原初の火   作:sabisuke

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Q.閃の軌跡で一番好きなキャラクターは?
A.フレディです

Q.第1話のえせ神話ポエムあれ何?
A.雰囲気中二ポエムです

活動報告書きました。


12 古代遺物の回収任務

 

 潜入においての極意は「堂々としていること」なのだという。隠れよう隠れようとするからこそ見つかってしまうのだと言っていたのはヴァンダール家の長子だったとおもう。

 彼は護衛対象があの人であるから中々に苦労させられているらしく、隠れたり潜入することは得意だと言っていた。

 時には音楽プロダクションのマネージャーとして演奏家をサポートしたと聞いた時は思わず笑ってしまったくらいだ。帝国の貴い血が流れる方にそういうユーモアがあるというのは、ノルドの民である自分にとってはどこかうれしい事実であった。

 文化の異なる人間のことも、広い心で受け入れてくれるのではないかという期待をしてしまう。そして実際本人はその期待以上に寛大で聡明な人だった。喜ばしいことだろう。

 

 

 「お姉ちゃん、お姉ちゃんはどうして頭に布をかぶっているの~?お嫁さん?」

 「それはですね、実はお姉さんには鬼の角が生えているからですよ。」

 「あはは!なにそれ~変なの!」

 

 

 為政者には、柔軟さと寛大さというものが必要なのかもしれない。

 幼児の言葉に対して真剣に本当のことを答える女性を見て、そう思った。始まりの地で見た彼女の頭部には人間とは異なる角と耳があった。本人によるとそれが人間ではないことの証拠らしい。

 

 「すみませんね、子供と遊んでいただいて。」

 「いいえ、構いませんよ。先生は子どもと話すことが好きですから。」

 「作家さんでしたっけ?お若いのにご立派ね~」

 「はは、本人がもう少し締め切りを守ってくれるのであれば、俺も同意できるのですがね。」

 

 女性の文筆家とその進捗管理にうるさい男性編集者、というのがこの街に潜入するにあたっての設定だった。文筆家にこき使われる形でなら編集者が町をうろついていても、街を見まわしていても不自然ではないだろうと言い出したのはニクスだ。

 驚いたことに彼女は本当に文筆家としていくつか本を出していて、それが割と人気だというのでもし不審に思われても大丈夫だという。

 戦闘面ではあてにならない分こういったところで力になる、と言い出してくれた彼女の笑顔を見ると、少し後ろめたい気持ちになった。

 

 自分は彼女の目的を妨げている一派の一員だというのに、どうしてそうも素直に力を貸してくれるというのだろう。

 

 星杯騎士になったことに後悔はない。師父の聖痕を受け継いだこともある種の運命だったと思っている。大きすぎる力に振り回されてしまうこともたまにはあるが、自分の周囲にはそういう力の専門家が多い。(特にリィンは年も近いし悩んでいた時間も長いので相談しやすい。最終的に制御に成功しているので参考になる話ばかりだ。)

 それはいいのだ。聖痕の力が自分には過大であることも、しるしを顕したものとして然るべき役割を果たさなければならないことも、回りまわってノルドの民と故郷を守ることにつながるから、いい。

 

 しかしそうはいっても、どうやったって慣れないことはある。

 自分の修練を担当してくれた副長に曰く、『外法、滅すべし』。俺は半年間の修練の間に何度かその場面に同席した。しなければならなかった。聖なるしるしを背負うものの義務として。

 苦しかった。

 外法と認定された人間が、血を噴き出して死んでいく姿。目をそらしたいのに反らせなくて、俺は事が終わってもそこに立っていた。無理に割り切ることはないと言われる度、しかし向き合わなければならないという焦燥にさらされる。

 いつだって思い出す。師父が自分の目の前で冷たくなっていくあの時の、あの、絶望、だろうか。

 めまいがするんだ。

 人の命が奪われていく瞬間は、あまりに唐突に自分の脳髄をグラグラと揺らす。

 

 自分は外法を滅さなければならない。

 けれど自分が滅するべきその人は、師父と同じ人間であるのだ。母から生まれ、家族に愛され、そして生を営んできた人間だ。

 自分が槍を向ける彼らが、師父に重なるのが恐ろしい。

 罪を犯した人間と自分に教えを伝えてくれた師父は違うとわかっていても、きちんとできていても、時に重なってしまう。

 

 武に生きるものとして、人を傷つけ、傷つけられる覚悟をした。相手に槍を向けるたびに心の中では自分が自分に槍を突き刺している。

 他人を傷つけることの痛みを乗り越えて自分は誰かを守るために槍を握ると決めた。

 だというのに、命を前にすると自分の決意はこんなにもちっぽけだ。

 俺は彼らを殺していいのだろうか。役目だからという理由で、人を……

 

 

 「ウォーゼルさん?」

 「―――先生。すみません、どうしましたか?」

 「今日の分の原稿を書くので戻ろうかと思ったんですけれど……もう少し休んでいかれますか?」

 「いえ。宿に戻りましょう。」

 

 気を、遣わせてしまった。

 ―――自分は女神に仕える騎士。12ある聖痕の担い手の一人。故郷を守るために、自分はこの罪と向き合っていくべきなのだろう。

 この人を疑うことを知らない女性とも、向き合っていこう。騎士として、人として。俺はやるべきことを果たすためにこの足で立って歩かないといけないのだから。

 

 

 

 宿に戻ると、彼女はお茶を淹れてくれた。ノルドで飲まれているチャイだ。淹れ方がわからないから自己流だと言っていたが、渋味を生かして引き立つように風味の良いお茶うけを用意しているあたり、こうしてお茶を飲むことが好きなのだろう。

 故郷の名産品が、来訪者にも愛されていることがこんなにも嬉しい。文化がどこかで息づいて、また誰かに伝えられようとしている。人の営みとはこういうものなのかもしれない。

 

 「ノルドのお茶ですね。」

 「はい。以前ノルドに行ったときに購入しました。おいしくて、たくさん買ったんです。その時は、どうやって生きるかも決めていなくて、私は本当の意味でまっさらでした。

 まっさらな私の体を包むノルドの風が私にとっては本当に優しく感じられて、30年くらいはそこで過ごすつもりでした。

 ……30年過ごすつもりなのにこんなにたくさん買ってしまったというのもおかしな話なんですけれどね?」

 

 彼女は微笑んでいる。

 プラスチックの小さなティーカップを持って、のんびりとほほ笑んでいる。何の悩みもないような、何にもとらわれないような、そんな超然とした微笑みはきっと誰から見ても美しいのだろう。

 しかし自分には、それが異様であるように思えた。まるで自然が間違って人の形をとってしまったかのように。

 

 彼女は俺の心を見透かしているかのようだった。

 

 「私は人間ではありません。私は見た目以上にもっとシステムじみています。最大幸福の実現のために自己を度外視し、ただひたすら人と故郷を愛していた。私はそれで満足していましたし、幸せでしたけれどそれを憐れむ人もいました。

 ……今も、こうして人間のような見た目をしていますが私は不完全で、その人がなぜ私を憐れんだかもわからないのです。」

 「あなたは、人間です。俺はそう思いたい。」

 「ありがとう。私も、そうなりたいです。

 私は私を許すために、人になりたいと思っています。」

 

 

 「……人が、償いきれない罪を持っていても?」

 

 俺にはわからない。力の有無で罪人を捌く権利の有無が決まるのかどうか。

 たとえ義務であっても、たとえ罪を犯した人間であっても、殺していいのかどうか。

 俺は償いに何ができるだろう。

 

 「償いと許しは別のものです。」

 「え……」

 

 「罪を犯した者には、社会によって罰が与えられます。償いとは、罰という荷物を背負うことで、必ず終わりがあります。償いきれない罪なんてないのです。

 しかしたとえその荷物を下ろすことが許されても、それは罪自体が許されることではありません。その意味で、許されない罪というものはあるでしょう。

 許しを得るために何をすればいいのかまではわかりませんが、少なくとも許されたいと思い罪に向き合う人にしか得られないのは確かでしょう。

 

 私は人を救うことで、自分を許せそうな気がするのです。だから、私は人になりたい。」

 

 彼女の話はもっともなのかもしれない。しかし気になることがあった。

 彼女は自分を不完全だという。しかし人を助けるという意味で、彼女は人の上を行く存在であるように見える。彼女は過剰なまでの優しさに満ちている。その心があればきっと助けられないものなんてないだろう。

 

 「俺には、今のままのあなたでも十分人を救えると思います。現にあなたは俺の悩みを聞いてくれている。俺の心を救ってくれているではないですか。」

 「人を救うのは、人とその行いでしかありません。あなたの心が楽になっているのならそれに越したことはありませんが、きっとあなたを救う人はまた現れると思いますよ。」

 

 楽しみですねぇ、だなんて。

 さっきと変わらず微笑んでいる彼女は、やはり人間離れしていた。

 

 

 

***

 

 

 

 

 今回の任務は≪回収物≫だ。誰かの手に渡ってしまった古代遺物を回収する必要があるのだが、これまでの任務では大抵引き渡しだけだったというのに、今回は場所の特定から交渉までを言い渡されてしまった。

 新人には少し荷が重くもあったので、猫の手でも借りたいと思っていたのだ。

 

 ……交渉事は任せようと思っていたのだが、こんなところで彼女の能力が発揮されるとは思っていなかった。

 

 「この街の名士であるブラウン家の人が最近買い物に来ないのだとか。百貨店の支配人さんが売り上げが落ち込んでしまって困ると嘆いてらっしゃいますよ。」

 「……ちなみに、どこでそういう情報を仕入れてくるんですか?」

 「百貨店の支配人さんのお子さんとよく遊んでいる女性の妹さんがおばあさんに相談していたので、お力になれないかと思ったのですけれどその時に教えていただいたんです。」

 

 

 地域密着型、というのだろうか。こういう人になりたいと思う。

 自分と彼女は同じ聖職者だというのに、なんだか彼女は信頼されやすいのだ。いや違うか。その言い方は適切ではないような気がする。

 皆、彼女が心配で世話を焼いてしまうのだ。自分が見守っていないと、どこかへフラフラと言ってしまいそうな……そんな人であるように見えているのだろう。実のところ俺にもそう見えている。

 彼女と行動を共にしていてやけに荒事の対処のスキルが上がったような気もする。

 

 

 「ブラウン家は確かに見回りの時もやけに静かすぎる気がしたが……まさか古代遺物の力を行使してしまったのだろうか?」

 「わかりませんけれど、あまりよろしくはないでしょうね。早い目に様子を確かめるべきでしょう。」

 「ええ。準備が整い次第行きましょう。俺は装備を整えてきますから、ニクスも最悪の場合突入するつもりでいてください。」

 

 「任せてください。戦闘はできませんけれど、ウォーゼル卿の支援ならばできますので!」

 

 自信たっぷりににっこりと笑った彼女を見て、俺はなんとなく不安になった。

 ……装備は回避率を重視するものにしておこう。

 

 

[ニクスがパーティーに加入しました]

[ニクスは『背水之陣』を習得した!]

 

 

***

 

ニクス

STR なし

DEF 弱い

ATS オーブメント持ってない

ADF 弱い

SPD そこそこ

AGL そこそこ

 

背水之陣 消費CP40 円M

5ターン STR/ATS/SPD+50%、DEF-25%、心眼付与

 

 

***

 

 

 青年は、敬虔な女神の信者だという。

 女神と風を尊び、信心深く生きてきたのだという。

 ある日、青年は印を得たらしい。その印は特別なもので、彼はその印がある限り騎士として戦わなければならないのだという。

 

 彼は故郷を守りたいのだという。

 故郷の自然と、そこに住まう人、そして文化を守りたいと言っていた。

 

 果たして本当にその二つが両立するものだろうか?

 

 

 戦いは、過酷だ。

 尊ばれるべき命が暴力でぶつかり合うなんて悲しすぎることだと思う。

 しかし戦いでしか解決できないことが存在するというのも確かだ。

 戦士は強い。心の憂いや人を傷つけることの痛みを乗り越えてそれでもその身と力で民を守ってくれる。

 

 だが、戦士が強いのはその戦いが大切な誰かを守ると知っているからだ。

 戦いがただ徒に人を傷つけるものであると知ったとき、人の心を持つ戦士は罪の意識にさいなまれるだろう。

 

 

 (自分は人を傷つけてしまった)

 (相手は生きているのに)

 (自分にその権利がないのに)

 (痛そうだ 辛そうだ)

 

 自分の行動の正当性が揺らいだ時、人の心も激しく動揺するだろう。

 あるいは、正当な理由があったとしても人を殺したり、害することに抵抗を覚える人もいるだろう。

 

 

 『人が、償いきれない罪を持っていても?』

 

 

 見覚えのある目だ。許しを求める目。向き合いたいと思っているのに、どうやって向き合えばいいかがわからない。

 顔にそう書いてあった。わかりやすい青年だ。

 全速力で走り続けてふと止まってみたときに、一気に汗が冷えていくような冷たさ。

 浅黒い肌を青くして、唇が震えていた。

 

 

 かわいそうに。

 ヒトには重荷だろう。力は、ふさわしい心の器を持つもののもとに宿るべきだ。

 

 青年の心の器は、人間の中ではとても大きくて口が広いのだろう。

 しかし彼はまだ若い。硬くこわばったつぼみが嵐に晒された拍子に手違いで咲いてしまったようだ。

 彼の花弁はまだ脆くて、柔らかくて、あまりに容易く傷ついてしまうだろう。

 今は彼自身の強さが保っているようだが、きっと何かの拍子に周りが支える必要が出てくるに違いない。

 

 誰か、佳い人が見つかるといいのだが。 

 

 大きすぎる力に戸惑っている、と誰かが言っていた。

 時間が解決すると願うしかないとも。

 

 彼はあの力がいつか誰かを傷つけないかと恐れていたらしい。

 あの力を制御するための修練に必死で取り組んで、それで仲間のもとに舞い戻ったと聞いた。

 

 

 きっと彼は強いのだろう。

 (私が知っている戦士と言えば陛下だ。あの方は規格外で、この世界の強さの基準があまりよくわからない。)

 私にできることと言えば、彼を救う人が見つかるまでの間気休めに言葉をかけるくらいか。

 

 

 やはり、人にならなくては。

 悲しみや寂しさ、怒りや苦しみを解する存在でなくては、真の意味で人を救うことは叶わないだろう。

 

 

 

 

 ちりっ じゅっ

 

 

 

 心の奥で、火がともっている。

 まるで煙草の火のように小さくて、弱弱しいけれどその火は慈愛の海の中でも消えることなく、灯り続けている。

 

 

 

***

 

 

 「本当に大丈夫ですか?」

 「勿論です!前には出ませんし、いざというときにはすぐに逃げるようにしますよ。ご心配なさらずとも大丈夫です。」

 「……」

 

 ウォーゼル卿は非常に素直な青年だ。リィン様やアルティナ、ユウナとよく似た目をする。

 

 「いま『大丈夫かな…』って思いましたね?」

 「ご明察です。」

 

 苦笑したウォーゼル卿は槍を携えて、人目を盗みながらブラウン家の屋敷へと歩を進めていく。

 私も彼についていく。

 彼の友であるゼオの偵察によると、ブラウン家の人間はみんな眠りについている、そうだ。おそらくは古代遺物の力によるものだろうと推測したウォーゼル卿は突入作戦を決行。

 夜闇に紛れてブラウン家に侵入する運びとなった。

 

 月明りを頼りに街路を往く。

 次はこれをネタに怪盗団の話でもつづってみようか。怪盗と刑事の組み合わせはみんなが好きだとミュゼ様とタチアナ様がおっしゃっていた。

 

 

 ドッ

 「あら…?」

 考え事をしていたら先行するウォーゼル卿の背中にぶつかってしまったらしい。

 角を曲がればもうすぐにブラウン家の屋敷につくというのに、どうしたのだろう?

 

 「(静かに。誰かいます。)」

 

 彼の背中から顔を出して盗み見ると、確かに数名の男が門のところに立っている。

 まるで誰かからこの屋敷を守っているようだ。

 しかし調査した限り、ブラウン家の関係者は全員眠りについてしまっている。

 そして彼らは警備員というには武装が過剰で、覆面をかぶっている。

 

 「(……どなたかVIPでもいらっしゃってるんでしょうか?)」

 「(強盗でしょう。しかし数が多そうだ。)」

 

 私の考えはあっけなく否定された。

 ウォーゼル卿は携えていた槍の柄を組み立てて、今にも走り出そうとしている。

 

 「(戦うんですか?)」

 「(中で眠っている人が危険です。ニクスはこちらで待機していてください。)」

 

 ウォーゼル卿のいうことももっともだ。

 ここは自分も同行して少しでも救助の人手を確保するべきだろう。

 昏睡した人間を介抱する人と、古代遺物を探す人で別れた方が効率もいい。

 戦闘で足を引っ張るかもしれないが、聞けばウォーゼル卿はかなりの実力者だという。

 

 

 

 しばし目を閉じて考え込んだ後、やはりついていくべきだと思い、目の前の彼に進言する。

 

 

 「(あの、ウォーゼル卿……)」

 

 

 

 

 

 だが彼は草原に吹きすさぶ一陣の風のように素早く走り出していて、すでに私の目の前からいなくなっていた。

 

 「あら?」

 

 壁から顔を出すと、奇襲で門番の2人を昏倒させたのかしてすでに制圧を終えたウォーゼル卿が屋敷の玄関をちょうどくぐろうとしている。

 

 「待ってください!ウォーゼル卿!」

 

 声を張り上げたものの、自分の声が届いていないのかして、重厚な扉は無情にも閉じられた。

 

 

 「そんな……」

 そんな。ウォーゼル卿が一人で屋敷の中に入ってしまうだなんて。

 やはり自分も中に入るべきだろう。とにかく追いかけなければ。

 

 

 私は玄関で伸びている二人の無事だけ確かめて(当然だけれど生きていた。凄腕というのは本当らしい。)重たい扉に手をかけた。

 

 

 

 




ついにニクスがパーティーインしました。しかし戦えない。役に立たねぇ…
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