おっさんin幼女が魔法少女な世界で暴走する   作:親友気取り。

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2-22 鍋の準備

 

 ………………。

 

 …………。

 

 ……。

 

 

 

「リコちゃん寝とるん?」

「…………いいや、起きてる」

「それ寝とった人の言葉やで」

 

 ふぁああ……。寝てた。

 

「白状しとるやん」

 

 最近なんか寝てる事が多いな。冬眠の時期か。

 気が付くとソファにいるとかリスポーン地点がここに設定されているからに違いない。

 んで、わざわざ我を眠りから目覚めさせたという事それ相応の用があるのだろうな。

 

「買い物行くから一緒に行こか思て」

「おっけー」

「寝てるとこ悪いなぁ」

「いいって事よ」

 

 いくら電動とはいえ車椅子。12月の外で手を出すという事はスゴイサムイを意味する。古事記にも書いてあった。

 ソファから起きて身だしなみを整えて準備完了。いつでも出撃できます。

 先に準備を終わらせていたはやての車椅子を押し、お出かけ開始。

 

「そういえば最近リコちゃん全然お仕事いっとらんけどええん?」

「本業が忙しくなるからってシフト無くした」

「……本業って、アークスの? こっちに人来とるん?」

「んにゃ。まぁ調査とかも仕事の内だから」

 

 有休が欲しいって言ったら断られたので普通に休職中です。

 あと本業と言ったけどオラクルと繋がりがないので無給です。

 それはともかくとして、今日は何を買うんだい?

 

「お鍋の具。すずかちゃんがうちに遊び来るんや」

「へぇ、すずかが」

「せやで」

 

 すずかを我が家に呼んでみんなで鍋パーティか、いいねぇ。

 でも話を聞くに来るのはすずか一人だけだという。警戒心というものはないのか。拉致られたことを思い出せ。

 八神家の総合戦闘能力は街一つ落とせるレベルとはいえ、そんな事を一般ピーポーのすずかは知らんはず。

 

「いや、何かあってもリコちゃんおるなら大丈夫やろって結論出してたで」

「オレに期待しすぎでは? 戦闘ヘリや戦車とか恐竜程度なら守りながら戦えるけどさ」

「むしろどこに心配事があるん?」

 

 突然何が起こるか分からないぞ。

 

「しかし相手はお嬢様なすっちーだろ?」

「すずかちゃんの事をすっちー言う人初めて見た」

「オレ達に用意できるのは庶民派の鍋だけだが大丈夫なのか?」

「むしろ向こうは普通でいいって。お金持ちとか関係なしに普通の友達でいたいんや」

 

 すっちー本当に小学生かよ。しっかりし過ぎだろ。

 

「せやなぁ」

 

 ……今思ったけどさ、手を抜かず三食きっちりおいしいご飯を作れるはやてって割と凄いのでは。

 全然気にしてなかったけど、はやても小学生だよな。

 というか小学生抜きにしてもこの勤勉さは大人でもなかなかいないぞ。

 

「おまけに車椅子だし」

「普通はそっちが先に出るんやないかな」

「床に寝てて轢かれた時とかは気にするけど、その他はもう流れだし」

「いやなんで床で寝とるん」

 

 だって夏のフローリングってひんやりしてるんだもん……。

 

「エアコンつければええのに。っていうか、フォトンで何とかできるんとちゃう?」

「周りと合わせる為に防護を無くしたらボディに耐性がなくて即死した」

「普段フォトンに頼り過ぎや」

「しょーがねーだろ赤ちゃんなんだから」

 

 肉体年齢推定5歳を舐めるな。

 

「そんなに威張る……って、見た目通りの年齢やないって話はマイナス方向にやったんか」

 

 あ、しまった。

 

「ほら、あれだから。稼働日数が5年なだけで試験管にはもう何年かいたから」

「数年足した所で働ける歳にはなれそうにないで」

「バカな。こんなに精神が成長しているのが証拠だろ」

「成熟した人は暑いからって床で寝んと思う」

 

 もうちょっと試験管とかに突っ込んでくれませんかね。

 この半年ではやても俺の扱いというか常識に慣れたのか、昔なら突っ込んでくれた部分をスルーして寂しいです。

 

 そうこうしてる内にいつも贔屓にしているスーパーへ辿り着いた。

 車椅子利用の少女とそれを押す美少女の姿は珍しいのか、周りの客の視線がちらほら。

 

「はやてくらいしか見ないもんな、この歳で車椅子乗ってんの」

「たまにさりげなく手伝ってくれて、ありがたい限りやでほんま」

 

 同じお店使ってるんだしある程度顔なじみの人もいるか。

 今も横を通ってったおばちゃんが挨拶してった。

 そしてその次に通ってった2人組が「あれって翠屋のリコじゃん」って話をしながら通っていく。

 

「はいオレに2ポイント入りましたー」

「卑怯やろ」

 

 翠屋のマスコットというか客寄せパンダな俺の方が知名度あるし仕方ない。

 へへ、無名なはやては黙ってな。ワイこそが海鳴のアイドルや。

 [翠屋の“IDOLA(アイドル)”♪]リコ・クローチェのブロマイドください(クレ厨)

 

「白菜ともやし取ってな」

「大根もいるだろ? 後ちくわか」

「食べたいなら別にええけど……」

「ごぼう発見。たまごは別の所かな」

「そんなに食べたいん?」

 

 後は何がいるかな。

 

「あったあった。これもいるだろ、はんぺんとがんもどき」

「わかった。リコちゃん鍋知らんのやろ」

 

 ほう、自信があるな。流石は八神家の料理長。

 だが俺とて料理はできずとも翠屋の化け物。負けるわけにはいかん。

 

「リコちゃんお肉も食べる?」

「食う食う。ミートボールみたいなのもいるか」

「肉団子な。でも多ない?」

 

 少なく見積もってる所悪いけど、我々八神一家は6人構成だぞ。

 ザフィーラは犬に徹するとはいえ、すずかが帰ったらちゃんと食べて貰う予定だし。

 

「あー、確かにちょっと多めの方がええかも」

「だろ?」

 

 すずかがいるから一家団欒とは微妙に違うけど、忙しいあいつらにたんと暖かい飯を食わせてやろうじゃねぇか。

 

「……でも、ふふっ」

「どした?」

「いや、すずかちゃんにはリコちゃんが鍋の具を考えたってメール送っとくわ」

「楽しみにしておけともな」

「いやぁ、楽しみやなぁ」

 

 ふふふはははは、驚きのあまり思わず俺の事を見直す連中がいくら出る事か。

 楽しみだぜぇ。

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