(仮題)社会人貞操観念逆転もの 作:社会から取り残されてる感じ
「んぅっ、ふぅ……っ、んむぅ」
時友が由科に唇を重ねると、由科は電撃が走ったようにビクンと体を震わせた。由科の瑞々しい唇が時友のそれを反発するように押し返すが、引き寄せ合う磁石のように再び重なり合う。由科から漏れる声が、吐息が麻薬のように理性を溶かし合う。
肩に置いていた左手を由科の後頭部を支えるように回し、唇の感触をずっと味わえるようにする。いつの間にか舌が絡み合い、興奮でねっとりとした唾液が混ざり合った。呼吸さえ忘れたように、行為に没頭する。
「ふぁ……ぅ、んっ、ふぅ」
由科の体を輪郭をなぞるように撫でていた右手で、由科の髪をゆっくりと手で梳かしていく。手入れの行き届いた由科の髪はさらさらで細く、指が引っかかることは一切ない。
そうして数回毛先まで梳くと、右手で由科が羽織っているガウンを脱がしていく。舌を絡ませながら由科は、時友の意図を汲み取り脱がせやすいように袖から腕を抜く。右袖から腕が抜かれ、左手も袖から抜かれると、少し音を立ててガウンが床に落ちた。
「はぁ……っ、んんっ、あっ、せんぱぃ、んむぅ……っ」
薄いキャミソールの上から撫でると、先ほどより由科の柔らかさを感じる。時友は腰を触っていた右手をゆったりとしたパンツの中に入れると、ショーツの上から由科の尻を撫で、円を描くように揉む。キスで蕩けていた由科に、不意に別の快感が襲った。
体を震わせた由科は唇を離す。はぁはぁ、と肩を揺らし、息を漏らす由科のキャミソール姿と、時友の胸に押し付けられ形を変えた胸に、我慢できず再び唇を貪った。
由科の手が時友の耳を抑えると、絡み合う舌と唾液のいやらしい音が時友の頭の中で反響するように響く。くちゅ、くちゅと水音がハッキリと聞こえ、より淫らな行為を現実に象っている。
右手で感じていた感触に名残惜しさを覚えつつ、時友も由科と同じように両手で耳を押さえた。
「っはぁ、んぅっ、んっ……これ、すごぃれすぅ……っ」
体の内側で響く卑猥な音をお互いに感じる。周りの音がシャットアウトされ、より浮き彫りになったその濡れた音が、二人だけにいやらしく響き渡る。互いにそれを求め合い、わざと音が立つように夢中で舌を絡め合う。
脳内に響くその音に感覚が集中し、それとともに急速に高まる快感に、由科は時友に体を完全に預け、そして無意識のうちに胸を擦り付けた。柔らかな感触とわずかに感じる2つの硬い突起が、由科の興奮度合いを物語っている。
「はぁ、んぅっ……、せんぱぃ、ゆぅせんっぱぃ……っ」
「――っ」
あと少しの刺激で達してしまうほど高められた由科は、悩ましげに時友の名を呼ぶと、快感が背筋に鋭く走った。時友はそれに応えるように、由科の舌を吸うと、今までとは比べ物にならないほどの官能的な音が脳内を駆け回る。
「あっ、ぁ……んぅっ、ゆぅせんぱぃ……っ、んぅぅぅぅぅぅぅっ」
下品なほど響き渡る音に耐えきれず、由科はその時を迎えた。腰が砕けたように体勢を崩しかけた由科は、時友にしがみつくように抱きつく。身体中の筋肉が硬直し、微かに震える体が頭を混乱させ、目尻から涙がこぼれている。
激しく揺さぶった快感はピークを過ぎると、ゆっくりと由科の下腹を熱くさせ、再び快感が戻ってくる。
「っふぅ、はぁ……はぁ、ふぁ……せんぱぃ?」
湿り気を帯びたパンツを見ると、時友は由科を横抱きにして洗面台から出る。体に力が入らない由科はぽぉーっと時友を見つめ、猫のように時友に頭を擦り付けている。
由科を抱えながら部屋に戻り、壁にベタ付けのベッドに由科を下ろすと、時友は着ていた上の服を脱ぎ、由科に覆いかぶさるようにベッドに上がる。
「せんぱい? あっ、見えてますよぉ……んっ」
時友の下で状況が分かっていないような表情の由科を他所に、キャミソールの下に手を入れ徐々に上に持ち上げていく。細い腰に意外なほど引き締まったお腹が軽く汗ばんでいて、それを舐めとっていく。水のようにきれいな汗で、舌に不快感が一切ない。
胸の部分まで脱がすと、由科の下着がちらりと見え始める。カゴの中でみた下着と同じく、サテン生地の光沢と手に当たる感触が気持ちいい。
由科は察したのか、時友が脱がせやすいように腕を上げると、きれいな脇が目に入る。脱毛しているのか、傷ひとつない肌色は時友を興奮させ、脱がせていた手を止め、由科の脇に顔を近づける。
「はずかしぃ、です……せんぱい」
普段見られることのない部分をじっと見られ、言いようのない羞恥心を擽られた由科は腕を下げようとするが、時友はその手をとって、脇を隠させないようにすると、舌を這わせた。
「ひゃっ、せんぱいそんなところぉ、んっ……舐めちゃいやですぅ……っ」
ぞくぞくと背筋に走る感覚に由科は戸惑いつつも、ざらざらとした時友の舌にいつしか声をあげていた。
由科の甘い声に麻痺させられた時友は、覆いかぶさっていた体勢を変え由科の横に寝ると、脇を舌で責めつつ耳を指で優しく触った。
「ひっ、耳はだめですぅ……、んぅっ」
試着室でもそうだったが、由科は耳が弱いらしい。脇から口を離し、耳元でふう、と息を吹きかけると由科は敏感に体を捩った。
脇や耳など直接的な性感を齎さない部分を弄ぶと、敏感に反応する由科に楽しみを覚えた時友は、一度由科の体を起こし、背後から抱え込むようにしてみようと後ろに回ると、枕の下にある何かが手に触れた。気になって枕を取り上げると、
「由科、これ……」
「ねっ寝る時に、そのぉ……いつもつけてるんです」
黒いアイマスクだった。もちろん睡眠用のよくあるやつで、決してSMプレイ用のやつではない。しかし、今この時に限ってはそれ用の目隠しにしか見えなかった。
「……つけてみるか」
「ふぇ……? せっせんぱい?」
後ろからアイマスクを由科につけて、時友は由科の前に戻る。視界を失って不安そうにしている由科を見ると、いけないことをしているような気持ちになる。
「ひぅっ、せっせんぱぃっ」
妙にS心を擽られた時友は、由科に触れないように耳に舌を這わすと、由科はわずかに不安そうに声を漏らした。耳を唇で挟んだり、穴を舌で舐めたり、耳たぶを甘く噛む。その度体を震わせて、由科は息を荒げた。
そのまま耳から首筋に舌を這わせる。由科の首筋から漂う甘い香りが興奮剤のように時友を熱くさせる。アイマスクで目が見えない由科は、時友を抱きしめると不安そうな表情から一転し、漏らす声のトーンが上がった。
「んぅっ、せんぱい吸っちゃ……っ、あっ」
普段の由科からは想像もつかないほど情欲に塗れた姿に、時友の心にある種の独占欲のようなものが湧き上がり、そのまま由科の首筋に吸い付く。唇を離すと、刻まれた証のように痕が残った。
由科も時友が何をしたのか、予想がついているのだろう。時友がつけた痕を指でなぞると、うぅと小さく唸った。
「せんぱいだけ……、ずるぃです」
由科がそう呟くと、目隠しをしたまま時友と一緒にベッドに倒れ込み、時友を下に押し倒す。油断していたとはいえ、由科に押し倒されるとは思わなかった時友は、少し驚きながらも由科にそのまま押し倒された。
小さな手で時友の顔から輪郭をなぞるようにして、見えない時友の存在を確認していく。耳から顎、首筋、肩とゆっくりと触りながら、そして時友がしたように首筋に顔を近づけると、
「あっ、ここっ……んぅぅっ」
時友の体の上で、大きく体を震わせた。四つん這いで支えられていた由科の体は、力の抜けたように時友の体に密着すると、再び息を大きく荒げた。
「せんぱいのっ、ここすごい、濃い……っ、ああっ」
「由科?」
首筋に顔を近づけただけで達した由科に時友は疑問を抱きながらも、由科の乱れた髪の毛を整えていく。由科の熱い息が少しだけ擽ったい。
密着した由科の体は柔らかく、豊かな胸が形を変えた。その感触をより楽しむため、時友はキャミソールの中に手を入れて、下着のホックを外す。そのまま下に下げると、片紐だけキャミソールと一緒に落とす。
下着一枚とっただけで、先ほどとは比べ物にならないほどの感触と、突起の硬い部分をキャミソール越しに感じる。そのままそれを指で摩ると、由科は大きく声を漏らした。
「あっせんぱいだめぇっ、きちゃうっ……すごいっ、きちゃいますぅぅっ」
時友の硬くなっているそれに擦り付けるように腰を動かす由科は、首元に鼻をくっつけて匂いを嗅ぎながら唾液に塗れた舌で舐め、時友と同じように吸い付くが、快感で呼吸が保たないのか痕がつくほどできず、すぐに口を離してはまた吸い付くことを繰り返した。
右手で胸のそれを摩り、左手で由科の髪を整えていた時友は、由科が先ほど何に興奮していたのかを察し、由科の顔を自分の首元に押し付け、硬くなったそれで一度、由科を突き上げた。
「あっ、んんっ、はぁはぁ……んぅっ、ああああああああっ」
ビク、ビクと時友の体の上で不規則に揺れる由科は、一度反り返るように密着していた上半身を起こし、そして線が切れたように再び倒れ込んだ。
はぁはぁと呼気を荒げる由科を落ち着かせるため、由科の頭を撫でながら、アイマスクをとると、子供のように涙を流していた。
なんとなくそのまま行為を続ける気はなくなり、そのままあやすように、時友は由科が落ち着くまで頭を撫で続けた。
◇ ◆
十数分も経てば、由科も落ち着いてきたみたいで、甘えるように時友に体を預け、時折時友の名を呼べば、嬉しそうに目を細め、何でもありませんっと時友の体に頭を擦り付けた。まるで匂いでもつけるように。
その度擦れる由科の胸に、再び興奮しかけて、しかし空気的にそんな気になれなかった時友はそこを見ないように目線を逸らした。
「先輩、わたしのここ、……嫌いですか? 気持ち悪いですか?」
「いや全然。どうして?」
由科が少し不安そうな表情を浮かべ、その大きな胸を持ち上げながら時友に尋ねた。理由が分からなかった時友がそう返すと、由科は安心したようにゆっくりと話し始めた。
由科は体の成熟が早かったようで、小学生の時に胸が膨らみ始めると、体の成長とともに胸も止まることなく成長したそうだ。
この世界において、女性の胸とは子を育てるための要素が非常に強く、時友が夕飯前に見たバラエティ番組においても、性的なものではないとして扱われている。しかし、同時に大きな胸は下品であるという論調もあるのだという。
その論調にまさに犠牲となった由科は、男性からは下品だという目で見られ、女性からはそんなの関係ないよと言われるも、心では下に見ているような、そんな疑心暗鬼な学生生活を送っていたようだ。
そして、少しでも人に気に入られようと努力をし、自分を殺して相手に合わせるも、結局は胸が邪魔をし、由科の本質を見ようとしない人と築く人間関係に、絶望していた。
そして、そんな人間として枯れた青春時代は終わり、社会人へとなる。そこで出会ったのが先輩の時友だ。男性である時友に最初は怯えていた由科も、意外なまでに外見で中身を判断しない時友は、普通の人間と変わらず由科に接し、教育係としてきちんと仕事をしていた、らしい。
「初めてだったんです。初対面で最初に目が合ったのも、自然に接してくれたのも。先輩が初めて」
そう言うと由科は時友の頬に口づけし、微笑んだ。押し殺していた感情が堰を切ったように溢れ出て、蓋をして締め切っていた暗いものに光が当たり、緩やかに解放され空へと登っていく。由科の浮かべた笑顔にそんな表現が思い浮かんだ時友は、ふぅと息を漏らして、笑みを浮かべた。
まったりとしたムードが二人を包み、ゆったりとした時間が流れた。時折時友の肩を甘噛みしたり、髪を撫でたりする由科は、時友と目が合うと悪戯が見つかった子供のような、そんな楽しげな表情を浮かべる。
時友が知っている前の由科よりもはっきりと感情が表に出ている。当然理由は違うのだろうが、前の世界の由科も同じように、悩みを抱えていたのだろうか。だとしたら、この世界にいた前の俺は……?
「先輩?」
「……いや、なんでもない」
誤魔化すように由科の頭を撫でる時友は少しの後ろめたさを感じつつも、これからの生活を考え、目を閉じた。
R-15の表現限界にやきもきさせられました。脱いでないし、ギリセーフですよね。
おまけ
「お前、匂いフェチだろ。しかも結構な」
「そそそんなことないですよっ」
「首元すごい嗅がれたような気がするんだけど」
「うぅぅ、……先輩のここがいい匂いすぎるんですっ」カプッ