もし自動浄化システムが世界に広がったら…というifです。
続きは…今書いているやつが完結したら考えます。
あるかもしれない物語
グロテスクな景色の中で、一人の女性がバケモノと対峙している。
「やあっ!」
掛け声と共に、手に持つ鏡に魔力を注ぎ込む。すると鏡から輝く魔力の弾が発射され、今正に自分を喰らおうとしていたバケモノ…「魔女」を貫いた。
「―――――!?」
魔女は声にならない悲鳴をあげながら倒れ、そのまま二度と動く事は無かった。それを見て身体から力が抜け、ぺたんと尻餅をついてしまう。
周りの景色は「結界」の主である魔女が倒された事によって、グロテスクな景色から元の景色―難民達のキャンプへと戻っていた。
座り込んだままぼんやりとしていると、背後から声を掛けられた。
「ようっ、お疲れさん」
振り向くと、そこには銃を背負った銀髪の男性が立っていた。慌てて立ち上がり、その長身のシルエットに敬礼をする。
「お疲れ様です!指揮官殿!」
「指揮官はやめろっていつも言ってるじゃねぇか。オレとお前は同い歳だろ?」
男…リューン・ノックスは苦笑しながらひらひらと手を振った。
「しかし…」
「ここは軍隊じゃねぇんだぞ。しかもお前はオレ達の所では数少ない『魔法少女』…寧ろオレが敬語使わなきゃいけない立場だよ」
その言葉に、余分な力が抜けるのが分かった。
「…ありがとう、リューン」
「礼を言いたいのはこっちの方さ。お前が居なきゃ、オレ達は今頃魔女にやられてただろうし」
リューンは腕時計を一瞥し、それから空を見上げて言った。
「そろそろメシだ。…戻ろうぜ?アリス」
その言葉に大きく頷き、
20××年。
魔法少女の存在は、彼女達を取り巻く呪縛からの解放と同時に世界に知れ渡った。ある学者を初めとした少数の人々が、その事実を世界に公表したのだ。
初めは困惑の声が多かった。だが魔法少女が魔女と戦い、人々を救っているという事実が再認識されるにつれ、魔法少女は次第に受け入れられていった。
「ワールド・マギア・ユニオン(WMU)」という組織がある。
魔法少女の完全なる社会参入を目標に、全世界の魔法少女とそれを支援する人々から成る、一言で言い表せば「魔法少女版国際連合」のような組織である。
現時点での主な活動は魔女の討伐とそこから派生する平和維持活動(PKO)であり、つまりは国際連合の関与が難しい「魔法少女や魔女」の領域を担当している。世間一般には国際連合の外部組織といった形で認識されている組織だ。
有川すみれが属する「中東部隊」は名の如く中東地域の魔女討伐を担当している。リューンは「数少ない」と言っていたが、この部隊には60人ほどの魔法少女が常駐しており、援軍が必要ならば申請すればいい話だ。
戦う相手も、「呪縛からの解放」の前に生まれた魔女であり、数は少ない。魔女の掃討完了は目の前まで来ている。
これで、苦しむ人も減るだろう…そう思っていた。
この時点で、魔法少女達はまだ理解していなかった。
魔女が居なくなっても、戦いという宿命からは逃れられない事を。
彼女達の次なる相手は―「人間」
自分達が守ってきたものが、自分達に牙をむく瞬間が、すぐそこまで迫っている事を…彼女達はまだ、知らない。