最低最悪の魔王が征くのわゆ世界   作:バロックス(駄犬

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書く書く言い続けて気付けば7月半ば。
しかし私はやり切ったッッ 千景編はこれにてラスト!


16.Life is Beautiful

 常磐SOUGOは勇者達に語った。

 

 自分たちがこの世界の人間ではないこと。

 歴史を管理する組織、『Quartzer』の一員であることを。

 

 そして『Quartzer』は、平成という世界を一からやり直す為に全てを滅ぼそうとした組織だと。

 SOUGOはその組織の首領であるということ。

 

 

 樹海化が解けて、現実の世界へと戻ってきたSOUGO達。

 勇者はその話を聞いて、当然誰もが驚愕の表情に囚われていた。

 

 

 異世界人で。

 謎の組織の一員と首領が居て。

 世界を一度は滅ぼそうとした者達が居たことに。

 

 

「それってつまりさぁ……」

 

 

 球子がぽつりと呟く。

 

 映画とかのお話に例えるなら、まさしくそれは人類の敵だ。

 それは若葉たちの世界で言う所のバーテックスと似たような物である。

 

 

「SOUGO達は悪い奴らなんじゃ――――」

 

「タマちゃん待って……」

 

 

 球子の言葉を遮ったのは友奈だった。

 友奈以外の勇者達がざわつくいている。

 それはSOUGOが敵なのかもしれない、という懸念だ。

 

 

 その勇者達の疑いの目から庇う様に友奈が立っていた。

 

 

「SOUGOさんとお話させて、お願い」

 

「でも友奈……」

 

「友奈、いってくれ」

 

「若葉ちゃん……ありがとう」

 

 

 若葉も納得した様子だった。

 勇者のリーダーである若葉が下した決定だからか、或いは友奈の行動を誰もが予測し、その上で容認しているのか。

 

 

「いいのか、若葉。友奈に任せちゃって」

 

「我々がSOUGOさん達を信じるきっかけを作ってくれたのは友奈だ。

 信頼して、共に戦おうと私達に呼び掛けてくれたのも友奈だ。

 

 いつもSOUGOさんを近くで見ていたのは、友奈なんだ」 

 

 

 外見に縛られない、人としての内面を高嶋友奈は見る。

 他の勇者には持ちえない、友奈の人を見る力に若葉は全てを託した。

 

 どちらにせよ、ここから先は友奈とSOUGOの会話で全てが決まるのは確かだ。

 

 

「SOUGOさん」

 

 

 勇者・高嶋友奈が魔王・常磐SOUGOと向かい合った。

 

 

「SOUGOさんはその……歴史の管理者っていう組織の人で……リーダーで……悪い、人なんですか……」

 

「……そうだ」

 

 

 この時の友奈の『悪い人』が彼女の中でどこまでの範囲の物なのかは分からない。

 

 

 世界には色々な『悪い人』がいて、人の数だけ『悪い人』の定義は多く存在する。

 

 

 鳴滝からすれば、旅先の世界で暴れる門矢士はいつだって世界を滅ぼす破壊者の『悪い人』。

地球外生命体エボルトは主人公を何度も煽って成長させてきた陰の功労者ともとれるが、幾つもの星を滅ぼしてきた『悪い人』。

 壇黎斗は味方になれば宝条永夢達の危機を救うガシャットを開発してきた頼れる自称・神だが、バグスターウィルスを発見し、パンデミックを引き起こした諸悪の根源の『悪い人』。

 

 

 もしかしたら、オーズ1話においてパンツ一丁で公の場に現れた火野映司をやれ露出狂だの、変態仮面ライダーだと『悪い人』と括るかもしれない。

 そして常磐SOUGOは間違いなく、人々の命を脅かして世界を滅ぼそうとした『悪い人』だ。

 

 

 

 

 多元世界からのクレームから美しくないと思った世界の舗装まで。

 SOUGOの組織、Quartzerはあらゆる歴史に介入していく。

 

 

 平成という歴史をリセットする上で、SOUGOは様々な悪事に加担した。

 ダイマジーンによる街の破壊、超大型タイムトンネルによる平成に生まれた全ての人や建造物を吸い込み、消滅させようとしたこと。

 

 

 

「俺の目的は醜い平成という時代を、綺麗で平らな美しい時代へと作り直すこと。

 このライダーの力は、それを成し遂げる為にある力だ」

 

 

 大願を口にして、悪事を働いたSOUGOは意図的に人を殺したという言葉をこの時、口にしていない。

 確かに世界を滅ぼし、空っぽの星にしようとした。

 時代をゼロからやり直そうとした。

 その為に罪なき人の命を奪うことだってあった。

 

 

 しかしジオウとの戦いで破壊し、吸い込んだ人や建造物はSOUGOが敗れたのを機に全てが元通りになっている。

 SOUGOが迎えようとした破滅の日(オーマの日)は常磐ソウゴが時の最終王者として君臨する逢魔の刻(オーマの日)へと塗り替えられた。

 大量殺人は行われていない。

 

 

 それがSOUGOにとって都合の良い言葉なのは分かっている。

 何故取り繕う様に言葉を使うのか、SOUGO自身でも良く分かっていない。

 

 

 天の神による祟りとバグスターとの戦いの後で勇者と戦う事は得策ではないと、利己的にSOUGOが考えていたからか。

 或いは目の前の少女に――――高嶋友奈にそんな悲痛な顔をさせたくはないからか。

 

 

「時代をリセットする為に……俺が王に成る為に。

 無実の人々を利用し続けてきた……悪い人だとも」

 

「……っ」

 

 友奈が拳をぎゅっ、と握りしめた。

 俯く友奈の表情には色々な感情が見て取れた。

 本当に悪人だったことへの驚愕と悲しみだ。

 

 

「……」

 

 

 友奈の顔を見て、『終わったな』、とSOUGOは思った。

 これで勇者と仮面ライダーとの共闘関係は終わる。

 いや、ただバーテックスという共通の敵を倒すだけの関係に落ち着く。

 これまでのように騒がしく、うどん屋に現れて勝手に飯を食べるという光景もこれからは無くなるのだろうか。

 

 

――――SOUGOさん!うどんってやっぱりおいしいですよね!!

 

 

 いつも隣で花のような笑顔を向ける友奈の顔も見れなくなるのか、そう思うと胸にぽっかりと穴が空いたような虚無感に囚われたSOUGOがいた。

 だが、それもいいだろう。魔王の隣に、勇者は共に立てないのだ。それを実感させられただけた。

 SOUGOは無言のまま、友奈たちの前から姿を消そうとして――――、

 

 

「SOUGOさんはこの時代でも……私たちの時代でも、同じことをするんですか?」

 

 

 ()()()()()()()()SOUGOを友奈の声が止めた。

 背を向けたまま、SOUGOは答えて見せる。

 

 

「……この世界も、同じだ。

 弱者を乏しめて、蹴落として、己の罪に気付かない者達が多すぎる。

 少なくとも、一人の少女を寄ってたかって袋叩きするような人間が溢れるこの世界は、俺には醜く見えた。

 だから、いつかは滅ぼす……俺は魔王だからな」

 

「それは……可能性の話ですよね?」

 

 

 微笑みを浮かべて友奈は言う。

 

 

「私は、SOUGOさんの事ぜんぜん、分かっていないんですけど……一つだけ分ってることがあるんです。

 SOUGOさんは絶対に、この世界を滅ぼしたりなんてしないって」

 

「なぜそう言い切れる」

 

「SOUGOさんはいつも、誰かの為に戦っているような気がしたから」

 

 友奈は笑みを崩さずに続ける。

 

「多分、私達じゃない……。

 世界の為とかじゃなくて、多くの人とか、大切な存在から願われて、託されて、それを護る為に戦っているんじゃないかって。

 そんな人が、世界を滅ぼそうとするなんて考えられないんです」

 

 

 

 それがきっと、もうこの世界には存在しない人々の事なのだと友奈は察しがついていた。

 親よりも大切な存在を奪われたかのような怒りをぶつけるSOUGOを見て、そう思っていた。

 

 

「だってSOUGOさんは優しい人だから……

 SOUGOさんに助けられた私だから、分かるんです――――あなたは魔王なんかじゃありません」

 

「馬鹿な……一度助けられただけの感情で俺を信じるというのか」

 

「はい」

 

 

 曇りのない瞳で、友奈は答えて見せた。

 

 

「もしSOUGOさんが本当に世界を滅ぼす魔王になるっていうのなら、

 その時は私が止めます。

 運命だって変えてみせます。 

 

 過去に起きてしまったことはもう変えられないけれど、未来なら……変えていけますから」

 

 

 夢に現れたバールクスと、同じことを友奈は言った。

 『過去は変えられないけれど、未来なら変えられる』。

 

 

 SOUGOには二つの世界で、それぞれ一つずつ罪を背負っていた。

 一つは元居た世界、仮面ライダーがいる世界で自分が王に成る為に多くの人々を利用し、傷つけたこと。

 一つは、勇者と呼ばれる世界で彼が一年程滞在していた「諏訪」をバーテックスの脅威から救うことが出来なかったこと。

 

 

 犯した罪は一生消えることのない過去で、刻印でもある。 

 けれども、それだけじゃいけない。

 罪は消えない。償い続けて、ずっと心の中で背負っていかなければならない。

 

 

 しかし、もう二度とこんな事を繰り返さないようにと、自分を変えていく事は出来る。

 もう誰も悲しませたくないと、周りを変えていく事は出来る。

 

 

「私の気持ちは、最初に出会った頃から一つも変わりません。

 勇者高嶋友奈は、常磐SOUGOさんを信じています。

 だからSOUGOさんも信じてください。

 私を、そしてSOUGOさん自身を。

 SOUGOさんなら魔王なんかじゃなくて、『最低最悪』でもなく、『最高最善』の王様になれるって」

 

 SOUGOの心が、少しずつ曇りから解放されていくように明るくなっていった。

 

 

 友奈の言葉は魔法の言葉だった。

 過去を見ているSOUGOに未来という前を向かせる魔法の言葉。

 

 友奈のSOUGOに対する願いが込められている気がした。

 その願いに、SOUGOは笑顔をもって応えて見せる。

 

 

「変な奴だなぁ、お前は。

 魔王と一緒に戦おうって言い出したり、うどん食べようとか言い出したり。仕舞いには信頼しろとか言い出してさ。

 あぁ……でも、なんでだろうな……」

 

 

 頷いて、何かに納得して言うのだ。

 

 

「――――なんかいける気がする、な」

 

 

 確信づけた要素は何一つない。

 頭の中で浮かんだ想像が、SOUGOにその言葉を喋らせていた。

 友奈の願いを無得にしようとか、そういうのではなくて。

 単純にいける、そんな気がしたのだ。

 

 

「なれますよ!王様に!

 なってください!

 いいえ、なるんです!」

 

 

 友奈が太陽のような笑みを浮かべて言う。

 

 なんて眩しいのだろう。

 心の光はまさに太陽のように温かく、闇に染まっていた者にとっては苦痛でしかない輝き。

 

 でもSOUGOは、友奈の心の光(笑顔)が嫌いにはなれなかった。

 その光に充てられても苦痛を伴わなかった。

 むしろ、憧れた。

 

 

 強引でストレートな言葉がSOUGOの心を揺さぶった。

 この強引さにはどこかで見覚えがあった。

 懐かしさをSOUGOは感じた。

 

 

 勇者、白鳥歌野に。

 絶望的な状況でも決して諦めない心。

 他者を強引に前を向けさせる暖かな笑顔。

 姿形は似てなくとも、友奈と歌野の心の在り方はどこか似ているような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――1か月後。

 

 

 郡千景の退院パーティが、千景の部屋で行われていた。

 

 

「ぐんちゃん!退院おめでとう!」

 

「ありがとう、高嶋さん。それに、みんなも……」

 

 

 友奈が鳴らしたクラッカーが室内に響いた。

 いつも千景か友奈程度の人数しか入らない為に勇者全員という数が一同に会すると流石に手狭となるのは仕方がない事だ。

 

 

 テーブルの上にはお祝いのケーキ。

 その他にも料理自慢の勇者が協力して作り上げた様々な料理が並んでいる。

 千景だけが食べるのではなく、勇者全員で食べることを想定された量だ。

 

 

 ジェミニバグスターを撃破し、バーテックスも退け、四国の危機を乗り切った勇者達。

 その後で、千景は大社系列の病院に再入院することとなった。

 

 

 治療薬、『Doctor Mighty Action X』による後遺症検査のため……ではなく、本来の目的は千景を今後勇者として運用することが正しいのかと、大社側で精査するためである。

 

 ジェミニバグスターによって肉体を操られていたとはいえ、千景の村で千景が勇者の力で一般人に危害を加えようとしたのは事実。

 勇者が人々を護るのではなく、殺める寸前までいったこの行為は、千景から勇者の力を剥奪するという処置を施しても妥当だと考えられてもおかしくはない。

 

 実際、大社の中ではこの事件を機に千景を勇者から降ろせという声がいくつかあったのだ。

 

 だが、結果的に千景は勇者として戻ってくることが出来た。

 大社からのお咎めは一切なしだった。

 理由はいくつかある。

 度重なる精霊による切り札の行使から蓄積された『穢れ』であるという事。

 勇者側の心理的要因を考慮していなかった大社側の責任でもあった事。

 そして最大の要因は、今回のゲーム病の戦いで勝利することが出来た千景の功績を評価していたからだ。

 

 大社曰く、バグスターとの戦いはまだ終わっていないらしい

 しかし、『リプログラミング』が普及したことによってゲーム病患者は激減していった。

 千景のデータをもとに本格手に他の勇者に『リプログラミング』能力が備わった事で樹海におけるバグスター戦の負担が大幅に減ったのだ。

 

 現在は2人の勇者とライダー1人のローテーションを組んで対応できる程になっている。 

 負傷したという報せもしばらく聞いていない。

 

 

 バーテックスもあの戦い以降、攻め込んでくる気配はなかった。

 巫女を通して伝えられた神託では、『戦力をかき集めている』との事であり、その準備のため今は攻め込んでくる時期ではないらしい。

 だから四国内の勇者達は余裕をもってバグスター戦に臨むことが出来た。

 

 今、四国でのゲーム病の脅威はほぼ過ぎ去ったと考えてもいいだろう。

 そこで千景の退院祝いをやらなければならないと考え、時期を見計らって彼女が退院したその夜にパーティを開くことになったのだ。

 

 

「うおっ!ヒナの骨付き肉だ!」

 

「あぁ! 親の骨付き肉もあるぞ!」

 

「あーぁ、若葉さんもタマっち先輩も肉に視線が釘付けになってる……ほらほら二人とも落ち着いて。 

 これは千景さんの退院パーティなんだから……ステーイ、ステーイ」

 

「うっ……ぐぅ……」

「ガルルルルる」

 

 

「乃木さんと土居さん……まるで犬みたいね。

 乃木犬、土居犬……いいわね、土佐犬みたいにしっくりくるわ」

 

 

 それぞれの好物である肉料理を前に腹を空かせていた若葉と球子の勢いを杏が止める。

 杏の突き出された手で動きを一切止めた二人の姿をまるで餌のお預けを食らった飼い犬の姿を千景は幻視した。

 

 

「ぐんちゃん、食べきれなかったら無理しないでね?病院生活結構長かったんだし、いきなりこんなに食べたら胃がびっくりしちゃうかもよ」

 

「ありがとう高嶋さん、でも心配は無用よ。

 今の私、すごーくお腹空いてるから……病院食って量が極端に少ないのよね、塩分も極端に減らしてるのかやたらと味噌汁の味薄かったし……」

 

「あー、たしかに……私もよく入院してたから分かるなぁ……」

 

「それに、身体の方はもう異常はないって分かってたから……トレーニングはしてたの、ちゃんと医師の許可をもらって軽度のは。だから常時すきっ腹状態よ」

 

 ぐぅ、とお腹の音が鳴って瞬時に頬を染めた千景を見た友奈が笑みを浮かべる。

 

 

「みんな……そろったね」

 

「うん」

 

「花見も祭りも終わっちゃったけれど……でも皆がいるから、また来年!」

 

「そうね。楽しみが少し先延ばしになった……そう考えましょう」

 

 

 友奈の一言に、千景は感慨深いものを感じる。

 見渡せば、いつの間にか調理室でうどんを煮込み始めている若葉とひなたや、棚を物色して勝手にゲームをやり始める球子とそれに乗せられている杏の姿が見える。

 こいつら、ここが人の部屋だってことを忘れていないだろうか。

 

 

 でも、夢のような光景だった。

 千景の周りに彼女たちがいるという事に。

 

 

 思えばサソリ型が現れて球子と杏が負傷をしたのを機に勇者一同が集まることは無くなっていた。

 以前に丸亀ばさら祭りに出よう、花見をしよう、という約束は未だに果たされていない。

 全ての計画は狂ってしまったが、勇者一同こうして無事に生きている。

 また来年皆で計画を立ててやれればいい。そう思えるほどに千景は心に余裕を持っていた。

 

 

「むわー!こ、このゼルダ難しすぎるゾ!タマの知ってるオカリナじゃない!!」

「タマっち先輩、デクの木サマのところで何回死んでるの……」

 

「土居さん、残念だけどソレ裏モードだから。難易度も受けるダメージも二倍よ」

 

 人のゲームコントローラーを投げようとした球子を見て、「よし、後で吊るすか」と千景が思ったのは言うまでもない。

 

 

 

「もしかしたら……この場所にこうやって私達が集まっていない世界もあったのかしら」

 

 

 ふと考えてたことが口に出ていた千景だった。

 もしもの事を考える。あのサソリ型との戦いで球子と杏が死んでいたらと。

 

 勇者の数が減り、戦いの負担は増えて。

 ゲーム病で皆傷付いて、疲れて。

 千景も勇者としての力を失い、無残にも死んでいたかもしれない。

 

 

 今日この場所には自分たちは居なかったかもしれない。そんな事を考えるのだ。

 

 

 だけど、あの人が。

 常磐SOUGOが……仮面ライダーが来てくれた。

 

 

 ゲーム病で存在を失いかけた千景の元に現れ、自分が手を血に染める前に食い止めてくれた。

 あの男が現れた事で、勇者を取り捲く環境が大きく変わっていたのだと思う。

 球子と杏が助かり、友奈が助かり、そして千景も助けられた。

 

 本来なら辿るべき歴史の運命を塗り替えるかのように。

 

 

「SOUGOさん達も来ればよかったのに」

 

 心底残念そうに言うのは友奈だ。

 今この場所に勇者達は揃っているが、仮面ライダーであるSOUGO達は姿を見せていなかった。

 もちろん、件のお礼も兼ねて招待はしたのだが、SOUGOから直々に「その日は用事がある」と、断られたのだ。

 

 いつものように口調が強めで戸惑った千景だが、好意的にその言葉を解釈して――――

 

「―――勇者達だけで楽しめって事なんじゃないかしら……それに、あの人にはあの人の世界の仲間がいるわけだし」

 

「そうなのかなぁ……まだなんか私達と距離が開いている気がするんだけど……うーん」

 

「いきなり信用して、って言われても時間は掛かると思う。

 私達がそうだったし……でも、だからこそ一緒に戦い続けていけばきっと分かり合える……あの人なりに言わせれば―――」

 

「〝なんかいける気がする〟!」

 

「そう、それそれ」

 

 

 SOUGOが口にした言葉だ。

 どこか確証もない、都合の良い言葉だけど。

 不思議と口にするだけで本当に自分が出来てしまうような錯覚に陥る魔法の言葉だ。

 

 

 今はまだ、勇者と仮面ライダーである友奈達とSOUGO達には大きな壁のようなものがあると感じるのは間違いではない。

 「王様を目指して欲しい」という問いにもSOUGOは答えなかった。

 あれからバグスターとの戦いに参加しているのを見て、共闘は継続しているみたいだが違和感というものがあった。

 

 

 だが、それも時間が解決してくれるだろう。

 そんな気がする、と千景は思った。

 

 

「それよりぐんちゃん、よかったの?高知の実家、引き払って香川まで来たのに家族で離れて暮らすことになっちゃって」

 

 

 千景は事件解決後、生まれである高知から家族と一緒に香川へと移り住んでいた。

 しかし父や母とは一緒に暮らさず、それぞれに家を分けるようにと、大社に相談した。

 大社としては、千景の心身が安定する為に家族と共に暮らす事を説いたが千景本人の意志と彼女を良く知る巫女の証言から、千景とその家族を一緒に住まわせることは逆に精神的に良くないという決定の元、その要求は了承されることとなる。

 

 母親は『天恐』のステージが進行し、大社の病院に引き取られた。

 父親は一戸建ての家を大社から与えられた。なお、千景本人の承認が無ければ、彼は千景と面会することも出来ない。

 以前と変わらず千景がいることで貰える援助金と、誰からも邪魔をされない自分だけの家を手に入れた千景の父だが、何故か顔は不満そうだったと言う。

 

 

「いいのよ、高嶋さん」

 

 

 その『いいのよ』には様々な感情が含まれていたかもしれない。

 

 実家である高知には戻らない事に対して。

 父や母と離れ離れになった事に対して。

 『家族』という枠に当てはまらないほど崩壊している自分の家庭に対して。

 

 他にも多々あるわけだが、一つだけ分っている事がある。それは―――

 

 

「このままじゃ、()()()()っていうのは分かってるから。

 いつか、ちゃんと向き合わないといけない時が来るんだと思う。

 あの人達(両親)とも。

 高知の村とも。

 私自身とも。

 いつになるか分からない、けれど……自分の今までと向き合って、受け入れていきたい。

 いつかあの場所に戻ったら、私みたいな人を助けられるような……そんな仕事に就きたいな。

 『誰にでも幸せになれる権利がある』んだって、知ってほしいから。 きっとあの子も――――」

 

 

 そう思っている筈だろう。

 消えていったもう一人の千景、ジェミニバグスターの顔が浮かんだ。

 

「それじゃあ、千景は学校の先生を目指すのか?」

 

 アツアツの湯気を醸し出すうどんの鍋をテーブルへと運んできた乃木若葉が言った。

 

「学校の……先生、私が?」

 

「人に道徳を説いて、正しき道に導くことが出来る職と言うのは教師くらいだろう」

 

「千景さんが教師……いいですね、千景さんなら良い先生になれますよ」

 

「上里さん……でも私が教師なんて、そんな」

 

「そだなー。千景が先生になったらずっと睨んできて、ずっとゲームばかりして、いつの間にかすッ転んでる先生になりそうダ」

 

「土居さん?吊るすわよ」

 

「なんかタマの時だけ当りがキツくないか千景!?」

 

「ぐんちゃん先生かぁ……いいなぁ、私もぐんちゃんに教育されたい!」

 

「え?」

 

「そうだ!ぐんちゃんが先生になれるように特訓しよう!

 ぐんちゃんが私に勉強を教えまくる!

 私も成績が良くなって、ぐんちゃんも先生の勉強が出来る!〝うぃんうぃん〟ってやつだよ!」

 

 

 両の手をピースの形にしてはにかんだ友奈に胸を躍らせる。

 

 

「高嶋さんに教育……できる!やります!やらせてください!朝昼夜いつでもどこでも!」

 

「朝昼夜とは言ってない気がするんですけど……あぁ、だめだ完全に自分の世界にトリップしている……」

 

 

 目を輝かせて妄想耽る千景を杏が眼前で手を振って呼び戻そうとするが不可能だった。

 きっと彼女にとって幸福な世界に入り込んでいるに違いない。

 

 

 しかし、とそれらを見ていた若葉がふと呟いた。

 

 

「教師か……教師になるには大変だと聞く。

 教員の資格は勿論、大学卒業と教育実習が不可欠だ……それに学科試験と面接、各地方では採用には格差があり、信じられない話だがコネがないとなれないとも言われている……

 しかも私達はまだバーテックスとの戦いの渦中にいる。

 この戦いが終結しなければ、私達が一般の人に戻って〝それぞれの夢〟に向かう事も難しいだろう……楽な人生ではないぞ」

 

 

 勇者とバーテックスとの戦いはまだ終わっていない。

 戦いが終わらなければ、彼女たち勇者は人類を守るべく、戦い続けなければならない。

 

 

 そうなった場合、自分たちはいつまで勇者としていられるのだろうか。

 勇者は新たに選別され、前勇者としてその者達を育成する教官としての道もあるのだろう。

 

 身を犠牲にして、個人の夢を投げ捨てて。

 大社からは『人類を存続させるための立派な御役目』だと言いつけられて。

 大人は汚いのだ。そうやって逃げ道を無くして追い込んで従わせるくらい平気でやるだろう。

 

 

 そういう人間の醜い部分があることを千景は知っている。

 

 

「最悪、夢を諦めなければいけない場合も――――」

 

「大丈夫よ、乃木さん」

 

 若葉の言葉を優しく遮って、千景は言う。

 

「私達を取り捲く環境は未だに最悪で、最低よ。

 戦いだって、いつ終わるのか分からない……私達が勇者で無くなるくらい時が進んでも、まだ続いているかもしれない。

 それぞれやりたい事も、大人たちが否定して、縛りつけてくるかもしれない。人生は、そんなに甘くないから……でも――――」

 

 

 でも、と胸に手を置いて。

 

 

「そんな厳しい人生でも……あなた達みたいな友人たちと一緒なら……強く生きていける気がするから。

 辛い事がその度に待っているかもしれないけれど、皆となら一緒にこの世界を歩いていける気がするから。

 戦って、戦って。

 生きて、生きて……その先に辿り着いた結末がどんなに平凡とかけ離れたものだったとしても。

 例え死ぬ時だって、私は胸を張って『私の人生はとても素敵な人生だった』って言いきれるわ」

 

 

 人の一生とは、果てしなく続く長い旅のようなものである。

 それは出口のない答えを求めることと同義だ。

 

 

 その旅路は決して平坦なものではない。

 戦い、心を減り擦らす。 

 未来でさえも不確かで不安な日々を送るのだ。

 

 これから先、千景の歩む人生において数々の苦難が待ち受けている事だろう。

 

 

 希望も見つけられず、絶望し、負けそうになる時もあるかもしれない。

 

 

 だけど、そんな時でも彼女はもう『ひとりじゃない』。

 

 

 千景が大切と思える仲間たちが傍に居るのだから。

 互いに笑い合って。

 時に迷って、ぶつかって。

 それでも、共に苦しさと悦びを分かち合って。

 

 

 

「……ぐんちゃん!」

 

「ん?どうしたの、高嶋さん」

 

「ハッピーエンドだね!」

 

「……!!ええ、でもまだまだゲームは終わらないわ!

 どんな難易度の高いゲームだろうと、ノーコンティニューでクリアして見せる!私と、皆で!」

 

 

 

 5人の勇者と巫女たちは戦い続けていく。

 その先にある、未知のnew stage(世界)に辿り着くために。

 

 

 

――――『Life is Beautiful』

 

 

 喜怒哀楽に満ちた一生を懸命に生きる……だからこそ、人生とは美しいのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「意外だったねぇ」

 

「何がだ。ジョウゲン」

 

 

 千景たちが退院パーティを行っている住宅の外、少し離れた公園でSOUGOはベンチの上に腰を掛けているジョウゲンの不意の一言を耳にしていた。

 

「この世界壊さないんだなぁって……一応年代的には〝平成〟の括りだし、SOUGO的にもこの世界は醜いと思ったんでしょ?」

 

「……そうだな」

 

「リセットするどころか、その世界を護る集団に加担してる……ライダーの力が英雄視されるほどにねぇ……」

 

 キザな優男、ジョウゲンの言葉にSOUGOはフッ、と小さく笑って。

 

「おかしいか?」

 

 そう答える。

 対してジョウゲンは肩を竦めて、

 

「おかしい、というか違和感アリアリでさぁ。別世界のSOUGOが今のSOUGOを見たら確実に〝Quartzerとしての誇りを忘れたかッ!〟ってキレてるだろうねぇ」

 

「ウォズのこと、俺も言えないというワケだ……」

 

「ちなみにSOUGOが自分の事を『最低最悪』って自称してるのも、何か関係してるのかな。この世界に入れ込んでることも含めて」

 

「……」

 

 ジョウゲンの勘繰りにSOUGOは一度は黙った。

 その沈黙は肯定を意味するものなのだろう。

 この場で全てを明らかにしたいのは山々だが、今は目の前の事を終わらせてからにしても遅くはないだろう、そう思ったのかジョウゲンは言葉を作る。

 

 

 視線の先に居たのは手にロープを持ったカゲンの姿があった。

 

 

「カゲン、そっちどうよ」

 

「問題ない」

 

「お、お前らッ 一体何なんだ!人をこんな所に縛って連れてきて……こんな、誘拐紛いな事を!!」

 

 

 カゲンが持つロープの先、そこから声が返ってくる。

 ロープによって身体を縛られた男は身動きできずにカゲンの足元でゴロゴロと転がっていた。

 

 

 地面を転がる男は、千景の父だった。

 

 

「……いくつか質問をさせてもらおう。この、貴様が持っていたカバンの中身についてだ」

 

「!?」

 

「この瓶……火炎瓶だな。点火用のライター、それにバタフライナイフ……一人でサバイバルでもするつもりか?」

 

「そ、それは……」

 

 

 SOUGOの問いに千景の父がたじろく。

 この男はつい数刻前、千景の自宅へ行こうとしていたのだ。

 血走った目と、只ならぬ雰囲気を感じたSOUGO達はカゲンに命じて捕縛させたのである。

 

 

「貴様は郡との面会は基本的に禁止されてるはずだが?」

 

「お、親が子供に会うのに、理由がいるのかよ!

 だいたい、子供が父親との面会を拒否するっていうのがおかしいだろ!」

 

「潰すッ」

 

「ひっ」

 

 

 身体を仰向けにした千景の父は、鋭い目つきでSOUGOを睨むがその倍は鋭い視線をカゲンが向けたので瞬時に委縮する。

 

 

 それでも、千景の父は口を開いて、

 

 

「千景は俺とアイツ(母親)が生んだ娘なのに……!

 今の千景あるのは俺達のお陰だっていうのに……!

 

 何故ッ 産みの親である俺達が娘の千景からこんな仕打ちを受けなければならないッ

 俺はもっと、敬わられてもいいはずだッ 尊敬されてもいいはずだッ 千景を育てた父親としてッ

 おかしいだろッ アイツの顔を見てるとさぁ、イライラしてくるんだよッ」

 

「なぁSOUGO、なんだこの……風都にいそうな性悪な男」

 

「ジョウゲン、言っておくが母親も風都に居そうな性悪な女だ。

 ついでに郡の育った村の住民はもっと性悪揃いだぞ」

 

「マジかぁ」

 

「マジだ」

 

 

 なぜだ、と千景の父は続ける。

 

 

「金もこれまで通り貰えて、家も個別に与えられ、自分が暮らすに不自由はないはずなのに……なんで、こんなに満たされないんだ。

 なんで、俺なんかよりも……千景はあんなに、幸せそうなんだ……満たされているように見えるんだ」

 

 

 それは親と子の決定的な『確執』であり、『差』であった。

 

 

 千景の周りには、友がいた。

 それは戦いの中で手に入れたのではなく、自然と()()()()()、苦楽を共にする仲間だ。

 

 

「独り占めするなよ、ずるいだろうっ!俺にも....くれよッッ!!」

 

 

 

 だけど、千景の父の周りには誰も居なかった。

 知人も、友人も、付き合いもない。

 ただ自堕落に、自由に、親としての責務を放棄して生きていたから。

 

 

 本来ならば、父親として子供から得られる信頼と自身の心にある筈の尊厳が何一つとして無かったのだ。

 それが千景の父の、悲しい父親としての姿だった。

 

 

 だから千景が幸せそうなのを見て、羨ましいと思った。

 自分にも、そんな幸せを与えて欲しいと、身分を弁えない幸福を娘に願ったのだ。

 それは実に、『自分にない物を他人が持っている、僕もそれが欲しい』という、駄々を捏ねる子供のような感情だった。

 

 

「都合の良い時だけ、父親のフリを――――」

 

 

 SOUGOが千景の父の胸倉を掴んで力で引き上げた。

 ぎりっ、と襟で首が絞められて男の顔が苦痛に歪む。

 その表情を意に介さず、SOUGOが冷酷な視線を浴びせた。

 

 

「郡が村人から危険に晒されている時……貴様は何をしていた?

 己の保身しか考えていなかっただろう。

 金の事しか考えてなかっただろう。

 病床の妻すら気にも留めていなかっただろう。

 

 子の危機に立ち上がらず、身を挺して盾になることも出来ない……それが『父』ではなく、『腑抜け』以外の何と呼びようがある」

 

 

 掴んでいた胸倉をぱっ、と手放して千景の父の身体が地面へと落下する。

 背中から落ちた身体は衝撃をもろに受けて、痛みから身を蹲らせた。

 

 

「カゲン……縄を解いてやれ」

 

 

 SOUGOに指示されたカゲンは戸惑う事なく千景の父の拘束を解除した。

 地面を転がった土汚れが服に目立ち、縛られていた箇所に手をやり気にする素ぶりを見せる千景の父にSOUGOは言う。

 

 

「失せろ。二度と郡の前に……勇者達の前に姿を現すな」

 

 

 そう告げてから、千景の父は身体を引き摺るような重い足取りでその場から去っていった。

 その瞳は虚空を眺めな続け、空に輝いている星を追い掛けているようであった。

 

 

 

 

「流石です。我が魔王、見事な手前でありました」

 

 

 その光景をどこからか見ていたのか、物陰から大社仮面の男、三好が現れた。

 彼は嬉々とした声でSOUGOの元へ近づいて。

 

 

「この度の戦果も聞きしに勝ることながら……あのような下賤な輩に道を説くその器の大きさには感服いたします」

 

「道を説いたつもりはない……それに、あの男はもう『ほぼ、終わっている』」

 

「……その点も把握済みでしたか。我が魔王」

 

「ちょっと、二人とも何言ってるか分からないんだよねぇ」

 

 

 二人でだけ会話を進めるのに待ったをかけたのはジョウゲンだった。

 失礼、と小さく咳をたてて三好は説明を始める。

 

 

「勇者である郡様から頂いている支援金、その多くを彼は娯楽に注ぎ込んでほとんど残っていないのです。

 酒、ギャンブル、妻以外の女との時間……おまけに医者からはアルコール依存症の診断を受けています。

 

 我々大社による捜査にて、彼の……人間的な屑っぷりの部分は最早更生は不可と判断をしたところで、

 大社としても勇者様の精神を安定させるために彼を()()()()()()()()()()()()()ことも考えましたが……

 郡様の『住める家を用意させ、犯罪を起こさないように見守っていて欲しい』という願いを尊重しましたゆえ」

 

 

 そういう意味で、人として終わっている。三好はそう言いたかったのだろう。

 何故あのような男と女から千景のような心優しい少女が生まれたのか、皆目見当がつかない。

 不思議な事である。

 

 

「なるほど……しかし事故を装って人を消そうとする辺り、御宅も相当歪な組織だよねぇ」

 

「まったくです。私も、そう思いますよ。

 大社というのは近年稀に見る異常な組織です」

 

 

 仮面の下で笑みを浮かべたような明るいトーンの声が返ってきて、カゲンとジョウゲンがイラッとしていた。

 何故かはわからない。それはもう慣れてしまったSOUGOには分からないことであり、今しがたその違和感を感じた二人は三好という存在に疑いを掛けずにはいられない。

 

 

「三好、って言ったか。アンタ……何者?」

 

「私は三好ですよ。大社の神官の一人、神樹様に仕える末端の存在……いわば、『根』であります。

 そして、魔王である常磐SOUGO様の忠実な従者ですとも」

 

「ふーん」

 

 

 そう呟くジョウゲンの鼻が匂いを捕らえた。

 彼は仮面ライダーアマゾンズの歴史を継承した男である。

 野生に生きる獣、アマゾンの習性が癖となってしまったのだろうか、能力を継承した影響だろうか、自然と匂いによる判別がこの時行われていたのだ。

 

 

 ジョウゲンが三好から感じ取った匂いは「うさん臭さ」だ。

 ゲロ以下の匂いがしなくとも、こいつらは何か腹に隠し持っているような輩なのだと、そう結論付けた。

 

 

 そして、この「うさん臭さ」に自分は覚えがある。

 

 

「――――ちょっと失礼」

 

 

 だからジョウゲンは、三好の顔面に向かって不意打ちとも呼べるハイキックを繰り出していた。

 狙いは顔面、ではなく顔面を覆う大社の不気味な白の仮面。

 

 

 掠める程度の打撃は三好の仮面を破壊することなく、上へとずらし仮面だけが宙を舞った。

 重力に従って落下した大社の仮面が舗装された公園の砂地に転がり落ちる。

 

 

 雲が避け、月明かりが差し込みその男の素顔を照らす。

 素性を知られまいとする大社の仮面は個人としての存在を捨て、神樹への忠誠を誓う意思を統一するためにあるだという。

 故に、誰もが持っているであろう個性が封じられ、人類の為の礎となる覚悟をするのだとか。

 

 

 剥ぎ取られたと言うに等しい行為に、SOUGO達の前に晒された三好の顔を見て彼らは思わず目を見開いた。

 

 

「……やっぱりねぇ」

 

「手荒な真似は……あまり私の好むところではありませんが。

 はてはて、そんなに皆さん驚いて……この顔が()()()()()()()()()()()()()()のでしょうか?」

 

「貴様……なぜ、なぜここにいる――――」

 

 

 見知った顔。

 その正体にカゲンが怒りを思い出し、口調を荒げていた。

 男はただ、SOUGO達を見据えてニヒルな笑みを浮かべて返すのみである。

 

 

「―――ウォズッッ!!」

 

 

 かつてのSOUGOの従者であり、Quartzerの一員。

 時の王者の語り部とされる男、ウォズがそこに居たという事実があった。

 

 

 

 

 

 

 




長かった。千景編を始めて3ヶ月...コロナ関連で連載中止したり、頭痛くなって病院に行ったり、ほんと色々な事がありました。
高嶋友奈編よりも話数も文字数もがっつり増えたのは自粛中に視聴し始めたエグゼイドの影響ですね。間違いなく。
全話視聴したからこそ、エグゼイド要素を深く絡めた話にする事が出来ました。ジェミニちゃんは完全にパラドポジションでしたね。そうなると千景が永夢ポジションになるな、とか妄想してプロット考えてました。
千景編はこれで終了となりますが、ライダーズサイドがやたらと不穏な雰囲気出してきやがりましたよ!
次回はお待ちかね、乃木若葉編でもあり、常磐SOUGO編になります。
タイトルは「諏訪 day breake」だけ、明かしておきます。
自分にとって辛い時間で、この作品でやりたかったことの一つ。
友奈ちゃんも絡んで、若葉も絡んで、SOUGOと歌野が絡んでくる、過去と現在までのお話を作ろうと思います。
8月の中旬までパソコンを弄れない研修環境にこれから投げ出されるのでそれまでは更新が出来ない状況になります。

更新はTwitterにて簡単に告知しますので覚えていたら、気軽に開いて読んで貰えれば、そう思います。

今回のタイトル、言わずもがな劇場版エグゼイドの主題歌です。
これを聴きながらイメージしたというか、まんまですね(笑


「Life is Beautiful」
https://www.youtube.com/playlist?list=RDMarjozOwhG0&feature=share&playnext=1
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