魔法少女の物語   作:転寝

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いろはちゃんが誕生日だと聞いて。
突発的に書いたのでクオリティは低いしよく分からない話になってます(いつもの事だけど)
時系列は…灯花とねむに出会う前だと思っていただければ。


誕生日の願いごと

 例えば、誕生日の夜に不思議なちからを持った存在が現れて、「君の願いをひとつだけ叶えてあげよう」と言ったとする。

 その時、自分はどんな願いを言うだろうか。お金持ちになりたいだとか、幸せになりたいだとか、あるいは別の願い事をするかもしれない。いずれにせよその願いは叶えられ、翌日からは以前までとは違う生活が始まる事だろう。

 勿論現実的に考えてそんな事は有り得ないのだけれど、もしそんな奇跡が起こったら。

 これは、そんな話だ。

 

 

 8月22日。

 多くの人にとっては何の変哲もない一日になるであろうその日に、環いろはは誕生日を迎えた。

 

「お姉ちゃん、お誕生日おめでとう!」

 

 白を基調とした病室に、元気な声が響く。

 声の主―環ういは満面の笑みを浮かべながら、姉の誕生日を祝福した。

 

「ありがとう、うい」

 

 いろはは嬉しそうに微笑む。二人は仲が良い姉妹でありながら、同時に友達の様な関係でもあった。喧嘩もしないし、それでいてべたべたとくっつく事もしない。丁度いい関係だと言えるだろう。

 広い病室で、ういと色々な話をする。学校の行事の事とか、病院の外に広がる世界の事など、話題は尽きない。

 だが―ういと話している最中、ある感情がいろはの胸中を過ぎった。

 ―私は、ういを友達の代わりとして見ているのかもしれない。

 先程も書いたように、いろはとういは姉妹でありながら友達の様な距離感で接している。自分がそれに依存しているのではないかと、そう思ってしまったのだ。

 元々いろははぼっちでコミュ障であり、それでも周りに取り残されないように笑顔を浮かべているような女の子だった。友達が欲しいと思った事はあるのだが作り方が分からず、いつも躊躇ってしまう。

 結局今の今まで友達と呼べる人間は居なく、ういを友達の代わりとして見るしか無かったのだった。

 いろはは表面上はういと笑顔で話しながら、心中でそんな自分に嫌悪感を覚えていた。

 

 

 夜。

 ベッドに入って暫くしてから、不意に目が覚めた。

 といってもここはどうやら夢の中らしい。あたりは真っ暗だし、先程まで寝ていたベッドも無い。自分は暗闇の中に突っ立っている様だった。

 ぼんやりとしていると、何処からか声が聞こえた。子供のようにも大人のようにも、男のようにも女のようにも聞こえる不思議な声だった。

 

 ―君の願いをひとつだけ叶えてあげよう。

 

 声は優しくそう言った。

 願いを叶える?

 そんな事が可能なのだろうか。

 そもそも何故私なのだろう。

 

 ―君が今日誕生日だからだよ。誕生日にそういった事が起きたって不思議ではないだろう?

 

 声はそう言うが、普通に考えれば不思議だった。

 でも、これは夢なのだ。

 なら、そういう事があったっていいのかもしれないと思った。

 

 自分の願い。

 ふと、ういと話していた時の事を思い出して、いろはは「それ」を言った。

 

 ―本当にそれでいいのかい?

 

 声は念押しするように聞いた。

 いろはは頷いた。

 自分にとっての最善の願いは、これしかなかった。

 

 ―分かったよ。今、君の願いは叶えられた。

 

 暫くして、声はそう言った。

 いろはがありがとうと言うと、声は嬉しそうに、

 

 ―これからの君の誕生日が良いものになる事を願っているよ。

 

 そう言うと同時に目が覚めて、視界に見慣れた部屋の光景が映りこんだ。

 変な夢だなぁと思いながら身を起こし、本当に願いが叶ったのかをぼんやりと考える。

 最も―夢の中での事なのだから、叶うはずがないのだけれど。

 

 

 それからかなりの時間が経って、また誕生日が来た。

 それは以前までのようなものでは無く―たくさんの人の笑顔に満ち溢れた誕生日だった。

 

『ハッピーバースデイ!』

 

 友達。

 家族。

 仲間。

 大好きな皆との誕生日だ。

 

 ―どうやら、自分の願いは叶った様だった。

 目を閉じると、脳裏であの声が「良かったね」と言っている様な気がした。




今更ですが、「このキャラクターのこんな話が見てみたい」というリクエストがありましたらそれに沿って書くこともあります。ただ不定期投稿なので遅くなる場合が殆どです。
まあ来ないと思うけれど。
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