今日
そうだ、今日は誕生日・・・。
誰の?
誰だろう?
俺は。
思い出せなかった。
▽
「こいつ化け物だぞ!」
なんで?
「ほんとだ!変な耳!」
止めろ!
「気持ち悪い目!」
やめて!
「あっち行け化け物!!」
止めてくれ!!
「死んじゃえ!!」
やめてくれー!
▽
「!?」
夢か
全く寝覚めの悪い・・・。
そうだ・・・今日は誕生日。
「誰のだっけ?」
カレンダーを見る。
「あぁ、あの子のか。」
クラスメートのあの子
人気者で
人懐っこくて
誰にでも見せる笑顔
しぶしぶ体を起こし
顔を洗いに行くと・・・
「起きたか。」
口数の少ない人
「うん、じゃま。」
「ん。」
洗面器は一人しか入れない
狭いながらも
一通りの生活ができる。
「今日は帰るの?」
「遠征。」
「わかった。」
また戦争
この間
帰ってきたばかりなのに
「行ってらっしゃい。」
「ん。」
ばたん
ボストンバックを背負った父は
この日以降
家には帰ってこなかった。
▽
授業
在り来たりの授業内容
出席日数も成績に反映されるから
サボれない
「・・・はぁ。」
小さくため息をつく
「お前、俺の授業がつまらないのか?」
先生が聞いていた。
「いえ、少し寝不足なだけです。」
「漫画でも読んでたのか?
仕方ない、ちゃんと受けろよ?」
「はい、すいません。」
いつもの光景
退屈だった
チャイムが鳴り
席を立つ
「一緒にお昼食べよ?」
無視する。
「もう!聞いてるの?」
聞いてないけど?
「いいよ、 ちゃん?行こ?」
名残惜しそうに
あの子は他の子に手を引っ張られていく
「ふぅ。」
正直うっとおしい。
小さな学校
小さな町
小さな家
そんな
在り来たりな風景が広がる
「 “ようこそ 」
『取り残された町へ』
「いこーぜ!」
はしゃぐ周り
屋上だ
双眼鏡が置いてあり、誰でも使える。
そう
数キロ先で
“戦争”が繰り広げられている。
放火を交える戦車
戦闘機
人
みんな
“楽しんで見ていた”
この町は、
誰も気づかない、
そう言う仕掛けがあるそうだ。
「あ!やられたー!」
「ちくしょー!」
騒ぐ奴らが操作していた
戦車がやられたようだ。
「もっと横を強化しようよ?」
「それやったら機動性が落ちるよ?」
そう
戦争は子供がやる時代
ゲームのように
機械を操作し
戦い
負けたらリベンジする
死ぬのは
それを止めたい大人たち
「とうさん・・・。」
いつかはその戦場に行く事になるのに
兵器はどんどん強化されていく
帰ろう
足を階段へ向けたら?
「待って!」
あの子だ。
「なに?」
「止めるの手伝って!」
「やだ。」
「何でよ?」
「よく見ろよ。」
▽
屋上の説明板
1、 操作中の人を邪魔しない
2、 戦争を止めない
3、 邪魔した子には罰を与える
4、 大人は道具
5、 沢山倒しましょう
「分かった?
教室ではいいけど、
ここでは止めてよね?」
掴まれている手を振り払う。
「あっ・・・。」
「次俺の!!」
階段ですれ違う子
最近、連戦連勝記録を更新した子
「うわー!来たよ!
最強様ww」
「まじかよ、今日勝ち目ないじゃん!」
大型戦車を操作するその子は
参戦
瞬く間に戦争を終わらせた
「ひどい・・・。」
あの子はそう言った
果たしてそうだろうか?
家に着く
鍵は・・・閉まっている
がちゃん
鍵を開け
家に入る
決して広くない
応接間に
棺桶が一つ
父の無言の帰宅だった
そう
これだけなのだ
周りが悲しむこともなく
泣きじゃくることも・・・
「・・・ずっ・・・ぐぅううう!!」
悔しかった
いつもなら
ただの遠征
兵器の修理や
新しい部品を作るだけで
大きな危険はなかった
あいつが
破壊した場所には
“父がいた工場もあった”
この町のルールでは
破壊してもよかった
「ちくしょう・・・。」
棺桶を叩く
「ちくしょう!!」
殺してやりたかった
でも
戦争を止められない
操作中は邪魔しちゃいけない
邪魔した子は
“様々な道具にされる”
「これ・・・。」
カードキー
古臭いものだが
今でも普通に使える物だ
「・・・父さんも?」
そう
父さんも戦争をしていた
小さい頃に
「・・・・。」
パソコンを立ち上げ
データを見てみる
「すごい・・・。」
戦車なんて目じゃない
人型兵器だ!
「行動時間少なすぎ・・・。」
わずか十分
「でも・・・。」
これなら
「やり返せる!!」
でも
どうやって操作するんだろう?
知っているのは
戦車
戦闘機
これだけだ
「あ、これだ。」
操作説明書のファイルをクリックする
【インストールの準備をしてください】
「え~、
接続が必要なの~?」
首筋の後ろに
USBの端子が入っている
戦車・戦闘機の
初操作時にも使った
「ま、あいつに仕返しできるなら。」
コードを伸ばし
接続する
【接続を確認しました】
「インストールっと。」
【激痛に伴うキャンセルは
受け付けていません】
え?
あまりの痛さに
気絶してしまった
▽
頭がガンガンする
「昨日・・・
なんだっけ?」
思い出せなかった
誰かが泣いている
「え?」
仕返ししたかったあいつだ
「なんだよあれ!!
人型兵器なんて!!
説明書にのってなかったよーっ!!
おとうさーん!!」
棺桶がある
え?
いつ?
きのう?
ぼくは
とんでもないものを
インストールしてしまったのだろうか?
先生には風邪と言い
学校を休んだ
家に急いで帰る
「っ!?
点いてる!!」
パソコン画面を見る
【戦闘終了】
【次の作戦可能まで】
【あと3時間47分】
無残に破壊されたあいつの戦車と
破壊しつくされた
兵器工場
「ぁああああああああっ!?」
思い出した
きのう
ぼくは
“死神になった”
リプレイを見る
▽
どこからか
射出された
海のようだった
「ここから・・・。」
倍速にして先を見る
昨日の戦場だ
条件は
・戦車
・戦闘機
・人
・要塞砲
・その他
[作戦目標]
サバイバル
作戦時間5時間
「・・・。」
眺める
作戦区域侵入
行動開始
優先目標
殲滅
ログが更新されていく
「これが、残存エネルギー、
搭載兵器は?」
カーソルを合わせる
ツインハンドガン
攻撃力
200
約・戦車砲平均装備
「たった一丁で、
戦車砲?そんなばかな・・・。」
ログが更新される
敵戦車3両撃破
「え?」
搭載兵器にカーソルを合わせる
背面墳進弾射出機
複数目標同時攻撃
弾数12発
攻撃力500(一発)
「・・・・。」
言葉が見つからない
次のログ
敵大型戦車確認
「っ!?」
圧縮電流ブレード
作動時間30秒
攻撃力4980
「いとも簡単に、
切り裂いた・・・。」
撃破
被弾
左腕部動作不良
「ぐっ!?」
激痛が走る
予備パーツ起動
左腕部補強
戦闘続行
作戦行動時間、残り5分
「要塞砲だっ!?」
背面ブースター
出力全開
圧縮電流ブレード起動
要塞砲撃破
誰も追いつけない
戦車砲の旋回速度を
はるかに上回り
戦闘機も
背面から打ち出される
墳進弾によって
撃ち落とされる
兵器工場確認
ボーナス対象
「なっ!?」
初めて知った
左腕部
大型圧縮電力砲装備
「・・・すごい。」
圧縮臨界点
発射
カミナリの音が響く
破壊しつくされた
工場がそこにはあった
リプレイ終了
「・・・くくっ・・・。」
「ふふっ・・・。」
「あはははははははははっ!?」
笑っていた
▽
今日は学校
あの子は来ているだろうか?
「はぁ、
戦争なんて。」
「 遅刻するわよー!」
「はーい、お母さん!」
ホームルーム
「・・・いない。」
大柄なあの子もいない
あの子も
「ねえねえ?
今日はどうするの?」
「え?あ、
今日も屋上でご飯食べよう?」
いつもの事だった
なにか騒がしい
「なんだろ?」
「わからない。」
扉をあけると
「あの子っ!?」
昨日
止めるのを嫌がった子だ
「すげー!!」
「はえぇっ!!」
「ちょっ!?後かよっ!?」
「こいつっ!?」
USB接続っ!?
「っ!」
あの子止めなきゃ!!
肩をつかみ
「やめなさいっ!!」
反応がない
「うわ~っ!?」
「うわ、
もうほとんどやられた!!」
「なんだそれ!!」
「やめてっ!!」
「まじかよっ!?
工場って、
ボーナス対象なんだ!!」
戦争終了
MVP
二足歩行起動戦闘機
「っ~・・・
くくっ、
すっきりした~。」
昨日のあの子なのだろうか?
にやりと笑い
悪魔が乗り移ったような
そんな気がした
「あん?」
肩はつかんだままだ
「てめぇ、
邪魔したのか?」
「?!」
思わず離す
「ふ~ん・・・
今回は貸しな?」
そのまま
扉を抜け去って行った
▽
家に帰る
部屋に行く
PCを立ち上げた
今日の戦争のログを見た
所属不明
「なんで?」
もう一度検索する
所属不明
「でない・・・。」
この町の兵器じゃない?
「だとしたら・・・
ここ以外の兵器?」
「・・・よし!」
首筋のUSBコネクトを開ける
「諜報活動開始、
偵察機、スタンバイ。」
私は戦争をなくしたい
でも使うのは兵器
「いくよ・・・
“イリニ”」
イエス
マスター
半自立型AI搭載型
これが私の兵器
「テイク・オフ、
まずは
あの機体が作戦区域に
侵入してきた場所へ。」
設定不可
「え?」
設定不可
「なんで?」
「なら、
大型戦車の出現地点へ。」
イエス
マスター
送られてくる映像
目で見ていない
頭に直接情報として
送り込まれてくる
「着いた、
旋回、
高度1500mキープ。」
イエス
「暗い・・・
赤外線モード起動。」
イエス
「ひどい・・・。」
破壊しつくされたままだった
「高度3000へ。」
ゆっくりと高度があがる
「マニュアル、
進路変更。」
オートから切り替える
あの機体が出現した場所へ
アラート!
「!?
フレア射出!!
急速降下!」
一発目回避
「なんなの今のっ!?」
兵器確認
誘導墳進弾
属性熱探知
「冗談でしょっ!?」
攻撃力
2590
一発でも受けたら
ひとたまりもない
「回避継続!
帰投!!」
イエス
マスター
作戦区域を離脱するまで
誘導弾はしつこく迫ってきた
オート
帰還成功
「お疲れ様、
休んで頂戴。」
サー
「ログオフ、
パワーオフ。」
PCの電源を落とす
「なんなの?」
一瞬だけど
あの機体らしきものは見えた
「色が違う・・・。」
彼の機体は赤
さっきの機体は黒
「新型?」
寝よう、疲れた・・・
▽
復讐してやるっ!!
俺の親父は
二足歩行の奴に殺された
「畜生っ!!」
夜
PCを立ち上げ
新たな戦車を探す
「こいつじゃ
速度が足りない・・・。」
これといった
めぼしい戦車はなかった
「ん?」
メールを見ると
新着が一件来ていた
「なんだ?」
にやり
「こいつなら・・・。」
翌日、戦場は
新たな強敵との
独壇場だった
「くそっ!?」
「そらそらどうしたぁっ!!」
振り回される二足歩行
高速で何かに引きずり回されている
「ブーストっ!!」
「おっと、
そうはさせねぇっ!!」
背面ブーストに
エラーの表示
「ちっ!」
腕部を無理やり動かし
「ブレードっ!!」
ワイヤーを千切りきる
「げっ!?」
「ジャンプ!!」
「なっ!?
足だけで
あんなに高く上がるのかよっ!?」
「ツインハンドガン!!
フルバースト!!」
装弾数36発
内、12発は撃った
残り24発
装甲は剥がれたが・・・
「まだまだぁあ!!」
連装式戦車砲
攻撃力457
旋回力補助
・電磁モーターⅣ
旋回速度56%短縮
「てぇっ!!」
右腕部破損
「ぐぅぅうぅっ!?」
激痛が走る
ウエポンスロットを開く
「使えるのはっ!?」
「なっ!?
まだ倒れないだとっ!?」
爆裂衝撃器
両腕部装備可能
「これだっ!!」
胴体格納部から
左腕部に装着される
バンカー
「狙うは主砲っ!!」
「やらせるかっ!」
急激な加速で回避行動をとる
加速力補助
・電磁モーターⅧ
100km/hまでの
加速時間67%短縮
「脚部、
内臓スラスター全開!!」
足を浮かし
ホバー移動する
「早ぇっ!?」
「今だっ!!」
ビルを蹴り込み
上を取る
「ちっ!?」
「真上はがら空きだなっ!!」
「しまった!って、言うかよ!!」
「なっ!?
VLS(ミサイル垂直発射基)っ!?」
「くらえっ!!」
盛大に爆発する
「らぁあああああっ!!」
鉄板が轟音を立て
ひしゃげる
・戦争終了
MVP
二足歩行
電磁動力戦車
以上
日に日に
周りは使いだす
大型戦車や
電磁動力戦車
二足歩行
「・・・他都市・・・
わからない。」
あれから
何度も何度も
偵察飛行を繰り返したけど
分からない
メール?
「これっ・・・。」
すぐさまインストールをする
「っつ・・・・
ちょっとくらくらするけど。」
新たな機体
ファルケルム
双発ジェットエンジン
格闘性能
260%上昇
フレア・赤外線妨害装置搭載
ステルス塗装
武装
40mmバルカン砲1門
装弾数140発
20mm機関砲1門
装弾数340発
作戦行動時間
戦闘機動
40分
巡航行動時間
340分
「高度7000・・・
すごい・・・
こんなにも
砂漠が広がってるなんて。」
初めて
教科書以外で
景色を見た
「・・・あっちね?」
暗視スコープと
スターライトスコープで
昼間のように景色が見える
「・・・いた。」
あの黒い機体である
「気づいていない?」
そのまま飛行する
気づかない
「・・・いける。」
往復限界まで
あと10分まで迫った
「っ!?」
海と砂漠
そこにいたのは
あったのは
観客席
大きなモニターで
私達の戦争を見ている
「うそ・・・
なんで?」
歓声が鳴り響く
夜戦が繰り広げられていた
“全く違う街の戦争が”
「・・・・。」
引き返した
オートで帰還
何も
攻撃もなかった
「私達は・・・
“賭けのコマ”」
布団に潜り込み
眠ってしまった
私は
彼にだけ話した
彼は
今まで戦っていた彼らと手を組み
観客席を襲撃した
ぼろぼろになって
少数だけ帰還した
迎え撃ったのは
見た事もない戦艦
空母
戦闘機群
圧倒的な軍事統率力
私達は
町を移動させた
出来るだけ遠くに
町を
要塞化して
離れた
幾月も流れた
私達は大人になり
戦争の渦中にいた
他の町もいた
町同士戦争したり
手を組んだり
でも
私達は追われた
観客に手を出した町
なぜ?
観客を喜ばせなきゃいけないの?
南へ何年も移動した
侵攻や侵略、略奪
何度も戦った
そして
一つの町に着いた
廃墟だった
そこの歴史には
こう
記されていた
『もし
これを読んでいる生き残りがいたら
あきらめないでください
ここに
“核”があります
罪を背負う覚悟と
“家畜”ではないと
“人間は人間だと”
“宇宙から帰ってきた
人類に”』
思い知らせてください。
私達は背負った
北半球は
雪に閉ざされ
南半球は
真夏になった
かつての島国
ニホン
100m以下は海の中だけど
よりどころを求めて
今日も
どこかの町が辿り着いた
助けよう
“家畜ではないと
証明するために”
“人間は人間だと”
“思い知らせるために”
今度は
宇宙に行こう
装備を整え
宇宙へ行こう
奴らは
もう一つの“月”にいる
どこかの小惑星を
そのまま移民船にしたヤツが
月と交互に夜に上る
「行こう。」
「あぁ、いくぜ?
遅れるなよ?」
「そっちこそ?」
月にも人間はいた
資材だけ送ってくれていた
小惑星は
攻撃してくる
月は
造れても
操縦者がいない
なら?
「そっち行ったぞ!!」
「わかってる!!」
「うらぁああああっ!!」
主力となった二足歩行
母艦と共に
月から新しい物が届く
戦争は終わらない
“人間同士の戦争は終わらない”
“終われない”
だって
あなたは誰?
“人間でしょ?”
“人間ならわかるよね?”
“平和を勝ち取りたい”
なら?
“戦争しよう?”
好きでしょう?
“平和の為に”
“戦争をしましょう”