おっさんin幼女が魔法少女な世界で暴走する 作:親友気取り。
なのはとフェイトと、知らない茶髪と緑髪の女性が現れた。
茶髪がエイミィ。緑がリンディと言うらしい。「ィ」がお好きならしいっすね。
アークスばりに色彩豊かだことよ。キャラクリ抜きに天然でその色とか。
「何を食ったら髪が緑になるんだ?」
「髪がだんだん紫になってるリコちゃんが言えたことじゃないの」
俺はほら、ダーカー因子をラーメン感覚で食ってたから。深遠なる闇戦とかでもめっちゃ食っただろうし。たぶんそれで。
あれ? その影響で紫になってるんならだいぶヤバいんじゃないの。
…………。
……………………。
「リコちゃん?」
「あ、ああ。大丈夫、大丈夫だから殴らないでなのは様……」
「いや叩かないの」
ちょっとぼーっとしてた。まあいいや。――いや良くねぇよ。
昨日といいダークファルス関連の、特に自分に纏わる事が抜けてないか?
とりあえずこの事は忘れないようにメモしておこう。
大量生産した名刺がこんなところで役に立つとは。チラシ裏感覚で消費されるお手製名刺。
アークスカードも裏のウィッシュリストはこんな扱いだったね。
「ダークファルス、侵食、警戒、取り込まれるな?」
「人のメモを横から見るとは命知らずめ。SAN値チェックの時間だ」
チェンジ、ダイス。ちゃらららら。
致命的失敗! リコちゃんは発狂してしまった!
AP究極成長、ダークファルス化。
フハハハハ! お前もダーカーにしてやろうか!
……俺の方が発狂するのか。
「えっと、そろそろいいかしら?」
大人なリンディさん、冷静な対処。
でも差し出してくれたお茶は全く冷静じゃない。何このゲロ甘さ。
「あの」
「何かしら?」
「いえ、なんでもねッス」
飲まないのは悪印象。ならばどうするか?
リコちゃんの得意技を忘れるなかれ。
「追加するのか……それに……」
クロノが青ざめるが問題ない。
なぜなら、
「同士が居てうれしいわ!」
角砂糖どーん! しかし俺が意識して手を加えた事により無となり水となる。
うむ。料理下手属性を見事に生かした妙技よ。
失敗として甘党に見られてしまったが。
女の子やし多少は平気でも砂糖たっぷりなお茶は勘弁な。
スイーツパーティならとことん呼んでくれ。
「ごほん。えっと、始めてもいいかな?」
エイミィが仕切って、空中にモニターを表示させる。
そこには昨日の戦闘……。
あれ、ちょっと待てよ。
なんでヴィータとなのはが戦ってるんだ?
他の所でもシグナムやザッフィーもいるし。
伏せて欲しいっつってたのは、そもそも管理局と衝突してたからなのか……。
「これが昨日の戦いの様子。古代ベルカ式のデバイスを使ってるわね」
「そしてこれがもっとも見て欲しい部分」
それに続いてクロノがモニターに映る闇の書を指して説明をする。
家の事を伏せる手前直接聞けなかったし丁度いい。
前々から名前的にも、そして雰囲気と勘的にただ者じゃないと思ってたこいつの事を聞かせてくれ。
「ロストロギア、闇の書。魔力を収集することでページを増やしていき、最後まで埋めると完成となる。昨日なのはが襲われた通り、闇の書の騎士達は完成を目指しているのは間違いない」
何か勘違いで戦闘になったとかじゃなくて、もう疑いようなくシグナム達が襲い掛かっている。
認めたくはないが……。
「収集の目的は?」
「リコ、聞いていたのか? 騎士達は完成を目指して――」
「そこじゃない。その後だ。何が起こる?」
収集と完成……自己満足をする為だけにあいつらが進んで襲いに動く訳がない。
主であるはやても許可をしないだろう。むしろ提案されても却下したはずだ。
ならばシグナム達の独断、そして目指しているのは完成のその後にあるモノ。
タイミング的にはやての病気に纏わる事だろうけど、それにしては大掛かりだし、こんな事をしておいて平穏を約束するなんて意図が読めない。
「……少なくとも、完成したらロクな事は起きない」
そうか。
……あいつら、何を企んでやがる。
ロクな事が起きないのにはやての病気は治るのか? 矛盾だ。
帰ったら問いただしてみるか。直接聞くのが早い。
「こちらでも主の所在や対処法を考えておく。なのはにフェイト、デバイスはまだ修理中だからしばらくは何かあっても逃げるようにしてくれ。リコ、君は戦えるんだろう?」
「無問題。この流れだと、いざとなったら守れって事か?」
必要なかろうよ。
いくら理由があろうとはいえ、あいつら武器を持たない奴まで襲う事はしないだろうし。
というか、そこまでしたら流石の俺だってキレるぞ。
「頼めるか? 報酬がいると言うのなら用意しよう」
「いらねぇよ。バイトの掛け持ちはしねぇ主義だ」
これは俺なりの謝罪。
家族の凶行を許している俺なりの。
「ここで君に質問なんだが、あの時君は誰と戦っていたんだ?」
「んお?」
「リコちゃん、昨日の戦闘中に騎士とは別の所で戦っていたでしょ?」
エイミィが言いながら映像を切り替えて、見せてくれたのはコートエッジでサーフィンしながらビルに突入した所。
そこから先は外にカメラがあるせいで、俺と誰かが内部でわちゃわちゃしてる位しか分からない。
俺が戦ったのは仮面をつけた勇者王だよ。前にも一回襲われた。
「勇者王?」
あ、ごめん。声が似てたから勝手に今そう言っただけ。
なんでもこいつ、俺のフォトンが気に食わないとかで俺を捕まえたがってたんだよ。
エミリアだのダークファルスだのを調べて欲しいのは、こいつの誤解を解きたいから。
「スクショいる?」
ほらこれ。ちょっと暗いしブラーかかって分かりにくいけど。
「情報提供感謝する。他に何か特徴は?」
うーん。なんかあったっけ。
ビルから出なかったり一人の所を襲ったり、会話する気なかったり。
こそこそするのが趣味みたいだよ。
「わかった。後、また何か動きがあれば報告をしてくれ」
「了解っすよクロノっち。オレとしてもケツ狙われる気分はよくないしね」
交渉したししばらくは出ないと思うけど。
名刺渡したとはいえ、ちゃんと連絡してくれるかなぁ……。
「しばらくは情報戦か」
クロノが溜息をついた。
フェイト&なのはが丸腰ならあいつらも襲わんだろうから俺も警戒するフリで終わりだし、しばらくは平穏かねぇ。
といっても何もしない訳でもなく、帰ったらシグナム達に目的を聞いたり、えーっと……。
「メモメモ……」
ああ、そだ。俺にダークファルスがくっついてないか調べないと。