おっさんin幼女が魔法少女な世界で暴走する 作:親友気取り。
「同行、してくれますか?」
アースラは管理局所属の宇宙船で、そこでゆっくり話をしたいらしい。
どうやらさっきの戦闘を見られていたようだ。生魚を振り回してるところとか。
俺としては前々からやばい感じのする闇の書について知りたくて管理局とコネが欲しかったし、バンザイ。
フェイトって名前もユーノと同じくなのはの友達リストで上がってたからたぶん信用もできる。
ただ、じゃあさっきの戦闘はなんだったんだ?
ヴィータが人を襲う訳が無いし、なのはも同様。このフェイトはなのはの友達……つまり味方。
仮面は遅れて到着した上で俺と戦った後に直帰でこいつらと顔は合わせてないので、じゃあ誰と戦ってたんだろう。
もう一人の仮面の方は今回気配もないし来てなかった。
俺がなのはを離脱させた後戦闘が起きた時、その場に2人しかいなかったからぶつかったんだと思ったが第三者が来てたのだろうか。
気配を消して、誤認させて同士打ちを狙ってた? なんて奴だ。
「詳しい話はオレも聞きたいが……これからはダメだな」
「ダメですか?」
「ああ、ダメだ」
とりあえずここは断る事は確定させてた。信用の有り無し以前に宇宙船アースラは地上にはいないらしいし。
可能性の話だが、もしも俺にダークファルスの因子が存在してて下手に
ゼロから生まれる事はほぼないとは言ったけど、逆を言えば1が存在した時点で仮面の危惧が現実のものになる。
地上にいる分ならフォトンの浄化能力で近所を回れるが、宇宙に解き放たれたそれらを浄化して回るのは俺一人じゃ手に負えない。
確証がない以上まだ行くべきではないだろう。
本能的、脳裏的、リコボディ的には宇宙へ行きたいらしいけど気合いでねじ伏せ却下。
闘争で呼び覚まされたのかやけに自己主張が激しいぞ今日は。
断りの言葉を伝えると、フェイトが再び武器を取ろうとした。
「……人に武器を下げさせておいて、自分はそれか」
「ええ。なのはが、“リコちゃんは少し叩く位が丁度いい”と言ってたから」
なのはァ!
「待て待て待て。オレと話したいだけなら明日でもいいだろ、逃げやしない。つか、それが敵対行動だと気が付け。言葉通り叩こうとするな」
「でも」
「オレだって生活があるんだよ。今日は買い物頼まれた行き道だったし、はよ帰らんと家族に心配かけちまう」
「家族……」
秘儀・情流し。しばらくどこかと連絡を取るような動作をしてから、頷いて武器を収めてくれた。
よしよし、いい子だ。こんなに話の通じるやつがいる一方で、躊躇いなく二回も殴るやつがいるらしい。
高町なのはって言うんだけど。口コミ攻略サイトみたいな噂を流しやがって。
だれか! なのはにせいさいを! だれか!!
というか明日翠屋で会ったらしばく。
「そうだ。翠屋でバイトしてるから明日にでもそこで合流しよう」
そうだ。これを上げよう。
これは先日作った物理アークスカード。別名名刺とも言う。
お芋スタンプは頑張って作った力作です。
渡す相手もなく死蔵してたけど、やっと日の目を見た。受け取ってくりゃれ。
「オレのメルアドと電話番号な。寝てる時と仕事中じゃなきゃ大体通じるから、なんかあったらそこに」
「信用できるの?」
「納得して武器を収めてくれたんじゃないのかよ。まぁ、なのはの友達って事で」
あ、そうだ。
管理局の所属なら一応聞いとくか。
「フォトン、エミリア、ダークファルス」
「え……フォトン……?」
「知ってるものがあったら明日教えてくれ」
「ま、待って!」
なんか呼び止めようとしてたけど、無視して背を向けダッシュ!
アークスが東京を駆け巡ったように、上半身を一切ぶれさせることなくしかし常識的な速度で走り抜ける。
前で腕を組みながら走りたいけどその前に連絡を取らねばなるまい。
送信先ははやて。内容は遅れたこととヴィータとまだ一緒じゃない事。
「もしもし、はやて?」
『リコちゃん! どこまで行っとるんや、もうみんなとっくに帰って来とるで!』
「わ、わるい」
『全然連絡つかへんし心配したんやでほんま……。今どこなん?』
「交番出た所。ちょっと職質受けてて。今から買い物とか行ってくるから。ヴィータは?」
『買い物はシャマルに行って貰ってるからええよもう。ヴィータも大丈夫やし、後はリコちゃんが戻ってくるだけや。もう、はよ帰ってきてな』
着信履歴を見てみる。
うわぁ、見事に八神家固定電話から熱いコール地獄。メールも添えて。
めっちゃ心配されとるやん。これは悪いことをした。
ビル街を抜けて住宅街へ入り、人気が無くなった所で全力ダッシュ!
うおぉおおおおおおお!
「たっだいまぁああああああああああ!」
帰宅RTAがあったらワールドレコードを更新できていただろう。
玄関が閉まるよりも早くリビングへ向かうと、なんかいつも通りぐだついてるシャマル以外のみんながいた。
ヴィータもいるし。
戦闘後から姿を見せてなかったけど、俺より早く帰ってきてるじゃん。
何がワールドレコードだ。ヴィータの方が帰宅早え。
「リコちゃん。言う事は?」
おお、はやてよ。ちゃんとわかっているぞ。
「ごめんなさい!」
さっき電話した時、ガチ心配してたのは声色で分かった。
素直に謝る。
「ヴィータも無事でよかった」
「ああ、うん、リコも」
騒ぎを聞きつけたのかシグナムも来たけど、何やら不機嫌そうな顔だぞ。
あー、いや。シグナムも不愛想なだけでものっそい優しいからな。分かりにくいけど。
前に駆けつけて助けてくれたのもシグナムだったし。
謝ろうと顔を向けたら、こっちで話すと言いソファへ向かってしまった。
絶対これ怒っとるやん……。
はやてが料理に戻って行ってしまったので、腹をくくりソファへ。
ガチ説教でもかかってこい。
「管理局の連中と接触したのか?」
と聞くシグナム。
接触したと言われても自己紹介位だし、詳しい話は明日するけど。
同席するなら連絡しておく……あ、一方的にメルアド渡しただけだ。連絡とれねぇ。
「リコ。お前はどっちの味方だ?」
「あたし達か、管理局か」
質問の意図がようわからんのですが。
なんかお前らやましい事でもしたの?
「……ふう、ヴィータの言う通りだな」
「だろ。リコは何も知らない」
聞いといてそれはないよおふたり。
何のカマかけ?
「なんでもない。会うというのなら、管理局の連中には私達の事は伏せてくれないか。無関係を装って欲しい」
「その心は?」
「今は答えられない。だが、そうしてくれれば主はやてとお前の平穏をこの剣に誓って守り続ける事を誓おう」
たぶん頑張ってもいつかはバレると思うけど。同じ街に住んでるし。けど頼みだと言うのなら良いぞ。
半年という短い期間とはいえお前達が悪い奴じゃないのは良く知ってる。
管理局……つまり警察的な所に問われる事をしている自覚があろうと、自分の正義を持って戦うんだろう?
まるでヒーローのようじゃないか。かっこいいぜ。
「……恥ずかしくもなくよく言う。だが、理解してくれたなら助かる」
「あたしも、リコと敵になるのは嫌だからな」
何言ってんだヴィータ。
気配を消せて攪乱もうまい敵を相手にして、なのはを守りながら一歩も引かずに戦ったんだろ?
「え」
俺とフェイトが同時に向かったのを確認して姿を消し、同士討ちさせる。
あの場で起こったのはそういう状況だ。
撤退を前提になのはを連れて逃げたのが幸いにも共倒れを防いだが、もしあのまま交戦していればもしかしたら全滅だったかも知れない。
遠くに現れた仮面の気配を察知できた俺ですら終始気が付けなかった、とんでもない手練れだ。
今まで見た目で判断していたところもあるけど流石は歴戦の騎士。
そんな誇り高い騎士と敵対する時なんて、俺が闇落ちした時くらいだ。
「あー、いや、うん。そうだな」
「……ヴィータの言う通りだな……」
「な。何も知らないだろ……?」
「ああ……」
言いたいことがあるなら聞こうじゃないか。