異世界転移してきた姫騎士を助けたら俺がTSして騎士になった件 作:バソルト
それは至極最もな理由。
たが、当事者からしてみれば不当以外何物でもない。
「ただの人が、私と同等の力を手にいれ放置をすれば争いに……それは世界を滅ぼしかねぬ」
「そんな大層な力には思えないんだが」
ぼうっ切れを剣とかに変えたり、怪我の治りが早くなるだけ。
そんなのにいったい、何の価値があると言うのだろうか。
「ふん」
と、シルバさんは鼻で俺を笑う。
何だよ何か可笑しな事を言ったか俺。
「そんなものは力の末端にすぎぬ、使い方を誤れば己と世界を滅ぼされる危険なものだ」
「だったら力の使い方を教えてくれよ」
「それは出来ぬ、カヴァリエーレ家の者ではないモノに手解きをするのは掟に背く」
話は平行線をたどる。
歩み寄りよりようが無ければ、解決策はどちらかが斬られるまで続くだろう。
「話は平行線だな」
「そうであろう、短い付き合いだが分かるぞ。変な所で頑固だからなお互いに」
だからこそ解るのだ。
例え短くとも、別々の人生を歩んできたのだとしても。
「戦って、勝った方の言い分を通す……か」
人は野蛮だと言うかもしれない。
だけど、言葉以上に。
互いにぶつかり合えばこそ分かる。
剣を交えた先に見える、純粋な感情の中の真なる思いの塊が。
今からは決闘の時。
そうだ、逃げることは許されない。
敗けは死。
勝てば生の大博打。
今のところ勝つ見込みはないが、出し切ろう。
これまでの技を。
これまでの想いを。
「さぁ、始めよう……我らが決闘を」
シルバさんは地面へ手をかざすと、何時もの一振りの剣を手中へ納めた。
「あぁ……分かった」
地面に転がる黄色と黒のストライプの棒を蹴り上げると腕の中で回転。
それが止むと、棒は肘から手の先位までの長さをした尺の大きなナイフへと変わった。
お互いの準備は整った。
一振りのナイフは本来ならば、妖怪や幽霊から幻影化け物のファントムを切り裂くもの。
「さぁ、ショータイムだ」
だが今回は自分を見つけるため、義を通すために力を分けて貰おう。
丁度変身エフェクトも被ることだしな。
互いに合図するわけでもなく、同時に走り出す。
横一線の振りをなんとか防ぎ、ナイフを巧みに舞わす。
「えぇぃ、鬱陶しい」
効果は先ず先ず、だけど違う。
こんなんじゃないと、俺の中で何かが訴えかける。
「一個飛ばして次」
舞わす過程で逆手に持ち、流れるように剣舞を流す。
回る硬貨のようにクルクルと八の字を描くが、それは小手先だけのものに過ぎない。
「こんなものか」
剣筋を見きられ、みぞおちに強烈な蹴りを見舞う。
簡単に数メートル単位で吹き飛ばされるが、何とか受け身を取り難を逃れる。
まだだ……何かが違う。
まだあった筈だ。
フラフラと立ち上がり。
体制を整えようとするが、そうは行かない。
既に進撃の手は回っていた。
「くうっ」
剣はその形を2つに分かち、その短い生涯を終えた。
自らの命と引き換えに、主の生を護って。
折れたとしても、次がある。
手中に収まる青い宝石が新たな希望だ。
「手癖の悪い」
それに気付いたか、シルバさんはニタリと笑い距離を開けた。
「まぁ、これで五分五分じゃねえのか……変身」
手中に収まる青い宝石は、青白い光を放ち同色の光の魔方陣を描き出す。
それは段々と先ほどまでシルバさんの居た場所から、俺の所まで近付いてくる。
「さぁて、続きと行きますか」
ゆっくりと立ち上がりながら俺は自分の姿を再確認した。
両手両足胸。
真っ黒な鎧を身に纏い、何時もとは違う姿に内心驚愕しながらも。
カヴァリエーレの鎧を身に纏い、心身ともに一段階強くなった気がする。
しかし肝心の仮面は消えた。
だが消えた仮面を最大限活用すべく、不適な笑みをシルバさんへと向る事に。
折れた刃は今再び新たな命を吹き込まれ、シルバさんの持つ剣へと変わった。
~Silvana Saido~
初め翻弄するような剣舞を私に見せ、次に円を用いた闘い。
こんな技を隠し持っていたかと、嬉しくなった。
だが、我が家に伝わる鎧の1つをいつの間にか奪われたのは計算外だ。
手を抜いたつもりは無い。
別段、鎧としての役割を余りしてはいないのだが。
銀にとっては、メンタル的な面を含めて渡すべきでは無かった。
初めて見せるその形態に、あれとの相性が良いのかと勘繰るが今はどうでも良い。
初からこの闘いを楽しみたいのだ。
血を、肉を、たぎらせて。
心踊る技を、手に汗握る駆け引きのできる闘いを。
こんなにも楽しいのはいつ以来だろうか。
極寒の大地で、サイボーグと戦った時以来か。
それとも人狼と遠近雪山の闘いをしたときだろうか。
そんな銀は刃をなぞり、研ぐように指を走らせる。
また、雰囲気が変わった
これはオリジナルなのか、何かの模倣なのか。
だとしても、たゆまぬ鍛錬の上に成り立つ動きな事に代わりはない。
「今、この時を楽しまんぞ銀」
「生憎、俺は早く終わらせたいだけどな」
「戯けが」
直ぐに終わらせるわけが無いであろう。
まだまだ、3割程しか力を出していないのだから。
また銀の雰囲気が変わった。
背筋を伸ばし、こちらの様子を伺っている。
返し技を主にしたのか、成らば愚策だ。
敵に悟られた時点で、それの成功率はガクンと下がるのだから。
「はぁっ」
片手から降り下ろす瞬間両手持ちに変えた。
時点で継ぎ技の移行が思ったよりも早くなる事に気付く。
だが。
「甘い」
防ぎ返し技をお見舞いしようにも、それは防がれる。
面白い、面白いぞ銀。
向こうも意識の有無に関わらず、駆け引きをしている。
互いに距離をとり、残心を忘れていない。
再び刃を指でなぞり、背筋を伸ばし私を見据える。
一方私は、下手に手を出すことはしない。
慢心かもしれないが、私が速さで負けることは無いのだから。
「ガルル」
小さく銀の口が動いた。
腰を落とし、左手は地面に付け刀身は太くなり肩に担ぐ。
次はフと獣と対峙している錯覚が私を襲った。
警戒心一瞬高く持ったが、次の瞬間視界から銀の姿が消えた。
左右前後を見渡しても、銀の姿は見つからない。
だとしたら。
「上か」
反応はギリギリに間に合う。
今回の闘いではシールドは使えない。
剣に眠る聖人達が自分同士の闘争に、理由があっても悲しんでいるためだ。
まさかこんな弱点があろうとは思いもしなかった。
だが最初から使わないつもりでいれば何の問題もない。
剣同士がぶつかり合い、火花が散る。
力を受け流し、衝撃を殺し次の手に移ろうとしたその時。
腹部に刃が通る鋭い痛みが襲った。
「なにぃ」
足だけの力だけでこの瞬発性はあり得ない。
それ以外の何か。
シールドも、それ以外の要因も無い筈。
だが、私の横っ腹を通り抜けた銀の後に走った痛みは正しく本物。
原因究明よりも、まずは反撃をしなくては。
それに、距離を取った今。
私に一撃を加えたトリックが明らかにさせる筈だ。
振り向き様の一撃は、当たることはなく空を切る。
距離を取られ、完全に一撃離脱の戦法を取られている。
だけど今は、私に加えた一撃のトリックを知りたい気持ちが高い。
「成る程」
正しく、くわえた一撃であった。
獣の牙のように、剣をくわえ両手両足で地面を蹴って反応して見せたのだ。
その一連の動作。
防がれること、気付かれる事を前提にされていた。
だからこそこんな手間の掛かる手法を用いたのか。
認めよう。
最初の軍配はくれてやる。
「最初からこんな動きをすれば、もう少し楽に戦えたのではないか」
「いや、えっと……そうだな」
なぜどもる。
少しイラッとしたぞ。
再び剣の形が変わる。
今度は銀の国に由来のある、刀と呼ばれる形状だ。
反りはなく、直刀のそれは平安以前に作られたものと考えて良いだろう。
「じゃぁ、次行くぜ」
刀を振り回し、こちらに向かってくる。
まただ、また闘い方が変わった。
まるで荒くれものの。
いや、型に囚われていないその動きは純粋な子供のような感じがする。
それはまるで性格が変わったかのように。
型に囚われない、荒くれ者のような闘い方に突然変化したので少し反応に困る。
色んな闘い方があるんだなと思いながらも様々な闘い方。
剣の形状私に見せてくれる。
生憎だが痛みだけで流血は無いようだ。
しかし、斬ったり斬られたり。
それ以来、最初の一撃の入りにくさが嘘かのように。
互いに急所以外面白いように入る。
泥沼化するであろう近戦に。
時には短槍のような剣、時には青竜刀のような剣。
途中掛け声が変になったが、闘い方は段々と洗練されていくかのようだ。
本来の刀の形をしたものへ変化したとき。
銀は胸の前に剣を構えたまま動きを止めた。
ゆっくりと互いに距離を詰めて行く。
「はっ」
瞬間、時が止まったかのように。
ほぼ動きが鍔迫り合いの状態へ移行したように。
しかし、それは刹那に終わる。
超感覚の剣撃がぶつかり合い、火花で互いの表情がハッキリと解るまでに。
それから長い間、私たちは剣を打ち付け合う。
このままでは悪戯にエネルギーを消費するだけ。
ジリ貧の打ち合いに、不利なのは残念だが私の方だ。
それにしても、お互いに剣を体で受け止める事が少なくなった。
途中から5割程に変えたのだがそれでもこの有り様。
いくら戦闘経験が知識としてあろうども。
体に染み付いていなければそれは卓論で役立つのみ。
「なぁ、シルバさん」
「なんだ」
金属を打ち付け合う音だけが響いていた夜に、銀の声が聞こえた。
闘いを楽しみたいのだから、あまり喋らないでほしい。
「そんなに楽しいのか」
「なぜだ」
「顔が笑っているぜ」
「何を言っている」
瞬間、全力で剣を振るうと銀は遥か後方に吹き飛ぶ。
風が吹き、軽石に混じり横たわる人に掛かる革ジャンも空中に舞った。
「楽しいに決まっているではないか」
口角がつり上がり、顔はニヤケ面。
あぁ、駄目だやはり本能には逆らえない。
戦えと、もっと戦えと本能がそう告げているのだから。
戦うしかないだろ。
~Gin Said~
やぁどうも。
只今、鉄の棒的な物で全身を打っ叩かれている男。内藤銀です。
見た目は可憐な少女中身は男のハイスペック体。
ただやられている訳ではない。
決闘という名の一方的な虐殺。
だと思ったのだが、以外にも好戦している。
せめてもとスーパーヒロータイム宜しくな闘い方をしたのが良かったのだろうか。
頭で動きを記憶が擦り切れるまで反芻したからか。
それとも、隠れて動きの模倣をしたからだろうが。
だとしても、途中創造力が過ぎてオリジナルな動きをしてしまったのが悔やまれる。
やるならば完璧に。
トレースとも、生き写しとも呼ばれるように。
だけどあと1つ最後だけは、いくら模倣したくても無理だ。
究極の闇に落ちるわけでもなく、ただ憎しみが足りないのでもなく。
ただ単純に、攻撃を一切避けない行為が出来ないのだ。
いや、物理的には出来るのだろう。
最初の方の打ち合いで。
シルバさんだけ無傷で俺だけ斬られまくり血だらけ。
止血はしたものの。
深い傷を負ってしまったら、それは決定打と成り獲てしまうだろう。
何故かは分からないがシールドは出せない。
同じ能力を。
いや、同じ剣だから反発しあっているのだろうか。
ぶつかり合う剣。
その度に火花が散り行き、辺りを一瞬だが仄かに照す。
この命を取り合う決闘であっても、その儚くも美しい光はお互いの影を濃く彩る。
「なぁ、シルバさん」
だけど、そんな闘いであってもシルバさんの顔はニヤケ顔。
そのうち笑い出しそうであり、そうなったらばトラウマものだ。
「そんなに楽しいか」
「なぜだ」
なぜだと来たか。
シルバさんは自分が笑ながら戦っていることに、気付いていないんじゃないか。
いや、しかし。
もしかしたならば。
「顔が笑っているぜ」
「何を言っている」
しまった。
なぜか知らないが、怒ったぞ。
刹那、シルバさんは視界から消え去り。
刹那、俺は宙を舞い。
刹那、吹き飛ぶ瞬間見たのは今までに無い重圧を放つその姿だった。
街灯にぶつかり、大きく湾曲し反り返る。
中の配線が切れたのか、光は消え辺りは月明かりが照すのみ。
だが今宵は曇り空。
届く光も弱々しいものだ。
薄雲、しかし満月のためか仄かな光が辺りを照らしている。
お互いの服の色は黒っぽく、首だけがぼんやりと浮かんでいるようにも見える。
激しい打ち合いだけでは駄目だ。
もっと強烈で猛烈な一撃を放たなくては、俺はこのまま志半ばで朽ちることに成るだろう。
丁度、最後にやろうとしているのに沿ったもの。
「超変身」
別段、身体が劇的に変わる訳でも硬くなったり攻撃力が高くなるわけでもない。
手に持つ、刀は長剣へと姿を変える。
「また……何か考えているのであろう……言うてみよ」
無視する事にした。
その異名相応しく、俺の好きなシーンの再現は息をする様に容易だ。
大地をしっかりと踏みしめ、両手を広げゆっくりと近づく。
「聞こえなかったか」
肩が大きく切られた。
直ぐに止血。
一歩進む。
歩を止めることはしない。
「近づくな」
次は腹、抜かれまいとこっちは鳩尾に拳を突き立てた。
シルバさんは後方に吹き飛ぶが、倒れることはない。
すこしスッキリした。
一歩、また一歩と歩を進める。
どんなに斬り付けられようと、止まることはない。
単なる痩せ我慢で痛みに耐え、衝撃を前面で受け止める。
流石に急所は避けるがそれ以外、歩く事を止めることはしない。
「くっ」
とうとう追い詰めた。
背後には見えない壁があるのか、そこから動けないようだ。
「はぁぁぁっ」
ゆっくりと剣を構え直す。
「ずぉりゃぁぁぁぁっ」
一気に、そして真っ直ぐに。
切っ先はシルバさんの首元へ向かう。
「つぅ」
一陣の風が、シルバさんを突き抜ける。
剣先は、シルバさんの首直ぐ側。
首の皮一枚貫くように、小さく血が滲んでいる。
「私の……負け……だ」
シルバさんの額の汗が一筋、剣に落ちた。
勝った。
勝ったのか。
何か実感が湧かない。
シルバさんの言葉を合図にしたように、シルバさんを隔たる壁が消え。
二、三歩後退する。
首を押さえた後、掌に滲む血を見つめる。
「なぜ……いや、聞くまい」
ニヤリと笑うと、手に持っていた剣を地面に落とした。
軽い金属音。
カランと音がしたのを合図に、それは光の粒子となり霧散した。
天を仰ぎ。
シルバさんはその場に座り込む。
「まさか……私が反応できぬとはな」
今までの笑い方ではない、乾いた笑い声。
よほどショックだったのか、目尻からは一筋の光が流れ落ちる。
これで終わりなのか……ぜんぶ。
雲が割け、月が顔を出し辺りを優しく照らし出す。
風も出てきたのか。
ふわりと靡く風が、2つの銀の髪を揺らす。
「なぁ、シルバさん」
たまらなくなり、声をかけるも内容が思いつかないが構うものか。
「わかっている、二度と命は狙わない」
「本当なんだな」
「何度も言わせるな。仮にも私は騎士、約束を違えることはせぬよ」
そう言うと一息置いて。
「これからも末永くよろしく頼む」
「あぁ、行こう」
そう言うと、俺は手を差し伸べる。
「ふん」
握手する2つの手。
月明かりはそれを優しく照らし、これからの二人に光りあれというように。
真ん丸と白金に光り輝いていて。
それが、2つの絡み合う影を映し出した。
はじめまして
感想等ありましたら書き込んでいただければ嬉しいです。
昨今の新型コロナウイルスの拡散防止にあたり自宅待機等の今、一つの楽しみを提供できないかと考え昔書いた小説を誰かの助けになれないかとこちらに投稿させていただきました。
さて、明日短いエピローグを投稿し、内藤銀ならびにシルヴァーナ・ヴァリエーレの物語は幕を下ろします。
短い期間ではありましたが誰かの助けと言ったら誇張表現ではあるかと思いますがそれが出来たのであればこれ幸いと思います。
最後に皆様、読んでいただきありがとうございます。