おっさんin幼女が魔法少女な世界で暴走する 作:親友気取り。
逃げました。ええ。
いや、逃げたってのは感じが悪いな。話術で言いくるめた。
言いくるめた? 違うな。家に帰るっていって去った。
流石は現代社会の警察官さんだ。適当に反省する感じ出して帰るって言えば幼女に厳しくない。
どっかのゲームメーカーはもっと幼女に優しくしても良いと思うけど。
「しかしどうすっかなぁ」
冒険者ギルドに入るとかなんだとか、異世界って言ったら戦いだろ?
闘争の化身たるアークスなのでこんな社会じゃ収入もなし。お金もなければ宿もなし。ついでに戸籍もない。
「あれ、詰んでね?」
図書館で新聞を見ながらここが日本である事と、今いるのが海鳴という知らん街だということを認識して溜息をつく。
ただ一つ良かったと言えるのは、俺が幼女スタイルな位だろうか。
これがもし小汚い小僧とかおっさんだったら即死だった。
流石は俺が大量のゲーム内通貨メセタと
かわいいは正義。
「な」
「え、いや、私に言うとるん?」
隣の少女に絡んでしまった。
いいじゃん、今や俺も幼女だ。同い年に絡んでも問題なかろう。
「まあ、かわいいのが正義なんは分かるけど。なに、私の事褒めてくれてるん?」
「あぁん? オレの事に決まってんだろ」
「キマってるのはあんたの頭や」
「分かるやつだ。ばっちり決まってるだろ? 高かったんだぜこの髪」
「あかん、話が通じひん」
「ていうか、その服なんなん?」
「何って。かわいいだろ」
「春先に白いワンピースって季節感おかしいと思う」
「決まってんだろ?」
「キマってるのはあんたの頭や」
こればっかりは許してくれ。この街に溶け込めそうなファッションアイテムって
元の服装? コスプレで写真パシャパシャされたから変えた。
エミリアレプカみたいなギリ行けそうなのも色々というかあるけど、ことごとく制服っぽいし。
「あ」
「今度は何や」
「レイヤリングがあるじゃん。ちょっと着替えてくる」
席を立ってトイレへ。
ストーリーで地球と接触した時に、東京のJKがショタにやってた服あるじゃん。これで行こう。
「……どこにそんな服持ってたん?」
へけっ、答えねぇよ。
「ま、ええか。あ、悪いけどこれ仕舞ってくれへん?」
「どの辺?」
「あの空いてるところや」
気が付かなかったけど、こやつ車椅子だったのか。
どうりで昼間っから暇そうに図書館に居る訳だ。
「私はともかく、あんたはなんで昼間っから図書館におんねん」
「ふはは、何を隠そうオレは宇宙人。地球の偵察に来ているのだ」
「なんやそれ」
そうだ。
俺にまつわる深く悲しいストーリーを考えておこう。
人はこれを理論武装と呼ぶのだろうな。
「それは借りてくやつ?」
「そそ。あんたは?」
「図書カード持ってねぇし新聞が読めれば充分」
「ほんとに視察しとるんやなぁ……」
「まずはこの海鳴を支配してやる」
「ちっさ」
「んだとおら」
世界には神奈川県川崎市の溝の口を専門で守る正義のヒーローだっているというのに。
車椅子少女と俺はごく自然に並んで歩き、続いて向かった先はスーパー。
「はぁー、そんななりで立派なもんだ。自炊とは」
「なりは余計や。色々作れるで」
「じゃあ今夜はハンバーグな」
「別に構へんけど。チーズいる?」
「わかってんじゃん」
ふむ。ただの少女と侮ってたけど、メモも淀みもなく普通に選んでる辺りレベル高い。
俺は全クラスカンストだけど料理は貰い物か交換しかないし。
あとで倉庫に眠ってるクラリスクレイスのチョコ32個でも寄贈しようか。
2015って書いてあるけどこの世界では未来に当たるし大丈夫っしょ。
「わーいチョコちゃん……待って、変な匂いするで。あとべたべたしてる」
「火山で貰った後常温放置してたし。年単位で」
「腐っとるやないか!」
「ひでぇ。クラリスクレイスに謝れよ」
「放置したあんたが謝れや!」