ノリと勢いで、書いてみます。
いつだったかは忘れたが、物心着いた頃から、俺には前世の記憶があった。
そして、自分が前世で見ていたとある漫画の劇場版で主要キャラとして出てくる人間だ、ということに気が付いた。自分の故郷が、海賊の襲撃を受ける、ということにも。
それに気付いてから俺は何をしたかって?
鍛えるの一択だろうが!!!自分の故郷はもちろん大事だが、何より…家族の命、己の命、そう簡単に失うわけにはいかねんだよ!!!
あんな過酷な人生御免被りたい。
幸い、前世ではその漫画の大ファンであったため、原作はもちろん、アニメ版も劇場版も全て完璧に観賞している。そのため、いつ、どんな海賊が自分の故郷を襲撃しに来るかなんぞ手に取るように分かるというわけだ。
己と家族の平穏を守るため、俺は死ぬ気で鍛練を積んだ。
自分が対峙するであろう海賊は、能力者だ。それに対抗する手段としての覇気はもちろん、作中で自分の戦闘スタイルとなっていた、武術、そして身の回りにあるものを武器として利用する、というのを重点的に強化。世界政府関係の者が使用していた六式という体技も、見よう見まねで特訓してみた。結果──
覇気は武装色と見聞色の二つを習得。武装色に関しては、武装硬化が可能に、見聞色は使っている意識はあまりないが、攻撃は避けられるようになった。
六式は、流石に見よう見まねでは限界があるようで、指銃と鉄塊、また習得できればこの先役立つと考えていた月歩の三式はなんとか身に付けた。
まあ、なんだ、人間追いやられれば何でもできるものだな。
もちろん、家業の造船の手伝いも手は抜かない。勉強してみれば中々面白いもので、妹が生まれてからは妹の手を引きつつ、着々と造船技術を身に付けていった。
そして時は経ち、ついに、例の蒸気船「サラマンダー号」が入港。修理のため、暫くこの町に停泊するとのこと。
ここからは、いつアイツらが襲撃してくるか分からない。毎日蒸気船に通い詰め、たまに修理の手伝いなんかもしつつ、ひたすらに襲撃を待った。
そして、修理も目処が立ってきたある日。チャンスは突然訪れた。
「来たな、ガスパーデ…!」
鴎の上に×印を描いた海軍船から、砲弾が放たれる。だから──
「町を傷つけさせるかってんだよ!!」
サッカーボールよろしく砲弾を蹴り返した。追加で砲弾が飛んでくる前に、一緒に蒸気船を見に来ていた妹を振り返る。
「アデル、危ないから家に戻ってろ」
「お、おにいちゃんは…?」
くっ…!涙目の上目遣い…!破壊力が半端ない…!だが耐えるんだ、俺。ここからが本番だぞ。
「大丈夫、にいちゃんはつえーからな!」
ニイっと笑って妹の頭を撫でる。
少しは恐怖心を解すことができたようで、ガタガタと震えていた身体も落ち着きを取り戻す。そんな妹の様子を確認すると、近くにいた顔見知りのおっさんに妹を託して、俺は未だ海に浮かぶ軍艦へ乗り込むべく駆け出した。俺の妹をあんなに怖がらせるなんぞ生かしてはおけん…!!
途中、何してんだ!無茶すんな!アイツ何で海の上走ってんだ!?みたいな感じの声がわんさか聞こえたが…ウン、気にしないことにする。後で質問攻めにされそうだけれども。
「よっと…どうもこんにちは、ガスパーデ海賊団の皆々さま」
「だっ、誰だテメェは!?」
月歩で海面すれすれを素早く移動し、船体の縁に腰かけると、船員のみなさんに元気よく挨拶をした。
突然船上へ現れた少年に対し、海賊どもは揃って武器を構える。やれやれ、子ども相手に大人げないなぁ。
「人に名前を聞くときゃ…まずはテメェが名乗るもんじゃねーの?」
「ひっ…!」
俺に誰だと尋ねた男の懐へ瞬時に入り込み、鳩尾へ拳をめり込ませる。はい、一人目。
「な、なんだこのガキ…!」
「こんなただのガキ相手に怯むなぁ!!!」
「「オオーーー!!!」」
こう束になって向かってきてもらえると、非常に助かる。一気に片付けられるから。
四方からの攻撃を飛んで避け、海賊同士で相討ちさせる。そのまま上から踵落としで一人ふんずけると、ごった返している中から纏めて何人かずつ海へとぶっ飛ばしていく。その調子でどんどん掃除を進め、いい感じに片付いてきた頃合いを見計らって、敵から拳銃を二挺拝借するとメイントップへと飛び上がり、甲板を見下ろす。
うむ、流石は元海軍将校といったところか。上から見ると、思ったよりも数が残っている。結構倒したと思ったのだが。
「どうしたもんかねぇ…。あ、そうだ!」
思案していた俺の視界に入ったのは、甲板に出してあった大砲。上から銃弾を浴びせつつ、大砲の横へと降り立つ。そして、砲口を甲板の方に向けると…。
「はい、プレゼント」
そのまま一発ドカン。
「アイツは鬼かーー!!」
「こんのクソガキがーー!!」
「覚えてろーー!!」
残っていた奴らのほとんどが海の藻屑となった。
「ほ~、やっぱ大砲ってすげぇんだな」
俺が一人大砲の威力に感心していると、船内から二人、甲板へ出てくる気配を感じた。
「やーっとお出ましか、ガスパーデ」
「オイオイ、騒がしいと思って出てきてみたら…どうなってんだ?」
海軍を裏切り海賊になった男、"将軍"ガスパーデ。そして、もう一人は…。あれ、誰だっけ。
「どーも、将軍さま」
「こりゃテメェの仕業か、クソガキ」
「さあ、どうだろう。まあ大砲ぶっ放したのは俺だけど?」
「けっ、生意気なガキだなぁ、気に入った。俺は強いやつは好きなんだ。俺んとこで働かねぇか?」
「嫌だね」
「そうか、残念だ。ニードルズ、ガキだが容赦はいらねぇ、相手してやれ」
あ、ニードルズだ。思い出せてすっきり。そんなことを考えつつ、手の甲から指のように5本生えている刀より繰り出される攻撃を、危なげなく避ける。
それにしても、彼に対して拳銃はあんまり相性が良くないなぁ。そう考え、念のため彼の両肩に一発ずつ入れてから、拳銃二挺とそこら辺に転がっていたサーベルとを交換した。
しかし、肩に一発食らったくらいでは問題ないらしい。再び斬りかかってくる。
「よっ…と!中々いいパワーじゃん、お兄さん。でも、邪魔。」
そう声をかけると、受け止めた彼の刀を弾き、そのまま胴を斬りつけた。武装色の覇気も纏わせておいたので、ダメージはちょっぴり大きめだろう。膝を着いたのを確認すると、直ぐ様船外へと蹴り飛ばす。立ち上がられたら面倒だし。
「さあ、あとはアンタだけだ、ガスパーデ」
「随分と暴れてくれたなぁ小僧…。お望み通り、消してやるよ」
さて、まずは彼の能力を実際に見せてもらおう。思いっきり頭目掛けてサーベルを振り下ろす。すると──
「うわ…気持ち悪いな…」
頭は真っ二つに割れ、その割れ目は緑色のドロドロした液体のようになっていた。
にしても、想像していたより見た目が気持ち悪い。若干引いてしまった。きっと他の能力も、実際目にすると気持ち悪いんだろうな。
「初めて見るだろう、これが悪魔の実の能力だ。俺が食べたのはアメアメの実──身体中を水飴のように変化させられる。剣はもちろん、打撃も砲撃も、俺には効かねぇよ」
「へぇ、そう。それはどう…かなッ!!」
「グ…ッ!!武装色の覇気だと…!?」
サーベルを捨て、武装硬化した拳で腹に一発お見舞いする。相手はこんなガキんちょが覇気を使うとは想像だにしていなかったようだ。油断していたところを容赦なく叩き込んだので、結構吹っ飛んでしまった。
「ガキが調子に乗りやがって──!!」
「ほらほら、そんな直情的な攻撃じゃ当たんないよ?おっさん」
指先を鋭く固め突進してきたのをさらりと躱し、続いては顎に蹴りを一発。その反動でガスパーデの体は甲板に叩きつけられた。
「ッカハ…!!」
「なーんだ、"将軍"も大したことねぇな」
ただ、こちらも身体はまだ子ども。長期戦になると、体力的に歩が悪い。ここらでさっさと蹴りをつけたい。
「申し訳ないけど、この町は諦めてもらうよ。そして俺のかわいい妹を怖がらせた報いだ──"指銃 乱れ桜"」
超高速で指銃を撃ちまくる技。撃った後、全体像を見ると桜の模様みたいになるので、こんな技名にしてみた。原作で某キャラクターが使用していた"黄連"とかいう技を元に編み出したのだ。
桜の模様って何発撃てばなるのかって?それはご想像にお任せする。
俺の必殺技をもろに食らったガスパーデは、完全に地に伏す。よし、これで俺の未来は安泰だ。家族と共に平穏で幸せな暮らしを送るんだ。一人、そんな決意を固めていると、ガスパーデが息も絶え絶えで尋ねてきた。
「──ッやられたぜ小僧…。お前、名前は」
「俺?俺はシュライヤ。シュライヤ・バスクード」
これが、俺の海賊処刑人としての人生の幕開けだった。
早々に映画は潰させていただきました。シュライヤくん年齢不詳なのであれですが、子どもがこんな強かったら怖いですよね、フツーに。まあ、センスがあるということで。(逃げ)
シュライヤは作者の中では救い用のないシスコンです。
作者も映画を観たのが随分前でして、しかも戦闘描写とか不慣れでして、ちょっと(いやかなり?)変なところあるかもですがお許しください。