おっさんin幼女が魔法少女な世界で暴走する 作:親友気取り。
「この辺りな気がするんだけど……」
上空から見下ろすけど見えない。となれば、ビルの中か。
ほんとマップが欲しいなぁ。
「ん?」
むむ。この気配は。
目を向ければビルの窓がぴかぴか光って見えたので、舵を切って正面突入。
行くぞ! ライドスラッシャーの勢いのまま壁とか破壊しながらバーンとォ! 突撃ィー!
崩れた壁のすぐ向こう側に、見慣れてはないが見覚えのある仮面男がいた。ビンゴ。
「ノックをするべきだったかな?」
……。
「だんまりはないだろうが。ちゃんと返してくれよ」
そういえばさっきから色々壊してるけど、これ後で大丈夫かな。
臨海公園の時は戦闘終了と同時に壊したのは直ってたけど、今更不安になってきた。
「今度こそ、お前を捕らえる」
「オレの事が嫌いなようで何よりだ。せめて理由を聞かせてくれよ」
「動きを封じた後に、いくらでも」
踏み込みと共に左のジャブが飛んでくる。
ソードの腹で防いでカウンターのソニックアロウを放つが、モーションがでかいせいで潜り抜けられ腹に蹴りを食らった。
息が詰まる。
けど、体が軽くて吹っ飛ばされたおかげで距離が開いた。ならばこれは好機!
ライフルに持ち替えてワンポイント。狭い空間に弾丸がばら撒かれる。
「ふんっ」
弾は軽く防がれたが、それが狙いだ。
あいつの足が止まって俺のターン!
「行くぜ!」
接近戦が好みらしいので、視界を防いだ一瞬の隙をついて踏み込み懐へ潜り込む。
相手の目が、反応速度が良いのは知ってる。だがその目の良さが命取りよ。
狙い通り接近に対処し掴みかかってきた。
もし普通の人間であれば簡単に掴んで投げられただろうが、俺はアークス。様々な戦場を駆け抜けたフォトンを纏いし光の戦士。
誘いに乗ったのが命取りよ。
ナックルの回避モーションであるスウェーで避ける。
回避するぞと身を反らすだけで体が勝手に最適解を導き、すんでの所で相手の手が空を切った。
向こうにとっては掴んだはずなのにすり抜けられた感覚がするだろう。
ありがとう過去リコの戦闘技術と勘。
「バックハンドスマッシュ!」
震脚、裏拳!
姿勢の崩れた状態じゃバリアも張れず、
ここまで綺麗に決まるんだったら、この距離ではバリアは張れないなって言って攻撃したかった。実際の戦闘中じゃ言う暇ねぇよ。
「ぐ、う」
若干の後悔をしつつラヴィス=カノンを差し向けホールドアップ。
「オレを捕らえてどうしよって?」
修行の成果は出てるな。前と比べて力の扱い方が分かってる。
あとアークスというかフォトンというか、相性というかレベル差というか。ともかくこっちの防御力と攻撃力は向こうより勝ってるのも大きい。
あと相手も飛べる場所にいないしね。狭い空間の地上戦なら楽よ。
お陰で比較的楽な勝利を納められた。星三つ。
「……油断した」
言い訳はいいからさっさと色々話せよ。
あのな、訳もなく襲われて納得するやつぁいねぇんだよ。
さっさと言わねぇと嫌いなフォトンばら撒くぞおら。
「フォトンを持つ者が本来ここにいる筈がない。排除しなければならない」
いちゃいけないって理由を聞いてんだっつの。
あ。
「もしかしてあれか。ダークファルス」
「! 貴様……」
「やっぱそうだろ」
ダークファルスの親玉である深遠なる闇、それを生み出したのは負の感情に負けたフォトン。
その関係から端的に言えばフォトンが危険だってのはまあ間違っちゃいないよな。
ただ、新しくダークファルスが生まれる事はほとんどない。そんなぽんぽん出てたら宇宙やばい。
PSO2のストーリーで登場したのは封印されてたのが解放されたり、昔から取り憑かれてたり、ダークファルスやその眷属の力を浴び過ぎて成り果ててしまったり、深い絶望に包まれたり。
過去作にも視線を向ければやっぱり封印だったり欠片だったり、とにかくゼロから新しく出てきたのなんて故意に何かしてやろうとしたやつじゃなかろうか。
もしかしたらいるんだろうけど、少なくても俺はパッと思いつかない。
何はともあれ、この世界にダークファルスを誕生させたいなら持ち込むか俺をとんでもない絶望に追い込むか、あるいは何かしらの方法で人為的に作ろうとでもしなければいけないしやろうとしても材料はないだろう。
「エミリアが何を言い残したのかは知らんがな。つか、そこまで自信あるならエミリアいんの?」
「いない。……お前の事は信用できるのか?」
どう答えっかな。実のところ、俺が万が一で一緒に持ち込んでるかも知れないし。リコの肉体に付着してたとかで。
この場は俺の方でも念入りに調べてみるってことで保留に――
「問題ない。こちらでダークファルスが生まれる可能性はない」
――なんか喋っちゃった。
地味にこの自信満々な言い方取り消せないし、やらかしでは?
なんにせよ勘違いで俺だって封印されちゃ敵わんし、少なくてもそれをされないだけでもいいんだけどさ。
「……お前に、理性は残っているのか?」
「はあ?」
理性ばりばりだろうがよ。
「ダークファルス。エミリア女史の伝聞でその存在は……」
遠くで爆発音がした。とても大きな。
窓から外を見れば空を覆っていた結界というか障壁が壊れていくのが見える。
誰がやったか分からんが、これでなのはも逃げられるしナイスだ。
「ちっ、時間か。今は引こう」
「じゃあなー。相方さんにもよろしくなー」
さてさて。結局エミリアが何を言ってたのかを聞けなかったけどこれで肩の荷は下りたな。会話もできたし延命もできた。
どうせまた来るだろうしエミリアの事はその時に聞くか。
仮面の男はワープで逃げていったので俺も逃げよう。障壁がなくなったらこのビルにも人が戻ってくるだろうし。
「奇術、大脱出」
説明しよう! 撤退の意である!
窓から出て、いつものソード(スペースツナ)で空を飛ぶ。
コートエッジはどうしたって? 何で光る武器を使わにゃならんのだ。目立ちたいのか。
服も黒いし未確認飛行物体として逃げよう。
地上でもし見た人、トビウオみたいなものだと思ってくれ。ウオウオフィッシュライフ。
しかし肩の荷は下りたと言ったが、どうにも腑に落ちない点が多いな。
俺を襲って捕まえたがってたくせにあっさり引き下がった。それに封印したいなら日常のあちこちで幾らでも隙はあっただろうに。
確証がなくて非情に振舞えなかったのか?
あいつらも上司がいるのかなぁ……。命令されてやりたくない汚れ仕事してたり。
途端に社畜感が出てかわいそうになってきた。
そして言われて気になったのはダークファルスが存在するかどうか。
今までどうしてこのことを気にしなかったんだ?
さっき咄嗟に口にするまで、はやての持つ闇の書がやべぇと思ってもダークファルス自体の危険を思い返すことがなかった。
保険にたった一人を犠牲にすれば宇宙崩壊の可能性を潰せるなら、狙われて当然だ。
その事に今まで思い至らなかったなんてな、何かおかしいぜ。
何か? そうだ、何かが……。
――とりあえずこの事は置いておこう。
問題は目先の戦闘の事だ。ダークファルスの事は持ち帰ってじっくり考えよう。
謎の金髪少女になのはとヴィータが襲撃されてたし、戦いフラグは折れてない。
こうなってくるとあまり姿を見せなくなったシグナム達も心配だな。どこかで襲撃されてるのか?
平和じゃねえのかよこの街は。
「この辺までくれば平気か」
山林地帯に着地して一息ついて、私服に戻って。
本来の目的である買い物が遅れている事やヴィータと合流するためのメールを打とうとして、手元のモニターでぽちぽちしてたら誰かが来た。
「どちらさ」
金髪少女!?
モニターを消してスペースツナを構える。
「私はフェイト」
「ああん?」
「リコ、でいいんだっけ」
如何にも。自分はアークスのリコである。
んで何しに来やがった。ヴィータをどうした。
答えによっては容赦せん。なんかだそうと思えば出そうなダークブラストの使用を許可する。
あとラヴィス=カノンに持ち替えさせて。
「構えないで。なのはを助けてくれたこと、お礼がしたかったから」
……ん? あれ?
なのはを助けたのは確かだけど、その礼を金髪少女もといフェイトが?
「話がしたいから、アースラまで連れてきてって」
アースラってなによ。
あれ。なんかおかしくね?
もしかしてこの金髪、いいやつ?
いつかに書いたメインタイトルの変更予定ですが、予想を遥かに上回り見てくれている方がおられるようで今更もう変えられないと判断し、このまま継続しておっさんin幼女の看板をかがげたいと思います。
これからもよろしくお願いいたします。