おっさんin幼女が魔法少女な世界で暴走する   作:親友気取り。

21 / 76
メインタイトルの変更を検討しております。現在考案中でございますが、また決まり次第活動報告等でお伝えしたいと思います。


2-2 日常を壊す仮面

 海鳴市は名前の通り海が近い。

 市外にはすぐ自然の森もあるし、良い土地なんだろう。

 少なくとも何か事情が無い限りはこの街を捨ててしまいたいとは思えない。

 

 

 朝起きて、シグナムが飯作ってて。

 今日帰ってくるとはいえ、なんだかんだで毎日顔を合わせていたはやてのいない朝は寂しいものだった。

 

 ここが良い街であるのは確かだが、素性の知れない中身イケメンお兄さんな幼女を快く家へ迎え入れる器の広さを持ったはやての一生を狭い世界で終わらせてやりたくない。

 臨海公園の海っぺりの柵に寄り掛かりながらため息。

 

 狭い世界で終わらせたくはないと言ったが、だからといって平穏を捨てた世界はいらないかな。

 

「……良い街だよなあ。お前もそう思うだろ?」

「…………」

 

 一瞬にして俺の目の前に現れた、仮面を着けた男。

 恐らくこいつが作り出したであろうよくわからん障壁のせいで、俺と男以外の誰もいない空間が出来上がっていた。

 障壁が張られたのはわかったが、なんで明らかに殺意満々なのか分からない。

 俺の勘もリコボディもやばいと警笛を鳴らしている。

 

「フォトンを扱う者がなぜこの世界にいる」

「色々事情があんだよ。つかフォトン知ってんのか」

「エミリア女史の努力を無駄にはしない」

「頼む、会話してくれ。話し合いで解決したいから」

「リコ・アークス。この世界の為におとなしくしてもらおう」

 

 うわっととと。

 なんか光の輪っかみたいなので捕まった!?

 殺意の通り完全に抹殺前提じゃねぇか。

 しっかし色々気になるな。なぜこの世界に無いであろうフォトンを知っている?

 それにエミリアの名前。

 あとさりげなく名前間違えるな。ちゃんと調べとけ。

 

「一応聞いとくが、オレの事は誰から?」

「…………」

「まぁ、そうだよな」

 

 会話は無理か。

 打撃特化マグのドルフィヌスを装備し、右手にはラヴィス=カノンを。

 

「その状況で何ができる」

 

 戦闘は手を抜かない。ふざけない。

 拉致事件の時の反省だ。

 だが、だからと言ってハチャメチャな全力も最初から出さない。というか出せない。

 俺はまだ自身がどれ程戦えるのか把握してないからだ。

 ゲーム中の動きとリアルでできる動きのすり合わせができていない。

 できると思っている事でもできない可能性がある以上、追い詰められない限りは賭けに出ないほうがいい。

 

「今日は素敵な日だ」

 

 余裕な態度の口上に警戒したのか、相手も手を止め静かな時が流れる。

 

「花は咲いてるし、小鳥は」

 

 輪っかをちぎり、ノンチャージゾンデ!

 突如として発生した雷が男の頭上から襲い掛かる。

 初級テクニックのチャージ無しという、ゲーム中じゃわざわざ使う事なんざなかった行為。

 しかしだ、突然目の前が光ったらビビるだろ?

 

 満足に戦えないなら不意打ち上等!

 相手は怯んだ。なら後はステップ、ジャンプで一気に距離を詰めて、

 

「なにっ!?」

 

 ヘヴィーハンマー!

 一瞬だというのに芯は反らしたか。手応えはあまりないが、ヒットはしたのでふっとんで海に消えていった。

 

「残念だったな。拘束のレバガチャ抜けは慣れてんだよ」

 

 ふう、こっちでもできるかはちょい不安だったがオーケイ。

 

 ん?

 ……妙だな。

 倒したと思うのに障壁は解けない。

 

「あー、で。小鳥がなんだっけ」

 

 障壁が解けていないなら。

 

「大体ホラー演出的に後ろにいる」

 

 振り返れば、ノーダメージな仮面の男がいた。

 攻撃を逸らされたし逃げられた感覚もしたからまさかと思ったが、ノーダメなのは予想外。

 しかもさも当然の如く浮いてるし。色々おかしくね? なんで飛べるし。

 クラリスクレイスみたいな一部のやべー奴は飛んでたけど、やった事ない俺は無理だぞ。

 

「アークスは基本飛べねぇから降りてきてくんねかな」

「断る」

 

 ちょちょちょ!

 突然のガチ弾幕はよせよ!

 ステップと斬り払いで対処するがこのままじゃ一方的だ。

 速度重視でノンチャージのゾンデやグランツも放つが弱い。不意打ちじゃなければバレて防がれる。

 だからといってテクニックをゴリ押しチャージして逆転する保証もねぇしウォンドじゃ分が悪い。

 武器を切り替えて、

 

「タリス!」

「対空性能はその程度か」

 

 投げたカードが空飛ぶ男の後ろに止まる。

 余裕ぶってるが残念だったな、ゾンディールだよ。

 

「なにっ」

「逃げらんねぇぜ?」

 

 二段ジャンプ、かーらーのー?

 ヘヴィーハンマーだぁああああああ!

 

「ぐ」

 

 フルスイングは仮面の男が張ったバリアっぽいのをぶち破った。今度はヒット、芯を捉えた。

 へけっ、他愛もない。ぶっ飛んで行きな。

 

「油断したなっ!」

「わっ!?」

 

 着地狩りと後ろから首はスゴイシツレイに当たるだろ!?

 つか、さっき大ダメージ与えたのに……!

 ええい、瞬間移動か何かかこいつ、俺にもそれくれよ! 通勤楽になるから!

 パンチだ、ドルフィヌス! こいつを殴れ! 

 

 ……ドルフィヌス……?

 

「ああああ! 餌やってねぇ!」

 

 ほ、放置してたからエネルギー切れで全然働かねぇ!

 ちょっとお前ふわふわしてないでアイテムパックからモノメイト出して飲んでくれよ!

 今なら無限に飲めるフリードリンクだから!

 

 ギリギリと締め付けられそうになる我が細首。

 デューマン種特有のフィジカルパワーで対抗しつつ、足元に落としたタリスから闇属性テクニックのナ・メギドを準備する。

 もう容赦せん、これが炸裂すれば貴様なんぞ!

 

「待て! 離れろ!」

 

 またワープか!

 くそ、ロックが外れちまった。不発に終わっちゃ意味がねぇ。

 

「げほっ、うぇー。双子トリックって奴か、古典的だねぇ……」

 

 目の前には二人の仮面の男が並んでいた。

 ノーダメに見せかけたりは二人で入れ替わり立ち代わりだったからか。

 舐めた真似してくれるぜ。

 だが、そうと分かれば手が読める。

 

「さってと、お二人さん?」

 

 同じ容姿の奴が並ぶとなんか変だな。

 まぁ詰まる所、こいつらはそれぞれ遠距離か近距離の特化って所だろうな。交互に来てたし。

 ヒューイとクラリスクレイスが同時に現れたと思えば良い。

 ――あれ、それって軽く絶望じゃね? クラリスクレイスだけでも震えが止まらない。

 おいおいおいおい、死んだわ俺。爆死する未来しかない。チョコ食べるから許して。

 

「ちょっと一旦待ってくれない?」

「舐めるな!」

 

 はっや。とんでもねぇ踏み込みだ。

 でもな、足元のタリスはまだ生きてるんだぜ?

 カウンターにテクニックを一つ。

 

「ナ・フォイエ!」

「この程度、うわぁあああ!?」

 

 飛び出た火球をバリアで防ごうとしたのが判断ミスだな。それ、当たると燃え広がるんよ。

 火炎瓶をぶち当てたかのような罪悪感が俺を襲う。やったことないけど。

 もう片方の遠距離特化がそれをカバーするために再び弾を飛ばしてきたが、そいつぁ悪手だぜ。

 

「零式ナ・バータ!」

 

 氷の壁が展開され、それに攻撃が当たると同時に弾け飛んだ。

 殴りテクターの防御方法にしてカウンター技。

 味方の援護射撃が仇となりダメージを受けた接近マンは一度距離を置こうとするが、それを逃してやる程ではない。

 グラビティグレネードを投げて捕まえてから、

 

「行くぜラヴィス!」

 

 手にしたるは愛用の武器ラヴィス=カノン。

 育て上げ潜在能力を解放したラヴィスは、なんと気合いを入れて振ると光波が出るのだ!

 

「ぶった斬る!」

 

 気持ちいい音と共に放たれた光波によって接近マンは斬られ……てないな。

 あら、逃げた? くそ、またワープか。

 どこに……。

 

「あー……」

「よくもやってくれたな」

 

 さっきよりも高いところにおられるわね。

 二段ジャンプでも届かない位置とかクソかな。

 ……あーもうっ! 飛べないとか言うんじゃなかった!

 

「降りてタイマンとか、ない?」

『ないな!』

 

 わぁい、二人揃ってのお返事。

 じゃあ仕方ねぇ。

 頼むぜリコボディの経験値。そして賭けに勝つ運。

 運って奴に負けたら笑ってごまかせるかなぁ。頑張れ。

 

「右手に雷、左手に風。これなーんだ」

『諦めろ!』

「正解は、ザンディオン!」

 

 発動させたるは複合属性テクニックのザンディオン。

 雷と風の翼を纏い、相手に突進する法撃と大和魂が合わさった必殺技。

 

 ゲーム中じゃ平行移動しか出来なかったがここは現実、垂直に飛べよ我が翼!

 翼を見た男達はもはや殺す気で俺に向かって弾幕を張る。

 

 できた! 飛べたよ!

 後はこのまま距離を詰める!

 

「耐えてくれよオレの体……っ」

 

 全身を容赦なく撃ち抜かれて行くが、高度は詰めた。

 

 特攻攻撃したる為の翼は、飛び上がるだけで終わり消えた。

 

 それもそうだろう。垂直に飛び上がってくるなら横にずれれば良いのだから。

 

 

「ふっ」

 

 

 その失笑は誰のものだ?

 俺じゃない。なら目の前の男のものか。

 必殺技があと一歩及ばずで終わりだったからか?

 

 

 ――及ばず? 必殺技が?

 

 

 笑わせるなよ。まだだ、まだ舞える。

 なぜならば、殴りテクターに複合テクニックなど要らぬからだ。

 

 

 そう、真の必殺技とは――。

 

 

「フルチャージヘヴィーハンマーだぁああああああ!」

 

 そう、力こそパワー! 打撃力こそが物を言う殴りの真骨頂!

 筋肉イェイイェイ!

 パワーⅣ(コスパ)

 散々振り回した通常必殺技のフルチャージだ!

 フルパワーぶっぱ破砕の一撃、耐えて見せろよ!

 

「落ちろよぉおおお!」

 

 多少離れているが、高度さえ合っていれば問題ない。武器がホーミングして俺の体を連れていってくれる。

 

 

 突貫し振るう。

 纏まって並んでいた男達は、抵抗のバリアも虚しく殴られ吹き飛んだ。

 真芯で捉えてホームランだが、逃げられたな。

 インパクトの瞬間に接近マンがギリギリ庇い、遠距離マンも撤退を悟って防御は相方に任せて大ダメージを受けつつも何かしら制御をしてワープしていったのだ。

 なんつう判断力してやがる。

 

 勘だが、おかげでもうこの辺りにはいない。

 それに障壁もなくなったし危機は脱したか。

 

「一枚上手かぁ。だがまぁ、オレちゃんも大健闘じゃないか?」

 

 こっちは初陣の、自分の戦闘能力も把握しきれてない状態だ。

 リコボディから引き継いだ経験値で動けるが、ブレインは一般ピーポー故にやはり判断能力に難ありか。

 今思ったけど、カタナコンバット使えば無敵になった上フィニッシュのガキィィンで初見殺しだったんじゃなかろうか。

 あるいはマロンをタコ殴りにしてもらって自爆(さよなら天さん)してもらうか。

 

 まま、結果的に撃退できたし生きてるからセーフ。

 カタコンは切り札に取っておこう。マロンだってマグと同じで俺がリコじゃないと思われたら逃げられるかも知れない。

 初見殺しを下手に使ってとり逃がして、次襲撃されたときに警戒されず済んだと思おう。

 逃げられたんならまた襲ってくるに違いないし。

 

 

 

「ところで、着地どうするの?」

 

 考察はさておき、この高さから落ちたら死にそうなんだけど。ゲームじゃあるまいし。

 

 

 

 …………助けて!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。