たいっへん長らくお待たせいたしました。(待ってないとか言わないで)
筆が乗らなかったんですごめんなさい。いやー、ノリと勢い怖いなぁ。
ハイ、次回はもう少し早めに…。頑張りマス。
「シュライヤー、お客さんだぞ」
「え?あー、わかった、これ終わったらすぐ行く」
あの日からというもの、海軍の人はもちろん、何故か海賊にも俺の噂は広まったようで、月に数回は誰かしらが俺を訪ねてくるようになった。数年が経ち少しは落ち着いてきてはいるが、来訪者が止むことはない。
時にはお土産持ってきたぞ、だったり、はたまた稽古つけてあげる、だったり、おいこら勝負しやがれ、だったり。なんだかもう馴れてしまった。
ただ、勝負しやがれタイプの人間は港で騒ぎ出すことがなきにしもあらずなので、正直かなり迷惑だ。今となっては某アイマスクおじさんのお陰で覇気も鍛えられたし、すぐ気づいて止めに行けるから甚大な被害になることはないのだけれども。
というか勝負って何なんだ。道場破りみたいなノリなのだろうか。
そんな悩みを抱えつつも、まあそれなりに、幸せな日々を送っていた。
「お兄ちゃんまたお客さん?」
「おー、どーせまた勝負しろとかだろ。ちょっと行ってくるわ」
「行ってらっしゃい、怪我しないでね?」
アデルにそんなこと言われたらお兄ちゃん頑張っちゃうよ。
そう、妹がいれば基本的に俺は幸せなのだ。彼女が俺の幸福メーカー。因みに、俺がでろでろに甘やかし、可愛がられて育ったので、原作のような男勝りな口調にはなっておらず。的確に俺の萌えツボを抉ってくる可愛らしい妹に育ちました。原作のアデルも可愛かったが…やはり今のアデルが一番だな。この可愛さに勝てるかっての。
そんな俺の世界一の妹に見送られながら、作業場を後にする。さて、今日のお客は誰だろう。まあなんとなくは予想がつくが。
「やーっぱアンタか、じじい」
「おお!来たかシュライヤ!」
酒場で待っていたのは、"正義"の文字を背負ったじじいことモンキー・D・ガープ。数ヵ月に一回、土産物を片手にふらっとこの島を訪れる。このじいさん未だに俺を海兵にするつもりらしく、毎度しつこく勧誘を受けるのでもうたまったもんじゃないが。
「ほれ、今日は珍しいモン持ってきたぞ」
「お?…これ、は」
手元に投げられたのは、一つの貝殻。見た目は何の変哲もない、ただのちょっと大きめな貝殻だが、珍しいものということは───アレか。
「そこ押せるじゃろ。押してみぃ」
「ん、ここか?」
言われるがまま、貝の中央部を押す。すると──
「ぶおっ!?ちょ、突風じゃねぇか!!何だこれ!!」
「ぶわっはっはっは!そりゃの、
「空島…なぁ。」
知ってはいたがこう改めて目の前にすると、不思議な感覚だ。貝殻に押す部分があって風が吹いてくるなんぞ普通に考えたらあり得ない。
しかも
「本当にこれもらっていいのか?」
「もちろんだ、好きに使え!」
それでは遠慮なく、頂くとしよう。しかし、こんな大層な土産物ひっさげて来るとは…今回の来訪、何かある気がする。
その後、いつものように海軍での愚痴だったり孫の自慢話だったりをすっかり放し終えた頃、さあさあお待ちかね、飛びっきりのニュースが投下された。
「そうじゃ、すっかり話すの忘れとったわ。今年中に、そこの離れ小島に海軍基地を建設することになったぞ」
「は!?まじかよ」
この島の沖合いには、町がつくれるほどの大きさはないものの、ちょっとした無人島のような離れ小島があった。今までは誰もその島に手をつけることはなく、たまに子どもが冒険しに行こうとして大人に怒られるくらいのものだったが…。とうとう、姿を変える時がきたらしい。
近くには支部がなかったため、島に支部ができるのは大変助かる。海賊が来てもすぐ対処して貰えそうだ。俺が伸した賞金首を預けるのも楽になるし、万々歳。毎度通報するの面倒だったんだよな。
しかし、その話をわざわざ俺にするということは───
「そこでだな…シュライヤ、その支部で海兵になってくれんか」
「イヤだって」
そうくると思った。全く、このじじいは何時になったら諦めてくれるのだろう。俺は海兵になる気は微塵もないと言っているのに。
「何で~~!あそこなら家族とだってそんなに離れんしいいじゃん!」
「いや、そういう問題じゃ…」
「シュライヤ!!!!大変だ!!!!」
しつこいガープのじいさんを宥めようと口を開いた直後、酒屋の扉が開け放たれ、船大工の仲間が駆け込んできた。
「ん?そんなに焦ってどうした」
「ア、アデルが…!!」
その言葉を聞いた瞬間、酒場を飛び出す。
すぐに見聞色の覇気でアデルの居場所を探ると、町の端にある空き家に気配を感じた。他にも数人の気配を感じる。つまりこれは───拐われた、ということだろう。
「くそ…!!」
俺のせいだ。
俺がもっと修行していれば、もっと早く気が付けたのに。
空き家に到着するとすぐさま扉を蹴破り中へ突入する。そして目に入ったのは、拘束されているアデルの姿。周りの野郎共は顔すら目に入らないが、差し詰め俺が倒した海賊団の生き残りと言ったところだろう。
「お、お兄ちゃん…!!」
俺が、もっと強ければ。
「アデル…。」
俺が、もっと、もっと、強ければ。
「汚ぇ手で、アデルに触るなぁああ!!!」
───そこでプツリと、俺の記憶は途切れた。
「…ヤ、シュライヤ、起きろ」
「っ───!?じじい…おれ、今、何…ア、アデルは!?」
ガープのじいさんに揺り起こされ目を覚ませば、そこは見慣れた酒場。
先程まで対峙していたはずの海賊たちも、アデルも見当たらない。
「落ち着け。妹なら無事じゃ。家で寝とるわい。それより…自分が何したか、覚えとるか?」
「えっ、と…。」
アデルを、助けるために、空き家に行って、それから…。
「うむ、覚えとらんようじゃな」
「…俺、何した」
「海賊共は倒したさ、しっかり、一人残らず。ただ…。」
「…ただ?」
「アイツらには一つの傷もなかった。お前さんにもな。どういうことか、分かるか?」
傷をつけずに、全員倒す。そんな芸当、あれしか思い浮かばない。
でも、まさか、俺が。
「覇王、色…?」
無言で頷くじいさんの表情から、嘘ではないことがはっきりと伝わってくる。
自分の心臓の音が、嫌なほど頭に響く。
覇王色───使うことができるのは、"王の資質"を持つ者のみ。威圧だけで相手を卒倒させることのできる覇気。前世の記憶は段々と薄れてきているが、その能力ははっきりと覚えている。
そんな、力が、俺にあると。
「…まあ、深く考えすぎるな。どうにかなる。お前さんは好きに生きればいい」
「好きに…。」
この島で、家族と、みんなと一緒に、楽しく過ごせれば、そう思っていた。
大切な人を守るためにも、ここに居ようと、思っていた。
でも、無理だった。
俺が居ることで、今日みたいに、また俺の大切な人を傷つけてしまうかもしれない。
制御しきれない自分が、暴れてしまうかもしれない。
ああ───神様が本当にいるのなら、ぶっ飛ばしてやりたい。
何で俺に前世の記憶を残した。何で俺に覇王色なんて代物を授けた。
全く、迷惑な話だ。
お陰で俺は、
旅にでなきゃならなくなった。
「…じいさん、俺、海へ出る」
「…そうか。」
「ハァーーーー、ぜってー家族の側離れないって決めてたのにな!!何だってんだ!!くそっ!!こうなったらとこっとん鍛えて俺の大切なもん───ぜんッぶ、かんッぺきに守り抜いてやらァ!!!」
「ぶわっはっはっは!!流石はわしの見込んだ男じゃ!!」
こうして俺は、また一歩、巻き込まれる道へと足を踏み出したのであった。
はっはー、もう待ちきれずシュライヤくん海に放り投げることにしました。
そして最初は覇王色なんて使わせる気なかったんですけど気付いたら使ってました。(反省)
いやー、ノリと勢い怖いなぁ。(二回目)