おっさんin幼女が魔法少女な世界で暴走する 作:親友気取り。
リコちゃんは、はっきり言って変な子。
最初に図書館で会った時は、かわいいのは間違いないのにやけに男勝りな口調やなって思った。
それが、ごく自然に買い物から家までついてきて、その上泊めてくれって?
最初は断ろうかと思った。
けど、
「うま、これほんとにハンバーグ?」
「ふふん、もっと褒めてな」
「いやマジでうまい。ほんとに」
思った以上にノリが良く、まるで長年の付き合いのように自然と話ができて。
初めてできた友達だからだろうか? 帰ってくれとは言えなかった。
「――アークス、オラクル、デューマン……。あれ、もしかしてリコちゃんて見た目通りの年齢と違うん?」
「ん? オレ幾つに見える?」
「10は絶対いっとらんね」
「まあ幼女ボディだし。年齢に関してはオレも知らん。研究所の出だし」
「研究所……?」
「そそ、デューマンって人為的に生まれた種族なんだよ」
それに、話がいちいち重い。
特に過去の事を話してくれた時、あの時のリコちゃんは決してふざけてはいなかった。
握りしめた手は今にも机を殴りそうだったし、目には涙も浮かべていた。
受け入れがたくて信じるかはあやふやにしてもうたけど、あれは嘘ではないのは明らか。
「そういや気になってたんだけど、はやてってなんで車椅子乗ってんの?」
「原因不明の麻痺や。リハビリとかもちゃんとやってるんやけど、全然だめでなー」
「ほぉん。それアンティ」
「眩しいわ!」
「無理か」
勝手に光っておいて何を言うとるんか。
「いや、これで治ったらわけないよなって」
「それも回復魔法なん?」
「ま、そんなところ。病気は無理だろうとは思ったけど物は試しでな」
「ありがと。優しい所あるやん」
「へけっ」
ふむ。アンティでは無理か。
となると詰みなんだよな。アークス的に。他に手段がない。
ワンチャンシフタで筋力増強って手もあるけど、日常的にシフタやんなきゃいけないとか精神が死ぬ。
いいや、使ってみよ。
「今度は何や」
「攻撃力を上げてみた」
「それ日常にいる?」
「……いらんだろうな」
ダメか。
うーむ。現代の医療技術に期待するしかないか。
俺としては飯無し宿無しだったところを拾ってくれたはやてに返しきれないほどの恩があるし、納得いかないラインだけど。
「ま、明日また話聞かせてな」
「いいけど、他になんか聞きたい話あんの?」
「他の惑星の話とか聞きたいやん。写真とかないの?」
「写真かぁ。考えとくよ」
スクショ出せる?
ああ、あったあった。
これ証拠に出来んじゃん。なんでこれを話してた時に出さなかったし。
うっわ、懐かしいなー。ロックベアで回避の練習したっけ。
ゲーム画面じゃなくて、
誰がこれ撮ってるんだって突っ込まれたらどうしよ。
翌日。
ソファで寝てたらはやての料理する音で目が覚めた。
アークスって睡眠必要なんだねって疑問だけど、スクショが写真に変わってるのに始まり全部リアル寄りになってるらしい。
さて、どの写真を見せようか。
流石に半裸のおっさんややけに露出の高い衣装を身に纏ったチームメンバーは見せられんな。
無難な写真を纏めていたら、目の前に朝食が並んだ。
「へー、本当だったんやなぁ」
「あったあった。ほら、これがクラリスクレイス」
「って、まだ子供やないか。こんな子に貰ったチョコ位ちゃんと食べなあかんよ」
「配給に対して消費が追い付かないんだよ」
緊急ミッションに参加する度に渡されたらこうなるさ。
「うっわ、ナニコレ。こわぁ……」
「ああそいつ? 闘争おじさん。ダークファルスだよ」
「ダークなんとかって、星滅ぼす奴やっけ」
「そうそう。戦いたくなる度にアークスシップ襲いに来るんだよ」
「はた迷惑すぎひん?」
勝負にならないからって景気づけに前哨戦挟んでわざわざ自分で弱体化してくるあたり闘争おじさんのこだわりが見える。
「ん、これってリコちゃん?」
「そうそう。昔の写真だな。まだ青肌な時か。角も生えてるし」
角は気分で生やしてた。
肌色はほら、上手い事調節できなくて青白くなってた。
「んでー、これが原生生物」
「ちょいちょい待ちぃ。時折挟まれる闇な部分の気温差で風邪ひくわ!」
「深遠なる闇はまだ出てないぞ? あと風邪ならアンティで治すから早く引いて来い」
「ちゃうねん」
分かってるって。
このリコのボディは経験済みだけど俺としては未経験だから感情と思考が噛み合わないんだよ。
故にごまかそうとするんだけど、上手くいかん。
俺としてはバカみたいな話してるのが好きなんだけど。