異世界転移してきた姫騎士を助けたら俺がTSして騎士になった件   作:バソルト

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~原理=応用~ (3/4)

     

      

~TIZUKA SAID~

 

 

時間は遡り、昨日の朝

            

私の朝の日課。

 

それは一緒に住んでいる幼馴染を起こしてあげる事だ。

歳は一緒の筈なのに、見ていて危なっかしく、それでいて頼りない。

私が強くなろうとした切っ掛けも、この幼馴染を守るため。

 

 

小さい頃はねじ曲がった根性を叩き直そうと色んな所に連れ回したが、上手く行った試しは少なかった。

 

そんな銀。

 

どうも器用で、勉強している素振りは一切見せないくせに、テストの点数だけは良かった。

銀と同じ学校へ通うために一生懸命勉強したのは今でも良い思いで。

 

全くこういう才能をもっと別の方に使えば人生は良い方に向かった筈だったのに。

何を血迷ったのか卒業して就職した会社を三ヶ月と少しで辞めてきた。

 

理由は……聞いても答えてはくれなかった。

理由は定かではない。けど、それが原因で銀の両親から勘当された。

 

私の父の計らいで、暫く就職先が決まるまでここに住み込みで働くことになった。

正直嬉しかったと思ったのは誰にも秘密だ。

 

 

話は大分逸れたが、今私は銀の部屋の前にいる。

 

そして私は今日もダラダラと生きるであろう銀に活力を注入するために朝の挨拶をする。

 

 

「おっはよう」

 

      

いつもの光景だ。

銀は何時ものごとく、脱ぎ捨てられたであろう寝巻きを床に散乱させていた。

まったく、寝ている時までだらしないんだから。

 

 

「銀、起きてる」

 

 

のそのそと動くと掛け布団が床に落ちて銀の全体像が露になる。

 

全裸だ。

 

パンツ一枚履いているが中途半端に絞まった体を見た私は、また鍛えたくなる衝動に刈られる。

 

うん、決めた。

今日、警視に来てもらおう。

私はそう決意した。

 

      

もちろん逮捕するためではない事は先に言っておこう。

いや、何度かそういう衝動には刈られたけどね。

問題はどうやって出頭……じゃなった、来てもらうかだ。

 

 

ひねくれ者で有名な銀が素直に言う事を聞く人は……お父さんだ。

昔は警察の職に就いていたみたいだけど、何で辞めたかは理由は教えてはくれない。

 

 

でも、いま真剣に豆を炒る姿とか旅に行っている姿を見ると転職して正解だと私は思う。

 

 

私が中学に入った時にたしか辞めた気がする。

今思えば進路を考える上でなんて最悪なタイミングに転職したんだろうと思う……って、あれ。

 

 

色々と考えてたら職場についちゃった。

私はその時、初めて銀の気持ちが少し分かったかもしれない。

 

考え出すと止まらなって何処かへ意識が飛んでいっちゃう。

なんやかんやあって、夕方になった。

 

 

まぁ色々あった。

お昼頃に銀がお弁当を届けに来たり。

そのままコーヒーを皆にサービスさせたり。

少しでもみんなの銀に対するイメージを良くして欲しかったって言うのが本音かな。

 

 

銀はそのまま帰りだ。

折角の休みを棒に降らせてしまった事に関しては全く悪い気はしなかった。

 

 

バイクを押して、警視庁の建物を見上げる銀と目があった気がした。

 

 

「今日はありがとう」

 

 

銀には聞こえない。

 

いや、聞こえたら変に調子づかせるからあえて此処で言った。

 

でも、本当にありがとうと思ったらお礼の一つも言わなければバチが当たってしまう。

 

 

そう思っている内に、銀は家と逆方向の道を走っていった。

 

 

      

仕事を片付けて、少し遅めに帰る用意が出来る。

 

 

色々と今日はあったから

自分の仕事が手についていなかった。

 

 

「お、千束ちゃんも帰りかい」

 

そう言って今日、灰皿で黙らせた東条刑事が話しかけてきた。

 

 

気づけば周りには誰もいなく二人きり。

 

 

「あれ?他の人たちは」

 

 

私は尋ねた。

 

 

「ん?愛刑事以外みんな仕事だよ」

 

 

あっけらかんと、言ってきた。

 

「そう、私は帰るわ。今受け持っている事件は丁度無いし」

 

 

取りあえず早く帰ってきたシャワーを浴びたい。

 

 

私はその場を立ち去ろうとしたとき。

 

 

「向千束刑事」

 

 

急に真剣な目をして私を見る。

 

 

「な、何よ」

 

 

え、何?

 

もしかして……

 

鼓動が早くなると同時に、嫌悪感が湧き出る。

 

 

「君の幼馴染みが事件に巻き込まれた」

 

「え?」

 

 

私はその場で固まった。

 

 

「藤ヶ丘駐車場で、所有するバイクが大破した状態で見つかった」

 

「そんな……嘘よね」

 

「だが、本人はまだ行方知れず。家にも電話したんだが出なかった」

 

 

頭がこんがらがる。

 

え、じゃあ。あのあと銀は……。

 

血の気が引いて行く。

 

 

「俺はこのまま自宅にいくつもりだ」

 

「それって……」

 

「あぁ、君の家に行くつもりだ」

 

「わ、私がいきます」

 

「そうしてくれ、連絡は携帯に。銀君がいたらそのまま直帰で構わない」

 

「はい」

 

 

言葉よりも早く私の体が動く。

私は車に乗り込むとスピード違反ヨロシクな勢いで帰路についた。

 

      

スピード違反?気にするな。

朝焼けの町を車で颯爽と走り抜けた。

 

私の自宅である喫茶店の前に車を止めると静かな朝に似つかわしくない、高いブレーキ音が響いた。

 

 

駐車位置なんて気にしない。

多少斜めに止まっていても今は急務だ気にする余裕はない。

 

 

ドアの鍵を開け、階段をかけ上がる。

お父さんが居たら大目玉を食らうところだけど、その心配はない。

銀の部屋のドアを勢い良く開けると、布団をスッポリと被った部屋の主がいた。

 

 

「銀……起きてる」

 

「あぁ」

 

 

ん?声が変だぞ

 

 

「銀。何でそんな声のトーンが高いの」

 

「そうか?元々こんな声だ」

 

 

朝早いと言うのに受け答えが確りしているのは多少、引っかかる所はある。

 

けど、無事を確認できたらそれで良しとしよう。

 

 

「銀のバイク……「盗まれたんだ」

 

 

驚いたことに、私の心を読んだように言った。

 

というか、早く布団を取ったらどうなの。

 

 

何か怪しい。

いつもの銀じゃないみたいだ。

 

心なしか、一回り小さくなった気がする。

 

 

「もう寝かせてくれ。ショックで眠れなかったんだ」

 

 

そういうと、モゾモゾ布団を動かした。

 

 

「わかったわ。お昼頃に署まで来て」

 

「わかった」

 

 

それだけ聞くと私は、銀の部屋から出ていった。

 

 

「……」

 

 

私はポケットから携帯を取りだし、報告だけすると自分の部屋に入った。

 

安心したら段々と眠くなってきた。

 

おやすみなさい。

 

 

 

 ~GIN SIDE~

 

      

 

どのくらいの時間が経ったのだろうか。

 

体の冷えで目を覚ましてしまった。

 

足元に綺麗に畳まれて置かれている布団を見つけた。

下着姿ほどの寒さは感じられず、どうやら着替えさせられたらしい。

 

自分の着ている服を確認しようと辺りを見渡したその時。

俺の視線の端にある異変に気がついた。

 

バラバラだった俺のフィギュア達が綺麗に整理整頓されている。

 

 

「ね、年代毎に並べられているだと」

 

 

今年で40周年を迎えるシリーズ物のフィギュア達が、堂々とその場所に立っているではないか。

 

 

「むっ。起きたか」

 

 

その声のした方向を見てみると、シルバさんが椅子に座っている。

 

 

「シルバさん……どうしたんですか」

 

 

家主を放置してまでのこの所業は、少し横暴なだよシルバさん。

 

 

「私がこれから住まう部屋だ。埃だらけではたまったもんじゃないからな」

 

 

足を組みながら、どこからか拝借してきたであろう私服を着ていた。

 

 

「って、その服俺のじゃないか」

 

「そうだが」

 

 

眉間にシワを寄せ怪訝そうに俺を見る。

 

 

「じゃあ……俺が着ているのは……」

 

 

何時か見た千束の服だ。

 

 

脱がなくては!!

見られたらその瞬間から命は無い!!!

 

 

「またぬか」

 

 

シルバさんは俺に飛びかかる。

しかし、速さが足りない。

 

 

「遅い」

 

俺の手は服を掴みそして……

 

 

「生きるためだ」

 

 

そして服は首に行き、

 

 

「許してくれ」

 

 

一気に服を脱ぎ捨てた。

 

「ウエィ!!」

 

 

視界の下に雪山の天辺にあるさくらんぼが見えた。

 

そして、最後に見た記憶はシルバさんの迫り来る拳と。

 

鼻から吹き出す、赤い血潮だった。

再び目を覚ますと、俺はベッドの上に寝かされていた。

 

 

「あれ?顔面が痛くない」

 

 

あれだけ血を吹き出した筈なのに鼻の骨が折れていないのは奇跡に近かい。

 

 

「私が殴り飛ばす前に、鼻血を吹き出した奴が何神妙な顔をしている」

 

 

呆れた表情でシルバさんは俺を見下す。

ここであのフレーズを言いたい所だが、同じ轍は踏む分けにはいかない。

 

 

「案外、生娘(ウブ)なんだな」

 

 

純情と言って欲しいが、これまでの事を考えるとそれは言えなかった。

 

 

「あぁ、悪いかよ」

 

「いや、そこまでは、言ってないだろう」

 

 

あぁ、そうだな。

ここで悪いと言った日には、シルバさんは全国の純情な男心を持った人達を敵に回すことになる。

 

 

「まぁ、取りあえずだ。モンスターを倒しにいくぞ」

 

 

買い物に誘う感覚で何いってるんだよこのお方は。

 

 

「なんで買い物にいく感覚で言ってるんだよ」

 

「いやいや、そこまで生易しい物ではない一応、命賭け。負ければ……死だ」

 

 

屈託の無い笑顔で言っているシルバさん。

 

 

「うん、言っていることと内容が真逆だぞ」

 

「何を言っている……日常じゃないか」

 

「俺にとっては非日常だ」

 

「何のために毎日夢を見せたと思っている」

 

「やっぱりシルバさんのせいかよ」

 

 

俺の今までの夢はやはり、シルバさんのせいか。

 

と、言うことは俺が女になる事も予測済みかよ。

受験生もビックリな予習方法だな畜生。

胸から込み上げる悲しみを留めつつ、俺はこの原因を聞くことにした。

 

 

「あぁ、そのペンダントのせいだぞ」

 

 

俺の胸にぶら下がる、たわわに実った果実……じゃなかった。

男達の嫌らしき目線(自分自身も含む)を一心に浴びている谷間……でもなかった。

 

そこにチラつく青い石が付けられたペンダントを指差した。

 

 

「それだ」

 

 

シルバさんに言われ俺はそっと、ペンダントに触れる。

光の反射で微かに紋章のようなものが掘り込まれているのが見えた。

 

 

「それが力の源だ。ちょとやそっとの力では壊れる事はないよなから安心しなさい」

 

「もしも……壊れたら」

 

 

俺は息を飲んだ。

 

 

「壊れたり外したりすると、そのままお陀仏。デッドエンドさ」

 

 

何故か不意に使われた英語に少しビックリしたが俺は、まぁそのまま流すことにした。

いちいち突っ込んでいたら、夕方になりそうだしな。

 

 

「あぁそうだ」

 

 

と、シルバさんは思い出したように。

 

 

「出掛けるぞ……今すぐに」

 

 

シルバさんの口角は不釣り合いなほど高く上がった。

 

なにか企んでいることは明確である。

 

なんやかんや有り。

外に出る事となってしまった。

俺の持つ服は全て、胸の部分で量を取り、サイズが合うものは無い。

 

ここまで来ると、選択肢は限られてくる。

 

千束の服か、場違いなメイド服。

冥土へ送られる服を着るか。

痛い視線を送られるであろうメイド服を着るか。

 

二つに一つのこの選択。

 

 

「冥土服かメイド服か……」

 

 

思わず俺はそう呟いてしまった。

二人は静寂いや、沈黙した。

 

 

「早く決めろ」

 

 

シルバさんはそう言うと強引にメイド服を俺に着せようと襲いかかってきた。

 

 

「目がぁぁぁ」

 

 

一撃目、目潰しを食らわせられた。

 

 

「暴れるなぁぁぁ」

 

 

二撃目。俺は腹に一発くらった。

 

俺は悶える暇もなく電光石火、強引に着替えさせられた。

 

 

 

      

 

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