鬼滅の刃 人と記憶の物語   作:雷電風雨

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お久しぶりです!雷電風雨です!
鉄ヲタがお送りします!
EvansやNCSのthrowbackを聴きながら執筆いたしました!是非ご覧ください!
投稿時刻は雷鳥33号のラストラン大阪駅発車時刻です!(わかんねぇよ)



第参拾参話 全てを終わらせるために

「…呼吸って何か知ってるのか…?」

 

「…知らない」

 

「…まず鬼殺隊は知ってるか…?」

 

「…何それ」

 

「…つまり何も分からんって事だな?」

 

「…うん」

 

真莉は先程のような声を上げて意見するという事はしなかった。

元々話すのが苦手なのだろうと虎咲は大して深掘りしなかった。

 

「うわあああああああ!!!」

 

「あ、炭治郎おはよう」

 

とんでもねぇ叫び声を上げながら炭治郎が起床。

虎咲は炭治郎がすぐに首を触って安堵する様子を見て察する。

 

「炭治郎は首を切ったのか?」

 

「あ、はい。虎咲さんはどうしたんですか?」.

 

「俺?この三八式を首に当ててバンだな」

 

虎咲は安全装置を作動させた三八式を首に当てる。

この二人の異常な会話に真莉は「気持ち悪い」と言いたげな顔になり、

禰 豆子は状況を呑めずに目を泳がせていた。

 

「あ、土方さん。縄を解いてあげて」

 

「……」コク

 

真莉は頷きながら炭治郎と少年を繋いでいた縄を解く。

 

「虎咲さん…この子は…?」

 

「あ、土方さん。俺の夢に侵入してきた子」

 

「そうですか…」

 

そして虎咲は信じられない事を口に出す。

 

「あ、炭治郎。この血気術は多分下弦の鬼だと思うんだよ。

そして何故わざわざこんな回りくどいやり方で人を襲うのか。

それは多分戦闘に向いていない血気術を使用するからだと思う」

「はい…」

 

「というわけで俺は後方支援に回るから。

しかも土方さんが奴を殺したいって言ってたからね」

 

「え…?」

 

困惑する炭治郎をよそに虎咲は

日輪刀を持った真莉を抱えて客車の屋根に上がる。

 

「土方さん、鬼は首を切れば殺せるが…本当に殺せるんだな?」

 

虎咲は真莉を見て言う、真莉は走りながらそれに答えた。

 

「…殺せるとか殺せないとかは関係ない。

ただ私は奴を殺さなきゃいけない気がするだけ」

 

先程のような決意を宿した目で真莉は汽車の進行方向を見据える。

それを見た虎咲は日輪刀を真莉に渡し、肩に掛けていた三八式を手に取る。

 

「…まぁ、覚悟があるなら問題は無いか」

 

三八式を軽く整備してから虎咲は立ち上がる。

 

「…使う事は無いだろうがな」

 

虎咲は三八式のコッキングレバーを引き、自嘲気味に呟く。

挿弾子で留められた”赤色に着色された”五発の6.5mm弾を薬室に押し込み、

素早い動作でコッキングレバーを押し戻して安全装置を解除する。

 

「さぁ…鬼退治に行こうじゃないの」

 

虎咲と真莉は先頭車を目指す。

しかし、前に行くにつれて増える鬼の気配に真莉は顔を顰める。

だがすぐに持ち直して真莉は勢いのまま先頭車に突入した。

 

「…あれ?いい夢を見せてあげたのに…。

寝返るなんて感心しないなぁ…」

 

突入した先、機関車の屋根に笑みを浮かべた鬼が立っていた。

その瞳には「下壱」と刻まれており、

その顔は少し微笑んでいるため不気味さが増していた。

下弦ノ壱は虎咲を見てさらに笑みをこぼす。

 

「やぁ、俺は下弦ノ壱の魘夢。お前かな?あの方が言っていたのは」

 

「多分俺だ。しかし奴も堕ちたな、こんな雑魚を差し向けるなんて」

 

「…洗脳の方が感心しない。お前は私が殺す」

 

「鬼狩りでもない奴に下弦の俺が殺されるわけないじゃ…は?」

 

その途端、魘夢の首が機関車の屋根に落ちる。

真莉が無表情のまま二本の日輪刀を逆手に持って頭だけになった魘夢を何度も刺す。

 

「…何故お前は死なない…?いや、何故手応えが無い?」

 

真莉は気持ち悪そうに消えることのない魘夢の頭部を見る。

 

「フフフ…フハハハハ!!今俺は気分が高揚しているから教えてやる!

お前らがすやすやと寝ている間に俺はこの列車と融合した!

この頭だって本物の頭じゃない、本体はまた別にある!

さぁ、お前たち二人は守り切れるかな?

この列車にウジャウジャいる二百以上の人間を守り切れるかな!?」

 

そう言言い残して魘夢の頭部は消滅し、

屋根に突き刺された虎咲の日輪刀だけが残る。

 

「…本体はこの列車のどこにいると思う?」

 

真莉は無表情のまま日輪刀を回収して虎咲に聞く。

 

「まず先に乗客を守らないといけないがな…」

 

「虎咲さん!」

 

日輪刀を持って客車の屋根をつたってきた炭治郎が叫ぶ。

 

「炭治郎か、あの鬼はこの列車と融合している。

乗客を守りながら鬼を討て!」

 

「了解です!」

 

炭治郎は屋根から客車に滑り込み、乗客を守るべく走る。

その瞬間、後方の客車から轟音と雷鳴のような音が聞こえる。

 

「うっしゃあああ!!ついて来い子分どもぉ!猪突猛進の伊之助様がお通りだぁ!!」

 

伊之助が客車の天井を突き破り、着地する。

それを見た炭治郎は伊之助に向かい大声を張り上げる。

 

「伊之助!この列車に安全な場所は無い!乗客を全員守れ!」

 

「ハッ!俺の方が先に気付いてたからな!」

 

「よし!お前達は四両目と五両目を守れ!俺達は前三両を防衛する!」

 

虎咲が三十年式銃剣を取り付けながら指示を出し、

三両目の扉に手をかける。

 

「…さぁ待ってろ、必ず私が殺してやる」

 

真莉も両手に持つ日輪刀を構え直して虎咲の後に続く。

 

「キモ」

 

虎咲は扉を開けたと同時に呟く。

そこには魘夢のものであろう腕が乗客を取り込もうとしていたのだ。

乗客は全員血気術で眠らされており、

腕が接近している事に気付きもしない。

 

ー翼の呼吸、弐ノ型、全翼無連・避人建ー

 

虎咲は銃剣を付けた三八式を振り回して魘夢の腕を斬り裂く。

銃剣は刀身が短いため威力は落ちるが、斬れれば大して問題は無い。

 

「土方さん、そっちは大丈夫?」

 

「…真莉でいい、あらかた片付いた」

 

「了解…」

 

日輪刀を振りながら真莉と虎咲は腕を斬り裂き続ける。

その時、炭治郎が一号車に現れた。

 

「虎咲さん!ヤツの首は機関車です!でも硬すぎて斬れません!」

 

「わかった、今行く」

二つ返事で答えた虎咲は、未だに無表情の真莉を引っ張って屋根に登る。

 

「いいのか?ヤツを殺さなくて」

 

虎咲は未だ乗客を襲う腕を斬り裂き続けるに真莉にエサを垂らす。

勿論、彼女は食い付いた。

 

「…よし、行こう」

 

(チョロい)

 

〜機関車運転室〜

 

「炭治郎!伊之助!首はどこだ!」

 

「虎咲さん!ここです!」

 

炭治郎は運転室の床を斬り続け、伊之助は周りから這い出る腕を斬り続けていた。

炭治郎が斬り続けていた床には、鬼の首の骨があった。

 

「真莉!」

 

「…わかってる!」

 

真莉は腕を目一杯振り上げ、首の骨に日輪刀を振り下ろす。

首が硬かったためか日輪刀が折れる。

しかし折れた刃は勢いをそのままに首を両断した。

 

「っぎゃあああああああ!!!」

 

列車全体が激しく揺れる。

首が斬られてのたうち回り、列車が大きく揺さぶられる。

 

「脱線するぞ!身を守れ!」

 

虎咲が叫んだ次の瞬間、

先頭車から一気に脱線する。だが、転覆はしなかった。

 

「煉獄さん!」

 

「戸山少年!鬼は君がやったのか!」

 

相変わらずデカい声で杏寿朗は喋る。

虎咲は耳を塞ぎながら首を横に振って真莉を指差す。

 

「君か!?少女!名を何と言う!」

 

「…土方真莉」

 

「そうか!近藤少j「土方です」すまない!俺はよく名前を間違えてしまうからな!」

 

(…てか近藤って誰…)

 

しかし真莉にそれを聞く気力は無く、力尽きたように地面に横たわる。

 

「…疲れた」

 

この真莉の呟きには虎咲も同意した。

その時、炭治郎が腹を押さえながら倒れる。

見れば血が出ており、顔色も悪かった。

杏寿朗が呼吸を使い止血するように促し、炭治郎は戸惑いながらも止血した。

杏寿朗は炭治郎を褒め、乗客の救助に向かおうとした。

だが、瞬間的に杏寿朗と虎咲の目が変わる。何かを察知したように。

 

「真莉、日輪刀を返してくれ」

 

「…ん?分かった」

 

虎咲はコードを日輪刀の柄に挿し直し、臨戦態勢を取る。

 

「煉獄さん、分かりますか…」

 

「あぁ!何か来る!」

 

ー似の呼吸、参ノ型、絶対領域・改ー

 

虎咲が技を展開した瞬間、絶対領域に見覚えのある何かがぶつかる。

ソイツの瞳には、「上弦」と「参」と刻まれていた。

そう、彼の父親の仇、上弦ノ参の猗窩座である。

 

「また一段と強くなったな!虎咲!」

 

「黙れ、お前はまだくたばってねえのかよ」

 

「お前を鬼にするまで俺はくたばらん!」

 

「あっそ、死ね」

 

ー翼の呼吸、伍ノ型、集翼九連ー

 

ー術式展開、破壊殺・空式ー

 

今ここに、因縁にケリをつけるべく二人の男が戦闘を開始した。

全てを終わらせるために。

 


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