おっさんin幼女が魔法少女な世界で暴走する   作:親友気取り。

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マグはどうしたという毒電波をリコおっさんが受信しました。
あとさりげなくアニメ本編を間近に控えております。


17 マグマグ

 マグと呼ばれる装備がある。

 

 今日も雨ですることもなく、リビングのベッド兼ソファでぐだってたら突然そんな事を思い出した。

 

 これは装備するとマグの持っているステータスをプレイヤーに足す事ができたり、フォトンブラストと呼ばれる大技を使うペットのような人工生命体的なかわいいやつだ。

 ステータスアップや気持ち程度の支援もしてくれるが、どちらかと言うと後者にあるフォトンブラストがメイン。

 

 2じゃないPSOでもフォトンブラストはあるけど、リコの出身がPSO2なのでそっちのフォトンブラストが出ると思われる。

 ゲーム中だと相手を一か所に集めるユリウス・ニスタか、自他のPPをすげぇ勢いで回復させられるケートス・プロイをよく使ってた。

 

 だがここは現実。ゲーム中では弱点を狙えずカス当たりだったりそもそも敵がいなくなってたりと不遇だった事が多い攻撃系も、いざ戦闘となればもしや輝けるんじゃなかろうか。

 ファンタジー生物のいない地球で敵対するとなれば、シグナム達のように魔法を扱える人間であろう。

 当然回避やガード、あるいはアークスにできない超遠距離も仕掛けてくる。

 そんな人間を相手する時、例えばユリウス・プロイのようにワープして纏わりついて殴りかかるとか恐怖だろう。

 あるいは、アイアス・イメラの様な頭上からビームを降らせていくのもいいかも知れない。

 アークスの戦いと言うか攻撃がどれほどの効力を発揮できるのかはわかんないけど。

 

 メニューを開いて装備を確認すると、それぞれに能力が特化されたマグがぎっしり詰まってた。

 アイテムパックの方にはPB(フォトンブラスト)デバイス……つまり技の変更パスも入っているので、戦闘中は無理でも切り替えていける。いいね。

 

「なんかこいつだけ違うな」

 

 一つだけステータスが中途半端な事になってるやつがいる。

 打撃力162の法撃力31、技量7って。

 しかも形状変更パスを使ったのか見た目がシャトになってるし。

 

「ああ、初心者時代のマグか」

 

 思い出すな。

 まだマグの仕様とか何をやっていくのか分からない駆け出しアークス時代。

 迷ったらハンターと言われてハンターを始めて、魔法剣士的な事の出来るテクターをやろうとして。

 上げるべきステータスが分からなくて右往左往したり。

 そんなこんなで出来上がったのが色々中途半端なマグだった。

 

 あれ、でも俺がゲーム中で使ってたのは買い直して作り直した特化マグだったよな?

 

 あー、もしかしてあれか。我が肉体たるリコが使ってたやつか。

 懐かしさと愛しさが増してきたし装備してみようか。

 ちょっと装備してみようとして、手が止まった。

 大丈夫かこれ。

 思い出したのは前作PSOのとある依頼。

 

 主人の亡くなった中古マグを売ろうとした商人の下からマグが逃げ出したので、それを回収してきて欲しいというものだ。

 

 実はマグの中には小動物の脳みそが詰まってるというRなTYPEを彷彿とさせる設定があり、自身の仕えた主人を覚えている。

 その依頼でマグが逃げ出した理由は、前の主人を求めて脱走したというもの。

 果たして俺は今、このマグにリコとして認識されるのか?

 

「窓閉めとこう」

 

 ソファから立ち上がり、開けていた窓と少し空いてた扉を閉める。

 万が一マグが俺をリコとして認識せず、逃げ出した時の為の保険だ。

 

 今の俺の状態がどうなってるのか正直分からない。

 俺は“俺”を保てている気はしているが、ボディであるリコの影響を受けて性格もだいぶ変わってる。いわば“俺”と“リコ”がいい具合に混じった状態だ。

 ……やっぱこれを装備するのは、今はやめておこう。

 無意識に装備しなければとしたのはボディリコの思い入れだろうが、このリコマグはもうちょっと俺のリコ成分が増して自信が付いたらの方がいいよな。

 ボディリコの形見みたいなもんだし、そのうち本当にペット扱いで使ってやりたい。

 

 戦闘中ならゲームと同じくで特化マグを使うし、この見覚えのない特化マグ達を使えば大丈夫。

 神プレなら主人は俺で間違いないし脱走の心配もしないでよし。

 

「えい」

 

 装備するのは打撃特化のマグ。

 

「出てきた出てきた。相変わらずゴリラだなーお前」

 

 二本の太い腕の生えてるマッシブなデザインのマグ。その見た目から愛称はゴリラ。

 逃げ出す気配もないし成功だな。

 俺がこの世界に来てからずっと飯抜きだったのか元気がない。

 いざという時にぐれても困るからモノメイトを与えてやるか。

 

「おー、食った食った」

 

 モノメイトを近づけたら機械音を発生させながら消えていった。

 どうなってるんだろ。撫でても平気だし。

 

「メイト以外食うなよー?」

 

 ソードみたいなデカブツも食わせられるし、シグナムの剣とかヴィータのハンマーとか食ったらえらいことになる。

 たぶんオンリーワンな装備だし取り返しがつかんぞ。

 あ、なんか扉が叩かれてる。

 ゴリラも脱走しないしもう良いか。

 

「って、はやてか」

「なんやリコちゃん、締め出すなんてひどいで。やましい事でもしとったん?」

「ちげぇよ。ペットが逃げないようにしてたんだよ」

 

 俺を何だと思ってんだ。

 それより見てよこれ。マキシマムメタルゴリラ。

 

「かわええやん」

「他にも種類はあるけど、ひとまずそれを試しに出してみた」

「へぇー……。久しぶりに宇宙人らしいの見させてもらったなぁ。SFみたいでワクワクするで」

「んだよいつもファンタシー感出てるだろ」

「アイテムパック? と剣以外にSF感なかったで」

 

 うそだろ。

 だって……。

 あれ。

 

「お、オレの髪の毛ってほら、先が紫がかってるじゃん?」

「あーそうやな。頭キマっとるな」

「あれ、その台詞なんかデジャブ」

 

 もういいや。メタルゴリラは装備から外しておこう。

 戦いとなったら装備すりゃあいい。

 

「なんや残念」

「浮遊する謎機械を引っ提げた超絶スーパー美幼女リコちゃん様が完璧笑顔でケーキ屋さんにいたらえらい騒ぎになるだろ?」

「なんや頭も残念」

「んだとおらー」

 

 本当に残念そうにしているので、家の中にいる間くらいは出しといてやるか。

 決して、決してSF感がないと言われたのがショックな訳じゃない。

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