ムルタ・アズラエル滅殺RTA ブーステッドマンチャート 作:ちゅーに菌
仕事が忙しくなってきたので週1~2投稿が限度になりそうですが初投稿てす。
>髪型はどうしますかぁ?
>そうねぇ。無難に後ろでまとめて、少し全体的に立てて見ればいいかしら?
>えへへ、そうですかアイシャさん。じゃあ、カガリちゃんはじっとしていてくださいね?
>お、おい……。
もう始まってる!!!(挨拶)
現在、薄黄緑色のドレスを着たカガリちゃんが、バルトフェルドの愛人(雰囲気)のアイシャさんと、表が黒で内側が赤いドレスを着たローンちゃんに弄られております。ちゃっかりローンちゃんもドレス貰っていますね。3人はどういう集まりなんだっけ?
>――なんでお前らそんなに親しげなんだ!? 初対面……いや、それ以前に敵同士だろ!?
暴れんなよ……暴れんなよ……。まあ、強化人間とコーディネーターに囲まれたら、一応ナチュラルのカガリちゃんは抵抗出来ませんねぇ。
>……? なんでって、それはそれこれはこれですよカガリちゃん。 ねー、アイシャさんっ!
>うふふ、そうねぇ。なんだか、あなたとは気が合うわ。
>えへへ、私もです。アイシャさん大人っぽくて艶やかでとても私好みですよぉ。カガリちゃん、これも一期一会ですので、出会いは大切にした方がいいですよ? 何だって楽しんだ者勝ちなんですから。
>あら? クローセルちゃんったら、そっちの気もあるの? でも残念、私こう見えて一途なのよ?
>そうですかぁ、それは残念ですねぇ。
>こ、コイツら……。
互いにエロかつ愛人属性持ちだから惹かれるんでしょうなぁ。ローンちゃんがアイシャさんの尻を優しく撫でる動作が、完全にエロ親父のそれで草生えますよ。
そんなやり取りをしている内にカガリちゃんの髪のセットを終え、キラくんとバルトフェルドさんがいる部屋に3人で向かいました。
ちなみにキラくんとバルトフェルドさんは、クジラ石の話やナチュラルの船にいることで疎外感を覚えていること等の話をしております。
>おんな……の子……。
>てっめぇ!
>いやっ! "だったんだよね"って言おうとしただけで……。
>同じだろうが、それじゃ!
そして、アイシャさんとカガリちゃんが先に入ると、開口一番に放ったキラくんの言葉がこれです。カガリちゃんだって、一応女の子どころかお姫様なんだよなぁ……。†悔い改めて†
>キラくーん!
>わっ!? な、何ですか……そ、その……胸元と足が開き過ぎ……。いや、胸当たって――。
>えへへ、当てているんですよ?
次にローンちゃんが部屋に入ると、直ぐにキラくんの腕に自分の腕を絡ませます。あんな黒いドレスで当ててんのよ(王道打ち切り漫画)されてぇなぁ、俺もなぁ(クソノンケ)。カガリちゃんとローンちゃんの反応の差で風邪引きそうですよ。
>それにいつも鷲掴みにしてるのに……今更じゃないですかぁ?
>――――――!?
するとローンちゃんはキラくんの耳元に顔を近づけて、悪戯っぽい笑みを浮かべつつ、彼だけに聞こえるように耳打ちをします。は……?(殺意)
急に顔を真っ赤にし始めたキラくんと、尚も腕に絡み付くローンちゃんのやり取りを目にし、バルトフェルドさんとアイシャさんはニヤニヤとした生暖かい視線を向けています。チラチラ見てただろ(ガン見)
>なんで私がこんな鬱陶しい服を着なきゃならないんだ!
>だってあなたの服、今クリーニング中ですもの。
>にしても、ほかに服はないのか!?
>いいじゃないの。女の子だもの、たまにはおしゃれしないと。ほら、彼も喜んでるでしょ。
>え……ええ!?
急にお鉢が回ってきて、キラくんはびくっとしてますね。にこやかなアイシャさんと、喧嘩腰のカガリちゃんに両側から見つめられ、片腕にはスリスリと身を寄せて来るローンちゃんです。
死ね(語録無視)
>う……うん……いいと思うよ。
キラくんの言葉に、カガリちゃんはぶすっと顔を歪めながらも、少し類を赤らめました。正直、ガンダムSEEDで一番残念だと思う設定を強いて上げれば、キラくんとカガリちゃんが兄妹だという事ですよね。まあ、姉だと言い張るカガリちゃんも可愛いちゃ可愛いですけど(ノンケアピール)
ああ、ちなみにこのゲーム、別動画で近親性愛のアビリティをクローンちゃんが取っていたように、やろうと思えば近親相姦等も可能ですので、好感度をかなり頑張ればキラくんとカガリちゃんの近親相姦からの出産をDestinyまでに可能です。RTAではそんなことをしている余裕は無いので、暇な兄貴は試してみてください。
また、二人の仲を主人公で取り持って結ばせて、子供が産まれるとその特典としてなんと――! 名付け親になれます。罰ゲームじゃねぇか(豹変)
>さっきまでの服もいいけど、ドレスもよく似合うね。――というか、そういう姿も実に板についている感じだ。
続けてバルトフェルドに核心をついた褒め方をされて、カガリちゃんはあからさまに不機嫌な顔になります。怒りっぽいですし、コロコロ表情変わりますよねこの娘。乳酸菌とってるぅ~?(銀様)
>勝手に言ってろ。
>しゃべらなきゃカンペキ。
>余計なお世話だ!
強いなぁ……バルトフェルドさん。正直、原作で生きてたときは嬉しかったです(小並感)
さて、ほのぼのパート(視聴者視点)を終えたところで、戦争についての真面目なお話にバルトフェルドさんは切り替わります。
それに真摯で悲痛な表情で受け答えるキラくんと、相変わらず楽し気に笑みを浮かべて彼に抱き着いているローンちゃんが酷く対照的に見えますね。
>どうしたらこの戦争は終わると思う? もちろん、モビルスーツのパイロットとしてだ。
>そ、それは……。
キラくんは言葉に詰まってしまいます。まあ、否応なしに殺しをする羽目になり、先日民間人だからという言い訳も自分からという形で失った16歳に、そんな酷なことを聞くのも大概大人気ない気もしますが、これから殺し合わなければならない相手にバルトフェルドさんが聞いていると思うと優しくて……な、涙が出ますよ……。
それから、話し合いの途中で銃を持ち出したり、コーディネーターだとバレたりしつつ尚も会話をしているキラくんとバルトフェルドさん。そんな二人のやり取りを暫く静観していたローンちゃんは、笑みをより強めます。
>うふふ……! 大丈夫ですよキラくん。目と雰囲気でわかります。少なくともバルトフェルドさんは、この場で私たちを殺す気なんてまるでありませんもの。それに……そんなの決まっているじゃありませんかぁ。
リセットが絡むから絶対に余計なこと言うなよ? フリじゃないからな!?(振りかぶる)
>戦い過ぎて疲弊し切り、どちらかが戦えなくなるまでですよ。仮に地球かプラントが滅ぶまでしてしまえば、戦後に利益になるモノを搾取すら出来ないでしょう? まあ、互いに同じ事を考えているので、どちらかが勝って終わらねば意味はないのです。最小のコストで、最大の利益を地球連合軍にもたらす為の私とハイドラちゃんなんですからぁ。
>ほほう、これはこれは……。思ったよりも随分聡明だね。それとも――狂っているように見せているだけかい?
>うふふ……! ご想像にお任せしますよ。
あら? 戦争の利益について言及するとは思ったよりも現実的で、相変わらず無情な考えですが、これまでのローンちゃんの発言を考えると普通な答えですね。いやー、よかったよかった――。
>――もっとも……地球連合軍ではなく、我々ブルーコスモスが目的にしているのは、コーディネーターとプラントの殲滅及び根絶ですので、気持ちの悪い宇宙人を皆殺しにして、宇宙に浮かぶ不気味なプラントを全て破壊し、地球に隠れた宇宙人の残りと
>え……?
>くく……! まっ、そうだろうな。正直なようで結構だ。
ダメみたいですね……(溜め息)。あーもうめちゃくちゃだよ。
>まあ、一部の過激派の思想なので気にするような事でもありませんよ。例えば……仮に地球連合軍のブルーコスモス支持者以外の上層部が、一気に虐殺されて壊滅するようなことがあれば、ブルーコスモスの意志が地球連合軍の総意になることも有り得ますね。
あっ……(察し)。ローンちゃんはかしこいなぁ……(現実逃避)
>もちろん、もしも……もしもの話ですよぉ? ナチュラルである同胞を殺すなんてそんな酷いことをするわけないじゃないですか。うふふ、このコーヒー美味しいですねぇ。
するとローンちゃんは何を思ったのか、キラくんから離れると、
>ああ、ただこれだけは言っておきますね。"悪人が幾ら害悪を及ぼすからといっても、善人の及ぼす害悪にまさる害悪はない"。私の好きな哲学者さんの言葉ですよ。
そう言うとローンちゃんは足を組み、コーヒーカップに注がれた残りのコーヒーを全て飲み干すと花が咲くような笑顔を浮かべ、口の端を吊り上げ、目を細めて歪めました。
>善人とは常に弱者であり、自分は善良であると思い込んでいます。そして、力を持とうとも当然のように強者による被害者を気取る。故に強者に翻弄され続ける哀れな者という自己像を描き続けます。
ぐしゃりと握っていたコーヒーカップが異音を立てて割れ、パラパラと床に白い陶器の細かな破片となったそれらが降り注ぎます。
>だから――どんなことでも出来てしまうんですよ。私は……ハイドラは……! その結果ですよ……! ホント……許せないよねっ!!!
これで詳細は聞くなって言っているんですから酷い……酷くない? ローンちゃんもう、頭の中身がクルーゼ隊長と大差無いですねクレワァ……。ラブアンドピース!(手遅れ)
ローンちゃんは言いたいことだけ言って、コーヒーカップを割った事を謝った後は、スッキリしたのか清々しい笑みを浮かべつつ借りてきた猫のように大人しくしていました。
バルトフェルドさんは、キラくんやローンちゃんとモビルスーツで戦う事を第一に動いているので、その後は原作の通りに事は進み、無事に帰れる流れに話が運ばれましたが、ふとバルトフェルドさんが切り出します。
>あー、ところでそっちにいるデュエルのパイロットはまだ生きているか?
>ああ、はい。特に不当な扱いはしていないので元気ですよ? まあ、少しばかり気落ちしているようですけれど。
(イザークくんの精神を粉々にしたのは)お前じゃい! まあ、多分半分ぐらいは本気でそう思っているでしょうねぇ……ローンちゃんはさぁ……。
ちなみにイザークくんですけど、精神崩壊とかはしていませんが、相当堪えたようで徐々に弱っていってますね。まあ、このまま放置すると最悪の場合は死ぬかも知れませんが、RTA的には正直どちらでも大差無いので――。
>ああ、パイロットだけなら返しましょうか? 実際のところ、アークエンジェルは只でさえ人手不足なのに、捕虜の警備やら何やらをするのも結構手が回らないんですよね。何故か最近は、ちゃんと出しているのに、ご飯もあんまり食べてくれないですし、丁度いいですね。
>………………本当か?
>えっ……? いいんですかクローセルさん?
驚いた様子のバルトフェルドさんと、前科があるせいで呆けた顔をしているキラくんは聞き返しております。
カガリちゃんは何か言いたげな顔をしていますが、流石にタッシルの街でのローンちゃんとの会話が堪えたのか、口を噤んでいます。カガリちゃんが感情的にならないだなんて、完全に苦手な人になってますねクレワァ……。
>はい、本当ですよ。私、こう見えても中佐なので、アークエンジェルで一番階級が高いですから、これぐらいの決定権はあるんですよ。それに捕まえたのは私ですし。
それが権力!(迫真)。別にローンちゃんが求めていた力ではないと思いますが、数少ない生体CPUに与えられた階級が役立つ場面に図らずもなっていますね。まあ、アークエンジェルに主要キャラを乗せておくと、不要なランダムイベントの発生確率が上がるので、どちらかと言えば下ろしておきたかったので丁度いいですね。
>まあ、議員の一人のジュール姓の方ですから、色々と利用しようと思えば出来ると思いますが、そのような指示をまだ私は受けていないのでどうでもいいです。私の趣味は放生ですしね。精々、気楽に殺し合いましょう?
>そりゃいい! 願ったり叶ったりだ! せめて……俺みたいな奴と、君みたいな者だけで戦争が出来れば楽だったんだがね。
>………………ッ!
狂わされた戦闘狂と、優しい戦争屋の殺伐としたやり取りを眺め、キラくんは何か思うところがあるようですが、彼の口から何かが語られることはありませんでした。
まあ、こ↑こ↓のシナリオは想いだけでも力だけでも駄目という事を知るという、ガンダムSEEDで重要な成長ポイントですから、キラくんの戦争に対する苦悩には、ローンちゃんが勝手にやらない限りではノータッチですね。
>――失礼します。
イザークくんをどうやって返すか、ローンちゃんとバルトフェルドさんが話そうとしたとき、副官でクライン派のマーチン・ダコスタさんが入室してきました。
ローンちゃんに許可を取ってから、バルトフェルドさんがダコスタさんに耳打ちされると、直ぐに驚愕の表情に変わり、呆れと少しの怒りが入り雑じった顔になります。
>北部の奴ら……手柄欲しさに暴走したのか! 風情が無いったりゃありゃしないな全く!
あら、どうやら自動戦闘が発生したようですね。このゲームでは、主人公が所属している母艦から離れている状態で強制戦闘ではない戦闘が挟まると、自動的に残っていたクルーが迎撃する仕様があるんですよ。
また、迎撃に失敗した場合は自動的にゲームオーバーという名の強制リセットになるので、防衛に成功したのでしょう。経験値はちゃんと防衛したクルーに入りますので、時間的にもうまあじです。ちなみに主人公が母艦にいる状態で強制戦闘ではない戦闘が挟まると、当たり前ですがRTA的に問答無用でリセットになります(無情)。
ただし、こちら側の損壊が許容できないレベルなら問答無用でリセットですので、余程主人公が強く他のパイロットが育っていたり、強い機体を保有していなければ、迎撃に成功しても悪戯に損壊を負うだけなので、通常プレイでも自動戦闘は回避したり、満遍なくパイロットは育てた方がいいですね。
さて、被害を確認しましょう。えーと、キリシマ姉貴とムウさんが迎撃したでしょうから両者と機体の被害は……キリシマ姉貴とデュエルは無傷で、ムウさんは何故かHP減っていますけど強襲偵察型ジンは無傷ですね。いやー、よかったよかった。
ええ……?(困惑)。ムウさんの撃墜スコア、アジャイル8機と、アサルトジン5機……? それを強襲偵察型ジンで無傷でやるとか、不可能を可能にする男過ぎませんかねぇ。デュエルのキリシマ姉貴でもアサルトジン4機撃墜ですのに。馬鹿野郎お前 俺は勝つぞお前!!(天下無双)
ん……? あれ、なんかハイドラガンダムのHPが微妙に減っているような? まあ、誤差だよ誤差――!
>――は? "世界樹の悪魔"と"デュエル"に壊滅させられた……だと?
>はい?
Whats……?
◆◇◆◇◆◇
「襲撃だと!?」
クローセルらがカフェテラスでブルーコスモスの集団と成り行きで交戦していた頃。レジスタンスの本拠地に船体を隠して8日目になり、アークエンジェルはある意味最大の危機に陥っていた。
「数は!?」
「ジンにアサルトシュラウドを換装した機体が9機です! 距離17km! 更にアジャイルが14km地点にいます! 数は……8機! 全てこちらに向かってきています!」
「――な!? 多過ぎる……どうして今!?」
遂に捕捉されただけでなく、戦艦1.5隻分に匹敵するモビルスーツと、多数の戦闘ヘリを惜し気もなく投入してきた事にマリュー・ラミアスは叫んだ。
何せ、現在実質的なアークエンジェルのエースパイロットとなっているストライクのキラ・ヤマトと、ハイドラのクローセル・レヴィアタンが街に買い出しに出ているために不在だからだ。100km以上離れた街にクローセルとキラの二名はいる。連絡がつかない上、今呼び戻したところで到底間に合わないであろう。
まあ、連絡がつかないと言っても、暗黙の了解の人間兵器であるクローセルが側にいるため、アークエンジェルの面々は、そちらの面ではあまり心配していなかったりする。そのため、問題は現状の戦力――フローレンス・キリシマと、ムウ・ラ・フラガの二名で9機ものアサルトジンと8機のアジャイルを迎撃しなければならない事だ。
「"砂漠の虎"の部隊じゃない……。もっと北の戦線の連中だ! どうしてこんなところに!?」
「…………敵さんはこの艦とクローセルを是が非でも潰したいらしいな」
アークエンジェルの手伝いをしていたレジスタンスの一人が叫んだ言葉に、ムウはそう言葉を溢す。それとほぼ同じタイミングで艦橋に青髪の女性――キリシマ一尉が現れた。
「あんのドラ姫……カガリ様らが予定時間に現れないという報せを聞いて来てみれば、とんでもない事になっていますわね」
「キリシマ一尉……申し訳ないけれどその……」
「今更まだ気を使っていらして? 成り行きでも、数多の命を預かる立場ならば、歯切れの悪いことを言わず、ドンと構えてくださいまし。下の者にも弱気や葛藤が伝わりますわよ? では、私はデュエルで出ますわ」
「――――ありがとう」
ラミアス艦長にそれだけ言って、キリシマ一尉は形振り構わない様子でドックへと全力で走って行き、それに続くようにムウもドックへと向かった。
◇◇◇
(さて……ドックに来たはいいが――
「少佐……? "ハイドラ"の前で何してるんだ?」
するとクローセルのハイドラを足元から見上げていたムウは、浅黒い肌をした整備班のコジロー・マードックに声を掛けられ、少し困ったような顔をしつつ口を開く。
「
そう言って、ムウがハイドラを見上げると、光も点っていない鋭いカメラアイにも関わらず、何故か妖しく輝いているように彼の目には映った。
「は……? それは不味いでしょう!? 何せソイツは――」
「ナチュラルどころか、人間に乗れるように出来ていない……だろ?」
それは整備班では周知の事実であった。
クローセルは全く語らず、詮索もしないように呼び掛けているが、このハイドラという機体は、少しでもメカニックを齧った者や、戦場に立ったモビルスーツ乗りから見れば、およそ人間を乗せることを想定しているとは到底思えない設計と性能をしている。
パイロットの安全性を度外視するどころか、逆に負荷とリスクを負わせ、モビルスーツの限界を遥かに超えた性能を実現し、OSもコーディネーターのモノ程ではないが、大多数のナチュラルでは扱えよう筈もないモノという、実際に動かせている事自体が不可解なレベルの代物なのだ。
故にクローセル・レヴィアタン専用機と言うのは何も誇張ではない。むしろ、彼女以外が乗れば瞬く間にパイロットを喰らう――これはそんな怪物そのものである。
「わかってるって……最大限無茶しないようにするさ。でも今この状況をひっくり返せるのは、愛しのハイドラちゃんしか居ないだろ?」
「し、少佐!? ああもう……! どうなっても知りませんよ!?」
マードックの制止を振り切り、そう言いながらムウは昇降ケーブルに乗ってハイドラのコックピットまで来ると、乗り込む前に口を開いた。
「大丈夫だって! 俺は不可能を可能にする男だからな!」
そう軽口を叩いて見せた後、ムウが乗り込むと共に監獄の大扉のようなハッチが締まり、ハイドラの双眼に黄昏のような光がぼんやりと灯った。
◇◇◇
「くっ……コイツはやべぇな……!」
アークエンジェルから発進したムウは、ハイドラの中で異様なGを受けつつ、どうにか砂地に着陸させた。レジスタンスの隠れ基地の地形は、アークエンジェルが入っている場所を中心に、なだらかな傾斜を描く小山のようになっているため、まだ3~4km先にいる部隊の姿が見える。
ハイドラを操縦し、ムウが真っ先に考えた事は、クローセルのようにスラスターを一度に数機噴かせて、弧や直角を描く要に縦横無尽に駆け回ろうものならば、即座に部分的な骨折や圧壊は免れないと確信する程の身体負荷だ。故にスラスターは精々、地上も空中も含めて十字移動に使う事が限度であろう。
(それに……なんだこりゃ? さっきから頭痛がしやがる……!)
その上、搭乗しているだけで明確な身体への影響が出ていた。
ハイドラにはパイロットの神経とセンサー群を連結して周囲の状況を空間的に把握し、意識するだけで目標を攻撃する"精神感応システム"というものを搭載している。要するにメビウス・ゼロのガンバレルを誰でも使えるようにしようという理想を掲げた代物であり、これを通してクローセルは異常な機動と精度を持つショルダークローの動きを可能としているのだ。
しかし、無論これは試作品のそのまた試作品であり、実際には"空間認知能力"のある者の脳と神経に常時更なる負担を掛けつつ、"空間認知能力"そのものを能力の限界を超えて強化するという、コンセプトから掛け離れた上、明らかに人道から外れたシステムが現実である。と言うよりも余りにコンセプトから掛け離れているため、元の実験中に偶々出来たので、それをそのままハイドラに載せてみたとでも言いたいような、明後日の方向に突っ走る実験兵器以上の意味合いは全く無いとも言えてしまうだろう。
『来たか……!』
すると視認出来る範囲にアジャイル8機と、ジンアサルト9機が現れる。明らかに"砂漠の虎"とは違い、偵察ではなく武力によって捩じ伏せる気なのだろう。隊列を崩さずに、一直線にこちらに向かってやってくるそれらは、これまで相手にして来た部隊とは違い、愚直とも言えてしまえる様子に思えた。
実際、相手側の作戦ではクルーゼ隊や、バルトフェルド隊とは決定的な差があった。
それはこの部隊長が、自信という名の傲りと愛国心という名の自己顕示欲を満たすため、アークエンジェルと"世界樹の悪魔"を沈めるという功績欲しさに、今後予定している"一斉攻撃"を前倒しにして襲撃を掛けてきたという余りにも致命的なミスであろう。
実際のところ、この部隊長を責めることは出来ない。何せ、そもそも彼らは元々掌握しており、ザフトの庭とも言える宇宙から地上に降下し、ニュートロンジャマーの影響で、長距離の通信さえ満足に行えない中、これまで作戦を続けてきた紛れもない精鋭部隊である。
そんな彼らに宇宙のザフト軍がたった一人のパイロットとモビルスーツすら落とせず、地球に降下を許す。その上、プラント直々に"たった一機のモビルスーツとパイロットに対しての攻略作戦が明示され、アフリカ周辺のザフト軍全てに指令が下った"ため、地球に留まるザフト軍から、それが何れ程の嘲笑を買ったのかは明白と言えるだろう。
実力の問題ではなく結果の問題だ。実際、地上部隊は既に数々の結果を示しているため、彼らが傲るのは至極当然の事なのだ。如何に強かろうとも宇宙とは勝手の違う地上で、自分達ならば"世界樹の悪魔"を倒せる……と。
そんな彼らの幸運は、"世界樹の悪魔"が不在だった事であろう。それにより、彼らが"世界樹の悪魔"だと思っているモノは、機体を十全に扱えない木偶の坊でしかない。
そして、彼らの何よりの不幸は――。
『行くぜ! 主人の留守ぐらい護って見せろ! ハイドラちゃんよぉ!』
ムウ・ラ・フラガの"空間認知能力"が、"世界樹の悪魔"と同等かそれ以上だった事であろう。そして――既に部隊全てが、その射程圏内に入ってしまっている。
プラントそのものを破壊し尽くす事を目的に、広大な宇宙での戦闘に特化した射撃機体のハイドラにとって、地形適性以前に地上の戦闘レンジは余りに狭かった。巨大な胴体に9つの首を持つ不死の大蛇の名を冠する怪物の力など、人間が想像出来よう筈もなかったのだ。
ハイドラのショルダークローが重低音を響かせながら変形し、弾き飛ぶように極細の有線ケーブルを凄まじい速度で伸ばしながら、クロー部分が空中をアジャイルの飛行速度よりも遥かに速く駆けた直後、8機のアジャイルが、断続的に投げた紙飛行機が床に落ちるような気軽さで墜落していき、次々と爆散する。
『な、なんだこれは――うわぁぁぁ!?』
『あ――ぎゃぁぁぁぁ!?』
更にその状況が理解できず、驚き戸惑うジンアサルトらにショルダークローは迫り、あらゆる距離と角度から全身をビームで撃ち抜かれ、次々と沈んで行く。
"悪魔"
宇宙のザフトが下し、細心の注意して対峙していたクルーゼ隊も、相対して一時の敗戦を受け入れて撤退したバルトフェルド隊も同様の評価を下したが、それは間違いでも誇張でも無かった。その事をこの部隊は強く認識し、誰からでもなく撤退を選んだ頃には、既に部隊は見る影もない程瓦解しており、完全に手遅れであった。
『うおぉぉぉ!!』
そんな中、一機のジンアサルトが肩部のガトリング砲、腕部のグレネードランチャー、脚部のミサイルポッドをそれぞれ発射しながら直立不動のハイドラへ向けて突撃して来る。
『チィッ……!?』
スラスターをほとんど使えないが、機体自体は動かせるため、肩部のEMFシールドを装備して銃弾と爆風を防ぐが、そもそもハイドラが巨大なモビルスーツのため、手足や肩に被弾する。
思えば、ハイドラがマトモに被弾をしたのはこれが最初であった。
(硬ッ!? ホントに何で出来てんだコイツ!?)
しかし、ハイドラは防ぎ損ねた流れ弾をある程度は被弾しつつも、フェイズシフト装甲でも搭載されているかのように装甲が銃弾を弾き、爆風をまるで通さない。
『な、なんだ……! なんなんだお前は!?』
全くダメージになっていない訳ではなく、装甲へ申し訳程度のキズが刻まれてはいるが、所詮その程度であり、相対しているジンアサルトからすれば自慢の武装を全て受け付けず、正面から受け止めた上で不動を貫く怪物にしか見えないであろう。
『悪く思うなよッ!!』
『ひィ――!?』
中距離と言える位置まで近付いてしまったジンアサルト目掛け、ムウはハイドラの背部スラスターを点火し、瞬間移動のような殺人的な加速で、一直線に2機の間の距離を吹き飛ばすように詰め寄ると、黒い腕を振り上げて、灰の手を剣のように立てる。
そして、ジンアサルトが動けるよりも遥かに速く強靭で、人間のようにしなやかで鋭い手刀の一撃が、コックピットの赤いハッチを紙のように貫き、パイロットを即死させると動かなくなった機体を砂地に横たえさせた。
(これで、俺のジンに付けるアサルトシュラウドを確保か。しかし、メビウス・ゼロのガンバレルとはまるで比べ物にならねぇな……)
ムウはそんな事を考えつつ、近接攻撃で一機撃墜した間にも割いている思考で、ショルダークローは他のジンアサルトへの攻撃を絶えず続けている。
結果的に僅か数十秒の稼働で、アジャイルは壊滅し、ジンアサルトは数を半数以下にまで減らしていた。
そして、残った4機のジンアサルトが、ショルダークローの射程圏外から離れて安堵した――直後カラーリングの若干異なる隊長機のジンアサルトのコックピットに背中から風穴が空き、直ぐに砂漠に倒れ伏すと二度と動かなくなる。
『あらあら、お尻が丸見えでございますわよ?』
突如、嘲笑うような声色の女性の声で通信が入り、それに続けて、一機のアサルトジンが、いつの間にか接近していた白と青を基調としたモビルスーツ――デュエルのビームサーベルにより、頭から真っ二つに裂かれた。
そんな様子にムウは小さく肩を竦め、口に出すと何か言われるため、ただ口元に笑みを浮かべる。
(ひえー、うちの女パイロットはみんなおっかないねぇ……)
そのデュエルは、アサルトシュラウドを取り外した素の状態であり、ストライクの持つビームライフルと、ビームサーベルを持っただけの非常にアンバランスで簡素な状態である。
しかし、デュエルとは"G"で最初に開発された機体であり、そもそも"G"という高い機体性能と、フェイズシフト装甲の実用化が成された事そのものが特徴の機体であり、全くそれでよいのだ。
『丸見えなんだよォ!!』
そして、自身らの機体よりも遥かに高性能かつ砂地を既に計算に入れたOSを取り入れた動きをしているデュエルの前に、残り2機のジンアサルトは成す術があろう筈もなかった。
オラッ! 視聴者もGジェネでRTA走ってイケ! イき死ね! 催眠!(ちんちん亭)
※ローンちゃんの黒ドレスはアズレンの着せ替え衣装のアレです。