……9時の方向よ! 注意して!

 

 ローンちゃんがアークエンジェルの艦橋と、キラくんとムウさんにそれを告げた直ぐ後に、アークエンジェルでも捕捉したようです。なんか犬っぽくねぇな?

 そして、ラミアス艦長の言葉を受けるとローンちゃんはハイドラガンダムのスラスターを点火し、ショルダークローのクロー部分を戻しつつ、居合いのように腕部に備わるビームサーベルに手を伸ばしたまま飛び込みました。

 

 その瞬間、砂漠の高低差の影からバクゥが2機飛び出し、丁度それらの眼前に上から降ってきたハイドラガンダムが空中で立ち塞がります。

 

_人人人人人人人人人_

> 突然のハイドラ <

 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄

 

>居たァ……!

 

>なんだとッ!? バレて――うわぁぁぁぁ!?

 

 先に飛び出していたバクゥは勢いを殺せず、そのままハイドラガンダムに突っ込み、腕部から凪ぎ払うように引き抜かれたビームサーベルにより機体を頭から真っ二つに斬り裂かれます。

 

>――よくも!? コイツゥゥゥ!?

 

 2体目のバクゥも既に飛び出していますが、ハイドラガンダムはビームサーベルを振り抜いた姿勢のままのためか、味方パイロットを殺された怒りのままに飛び込んできました。

 そして、バクゥが450mm2連装レールガンを放ちながら突進すると、空中のハイドラガンダムはスカートのスラスターを片側だけ点火し、駒のようにその場で回転することで無理矢理回避をしました。

 

>な――がァ!?

 

 そして、慣性に則り、ハイドラガンダムの近距離レンジに近づいたバクゥに対して、拳代わりのショルダークローが横腹へと叩き込まれます。

 

>ざぁんねぇん……!

 

 約24mのモビルスーツの格闘攻撃に、約11mの全高でモビルスーツにしてはやや小さめなバクゥは吹き飛んでいき、砂漠に叩きつけられます。更にショルダークローをそのバクゥへと飛ばし――何かに気づいたのか途中でローンちゃんはショルダークローを戻しました。

 

>クソッ!? よく――。

 

 その言葉を最期に、立ち上がろうとしていたバクゥに別方向から赤々と輝く極太のビームが殺到し、直撃によって一瞬で蒸発しました。

 ローンちゃんがビームが来た方向を見れば、320mm超高インパルス砲"アグニ"の銃口から煙を上げているストライクの姿が目に入ります。どうやらキラくんが経験値を持って行ったようですね、いいぞもっとやれ。

 

>うふふ……! キラくんも軍人らしく――――ひゃあ!?

 

 そして、重力に従ってハイドラガンダムが砂漠に着地した瞬間、機体の重量と高所からの落下が合わさり、その細身の足が砂にハマり、そのまま浅い落とし穴に落ちたような体勢で前のめりに転びます。えっ……なにそれは(困惑)

 

>痛たた……。砂漠をナメていました……。グッジョブですよキラくん!

 

>は、はい……!

 

 こ↑こ↓人間アピール。時々、可愛いことするのヤメロ!(建前) ナイスゥ!(本音)

 直ぐにスラスターを噴かしてハイドラガンダムは脱出しましたが、その直後にローンちゃんがいる地点と別方向から3機のバクゥと、2機のアジャイルが現れます。

 

>南西より熱源接近っ! 艦砲です!

 

 襲撃と共にオペレーターの一人で下士官のダリダ・ローラハ・チャンドラⅡ世が叫びました。

 

>離床っ! 緊急回避――!

 

 ラミアス艦長がそう叫び、砂を高く巻き上げながらアークエンジェルの船体が浮かび上がりますが、既に回避行動を取るには遅いタイミングであり、ほとんどの砲弾が外れましたが、一発だけ砲弾が側面装甲に命中します。

 

>……………………。

 

 艦橋の通信からアークエンジェルの射程圏外から攻撃を受けているという状況を知ったローンちゃんは、少しだけ真顔になりながらショルダークローの変形を解除すると、ハイドラガンダムのスラスターを噴かせて上空に飛び立ち、機体を変形させると更に上空へと上昇していきました。

 

>キラくん! ムウさん! 少し任せましたよ!

 

>くっ……わかったなんとかする!

 

 そして、ローンちゃんは上空1km程の地点まで飛び上がると、その場に留まりつつ、アークエンジェルのオペレーターへ通信を繋げます。

 

>砲撃はどこからですかぁ……? ミリアリアさん? 一方的にされるだけだなんて……許せないよねっ!!

 

>ひっ!? は、はい……! 南西20kmの地点です!

 

>20km……わかりました。私が反撃します。

 

 ローンちゃんはバスターカノンを構え、言われた通りのその方向を向きながら索敵を開始すると、火砲の光がみえたことで直ぐに砲撃をしているレセップス級の位置を特定します。

 たった今、砲撃の第二波が既に放たれましたが、キラくんが種割れして勝手に防いでくれるので、レセップス級本体の攻撃に集中しましょう。

 

>見えたぁ……!

 

>えっ……キリシマ一尉!? なぜデュエルに乗って――。

 

 ローンちゃんは低出力版でバスターカノンを放ち、その黄色い極光は大気を切り裂きながら20km先にいるレセップス級へと突き進みます。なんだか、その裏でラミアス艦長が聞き捨てならないことを叫んでいる気がしますが、誤差だよ誤差!

 ちなみにここでレセップス級を撃墜してしまうと、風が吹けば桶屋が儲かる方式で、キラくんの成長フラグがへし折れてしまうため、展開が大きく変わり結果的に戦闘マップが増えるので、絶対に撃破してはなりません。頼むから今度は絶対にIDコマンド使わないで下さいね、ローンちゃん?(1敗)

 後、バルトフェルドさん及び副官のマーチン・ダコスタがどちらかでも死亡すると、クライン派(後々)で非常に面倒な事になる上、やはり戦闘マップが激増したり、キラくんの成長フラグがへし折れるため、絶対に殺してはなりません。なので、出来るだけバルトフェルドさんとキラくんとの一騎討ちを誘発させるようにしましょう。また、ピンクの悪魔か……(憤慨)

 

>どうして沈んでくれないんですか……!

 

 レセップス級は片側の三連装砲にバスターカノンが直撃し、その区画から火の手が上がり始めます。それならヨシ!(現場猫)

 直ぐにレセップス級は砂漠魚雷を船体の前方に放つと、 爆発によって砂を激しく巻き上げて、船体をローンちゃんから見えないように隠します。撃たれないように砂漠の盆地に移動しながら撤退するでしょうから追撃は不可能ですね。やったぜ。

 

>ああもう……!

 

 ローンちゃんは今回全く撃墜出来ていないせいか、明らかにイライラしつつ下半身をモビルスーツ形態に戻すと、自由落下に機体を任せつつ地上に目を向け――。

 

>ひ、ひ……ヒドいです……! もう皆さん全部やっつけちゃったんですかぁ!?

 

 ローンちゃんが見たのは、最後のバクゥを素手で破壊しているデュエルに乗ったキリシマ姉貴の姿でした。えっ……なにそれは(困惑)

 あれ……? しかもこれコックピットを中心に破損状況が10~20%ぐらいなので、少し時間を掛けて修理すれば、普通に使えるようになりますね。地味に鹵獲成功していますよ……いや、パイロットが正直いないのですし、海上で役に立たないので、あんまりいらないですけど。まあ、普通にムウさんに砂上戦では乗り換えて貰っても良いかも知れませんね。他にはバクゥは戦闘機や戦車とモビルスーツの中間ぐらいの操作性なので、キラくんにもう少しOSを頑張って貰って、無茶苦茶訓練すれば普通のナチュラルでも多少は操作出来るか……? でもパイロットが居ないしなぁ……。

 

 まっ、ある分には問題も起こさないだろうし、ええやろ(ポジティブ)

 

 えーと……その辺りのことは次回に考えるとして、キルログを見ますと、ローンちゃんがバクゥ1機、キラくんがバクゥ2機、ムウさんがアジャイル3機、キリシマ姉貴がバクゥ2機ですね。なので今回の戦績はローンちゃんがビリですが、経験値分配も出来ましたし、RTA的には大正義なので何も問題ありません。次回は"明けの砂漠"や、バルトフェルドさんとの接触の日常パートになると思います。

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時はクローセルがレセップス級に対処し始めた頃に遡る。

 

 ドックでは、オーブ連合国防軍のフローレンス・キリシマ一尉が、整備班の手が回らなかったため、エネルギーの補給だけされたアサルトシュラウドの武装が全壊しているデュエルに乗り込んでおり、既に起動していた。

 

『えっ……キリシマ一尉!? なぜデュエルに乗って――』

 

『OSはザフト軍のままですわね……! こんだけ揺れてんのにオチオチ寝てられっかてんだよ!? 武装は……なんでもいい……! ハッチを開けろォ!』

 

 キリシマ一尉は最も手近にあったジンの重斬刀を1本だけ手に取ると、ラミアス艦長も諦めたようで、ハッチが開かれたため、そのままカタパルトに乗って出撃する。

 

 そして、キリシマ一尉がアークエンジェルから飛び出すと、強硬偵察型ジンに乗るムウ・ラ・フラガは残り1機のアジャイルに応戦しており、キラ・ヤマトのランチャーストライクは残り2機のバクゥに前後から挟まれて囲まれていた。

 

『パワーが……"アグニ"を使い過ぎたっ!? ――クソっ!』

 

『ボウズッ!?』

 

 そんな中、キラがそう叫ぶとほぼ同時に前方にいた一体のバクゥが、ほぼ遠距離武装しか積んでいないランチャーストライクへと突撃を始め、それを見据えたキリシマ一尉は、重斬刀を構えつつ空中から落下しながらスラスターを噴かせ、キラに迫るバクゥへと突撃する。

 

『喰らえってんだよォ!』

 

『――――――』

 

 バクゥはデュエルから横腹に強烈なタックルを受けると共に、真横からコックピットのある腹部へと重斬刀を突き刺され、内部のパイロットは即死する。

 

 そして、勢いのままにバクゥとデュエルは叩き付けられるように跳ね回りながら別方向へ転がり、遠くはない距離で突き刺さった重斬刀ごとバクゥは爆発したが、デュエルはPS装甲により難を逃れた。

 

『ぐぅぅ……!? 頭がグラグラしやがる……』

 

『よくも仲間をォォ!?』

 

 そして、デュエルを砂地から起こしている最中に、ストライクの背後に居たバクゥが、ストライクを無視してデュエルへと450mm2連装レールガンを放ちながら向かってくる。

 

 恐らくは仲間を殺された事と、デュエルが現在全ての武装を持っていない丸腰の状態であるからであろう。

 

『キリシマさん!?』

 

 ハッとしたキラが攻撃を行おうとする。既にバクゥとデュエルの射線が重なっているため、120mm対艦バルカン砲を放ち、デュエルごとバクゥを攻撃するというのがPS装甲を加味すれば最善であっただろう。

 

 しかし、キラはそれを実行に移すには優し過ぎたため、一瞬の気の迷いを生み、その間にバクゥのレールガンは命中し、デュエルは上体を半分だけ地面から起こしたまま、腕をクロスさせてどうにか防御する。

 

『喰らえぇぇぇ!!』

 

 そして、そのままバクゥはデュエルへとタックルを仕掛けた。立ててすらいない体勢でマトモに受ければ、機体は無事でも中のパイロットが無事では済まないだろう。

 

 そんなに光景を思わずキラは届かない手を伸ばし、シャトルを守れなかった光景を鮮明に思い出す。そして、窓に体を預けて、こちらを見る無垢な少女の姿が――。

 

 

 

『――ハンッ!』

 

 

 

 ――キリシマ一尉が嘲笑うように鼻を鳴らしたことで一気に掻き消された。

 

 次の瞬間、タックルをしてくるバクゥに合わせ、スラスターも用い、上半身だけで勢いよく跳ね起きることで逆にバクゥに機体をぶつけ、そのまま抱えるように掴み掛かる。

 

『なぁ――!?』

 

 当然、勢いは殺し切れない上に負けているため、ゴロゴロとバクゥごとデュエルは砂上を何度も転がる。そして、デュエルが決してバクゥを離さなかった結果、止まったときには、バクゥの腹の上にデュエルが馬乗りになっている状態になっていた。

 

 キリシマ一尉は決して、無事ではないにも関わらず、一切衰えない鋭過ぎる眼光と、殺意しか読み取れない表情に顔を歪めて叫ぶ。

 

『カスが効かねぇんだよォ! そのためのPS(フェイズシフト)装甲なんだからなァ!?』

 

『コ、コイツ……!? 助け……ヒィ――!?』

 

 バクゥは脱出しようともがき、脚でデュエルを何度も蹴るが、体格差と犬と人のモデルの差がある上に、パワーが続く限りは物理攻撃の一切を遮断するPS装甲の前にはまるでダメージにすらならない。

 

 そのまま、デュエルは両手でバクゥの腹部――コックピット部分を握ると両サイドから無理矢理押し潰し始め、ギリギリと金属が軋んでいき、歪む音が僅かに響く。

 

 

『あばよ!犬ッコロ……!……ですわ♪』

 

 

 キリシマ一尉のそんな呟きの直後、コックピットは人間が入れない大きさまで押し潰され、バクゥは完全に沈黙した。

 

 そんな光景を開いた口が塞がらない様子で呆然と見つめるキラ。そして、最後のアジャイルを撃墜して、足場に気を付けつつキラの元に歩いてきたムウは、強襲偵察型ジンの肩を竦めて見せる。

 

『…………スゲーな坊主……。ああいうのを女傑って言うんだぜ?』

 

『え……? ええ……』

 

『そこ……何か言いまして?』

 

 通信に表示されているキリシマ一尉は、クローセル並みにニコニコと笑みを作っているが、あれだけ激しく文字通り衝突して無事で済むわけもなく、頭部から血を流していた。

 

 それは怪我人というよりも、幽鬼が何かに見えたため、男二人は首を大きく横に振って全力で否定する。

 

 

 

『ひ、ひ……ヒドいです……! もう皆さん全部やっつけちゃったんですかぁ!?』

 

 

 

 そして、全てが終わった後で、上からやって来たクローセルの駆るハイドラが酷くシュールに思えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「撤収する――この戦闘の目的は達した。残存部隊をまとめろ」

 

 戦闘終了後、"砂漠の虎"と呼ばれる指揮官――アンドリュー・バルトフェルドが、副官のマーチン・ダコスタにそう言うと、彼は悪い夢でも見ていたようにハッとした表情を浮かべており、バルトフェルドは"無理もないな"と小さく溜め息を吐く。

 

「あのパイロット……あれがナチュラルの仕業だと――?」

 

 バクゥを相手にしながら、砂地に対応出来るようにOSを書き換え、遠距離から飛来する砲撃をランチャーで撃ち落として見せたパイロットを思い、バルトフェルドは唸りつつ皮肉な笑みを浮かべる。

 

「情報だと"悪魔"は1体だけの筈だったのだがな……。大天使どのに2体も乗っているとは――。コイツは地球に来て以来、最大の山場かも知れんな」

 

 そして、撤収前にちらりと背後を見ながら、一際大きな溜め息を吐き、誰に言うわけでもなくそう呟いた。

 

 

 

 

 

 









※オルフェンズの出身とかではなくオーブ氏族のお嬢様です。

デュエル似合うなぁ……キリシマ姉貴(白目)




砂漠の虎 VS エースパイロット×4 ファイッ!!



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