異世界転移してきた姫騎士を助けたら俺がTSして騎士になった件   作:バソルト

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~三日月~

 

 

以外にもブラジャーは硬い。

ワイヤーが入っている事は知っていたが、知識だけではどうにもならない。

 

フック式で後ろで止めるタイプもの、スタンダードなタイプでこの国で最も売られているタイプだ。

 

カップは固く、紐はそれなりに柔らかい。匂いは新品のためか、至って普通の。

言ってしまえば、普段履いている下ろし立てのパンツとかの匂いと変わりはない。

現実的な話だが、驚くべき発見があった。

 

カップの部分にはポケットがある。

 

何に使うものかは解らないけども、ここに夢を入れるに違いない。

 

そこに来て俺に電流が走る。

 

 

「そうか、だから固かったのか」

 

 

それは装飾とかそんなのではない。

夢を守るために固いのだと。そう思ったのだ。

 

人の夢は儚く、それを護るために固く。

 

しかし柔くを追求した結果がこれなのだろう。

 

そうか、俺の抱いていた想いは間違っていなかったんだ。

さて、あまりの事に前後不覚に陥ってしまった。

俺は悪くない。

 

むしろ思ったよりも沸き立つ思いが少なかった事にビックリだ。

 

続いて……パンツ……だけど。

 

よし、夜まで取っておこう。

綻び緩む表情を鏡で見ると、なんとも気持ちの悪い、変態な顔をしていた。

あまりの顔に、モザイクをかけられそうな程に酷い顔。

着替えなくちゃ始まらないが、宝があったんだから仕方がない。

 

仕方がないったら、仕方がない。

 

取り敢えずはズボンは最後に着替えるとして、上着から脱ぐか。

今ズボンは無理だからな。

 

にしても、寝ぼけて着替えるのは普通だとして。

俺が最後に着た服はボロボロのスウェットである。

 

床に散乱しているのは仕事着で、どうやら眠り続けたわけではないらしい。

 

寝相で脱ぐことはあっても、着替えることはありはしないのだから。

 

今まで生きてきた経験則から来る考えだけど。夢遊病だという推理が外れていなければ、俺は寝たままのはず。

 

それがどんな病気かは知らないけど、意識レベルは睡眠時と変わらないと仮定する。

 

そもさん以上の事柄を総合して考えれば、今回の件は奇妙だ。

 

寝ていて覚えていない。のではく。記憶が喪失してしまった。

 

その表現が正しいのだから。

 

そうすると、どうだろうか俺の奇行を間近で見ていたであろう千束。

 

メールの文面からはいつもとは違う雰囲気を感じる事は出来ない。

 

だとすれば食料を考えれば二人、または複数人と共に居た。

そう考えれば自然ではないか。

 

そう考えていたが、空腹の腹の虫が鳴る。

 

あくまで憶測の域を脱しない勝手ないつもの妄想だ。

 

そう片付けるしかない。

 

空腹には勝てないから、この考えはもう止めよう。

 

あとは満腹になってから考えるとしよう。

 

空腹は、何事にも耐えがたいものだから。

満たせる状況ならば満たしておこう。

 

そうすると冷蔵庫の中は卵が充分にあるぐらいで、オムレツ位しか出来そうにない。

 

だが焦げるから無理。

火加減がどうも上手くはいかない。

それにモーニングセットの分が足りなくなったら死活問題だ。

 

いくら閑古鳥が鳴くほどの経営状況だとしても、朝はそれなりに客足がある。

何人かは常連さんになりつつあるのだから。

 

晩御飯は何が良いだろう。

 

今から手をかけた物はモチベーションが上がらないし。

何よりも直ぐに出来るのが良い。

 

 

「よし、豚のしょうが焼きだな」

 

 

誰かがいっていた気がする。

今夜はあえて豚のしょうが焼きだと。

 

本格的に寒くなる前に、まだ日の暖かさが残っている内に買い物を済ませよう。

 

急いで私服に着替えると。

なんだか急に懐かしさが溢れ出て、涙を流しそうになる。

 

当たり前の事なのに、何故か嬉しさと悲しさの両方が一気に押し寄せてくる。

不思議な気持ち。

 

革ジャンを羽織れば着替えは終わり。

別段ウエイトレスに革ジャンでも良かったのだが。

仕事着なのだから、私生活では着ないようにする。

 

というのがおやっさんの受け売りだ。

 

さて、着替え終わったが革ジャンが心なしか伸びているような気がする。

 

特に胸囲部分が。

 

深く考えても気にしないさと、自分に言い聞かせ。

下まで降りると、家の鍵を閉めバイクまで歩いて行く。

 

小脇に抱えたヘルメットの顎紐が、歩く度にカタカタ音をならす。

 

気が散ったお陰で辺りはすっかり濃紺色の世界に変わってしまった。

 

気温も低くなり、これでは夜の走行と変わり無い。

 

バイクに寒さを和らげる機能があったら良いのだが。

 

現代科学で、それは不可能に近いし、バイクとしての良さが損なわれてしまうように思える。

 

中庭を歩き空を見上げると、もう夜空といっても良いだろう。

 

最近は日が長くなったような気がするが、季節は冬の終わり頃。

 

今だ夜明け前の、寒さが一番冷え込む時は吐く息が白くなる。

 

まだ大丈夫。

まだ、あまり寒くはない。

中庭の家庭菜園を横目に歩きながら、今年は何を植えようかと考える。

 

去年はナスときゅうり一昨年はトマトときゅり。

 

そういえばこの家に世話になったときから作り始めたな。

 

基本は夏野菜を中心に、今年は二毛作でもしようかと考える。

 

中庭を歩ききると、店の前まで歩いて行く。

私生活の出入り口は基本、中庭から路地裏にでる裏門からだ。

 

裏門を出ると回り込み駐車場へ歩いて行く。

 

店からだと直ぐに着くのに、遠回りをしなければならないのが難儀である。

 

バイクは特別製の一品物。

車種はブリリアドロ。

名前はヴェイヤンティフたん。

 

イメージは金髪ツインテールの幼女である。

 

あくまでイメージで、実際に擬人化してくれたらどれだけ良かったか。

 

良くも悪くも、俺の昔からの相棒。

誰かから譲り受けた様な気がするが、顔がいまいち思い出せない。

 

 

「よし、行きますか」

 

 

エンジンを始動。

素直にかかってくれ、今日も機嫌が良くて良かった。良かった。

 

轟音を鳴らし、道を行く。

 

さながら一頭の馬のごとく。

その気高きバイクのボディーは街明かりを映し様々な色に煌めく。

 

結構な距離は無く、直ぐに位置する。

真夜中のスーパーマーケットに、男が一人で夕食の為に買い物に行く。

 

その背中に哀愁と悲しみを背負い……という願望。

 

人も少なく、自信の存在感の無さを披露しスムーズに買い物を済ませていく。

 

夕食の材料を買い、足りない店の食料品を買い。

 

もはやここの棚は全て把握した。

普段使わない物でも直ぐに見つけられるし、目を瞑っても進むことが出来る。

 

さらにここには粒揃いの若妻とか人妻が居る。

その美味しい、油断した服装を見るのも一興だし。

 

背徳的な妄想も、加速するというものだ。

 

勿論、俺の好みは巨乳だ。

知らなかっただろう。

 

あ、弁解する。

みずみずしい若い娘が好きです。

けしてアブノーマルなんかじゃありません。

 

ロリコンは土に埋まれば良いと思う。

 

ロリ巨乳好きは、巨乳ジャンルなので良しとします。

 

 

「きゃっ」

 

 

そんな重要案件を思想していると、人とぶつかってしまった。

 

俺としたことが何て言うことを。

此処は俺の庭だと言っていた自分が恥ずかしいじゃないか。

 

 

「ご、ごめん大丈夫」

 

 

何故か押し倒される形で俺が下に。

ぶつかってきた人が、上にと何とも器用な転び方をしたものだ。

 

蛍光灯の明かりで顔の判別が付きにくいが、声からして女の子。

 

天子ちゃんと同じ制服を着ているので、高校生位だろう。

 

何故か俺の胸に手を置いて、中々動こうとはしてくれない。

 

なんて逆トラブルだよ。

 

変われ、その立ち位置を。

今すぐ上下逆にだ。

 

 

「すいません」

 

 

そういってやっと退いてくれた女の子。

過ぎたことだが、もう少しあのままでも良かったような気がする。

 

 

「こっちこそ、前をよく見てなかったみたいで」

 

 

夕方過ぎで混雑も解消され一時の安息と言わんばかりに、客足が途絶えた店内。

 

 

そこには。俺の目の前には、金髪の異人さんが立っていた。

 

なんでだ。

あれか、俺が金髪ツインテールの幼女を連想したからか。

 

更にはロリコンは土に埋まれば良いと言っていたから、女子高生なのか。

 

 

「その……どこか悪いところはないでしょうか」

 

 

流暢な日本語に少しばかりのトキメキを覚える。

 

金髪ショートカットのその女の子、襟足だけ長くポニーテールの様に纏めている。

 

青碧眼のその眼で俺を心配そうに見つめてくる。

 

 

「あぁ、このとうりピンピンしている」

 

 

少し前屈みになりながら、元気アピールをして安心させなきゃ。

 

 

「そう……ですか」

 

 

目線が一瞬ズボンに行ったような気がするが、気のせいだろう。

 

 

「では」

 

 

そういって、そそくさと買い物篭に散らかった物を入れるとその場を逃げるように去る。

 

しかし危なかった。

胸はそれほどのモノだが、足とか腰回りが綺麗だった。

 

あんなのに……乗られたんだよな。

 

うん、得したぜ。

 

そのままレジへ並ぶと、その近くの冷凍食品コーナーの方を見る。

 

さっきの女子高生が、アイスを吟味していたのだ。

 

そんなのより、コンビニのレジで買うアイスの方が美味しい気がする。

いや、例外もあるか。

 

もしかしたら氷アイスの方かも知れない。

 

体温が低かったが、大丈夫なのだろうか。

 

この寒空の中にアイスを食べる勇気は俺に無い。

 

でも、もしかしたら、家で食べるのかもしれない風呂上がりに。

 

風呂上がりの、あの女子高生が一瞬頭に浮かんだが急いで俺はかき消した。

 

と、店員の呼び掛けに気付き急いでそのまま会計を済ます。

 

気にはなるが、もう会うこともあるまい。

家に来てくれれば、アフォガードでもサービスしよう。

 

決してやましい気持ちは無い。

 

 

少し寒い店内から外へ出ると、外はすっかり寒くなっていた。

 

別段どうって事は無いが寒いのはどうも苦手である。

特にバイク乗りとしては、の意見だが愛があれば大抵の事は乗り切れるらしい。

 

そこは同意権だ。

あれ、でも昨日の俺だったら否定していたような。

 

気にしても何も始まらないが、俺の価値観が少し変わったような気がする。

 

そういえば、どこに荷物をしまえばいいんだ。

スペースが無ければ、配達も買い出しもとても困る。

 

もし、この娘が生きていたならば。

俺のために荷物を積めるだけのスペースを……って、考えが過ぎたか。

 

 

「確かこう弄くると」

 

 

あった、そう言えば作ってたんだった。

 

そんなに広くはないが、確かに作った。

無駄に装飾が施され、大きいから無い方がおかしいんだ。

 

品をしまい、エンジンを始動。

その大きな音に何人か振り返ったが。

好きでこの音にした訳ではなく、排気量がそうさせているのだから勘弁してほしい。

 

ヘルメットを被り、手袋を装着する。

革ジャンの前を閉めて、いざ発進だ。

 

アクセルを二回噴かし、その場から走り出す。

 

眼前には夜空の星と街明かり。

 

あんなに感じていた空腹感は、あの御褒美で吹き飛んだ。

 

さて、バイクを走らせると俺の悪い癖が出てしまう。

 

それは無駄にドライブしてしまうことで、イライラやストレス発散する事。

 

スピード狂というわけではないが、速いのは好きだ。

 

腕にはそれなりに自信はあるが、それは井の中の蛙に過ぎないだろう。

 

慢心は時として、死を生みかねない。

大袈裟かもしれないが結構、大事な事だ。

 

そんな俺が素直にこのまま帰るわけもなく、バイクはあれよあれよと言う間に山道へ。

 

 

3日間眠りこける前もこの道を通った気がする。

たしかこの道を曲がれば直ぐだ。

 

次の道を逆に曲がれば、愛さん家の裏側道に出るし。

更に進めばすごく遠回りだが天子ちゃん家の神社に出る。

 

このバイクをとめられる者は居ない。

夜の風も心地いい。

 

俺は今風。

風のごとく走り去り、俺自身こそが風だキャッホーイ!!。

 

うっそうと生い茂る杉林に切り立つ崖。

 

その間、隙間に出来た道路を厳ついバイクが走る。

 

流石に平日は誰も居る事はなく。

 

ただ、ただ 。

風がそこを吹き抜けるのみ。

 

さながら敵のアジトに乗り込むような心境と顔つきで。

 

無駄にしたような、無くしたような3日間を振り払うかのように駆け抜ける。

 

スピードはグングン上がり、メーターはレッドゾーンまで振う。

 

俺は何でこんなにもモヤモヤしているんだろうか。

 

それは寝ていたから?

 

時を無駄にしたから?

 

それとも……何か、大切な事を忘れているから?

 

記憶の廻廊と言う迷路。

 

俺は記憶の迷宮に迷っているのか?

 

いつ終わるとも知れないゴール。

 

これまでの道順なんか正確には覚えていない。

 

前食べた晩御飯も、なにも。

 

ただこのモヤモヤは凄く胸を締め付け、このモヤモヤは今まで未知の様な。

 

濃い霧でできた迷宮に立たされているような。

 

そんな不安で不満な気持ちにさせる。

 

不思議だ、タイヤを高速回転させているのに、気持ちが晴れない。

 

霧が心の隙間から侵入しているかのように。

 

この憂鬱とした気持ちに為す術もなく。

最大の発散方法最中でもご覧の有り様。

 

もうすぐ目的地である駐車場がある。

 

あそこから見る夜景で心ときめく事は絶対無いが。

あそこは、一息つくにちょうど良い場所である。

 

バイクは唸りを上げ、平地のようにグングンと山道を駆け上がる。

 

そう言えば、思い出した。

苛立ちで半ば忘れていたけど、ここは幽霊が出るらしい。

 

いや、あくまで噂だ噂。

俺は信じないし、信じたくない。

 

でも用心はしておこう。

ミラーを絶対に見ない、後ろを振り返らない何が居ても無視。

 

居ても直ぐに忘れて、人が立ちはだかっても避ける。

 

大丈夫、ジャックナイフ位だったら出来るから。

急カーブ、急旋回はバイクの性能を考えれば余裕だろう。

 

タイヤは強烈な摩擦音を上げて、激しく鋭角に二回曲がる。

 

車線を変更し、直ぐに元の車線へ戻る。

 

何も居なかった。

 

あれは目の錯覚だ。

俺は何も見ていない。

 

そっとミラーから視線を離し、前だけを見る。

 

 

「うぇひっ」

 

 

そこからは激しく蛇行運転。

 

暴走族の真似がしたくなっだけだしぃ。

 

べ、別に変なものを。

魑魅魍魎ばっこする異形の昆虫絵巻を見たわけではない。

 

引き返した振り返る事になる。

 

認めた事になる。

 

だから未来へ進む。

俺は何も見ていないのだから。

 

さしずめ、神経反射のレーシングゲームごっこ遊びをしたくなっただけ。

 

 

「ふふっ、無邪気なものだな」

 

 

まったく、いくら怖いからって創造力が過ぎるぞ俺。

 

今だったら平成シリーズの剣捌きを披露出来るだろう。

 

擦り切れるまで見たのだから。

だからその同直線上のモノに違いない。

異形の魔物なんて、この世にそうそう居るわけ無いんだから。

 

メーターは振り切れ、今の時速は把握出来ない。

 

火花を散らし、時には高速カーブ。

 

またある時は、ウィリーで押し進み。

 

更には天井を走った。

 

流石にその時は脂汗やら冷や汗やら。

 

変な汗が身体中からしみ出し、口の中はパッサパサだ。

 

ダメだアレだ。

 

 

「おばけなんて嘘だ~♪歌えば考える必要ない。何も見えない。おばけなんて幻だ。(ルナティク)蜃気楼(フェイクラン)。オゥイェイ。ウィリー、ザッツオン、フューチャー。アギトにクウガ、ギルス、ウェイ。ミルキーウェイ。ウェイウェイウェイ。ラ イ ジ ン グ SAN」

 

 

単刀直入に言えば、かなりテンパってる。

作詞作曲俺のオリジナルソング歌い、現実から目を背けたけれど。

 

やはり無理だ。

 

様々な昆虫の特徴を持った、謎の化物が道路に点在。

それを俺は避けながら走っている。

 

一気に襲いかかるわけでは無く、ただそこに居るだけ。

 

気づいていないのか。

無視をしているのか。

 

定かではないが、恐怖から来る吐き気が猛烈に襲う。

 

早く帰りたいが、このまま引き返すは愚の骨頂と勘が呼びかける。

 

虫だけに無視をされ、虫の知らせで危機感を予知する。

 

 

「変に考えすぎたかか」

 

 

もうすぐ駐車場へ着く。

今夜は満月なのに曇りな為、夜が深い闇のように光が少ない。

 

到達地点の駐車場は正に魍魎の匣のようであった。

 

今にして思えば道路に出ていたアレ。

それは、この匣から漏れ出た抜け殻のように見える。

 

蓋を開けてみれば。

この匣の中身は、狂喜の渦の淵互いを互いが殺し合っている。

 

そう言えば昔、トモから聞いたことがある。

 

沢山の毒虫を壺の中に入れて。

最後の一匹になるまで殺し合わせてその一匹を用いる強力な呪術を。

 

殺し殺され、作り上げられる惨劇。

ここに入俺はどうなる。

 

このシステムの一部。

殺戮の渦に巻き込まれるのではないだろうか。

 

ならば答えは一つしかない。

逃げる、ただ其だけに尽きる。

 

引き返したときのリスク。

そしてアソコに突っ込むリスク。

 

その2つを天秤に掛ければ、答えは簡単な事。

 

ブレーキを目一杯握りしめ。

更にはエンジンブレーキも掛ける。

 

だがまだスピードは落ちない。

そのまま車体を進行方向に対して横へ向ける。

 

身体が吹き飛ばされそうになるのを気力で持ちきり。

 

その全身からくる、悲鳴を何とか押さえ込む。

 

ギャギャギャとタイヤが焼ける音。

 

車体を180°ターン出来たか、回る視界では練習無しに分かる筈もない。

 

しかも暗い夜道。

光源はバイクのヘッドライトのみとなっている。

 

 

「くそぉ」

 

 

身体が宙に浮いた。

その浮遊感に、今まで生きてきた思い出が走馬灯のように浮かび上がる。

 

あぁ、あの噂は本当だったんだな。

 

俺、死ぬって言うのになんて落ち着いているんだ。

 

浮かぶ感覚が何十倍にも感じられる。

 

フワフワと浮く感じ。

 

その何とも心地よい感覚はいずれ、終わりを迎える。

 

奇跡的に茂みに落ちて助かる見込みは無い。

 

もう目の前には、固い固い崩れたアスファルトが見えているのだから。

 

なんだ壊れてるじゃないか。

 

せっかくの思い出の地。

最後はここで死ぬと言うのに、なんとも残念だ。

 

 

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