おっさんin幼女が魔法少女な世界で暴走する   作:親友気取り。

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2-32 アリッサ&すずっか

 やあ。リコだよ。

 今日は朝からお散歩と称して欠片探し中だったよ。

 

 探し中だった。というのは途中でアリサとすずかに見つかってしまい、なんかお茶会に誘われてしまったのだ。

 急いでいるというのに最近の小学生は……ッ!

 と言いたいところだけど、朝から小学生の下校する夕暮れまで休みなく徘徊してたから休憩がてら丁度いいので乗ったんだけれど。

 

 それに、こいつらと会話するのももう最期かもだし。

 

 本当はなのはとフェイトを誘うつもりだったけど断られたので、たまたまその辺を歩いてた俺でも良いかと妥協したと聞いた時は扱いが雑すぎやしないかと思ったけど。

 まま、挨拶回りに丁度良いし結果オーライ。

 車種は分からないけど高そうな車に揺られながら、小学生と自称幼女はお茶会会場へと向かう。

 

「気が付けば長い付き合い。きっかけは忘れど縁は忘れず」

「あんな出会い方して忘れるあんたもあんたね」

「へっ、ありがとよ」

「リコちゃん褒められてないよ」

 

 実際どんな出会い方だっけ。

 ……ああ、そっか。拉致事件の時に一緒に居たのか。

 

「思い出した思い出した。撃たれて貧血になったんだ」

「撃たれたのを貧血で済ませるやつはあんたくらいよ」

「へっ、ありがとよ」

「リコちゃん褒められてないよ」

 

 すずかが褒められてないよbotになってる。

 

「そういやそん時にすずかもいたっけ」

「あんたどんだけ記憶が抜け落ちてるのよ……」

 

 接点はなんであれ、すずかとここで出会ってなければはやてと友達になってくれる事なかったんだよな。

 鍋パしにくる位には仲良くしてくれてるし、本当に感謝だ。

 

「はやてとも仲良くしてくれると嬉しいぜ」

 

 俺がいなくなった後も、あいつの事をよろしくな。

 

「はやてって、最近すずかが話してくれる図書館で会ったっていう友達の事? リコも知り合いなの?」

「知り合いっていうか、同じ家に住んでるんだよ」

「初めて知った。あんたってちゃんと地球で生活してたのね」

「オレがどんな生活してると思ってたんだ小娘」

 

 翠屋での会話を思い出せよ。

 

「うーん、タイムアタックで日銭を稼いで」

「空いた時間に色んな惑星を駆け巡って」

「2時間に一度強敵と戦う」

「アークスって何なのかしら」

「リコちゃんの話ってなんかゲームみたいだよね」

「なんにせよ、こっちでの話はあまり聞いてないわよ」

 

 ゲームではあるけどゲームではない。

 PSO2は遊びじゃねぇんだよ。

 

「リコは凄い気軽に話してくれるおかげで気にならないけど、常に最前線で戦ってたのよね……」

 

 そうだぞアリッサ。

 こう見えてリコちゃんは死亡率の高いアークスの戦場で戦ってたんだぞ。

 地獄が俺の職場だぜぇ……。

 

「こんななりでねぇ」

「なりは余計ナリ」

 

 すずかもなんか言ってやれ。

 

「アリサちゃんの名前間違えてるからだめ」

 

 えー、だってよ。苗字が違うとはいえアリサだと初代主人公様になるんだもん。

 一方アリッサならクロックタワー3だしオッケー。

 あんなギャグゲー俺は認めない。

 

「そして実はアリサが珍しい名前でもないから気分で言ってる」

「人の名前を間違えるのは失礼なんだよ?」

「すずか、リコを躾けた所で覚えないわよ」

「ひどくない?」

 

 怒られたので普通にアリッサはやめよう。

 んで、到着したのは西洋かぶれの記念館みたいなカフェ。

 巨大な門に庭に噴水にデカい建物に、金持ちだなぁっていう。

 ……ん? 金持ち?

 

「あのー、ここってもしかして……」

「あたしの家よ」

 

 ……。

 ……。

 

 うん、家?

 こんな、こんな建物が?

 

「八神家も豪華な一軒家だと思ってたけど、それを軽々と超えてくるな……」

 

 車椅子のはやての動線を特に考えなくてもいいほどに広い八神家や、リモデルームLを三つ使って設置コストが足りずスペースが余って寂しい事になったマイルームでオープンスペース自体は慣れていたけれど、高級には今まで縁がなかったからクッソ緊張してきた。

 前を歩く2人は慣れてるのかも知れないけど、壁に掛かってる謎の高そうな絵やなんで飾ってるのか分からない食器とか滅茶苦茶怖いんだけど。

 

「これはこれで楽しいわね」

「リコちゃん、別に気にしなくて大丈夫だよ」

 

 いやいや待てや。俺が翠屋の裏手でクッソ重い物を軽々移動させたりしてたのを思い出せ。

 俺みたいな小心者はこういう壊れ物に囲まれると「突然発狂して暴れたりしないだろうか」っていう心配が抜けなくなるんだよ。

 もしウホウホゴリラライフの俺がバジリスクタイムを始めたらどうなると思ってるんだ。

 

「大きいのは口先だけね」

「んだとおら、良いのかオレが思いっきり暴れても。素手でも軽くこの家制圧できるぞ」

「どんな戦力してるのよ」

「魔法も使えるし、できないことはないんだろうけどね」

 

 地球の人間程度イル・メギドを連発してれば終わりなり。

 今にして思えば拉致の時の連中にウォンドで殴りかかったけどよくあいつら無事だったな。

 

 ホラーゲームの洋館ばりに長い道の末に辿り着いたのはテラス。

 八神家の庭にも誰かが使う予定だったのかテラスセットはあったけど、ここは金持ち。

 手入れの行き届いた庭園の背景と、掃除の行き届いた席。そして何より。

 

「ああ、ケーキとか乗ってるよくわからない台! 外国のドラマでしか見た事なかったぞ、ケーキとか乗ってるよくわからない台!」

「あんた、本当に何でも感動するわね」

「戦い続きだったらしいからね」

 

 執事の人が教えてくれた情報によると、本来は狭いスペースを効率化させるための棚的なアレなのだとか。

 けど別にマナーも何も無いしテーブルも寂しいので使ってるらしい。

 確かにテーブル上の小物が平坦だとなんかね、変なルームグッズ置きたい衝動は出る。

 

「ふへぇ、乗ってる物を取ろうとして崩したりしたら、オレは、オレは……!」

「どれだけ心配性なのよ」

 

 見せてやろう、アークスのパワーを。

 

「じゃーん。スペース・ツナ」

 

 ふははは! 特大マグロだぞ!

 自分の身長以上のこれを今からそこで振り回し……。

 

「うぅ……できません……! もしなんか変なPAがでちゃったりしたら! オレは、オレは……!」

「リコちゃん落ち着いて。怪力なのは普段から知ってるから」

「すずかも手慣れたものねー」

 

 スペース・ツナはしまおう。背中に差しとくと引っかかるかも知れんし。

 

「容姿と中身の不一致さもリコらしいけど、もうちょっとお淑やかにしたらモテモテなんじゃないかしら」

「お店の売り上げに貢献もしてるし人気ではあるみたいだけど」

 

 誰が中身残念じゃ。

 別にネカマみたいなことしても良いけど、下手にその気にさせると身が危ないというか。

 

「自衛とは言え相手をこう、めっ! ってしたらエライことになるじゃん?」

 

 犬に言うみたいに言ってるけど、めっ! っていうよりか()っ! になる。

 主人公はムービー中に弱体化されると言われる中、逆に素手がやべぇ事になるアークス舐めんな。

 特に今は素手でナックルのPAも出せるしもっとすごいぞ。

 

「ま、まあ言ってる意味はともかく、言い寄られない性格でよかったね」

「すずか、さりげなくなかなかな事言うわね」


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