おっさんin幼女が魔法少女な世界で暴走する   作:親友気取り。

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コメントで知ったけど週間ランキングまで侵食してたんだねこのおっさん!
みんなありがとう! そしてありがとう! 感想ありがとう! ウッ(嘔吐)


15 リコの決意とザリガニ

 プレシア・テスタロッサが娘の命を救う為に行おうとした時間遡行。

 あまりにも無謀な試みはジュエルシードから膨大な魔力を引き出し空間にぶつけるという、理論も何もない物であった。

 当然それは失敗し、残されたのは心に深い傷を負った少女フェイトと、プレシアがすがるようにいつも手にしていたマターボードという使用方法が一切分からない謎の物体。

 

 色々と謎は残ったが通称PT事件が終わり数か月。なのはは事件を通して知り合った執務官の少年クロノから連絡を受けて市外にある山を訪れていた。

 それは不審なエネルギー反応が突如確認されたため、様子を見てきて欲しいというもの。

 

「ユーノくんやクロノくんじゃなくても、誰か一緒に来てくれればいいのに……」

 

 原因が分からないため警戒を含め地域一帯をスキャンしつつ歩みを進めるが、今は7月半ば。

 雨も多くなってきたのでとても蒸し暑い。

 運動の得意でないなのはにとって、この時期の登山は過酷な物であった。

 唯一の味方であるレイジングハートも励ましの言葉を送っている。

 

「っていうか、ひとりすごい心当たりあるの」

 

 現在翠屋でアルバイトをしているリコ。

 勤務中は至ってまじめだが、オフとなれば一瞬にして本気なのか冗談なのか分からない事を言う、同い年に見えても明らかに何かがずれている人物。

 結局自称しているアークスがなんなのか、宇宙人と言っているのが本当なのかはわからない。

 

「……何の音?」

 

 ふと、遠くから明らかに不自然な音が聞こえた。

 なるべく足音を立てないように気を付けつつ進んでいくと、少し開けた森の中に小さな影が見えた。

 

「あれって、リコちゃん?」

 

 話しかける為に近づこうとして、思わず歩みが止まった。

 手にしているのは半透明の美しい刃を持った剣。それを握りしめ、うんうんと唸っていた。

 そしてしばらく唸った後、武器を変えて振り回したり突如どこからか出した良くわからないアイテム類を取り出しては地面にばらまいて回収していく。

 意味は分からないが、その顔はとても真剣だ。

 

 ……今度は突然なぜかキレッキレのダンスを披露した。本当に意味が分からない。

 

 しばらくして落ち着いたのか、池の前に座り込み置いていたビニール袋から色々取り出す。

 今までの奇行と比べてより意味の分からない行動に、なのはは声を上げた。

 

「リコちゃん!? こ、こんなところで何してるの!?」

「なんだ、誰かと思えばなのはか」

 

 話しかけられたリコはザリガニ釣りだと称しているが、先ほどの奇行は明らかに釣りのそれではない。

 

「……まぁ、ほら。オレって宇宙人じゃん?」

 

 リコはいつも通りけらけらと笑う。

 しかし先ほど見た真面目な横顔の中に、何かとてつもない物を秘めているとなのはは感じていた。

 それは、自身の問題に巻き込まないようにしている事であろうと。

 そう。なのはがかつて、父が大怪我をし家が大変であった時に家族に迷惑をかけまいとしていた時のように。

 

「リコちゃんは、自分の星に帰りたい?」

 

 少し踏み込んで聞く。

 目を合わせたリコはびっくりしたように目を見開いてから、寂し気に逸らす。

 

「どうだろうね。帰る場所があるかどうかは置いといても、そう聞かれたらわかんねぇ」

 

 以前に翠屋で聞いた話では、リコのいた故郷は滅びていた。

 あの時は冗談のように言っていたが、それが嘘のようには見えない。

 

「オレさぁ、今の生活気に入ってんのよ。馬鹿みたいな掛け合いして、翠屋でバイトして、こうして童心に帰ってザリガニ釣って」

「ザリガニ釣ってたのは嘘だよね?」

「何を証拠に言うか」

「だってカゴがないもん」

「キャッチ&リリースorイートって知らねぇのか?」

 

 その時、丁度ザリガニを釣り上げた。

 

「……どうぞ?」

「おま、わかってて言ってんだろ……」

 

 餌を外し、ザリガニと共に池へ戻す。

 

「今のはほら、ニホンザリガニだ。外来生物ならナ・メギドで情け容赦なく爆散させてやるのに」

 

 食べないらしい。

 

「冗談だよ悪かった。外来種を爆殺(クリリン)するのは場合によっちゃやろうかと思うが」

「それって、魔法?」

「わかりやすく言うと。正式名称はテクニック」

「じゃあ、さっき弓とか色々使ってたのもテクニック?」

「それはPA(フォトンアーツ)と言って微妙に異なる……。み、見てた?」

「見てた」

 

 珍しく、バツが悪そうにしている。

 いつも飄々としているところしか見たことのなかったなのはは、少し意外そうにしてしまった。

 

「なんだよ。オレだって流石に銃刀法とかその辺は分かるぞ」

「あ、うん。ごめんなさい」

「いいぜ、別に。武器振り回してたのは……あれだ、万が一の場合を想定してさ」

「万が一?」

「何の気なしに過ごしている平和な日常が、永遠だって誰が証明できるかよ。いつ崩れたっておかしかねぇ」

 

 なのはも4月に魔法と出会うまでいつまでも普通に過ごすかと思っていたので、その可能性を否定することもできない。

 

「アークスってのは世界の平和を守るために戦う集団の事だ。心配すんなよ、オレはアークスのリコ。なんかあったら任せてくれりゃあ良い」

 

 ――力なき者の剣となり盾となる。それがアークスの定めだ。

 そう続いた使命感に満ちた言葉は、なのはの胸にしっかりと届いていた。

 

 

 

 なのははその後、リコについての話は伏せた。

 一帯のスキャンデータのみをアースラへ提出したのだ。

 報告の結果は特に異常もなしと。

 リコの存在が管理局に知られれば、別の宇宙からの漂流者である彼女をそのままにはしないだろう。

 リコにはリコの生活があって、平和があって。それを自分で壊す事はしたくなかったのだ。

 

 だが、事実を隠すにはまだ幼かった。言わなければ分からないと思っていたのだろう。

 嘘をつかないそのままのデータに含まれたフォトンの残渣反応。

 時空管理局……様々な平行宇宙を見てきた組織の中には、都市伝説の様に存在するフォトンと呼ばれる物を警戒する者がいた。

 

 闇の書を封印する為の手口を探す内に、同じく封印しなければ惨劇を引き起こす闇を知った。

 そしてそれと同時に、その者はフォトンの危険さも知った。

 

 誰かが動き出す。

 フォトンが悪を成す前に止めなければならぬと。

 




シグマ隊長の台詞を二回もパクるリコおっさん。
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