今日も僕は一人で戦っていた。
「おりゃあ!」
自分の相棒と二人で戦場に立っていた。
「ミッション攻略完了」
倒してきた相手機の残骸を照らし出すように、夕日が地平線の彼方へと沈んでいく。優しくも、燃えるように大地を照らす夕日に背を向けて、その場を歩き始めた。
「帰ろうか、イフリート」
相棒の名前を誰も居ないフィールドに残して……。
今日も学校はつまらない。皆、昨日のテレビの話だの、芸能人の誰それの話だの、誰かと誰かが付き合った別れたの、本当にくだらない。早く帰りたい……、そしてGBNをしたい……。
雲ひとつ無い晴天きらめく窓辺に溜め息を付く、僕・月城雄雅は一人溜め息をつくのだった。
「やっと帰れる……」
あれから何かやることは無いかと考えていたら、ふいに自分の機体のカスタマイズのデザイン案が降りてきたのでノートにシャープペンで描き殴るように形に起こしていた。
でも、ここからは僕の悪い癖で『自分の好きな物、興味のある物』に関して考えると、周りからの音などを全て遮断してしまうのだ。だから、誰かが僕の名前を呼んでいても直接肩を叩かれたりしないと分からないのだ。
『月城、お前何してるんだ?』
その所為で授業中も描いていたのがバレて、ちょくちょく先生に怒られる事はあったけど。
でもさ、何かに一生懸命な生徒の邪魔をするのは良くないと思う。先生が声を掛けなければ『武器』と『足のパーツ』で凄く良いものを思いつきそうだったのに……。
まぁ、授業中にしていた僕が悪かったのです、ごめんさい……。
「行くか、シュナイド」
駐輪場に停めてある通学用のクロスバイクを取り出し跨る。シュナイドは自転車の名前だ、この方がテンション上がるから。
さぁ、僕と相棒の輝ける戦場の場へと導いてくれ!
「すみません、生徒会の者です。少し学校の事でアンケートの協力してもらっても良いですか?」
「え、えっと……。そ、その、ぼ、ぼ、僕ここ、これから用事が……」
「そうですか、ではまたの機会に。生徒会の者です……」
そう、僕はこうして割と何か物事にははっきりと物申すタイプと思われがちだが、実際はただの人見知り。自分の中では強がった態度を取れるけど、現実の方に出すことはまず無い。何でか?理由という、理由は無いけど……。
「って、時間がなくなる!」
頭の中で色々考えていたが、実際はそんな余裕は無いのだ。腕時計を見ると、自転車を取りに来てから十分も過ぎていたのだ。早く行かねければ。校門までゆっくりとシュナイドを漕いでいき、出てからは安全運転で目的地に向かった。
「あ、ユウガ君!」
「どうも、ナナミさん」
僕がやって来たのは自宅と学校からの中間地点に位置する『THE GUNDAM BASE』という、ガンプラショップ。
「今日もGBN?」
そしてこの人はここで働く店員さんの『ナナセ・ナナミ』さん。ガンプラのショップの店員さんなのに、ガンダムの知識に疎い。
「じゃなかったら、僕は基本的に来ませんよ」
「何でよ〜、ガンプラとか品揃えよく置いてるじゃん」
「じゃあ聞きますけど、僕の使ってる機体の登場作品は?」
「えっと……、『機動戦士ガンダムUC』?」
「正解です、まぁ初期のは別の作品ですけど」
「やった〜、ほら私だって少しは判るでしょ」
一問正解しただけですごいドヤ顔を決めるナナミさん、なんと大人げないことか。
「じゃあ次に行きますよ、これから僕が買うこの機体の登場作品は?」
そう言いながら、来る途中に棚から持ってきたHGキットをレジに乗せる。
「名前は〜『ジェスタ』って言うんだ」
名前の部分は見えるようにし、作品名の部分だけを手で覆って隠す。
「『ジェスタ』……、『ジェスタ』……、う〜ん……」
箱を睨むように見つめるナナミさん。何でこの人はここで働けるのだろう、お客さんから『○○のHGが欲しい』とか、『##のMGのありませんか?』と聞かれたらどうしているのだろう。
とてもナナミさんには面と向かって言えないような、疑問を浮かべていると、
「分かんない〜……。ねぇヒント頂戴、ヒントは何か無いの?」
「ヒントですか、ヒントならさっきナナミさんが自分で言ってました」
「えぇ〜、私が?」
更に解らないと言いたげな表情を浮かべながら、会計をするナナミさん。
「さっき私が言ったのは……分かった!『機動戦士ガンダムUC』でしょ」
「そうですよ、正解です」
「やった〜!はい、じゃこれね」
「ありがとうございます」
代金を丁度支払い、袋に入った『ジェスタ』のキットを受け取る。
「もう少し、勉強してくださいよ」
「だってガンダムの作品っていっぱい有るんだもん……」
『有るんだもん』じゃないよ……。
「ここの店員なんだから、頼れるのナナミさんだっけだって時も有るんですよ」
だからこうして偶にガンダムの事を教えてるんだから。
「うぅ……、ユウガ君〜。ありがとう〜」
「ちょっと、抱きつかないでくださいよ」
本当にちょっとおだてるとこうなんだから、しっかりして欲しい。
「それと『ダイバーズギア』、空き有ります?」
「そう言えば、そうだったね」
本題に入ろうとすると、ナナミさんも満足したようで僕を離した。
「今、四人居るけど、あと二席空いてるから」
「最近多いですね、ここを使う人」
「まぁね!」
何故か嬉しそうなナナミさん。僕が使い始めていた頃は、この時間には僕しか居なかったのだが……。
「そうだ、ユウガ君」
ダイバーズギアの設置してある『ダイブルーム』に入室しようとすると、
「私もGBN、本格的に始めたから」
「ナナミさんがね…、ちゃんと操縦出来ますか?」
「ユウガ君、私の事からかい過ぎだよ!」
「あはは、冗談ですよ。じゃあ、今度一緒に遊びましょうよ」
ナナミさんがどんな機体で、どんな操縦するのか見てみたい。
「良いよ、なら今度の休みね」
「了解です」
約束を取り決めた所で、
「ユウガ君、行ってらっしゃい!」
「はい、行ってきます」
ようやく、GBNにログインすることが出来たのだった。
「今日はどのミッションを受けよう……」
新作の案が思いついて来ているから、今の相棒の状態を再確認したいな……。
悩みに、悩んで選んだ結果、
『フォースデュエルの申込みを確認しました』
チームでの対抗戦を選ぶことにした。
丁度隣でも、幾数名のダイバーが、
「今日は何する?」
「僕、新型の武器を試したいんだ!」
「どんなの、ねぇどんなの?」
「私も機体を調整したから、能力をみたい」
「じゃあ、僕はそれに付き合うかな」
「私も、皆の戦いを見たい」
「なら、フォースデュエルで皆で戦おうよ」
どうやら、僕と同じように申し込んだらしい。
まぁ、同じタイミングで申し込んだからって、対戦相手になるわけじゃ無いだだろうし。だって、向こうは『六人』で、僕は……。
『対戦相手が決まりました。対戦相手は〘ビルドダイバーズ〙』
「〘ビルドダイバーズ〙?聞いたこと無い……」
『対戦者が決まりました。対戦相手は〘Oratorio〙』
「〘Oratorio〙、どんな人が居るんだろう」
「「あれ?」」
僕も、彼らも、自分の所属するフォースの名前が聞こえて、動きがピタリと止まる。
「「そんなまさか……」」
そして、お互いの申込み画面を覗き込む……。
「いや、決め方雑すぎるだろうが!」
「いや、決め方簡単すぎるだろうが!」
「えっと、じゃあ……」
「つまり……」
「君たちが…」
「貴方が…」
「僕の、(俺たちの)対戦相手何ですか!」
実際、これが全ての始まりだった。僕が目指すものを掴んでいる彼らと、彼らにはまだ無い何かを持っている僕の、運命の倒錯は。
初めての人ははじめまして、他作を読んでいる人はどうも。
今回は『暗い』物語ではなく、『明るい』物語を目指して行きたいと思います。
バトル物の小説は書き慣れていないので、何かアドバイスなどがあれば幸いです。
こちらの作品もよろしくお願いします。
ご閲覧していただきありがとうございました。。
感想などお待ちしております。