最低最悪の魔王が征くのわゆ世界   作:バロックス(駄犬

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ラストスパートをかけて行きたい(脚質追込み


23.開戦

 『神樹』とは、四国を守護する土地神の集合体だ。

 天の神側に敵対する勢力となった土地神が束になり一本の大樹になるようにして存在している。

 

 ここは、大社の一部の者しか知らないその『神樹』が祀られている場所。

 

 

 広場中心に光り輝く一本の樹が神樹なのだろう。 

 樹海化している時よりもその大きさが小さく見えるのは戦闘時のみその樹木が巨大化しているからである。

 本来の姿は普通の樹木と大差がないのだ。

 

 

 その神樹を前に膝を着き、頭を垂れている男が一人いる。仮面を外したウォズだ。

 彼は大社の中で高い地位の者の一人でもあるがウォズですら大社が祀る存在である神樹を前にしては膝を跪かなければならない。

 やがて許しを得たかのように、ウォズは顔を上げ、立ち上がった。

 

 

「全ては順調です……神樹様。

 勇者達の戦力は向上し、私が見据えた未来の通り……このままいけば西暦最後の決戦は勇者様達の活躍によって引き分け。

 そして次の世代へと繋げ、300年後の勝利を掴む下準備は出来ております。

 

 高嶋友奈様も、身に宿した『神性』を徐々に高めつつあります。

 ……唯一の不安要素があるとすれば、彼ら『仮面ライダー』でしょうか」

 

 

 この場には、ウォズ以外誰もいない。

 そして神と人との交信は本来あり得ない。

 神託が神から人への一方通行の通信である為、ウォズの言葉は神樹には伝わらない。全ては彼の独り言。

 

 

「彼らが戦えば戦うほど、勝利を重ねれば重ねるほど、天の神の勢力は更に力を増していく。

 現在の勇者では手に負えない程に……そしていずれ、それはライダーの力では及ばない程に強大なモノになっていくでしょう。

 本来ならば、物語を導く為に必要だった勇者達の犠牲も無くなった。

 勇者達の生存確率も上がり、このままでは最終決戦後も犠牲も無く終わってしまう可能性がある……そこからの延長戦は私の見る未来はない、つまり、それが意味することは四国の終わり……人類の滅亡です」

 

 

 ウォズに宿るのは巫女達が受ける神託よりも遥かに上位の能力。

 数百年に渡り、これから時代が如何にして変化していくのかを見据える能力。

 ある種の予知能力。

 

 

 神である神樹ですらも、このウォズのような未来予知の力を有してはいない。

 神すら持っていない未来を予見する力。

 故に神樹は、ウォズを欲した。

 ウォズは神樹に求められて、この四国にいる。

 

 

「神樹様。最近、常磐SOUGOは更なる仮面ライダーの援軍を呼び出す為、密に地下施設で研究を行っていると言います。

 多くのライダーが所持しているであろう、変身するためのベルトと、アイテムなるものを作成しているとのことですが……

 ええ、勿論、そのような事が起こる未来は私の能力は得ていません……故に人類勝利の為に不安な要素は確実に除去をしておかなければ」

 

 

 私にお任せを。

 そう言い残して、ウォズは一度頭を下げてから神樹の元を去っていく。

 独り言を残していったその場所には何も答えない神樹が鈍い光を放っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは……一体どういうことだ」

 

 

 大社の研究施設に来たSOUGO達は目の前の光景に思わず目を疑った。

 

 

 研究室の扉を開けた先、SOUGOの目に飛び込んできたのは床一面に散らばる仮面ライダーのベルトとアイテム。

 クリアケースに厳重に保管されていた完成品と作成途中の物までもが全て壊されていたのだ。

 

 

「うおおおおあッ!?誰だこんなことしたヤツは!なぁあああ!?スイカアームズロックシードがぱっかり割れてるッ!

 これ作るのメチャクチャ苦労したのに……製作期間2週間の苦労を返せ!」

 

「……潰すッ」

 

「カゲン、これ以上潰すな」

 

  

 散らばった自作のアイテムを破壊されて項垂れるジョウゲンの隣でカゲンが怒りを露わに呟く。

 既に平成ライダーのベルトとアイテムは鎧武までが完成間近で今の最終決戦が行われる前までにはなんとかゴーストまで辿り着けるだろうかと考えていた時だった。

 

 

「クソ……一体誰が……」

 

 

 割られたクリアケース、その中から破壊された仮面ライダーベルトの一つであるクウガのベルトを取り出す。

 全体がヒビ割れ、ギリギリ原型を保っているであろうソレはなにか()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()をされていた。

 

 

「泥棒……だとしたら、ここにあるライダーのレプリカがどういう目的で作られてるのか、ソレを理解している連中がやったと見ていいかもねェ」

 

「海東大樹なら、或いは考えられるが……この時代にあの男がやって来た形跡はない。

 むしろ、あの男なら宝は絶対に破壊などはしないだろう……」

 

 

 であれば、

 

 

「俺達のこの場所を知っているだけでなく、このベルトの価値を知っている奴らが必然的に怪しい。

 勇者達は関係はない。確かにあいつ等には失敗作のアイテムをおもちゃ替わりに与えていて、よくここを出入りしていたが目的は知らないはずだからな」

 

「確かに。この前タマちゃんにオレンジロックシードの失敗作あげたら『食えるのかコレ?』って食べ物と勘違いしてたからなァ。鎧武シリーズ作ってると頻繁に食べようとしてたっけ。

 マジでただの玩具ってバラすまで食べ物の認識だったんだろうなァ」

 

「オレンジなのに音声入力ミスでパインのボイスが流れるパチモンだったか?」

 

「ご名答。さっすがSOUGO、俺達のリーダーだ……あぁ、でもライダーの力が宿らせるっていうのも分の悪い賭けだったけど、一生懸命に作ったモノがぶっ壊されるってのは、正直堪えるねェ」

 

 

 壊されたアイテム達を手に取るジョウゲンの瞳には悲壮感が漂っていた。

 ここまでベルトとアイテムを作成するのを主体で行ってきたのはジョウゲンだ。

 設計から組み立て、そして無慈悲なSOUGOのチェックを潜り抜けて自信作ともいえるライダーのベルトと作品には少なからずとも愛着が湧いていたのだろう。

 

 

「許さん!」

 

 

 隣のカゲンはそう声を上げる。

 彼もまた、この研究に尽力してくれた者の一人だ。

 四国の人々を助けることが出来るかも知れない希望の光。

 それはカゲンにとって、この世界で出会った球子と杏を守る事に繋がると信じてこの研究に参加していた。

 

 だからこそ、その希望をこうして破壊された事に心底怒りを抱いていたのだ。

 

「……」

 

 そしてSOUGOはこの場にいる二人が抱く感情の内、悲しみも、怒りも抱いていなかった。

 『終わった』とでもいうのか、絶望の色合いを強めた表情で彼は散乱したアイテム達を見つめていた。

 

 ライダーの力をレプリカであるベルトやアイテムに宿すというSOUGOの研究は絵空事に過ぎなかったかもしれない。

 だけど、千景がこの世界でライダーの力を発言したあの現象を見てから、SOUGOの中では唯一の希望になっていた。

 天の神の祟りによってやがて滅びるであろう自分の命を燃やし尽くす価値のある研究だと思っていた。

 

 

「間に合わないかもしれないな……」

 

「え?」

 

「いや……」

 

 

 ふと漏らした一言にジョウゲンが聞き返すが、SOUGOは誤魔化した。

 全てのベルトもアイテムも、それらが揃う頃は最終決戦を乗り切った後だと考えていた。

 だけど今からまた最初から作り直していたら、それまでにSOUGOは間違いなく死んでしまうだろう。

 

 SOUGOの受けた呪いの進行はそれ程までに酷いのだ。

 

 

「SOUGO、これはウォズの仕業としか……」

 

「ヤツの存在は俺たちの計画に支障を来す……潰す時だ」

 

「……」

 

 犯人は分からない。

 ジョウゲンとカゲンの言う通り、この部屋を知る者の中で一番怪しい存在はウォズだ。

 大社の命令で、或いは神樹からの命令で仮面ライダーの勢力がこれ以上拡大しないように処置を施すために仕組んだ妨害工作。

 彼が裏切り者と想定しても、何ら不思議ではない。

 

 

 

――――我が魔王。

 

 

 脳裏を過るのは彼の言動、そして自分を慕うウォズの真意。

 大社の人間であれど、顔を隠し、ウォズとして情報を共有している間の彼は真にSOUGOに忠誠を誓った臣下であった。

 

 

 彼を、三好を、ウォズを信じたい。

 SOUGOは今でも、そう思っている。

 

 

「……ここをまず片付けよう。全部が全部、壊されたわけじゃないはずだ。

 直せるようなものも出てくるかもしれない……二人に任せてもいいか」 

 

 

「SOUGO、お前はどうする?」

 

「俺は……ウォズを探す」

 

 

 信じるためにも、SOUGOはウォズに会わなければならない。

 直接会って、確かめなければならない。

 そう決めて、SOUGOは研究室を飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 SOUGOはウォズに会う為、あらゆる場所を探した。

 大社本部、丸亀城、訓練場、ホテルのバーなど彼が行きそうな所を。

 だが、いずれの場所にウォズの姿は見当たらない。

 

 

 大社の神官達に聞くと、誰も彼の行方を知らなかった。

 

 

『三好様ですか。生憎、今日は朝から姿を見せてはおりませんが……』

 

『噂によると、三好様は大社の組織の中でも巫女以外で神樹様と相対出来る存在。

 末端の者である我々では、あの方の動向を把握することは叶わないのです』

 

『その気になれば組織を動かし、世論や情報の操作を行って、白を黒に、黒を白にすることも可能なのではないでしょうか。

 郡様が以前ゲーム病事件で一般人に危害を加えたあの事件、本来なら勇者としての登録を抹消するという議会の決定が覆ったのは、三好様の慈悲深き一言があったからだと』

 

『思えば三好様はいつからこの大社に所属しているのか。

 バーテックス達が襲来した天災の日……我々の大社という組織が出来るまで中心となって指揮を執ったのは紛れもなくあの三好様。

 風のようにふらっと現れては、瞬く間に組織を纏め上げ、神樹様を祀る基盤を整え、あまつさえ政界や有権者たちに働きかけてパイプを作ってくださった。

 

 

 まさに神の子……三好様こそ神樹様の使徒なのでは?』

 

 

 大社を構成する組織の中で、仮面ライダーという得体の知れない存在に十分な支援を行ってきたり、

 議会の決定を覆すほどの発言力の高さなど、組織の中でウォズはある程度組織を動かすことが出来る権力者だという事が分かる。 

 常軌を逸した雰囲気とその人心の掌握力には唖然とし、本当に人なのかと疑うほどだ。

 

 

 

 実質、大社の中枢に位置して手綱を握っているのはウォズだと考えて良いのかもしれない。

 そんな事を考えながら、SOUGOは丸亀城、施設を歩き回り、ウォズを探し続ける。

 

 

「くっ……ウォズめ、一体どこにいる――――ぐ、うっ―――ッ!!」

 

 

 城の外で探索していたSOUGOを突如として襲う胸の痛み。

 心臓部を針が突き刺さったかのような痛みが走り、思わず足を止めて、その場に膝を着く。

 

 

「が…ぁ…はぁ―――ぐっ……こん、な時に……!!」

 

 

 あまりの痛さに徐々に体は前へのめり込んで、倒れそうになるのを手を地面について防ぐ。

 呼吸は荒く、苦虫を嚙み殺したかのように表情は歪み、額からは大量の汗が滲んで地を濡らす。

 

 

 熱い、暑い。

 まるで身体が焼けるようだ。

 否、焼かれているのだ。

 呪いの炎に、天の神がSOUGOに与えた祟りによって。

 

 

 

「く、そ……痛みが、ひか、ない……!!」

 

 

 これまで痛みが伴うことは何度もあったが、数分も経たないうちに直ぐに収まった。

 だが、今回は違う。

 どれだけ待っても、痛みが引くような気配がしない。

 むしろ、身を裂くような痛みは増していくばかりだ。

 

 

 

 そしてSOUGOは理解する。

 もう自分を蝕む天の神の祟りは取り返しが付かないほどに進行しているのだと。

 身体が地面に沈む。

 不格好な形で地面を這うように進み、深紅のコートが砂で汚れていた。

 

 

「ごほっ……!ごほ……っ!――っ!!」

 

 

 胸からせりあがってくる感覚にむせると、勢いよく口から液体が飛び出す。

 見慣れた色、赤の色。

 それはまさしく、己の身体から吐き出された血の色だ。

 

 

 血まで吐く事なんて、今まで無かった。

 あっても、食べたモノが胃から吐き出されるくらいだった。

 今回は明らかに症状が段違いで重い。

 身体から発せられるSOSのコールサインが凄まじい。

 

 

 

 

 死ぬのか。

 そんな言葉が脳裏に浮かんで、SOUGOは即座に否定する。

 

 

「まだだ、まだ……まだ俺にはやるべきことが……!!」

 

 

 朦朧とする中、彼はひたすら地面を這う。

 立つまでには至らず、もはや立つことすらもままならないまま、ひたすら乾いた土で身を擦りつけながら這いつくばる。

 

 

「終われ、ないんだよ!こんな所で!まだ、まだ何も成し遂げていないんだから!!」

 

 

 

 約束がある。

 決して敵を倒すまで死ねないという悲願が。

 未来を支えるために身を捧げるという誓いが。

 必ず元の故郷に帰るという約束が。

 

 

 SOUGOがこれから先の人類の為に投げ打ってきた統べてが、ここで、なんも変哲もない日常の中で終わるというか。

 戦いもない、平凡な日々の中で無常にも最期を遂げてしまうというのか。

 

 

 終わらせない。

 終わりたくない。

 

 

 縋るような思いとは裏腹に、SOUGOの全身から力が抜けていく。

 エネルギーを失ったロボットが次第に動きを鈍らせていくように、腕と足の連動した動きが緩慢としてくる。

 心臓の音すらも次第に小さくなっていくのを感じる。

 

 

 死ぬ。

 もう、自分は死ぬ。

 朦朧とする意識が明確にその単語を刻み込む。

 

 

 

 無念だ。

 終わるというのか。

 何も打ち倒す事も出来ず。

 何も成す事も出来ず。

 約束を果たせないまま、無様にも。

 

 

「……」

 

 呼吸することも止まり、頬を地面につけ、身体が鉛のように重くなり、動かなくなった。

 いよいよか、SOUGOの意識が失われそうになった時、彼はその耳に声を聴くのである。

 

 

 

「SOUGOさん!?」

 

 

 霞んだ視界の中で浮かぶ人影。だけど聞きなれた声。

 勇者である、高嶋友奈の声。

 たまたま通りがかっただけの友奈は驚きの声を上げていた。

 見知った顔の者が血を吐いて倒れていたのだから、当然だろう。

 

 

 

「そ、SOUGOさんが倒れてる!?な、なんで!?どうして!?

 そ、そうだ誰か呼ばなきゃ……!あと、救急車……もしもし!あの、ひ、人が……倒れてるんです!SOUGOさんが倒れてるんです!血もいっぱい出てるんです!」

 

 

 携帯を手にして、助けを呼ぼうとしている友奈の声は震えている。

 必死も必死だ。人の命に関わるような場面に遭遇しているのだ。テンパる気持ちも分かるだろう。

 

 

「あ、あぁ、どうしよう!あとどうすれば……SOUGOさん、SOUGOさん!起きてくださいSOUGOさん!」

 

「耳元で騒ぐ、な……頭が、痛く、なるだろう、が」

 

 

 何故か、泣きそうになっていた友奈を見ていたたら、SOUGOの口は勝ってに動いていた。

 絞り出すような声だが、しっかりとそれは友奈に聞こえていたようで直ぐに目を見開いてこちらを見る。

 

 

「……ふん!」

 

 

 動くのは口だけはない。

 全身に力が宿るのを感じた。

 心臓が鼓動を奏で、血液が全身を循環して肉体を動かすポンプの機能が回復し、膝を曲げ、腕を突き、徐々にだが身体全体を起こしていく。

 

 

「SOUGOさん!大丈夫なん、ですか……」

 

「はぁ、はぁ……ふ、ふ…見れば分かるだろう、それよりも、なんて声出してるんだ……高嶋」

 

 

 二本の脚で立ち上がったSOUGOだったが肩で息をしている事に変わりがない。

 しかし、幸運な事に今の覚醒でSOUGOの胸の痛みは和らいでいた。

 体力を大量に持っていかれたが、生きている。どうやら、一時的に峠は越えたらしい。

 

 

「俺はQuartzerの首領……王になる者……常磐SOUGOだ。

 このような痛みなど、どうということは無い……」

 

「……!!()()()()、どこか悪かったんです、ね」

 

「……」

 

 

 高嶋友奈が確信したかのように呟く。

 体調不良の事を彼女は以前から知っていた。

 いいや、恐らく知っていたのではなく、勘付いていたのだろう。

 頭はアレなのに、直感だけは働く。

 

「変だと、思ったんです。訓練中、ずっとSOUGOさんだけ休んでいて、時折苦しそうな顔で胸を押さえている事が多かったから」

 

 

「ジョウゲンと、カゲンには……バレなかったんだがな……お前のような勘がイイ奴は、苦手だな」

 

 

「どこか、悪いんですね」

 

「ふん、もう……どうしようもないことだ。この世界に来てから、ずっと抱えてたものだ。

 悪いが、高嶋……皆には、言ってくれるなよ」

 

「なんで……なんでですか!!」

 

 高嶋友奈にしてはいつもより声を張った。怒号に近かった。

 

「ここで病院送りにされたら、お前達はこぞって俺が戦いに行こうとするのを止めに入るだろう」

 

「戦う気でいるんですか!?」

 

「当たり前だ」

 

 

 当然のように、SOUGOは言い放つ。

 立ち上がれた理由は何故だか不明だが、今ここで命を失わなかったのは天命か。

 またはこれは敵を必ず討つまで掛かり続ける呪いか。

 

「俺は最後まで、俺の責務を全うするまでは……死ねない。

 無論、戦線から引くつもりもない。

 意地でもこの手で奴らに、天の神に刃を突き立てるまで、歌野達の仇を取るまでは」

 

 

 闘争本能を己を奮い立たせる原動力として拳を握る。

 ここまで来るのに、多くの者の遺志を背負ってきた。

 歌野、水都、諏訪の住民達。

 

 

 己の存在を支えてくれた者達に報いる事が常磐SOUGOが神へ戦いを挑む理由なのである。

 だから彼は戦うと宣言する。

 虚勢を張ってまで。

 風前の灯に等しい、命を擦り減らしてまで。

 強いままの仮面ライダーバールクスとして、Quartzerの首領常磐SOUGOとして在る事を望んだ。

 

 

「いい加減にしてくださいよ!」

 

 

 そのSOUGOの想いを、決意を否定する声があった。

 

 

「そんな身体になってまで戦って!

 自分が死んじゃうかもしれないのに……!

 白鳥さん達だって、SOUGOさんがそんな風に戦い続ける事、望んでなんていませんよ!」

 

 

「馬鹿な……その時居なかったお前に、何が分かるんだ」

 

「死なないでほしいから、生きてほしいからって!白鳥さん達は、願い続けてたはずです。

 決して自分たちの敵討の為じゃなくて、SOUGOさん自身の幸せな人生の為に、生きて欲しかった筈です!」

 

 

 死んではいけない、確かに歌野はそう言っていた。

 それは、きっと自分たちの無念を晴らすために、戦い続けてほしいという意味ではないのだろう。

 人としての未来を、それは人類の為ではなく、SOUGO個人にも望んでいたもの。

 

 

 一人の人間としての幸せな未来を、歩んで欲しかったのだ。

 

 

「王様に、なるんでしょう……SOUGOさん」

 

「高嶋……」

 

 

 震えた声を出しながら、友奈は涙を流し、SOUGOに語る。

 

「この世界で王様になって、皆で笑い合える世界を、作るんでしょう?

 そこに、SOUGOさんが居ない世界を作っても、私は喜びませんよ……」

 

 

 もういいじゃないですか、と友奈は続ける。

 

 

「私達、いっぱい強くなりました……SOUGOさんが一人抜けても、その穴を埋め合わせる事が出来るくらい、強くなりましたよ!

 精霊の事、いっぱい勉強して、今まで以上に精霊の力を引き出せるようになったんです!でも一人じゃ強くなれなかった!

 SOUGOさん達が居たから、皆が居たから、一緒に戦ってくれる人たちが居たから、守りたい人達が居たから、私達強くなれたんです!……だから、だから、もう……無理しないで下さい……お願い、ですから……」

 

 

 

 涙を流し続けながら、友奈は目元に溜まった涙を拭う。

 友奈は本当にSOUGOの事を案じているのだ。

 人前では決して明るい表情を崩さない彼女がここまでSOUGOの為に泣いている。

 

 

 自分以上に自分を大切にしない人を見たからか。

 自分を見ているようになって、自分を否定したくなる気持ちもあるのだろう。

 

 

「高嶋……すまない」

 

 

 口元の血を拭って、SOUGOは息を吐き、謝罪の言葉を口にした。

 

 

「だが、俺の()()はもう止められないところまで来ているのだ。

 恐らく、現代医療の全てを以ってしても、俺がこのまま生き続けられるという保証は……ない。

 次の戦いが、恐らく最後の戦いになるだろう……それまでに、やれること全部、やっておきたかったんだがなぁ……朝からの一件で殆ど台無しだ」

 

 

 次世代にライダーの力を残す事をSOUGOは己の使命にしていた。

 それが未来を生きる人々の為に、残りの命が少ない自分が出来る事だと理解していた。

 願わくば、戦いがSOUGOの生きている間に終息し、王となる未来すらも思い描いていた筈だ。

 

 

 その未来も、願いも、ついさっき潰えた。

 ならば、自分にできることはたった一つ。

 

 

「戦うこと……それが、俺に残された最後の使命だ」

 

 

 己の命を賭して、未来へと繋ぐ。

 そんな破滅的な生き方しか、今のSOUGOには出来ないのだ。

 

 

「それに……ふふ、どうやら休む暇すらも、()()は与えてくれないようだ」

 

「――――!!」

 

 

 二人を取り巻く世界に変化が起きていた。

 

 

 風の音も、舞い散る葉も、空征く鳥も。

 友奈とSOUGOを除いて、ありとあらゆる事象が停止する。

 世界の時間そのものが止まってしまった感覚。

 

 

――――樹海化現象の前触れだ。

 

 

「敵が……そんな、そんな……!!」

 

 こんな時に。

 何も、SOUGOがもっとも体力を消耗していて戦うことも辛そうなときに来るなんて。

 

 しかも、これは最後の戦いだ。

 神託通りならば、この大規模な襲来を乗り切れば、壁の守りを強化して、敵が入ってこれなくなる。

 人類の存続を掛けた、最後の戦い。

 

 

 SOUGOはジクウドライバーを取り出し、ウォッチを握る。

 その表情は既に、疲れ果てた男のものではなかった。

 戦いを前に備える、戦士の顔つきだ。

 

 

「覚悟を……決めろ、高嶋……俺はもう、覚悟を決めたぞ」

 

「SOUGOさん!」

 

「最後だ……天の神、貴様らがこの地を踏むことは未来永劫、決して無い―――!!」

 

 

 

 

 戦いの火蓋は切って落とされた。

 西暦世代における最後の戦い、『終末戦争』と呼ばれることになる、最後の戦いが。

 

 

 

 

 




7.22のヒーロー戦記の為にゼンカイジャーを全力視聴したい。
でもネット配信の仮面ライダーBLACKも視聴したい。
小説の方も更新しないといけない。
全部やんなきゃいけないのがファンの辛いところだなぁ。
覚悟はしてる、でも覚悟しててもどうしようもない事はあるんだ。
酒呑童子たかしーとかね..,結局引けませんでした,...なんの成果もあげられませんでした!俺柄悪いんだ...花嫁ガチャ爆死もジェミニ杯敗北も、全部、全部俺のせいなんだよ!

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