おっさんin幼女が魔法少女な世界で暴走する   作:親友気取り。

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2-9 マグロパンチングセンター

 ヴィータの横を通り抜け、勢いのままそのままソードを振るい攻撃を受け止める。

 

「くっ! 重い……!」

「やってみるもんだぜぇ!」

 

 うひぃ、ぎりぎり間に合ったか。

 おいごら。子供の喧嘩だろうと容赦せんのが俺だぞ。

 

「な、お、お前がなんで!?」

「うるせぇ! 子供が夜の一人歩きしてんじゃねぇ!」

 

 つうか今気が付いたけど、そこでぼろぼろになって倒れてんのはなのはか!?

 だぁもう。いったい何がどうなってんだよ!

 

「いやお前がどうなってんだよ、なんでマグロ振り回してんだ」

 

 マグロじゃねぇスペースツナだ。

 夜の街をずっとこいつでサーフィンしてました。

 そして今も鍔迫り合いをしているのはスペースツナです。

 生臭いね。

 

「後は任せろ。オレがなのはの治療に回る」 

「え」

 

 生々しい鮮魚たるスペースツナにびびってるのか、相手は微妙な顔をしつつハルバードみたいな武器を下げて後退した。

 

「君は……」

「オレか? オレはリコ。翠屋に雇われたバイトだ!」 

 

 後衛のなのはは討たれたが、前衛のヴィータは無事。

 遅れは取ってないんだろうが、二体一の所を片方潰して優勢に回った辺りこの金髪少女の実力は高いと踏んだ方がいい。

 

 言いながら倒れているなのはにレスタをかけていく。気絶しっぱなしだが、目立った怪我もないし無事ではあるようだ。

 今最善の行動はあの金髪少女にヴィータを当てて時間を稼いでもらい、その間になのはを連れて離脱。そして障壁を破壊して全員で脱出か。

 くぅー、つれぇぜ。

 

「よし、取りあえずこいつを連れて安全圏まで離脱する」

「ちょ」

 

 なのはを小脇に抱えて、スペースツナをボードにしてビルを飛び出て近くの屋上までサーフィン。

 金髪少女だけでなくヴィータまで微妙な顔をしていたのは疑問だが、無事脱出できたのでヨシ!

 しばらくして後方から再び戦闘音が響き渡ったので、闘争が避けられなかったのは事実。俺は正しかった。

 

「おいなのは、おい起きろ」

「う、ん……」

「起きないとお前が魔法使うときの掛け声を真似する」

「はっ!」

 

 起きたか。

 別に起きても真似するんだけど。

 

「リリカル、トカレフ、皆殺し(キルゼムオール)!」

「そんなに物騒な単語じゃないよ!?」

 

 プリンセスチョップ!

 

「あいたぁ!? な、なんで……?」

「なんかあったら連絡しろっつったろが」

「でも、リコちゃんの連絡先知らないし」

「そのためにフレンド申請送ったんだろに」

「フレンド申請ってなに?」

「え」

「え」

 

 ナニソレ。

 あー、まさか。つまり、アークスじゃないから、誰にも届いてなかったと。

 どーりで返事がないわけだよ!

 あとで謝っておこう。だが俺を潰したシャマル、テメーはダメだ。今度からリツコさん呼びしてやる。

 

「それはおいといて、こっからどう出るか。力業で壊せる?」

 

 その時、気配を感じて後方へソードを差し向ける。

 なんか俺とどことなく似てるショタがいた。2Pカラーみたいな姿しやがって。

 

「ぼ、僕は味方だよ、安心して」

「なのは、知り合いか?」

「うん、ユーノくんだよ。あと差し向けてるのがマグロだからすごいシュールになってる」

 

 マグロじゃねぇスペースツナだ。二度と間違えるな。

 んでユーノか。確か前に名前だけは聞いたことあるな。

 

「なのは、動かないでね」

 

 そう言ってまずユーノはなのはへレスタの魔法バージョン……つまり回復魔法的なものをかけていく。

 やるなお主。優先順位をわかっておる。

 でだ。さっきの質問だがこの結界は突破できるもんなのか?

 

「一応可能。ただ、高威力の砲撃を出せるなのはは戦わせられる状態じゃないし、フェイトも今手が離せない。君は、何かない?」

「ふむ。高火力技ねぇ」

 

 単発で言えばナ・メギドなんだろうが、結界を物として認識できてないからターゲットができず発動させられない。

 となれば……

 

「なのは」

「うん?」

「頼む、殴ってくれ!」

 

 おっと。しまったこれでは説明不足か。

 一応説明しておくとだな、ぶべらぁ!

 

「ちょ、ちょっと待って……?」

「なに?」

「あの、普通ためらったり説明聞いてからじゃない? こういうの……」

「だって殴ってって言われたから」

 

 ああ、そうかい。まぁ俺の言葉も悪かった。ちゃんと言おう。

 ごほん。

 アークスの持つ装備の中に、マロンと呼ばれるものがいる。

 これはダメージを受けると膨らみ、威力を高め、単発だけとはいえとんでもない火力を引き出せるのだ。

 だからそのために殴ってほしドヮオ!

 

「その、聞いてた? つまりマロンを殴れって話なの」

「なのはは何かこの子に恨みでもあるの……?」

「いつもよくわからない事するから、これで良いのかなって」

 

 ユーノももうちょっと言ってやれよ。

 あとお前が普段俺をなんだと思ってるのかよぅく分かった。あとで泣くまで俺の手作り料理食わせてやる。

 さてさて、

 

「見よ、これがマロンだ!」

 

 真ん丸ボディに短い手足。

 今はまだ小さいけど、殴る度に膨らんでいくぞ。

 逃げ出さないのは修行の織りに確認済み。

 さあ、サンドバッグのように殴れ。

 

「えぇー、こんなにかわいい子、殴れないの……」

 

 お前ちょっと待てや。

 さっき何のためらいもなくそれよりかわいい女の子の顔面を二回も殴ったよね? グーで。

 

「殴れないの」

「頼むよー。使用者のオレじゃ意味ないからさー。ユーノもさー」

「僕も、無抵抗な動物を痛め付ける趣味はしてないかな……」

 

 目の前に無抵抗の女の子をぶん殴ったやつがいるんですが。

 

「となれば、フォメルギオンか……」

 

 複合属性テクニックのフォメルギオン。

 火と闇を合わせるっていう中2心溢れる物だけど、一点集中の攻撃だし結界の突破となればこれがいいか。

 個人的に昔デュエルマスターズやってた時に火文明と闇文明を混ぜたデッキ使っててこの組み合わせは思い入れあるし。

 

「できるのかい?」

「今は無理だな。ゲージが足りない」

 

 ただし複合属性テクニックは必殺技な分、戦ってテンションを上げないといけないのか今のままでは使えない。

 この場を離れて戦いに赴くわけには……。

 ――いや、必要あるか。

 

「ユーノ、ここを頼めるか?」

「どうしたんだい?」

「オレ宛てにお客さんらしい」

 

 アークスの勘というかなんというか。

 例の仮面が来たって感じがした。

 遠いし動いてない。完全に俺を待ってやがるな。

 

 ソードに乗り空を飛ぶ。

 今度こそ、何を知ってるのか教えて貰うぜ!

 

「待ってリコちゃん! せめてマグロはやめて!」

 

 ……途中でそっとかっこいいデザインであるコートエッジに変えておいた。

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