まず、何から書こうか?
ふむ、
なんせ十数年振りの“日本語”で書くのだから。
2020年、世間はオリンピックと、
それらに関する汚職と汚名に汚れ切っていた
「はぁ。」
そんな事はどうでもいい
今日も荷受けと
品出しで疲れた身体を鞭打ち
車を走らせる
「三十路を過ぎても一人者って、
やっぱダメなのかねぇ。」
お気に入りフォルダから流す
曲を聞きながら何時も通りの曲がり角を曲がる
「あれ?」
“4つのライトが目の前に居た”
▽
『もし?』
ん?
聞いた事無い言葉だ
『もし?大丈夫なのですか?』
大丈夫と聞かれたら
大丈夫でないと即答できる。
『姫様、我らは亡命の最中、
その様な“異界人”
かまけている余裕などありません。』
は?
『いいえ、
異界人だろうと平民だろうと、
目の前に傷ついた人が居れば
助けるのがどおりですわ。』
『・・・っ、
従者さんの事も正解だろうけど、
姫様も正解だろうね。』
『ちっ、気が付かれたのか。』
『ライラっ!!』
『・・・ひ?姫様?』
この姿勢は不味いだろうよ?
膝枕でいて、覗き込むように顔が近い
『なんでしょうか?』
・・・滅茶苦茶良い匂い
てか、声質的に十代前半だろうか?
む、胸は、発展途上だろうし
『このままでは、
起き上がれないのですが?』
『失礼しました、
いま、起こしますね?』
起こされると
無残にへしゃげた愛車が
横たわって居た
『・・・ごめな、ちゃんと。』
運手席は比較的壊れていなかったが
左半分はその衝撃を物語るが如く
それに見合う言葉が見当たらない
『っ!?どこか痛むのですかっ!?』
『いえ、
相棒をこの様な姿にしてしまって
情けないなぁって・・・。』
ぼたぼたと止められない涙は
姫様によって拭われた
『きっと貴方の相方は必死に
貴方を守られたのだと思います。』
『そぅ、ですね。』
車のキーを抜き
バックミラーに下げていた
“交通安全のお守り”を外す
『姫様、この場所は何処でしょうか?
せめて、墓標を刻んでおきたいのです。』
バッテリーが残り僅かなスマホに
記録を残す為に
『ここは、
ハシカレの森、
我が“ドワイレイズ王国”と
隣国、“アキラレイズ公国”の
国境付近ですわ。』
登録を終えたスマホは、
もぅバッテリーが無い
予備のバッテリーは
普段は使わないので持っていなかった
『・・・あ。』
運良く曲が入ったSDカードが
バラバラになったカーナビから出て来た
『これぐらい、か。』
身に着けていた服、財布、カギ一式、
防寒着を羽織り、
予備の眼鏡と、カードケースに
SDカードをしまい、
空になった水筒、カロリーメイト6本、
ブラックガム6つ
『姫様、これも何かのご縁です、
おれ・・・いえ、
自分を従者に加えて頂きたく存じます。』
『え?』
『なりません姫様、
先も申し上げた通り、
我らは亡命の最中なのですよ?』
『・・・姫様、
出立から幾日ですか?
間違いなく追ってが出ていますよね?』
『貴様っ!!』
『お止めなさい!ライラ!
異界人の貴方を
私の直轄護衛として
“ドワイレイズ・フォン・ミレイア”が
宣言いたします、
名前を教えていただけますか?』
『ヤマシロ・ウネビ、です、
ウネビとお呼びください。』
『では、ウネビ、
現状の説明をライラ近衛兵から
お願いします、
第三王女としての命令です。』
『・・・御意、
ウネビ、
現状出立して十日だが、
アキラレイズの城壁までは、
まだ十日の予定だ、
食料品はあるが
お前を拾う前に魔物に襲われ、
歩兵が30名、騎馬隊が4人、
重装備兵が6人しかいない、
貴様は殿として最後尾につけ。』
『ライラ!!』
『・・・弓は?』
『あるが、お前に引けるのか?』
『貸して貰えるか?』
『ちっ、ほれ、これだ。』
緩い
『弓兵は誰も居ないんだな?』
『あぁ、先の魔物の腹の中だろうよ。』
『姫様、
幾つかの弓を拝借します、
矢はどれほど残っていますか?』
『矢その物は200程残ってます、
ですが、弓をどうするので?』
『いえ、少し自己流にしたいのです。』
『ウネビ、
私は貴様を信用できない、
姫様、なにとぞコイツを最後尾に。』
『ライラ『構いません』ウネビっ!?』
『異界人故に、何をするかわからない
それに、ライラさん?は、
姫様を?』
あ、なんかいる
『ライラさん、
緑色の光点が4つは
魔物かなにかでしょうか?』
『なにっ!?』
『アレは、フロッガータイタンっ!?』
『弱点は、定番の目でよろしいですか?』
『え?あ、はい!』
『歩兵姫様を守れ!!
抜剣!!急ぎ隊列を組むのだ!!』
(さて、
即席だけど改造したし、
ここで死ぬのは
ごめん被るぜ?)
『先ずは、練習。』
緩い弦は3本に増設し、
中心部に輪を作り、
そこに矢を通す
『後は真っすぐ引き、
放つっ!!』
あれ?
なんで“パン”って、音が鳴るんだ?
『へ?』
あ、ゴリマッチョとカエルの頭が
くっついた魔物の上半身が吹き飛んだ
『な゛っ!?』
『・・・うっ。』
『ぉおぅ、これはグロイ。』
▽
『これは私には引けん。』
『いやいや、俺が引けるんだよ?
この世界での近衛兵なら
それなりの力があるだろうに。』
『ウネビ、私にも良いですか?』
『え?あ、はい、どうぞ。』
んん?
『姫様?』
『・・・ウネビ、そこの樹木を
持ち上げて貰えますか?』
『は?はぃ、やって見ます。』
まさかなぁ~
『では、ふん!』
掴む為に力を入れた樹木は、
木端微塵に砕けてしまった
『うっそだろ~・・・マジか。』
えぇ、何この馬鹿力ですよコレ
『ウネビ、
貴方は恐らく加護を受けているかと。』
『加護?』
『恐らく先に回収されたお守りが、
その加護の媒体となり、
“異界人”の能力に付与され、
この様に表れているのかと。』
『・・・川崎大師様、感謝します。』
つい、合掌を組み、天へ拝む
『ですが、姫様?
先ほど普通に握手しましたよね?』
『ん~、なんででしょう?』
『さぁ?』
てか、もう一発
パン
『なっ?!ウネビ!!
いきなり弾くなっ!!』
『いえ、ライラ近衛兵、
先ほどぶち抜いた森林から、
ちょこちょこ顔を出す
“鎧を着た奴らが見えたので”
牽制をしただけです。』
まぁ、その牽制が
何人か吹き飛ばしたみたいだけど
『どこにいるのだ?』
『ウネビ?私達には、
“森林の暗さで見えませんけど”』
(この世界じゃ、
人外クラスの身体能力って事だな)
『姫様、馬に乗れますか?』
『え?すいません
馬術はまだ習っていないのです。』
『ライラ近衛兵は?』
『勿論、乗れぬ。』
おい、近衛兵なんだから
馬術も必須技術だろうがっ!!
『重装備兵の装備を捨てましょう、
武器は残して、走りやすいように
軽装にし、馬に重要物資を乗せ、
ここから兎に角離れましょう。』
『わ、わかった、
兵達よ、
ウネビの指示に従え。』
あ~ぁ、完璧に恐怖の対象に見られてるよ
『姫様『嫌です』は?』
『ちゃんと、名前を呼んでくださいまし?』
『ミレイア姫、
お手を。』
『あっ///はぃ///』
『ぁ~、そうでは無くて。』
説明が面倒なので、
お姫様抱っこをする。
(って、ライラ近衛兵
血涙流す程アレなのか)
『って、軽過ぎませんか?』
『そっ!?そうでしょうかっ!?』
『重装備兵の装備投棄は終わったか?』
『はっ!!』
あ、この人は普通に良い人だ
『ではこの中で一番持久力の無い方を先頭に、
方角はこちらで良いですね?』
『はへぇ~///』
(お姫様抱っこですぅ~///)
『・・・では、キミ、
先頭で走ってくれるか?』
『はっ、了解しました。』
『他の兵は、周囲警戒をしつつ追従、
速度が落ち始めたら後方確認、
距離が開いて居ればそのまま小休止、
そうでなければ、俺が牽制でまた放つ、
戦闘を極力避け、
アキラレイズ公国へ急ぐぞ。』
『了解!!』
『ふへへへ~///』
『ギギギ・・・。』
(はぁ、どうしてこうなった?)
▽
結局、ちらちら見えるので、
5本をその追撃隊の中心目掛け
ぶっ放した
森林に、新たな街道が出来てしまった。
▽
『ミレイア王女、
ようこそ、アキラレイズ公国へ。』
『此度の亡命、
受け入れを感謝申し上げます。』
『って、堅苦しいな、
久しいな、妹よ。』
『はい、アレイア姉さま、
お久しぶりです。』
(・・・似てない)
『あ、アレイア姉さま、
この方が私達を助けてくれた、
ウネビです、
私の直轄護衛なんですよ!』フンス!!
(なぜ威張る?)
『ほぉ、異界人か、
ウネビとやら、
私の妹が随分迷惑をかけたようだな、
相応の褒美を出そう、
ミレイア、
先ずは公務用の服に着替えて来なさい。』
『え゛っ!?アレをですか?』
『亡命故に、必要な書面と
我がアキラレイズ公国に公布せねばならん、
半日は掛かるから急げよ?』
『はぁ~ぃ。』
『・・・年相応、なんですね。』
『はは、
母上が無くなって10年は経つ、
5年前までは母替わりをしていたのだが、
決まっていた事でな、
このアキラレイズ公国に嫁いだのだ。』
『血筋を残す為の政略結婚ですね?』
『それもある、
だが、貴様が介入すべき問題ではあるまい?』
『・・・そうですね、
この世界では所詮平民、
王族に逆らえば打ち首ですかね?』
『して、どうだ?』
『は?』
『ミレイアだ。』
『はぁ。』
『なんだ?』
『いえ?』
『何も無いのか?』
『してません。』
『お姫様抱っこでも?』
『ひらひら服装では、
お召し物が世間にさらけ出されてしまいます、
王族足る者、不必要に
見せびらかす物ではありませんから。』
『なんだ、あれだけ自慢して来たのだ、
てっきり契りでも交わしたのかと。』
『失礼ですが、
この世界での暦はどうなっていますか?』
『暦とな?』
『はい、詳しい方がいらっしゃれば
尚嬉しいのですが。』
『わかった、
ゾルデ、ゾルデ・ア・アイレンをここへ。』
▽
『なんですか王女様?
私はつい先ほど休暇届を
受理して貰ったばかりですよ?』
『アイレン、このウネビがな、
この世界での暦を詳しく知りたいそうだ。』
『ウネビ?異界人ですね。』
『・・・。』
『どうしたのよ?』
『王女様?』
『すまん、何度言っても
治らないのだ。』
『可愛いのに、損してますね。』
『うむ、そろそろ
行き遅れになろうと言うのに、
このありさまなのだ。』
『二人して失礼ね。』
『『お前がな。』』
手拍子2回でメイドが現れ
素早くアイレンの服を整える
『だぁ~、動きづらい。』
『女性なんですから、
服装はしっかり着て下さい。』
『え~、見えなけりゃ良いでしょ~。』
『はぁ、
兎に角、年号、歴史、
一年の日数を詳しく良いですか?』
『まぁ、いいけど。』
▽
あぁ、信じられるか?
この世界、
16歳(こちらでは、12歳)が成人で、
学校に該当する物は無し
疲れた表情が抜けないアキラレイズ王女は、
“25歳(こちらでは、18歳)”なのだ
季節の変わり目で一年だったり、
白夜が在ったり、
例の3時間程しか
太陽が出なかったりする日があるので
『ロリコンの巣窟。』
『なんだそれ?』
『ろりこん?』
総じて、身長も低く
アキラレイズ公国で見かけた人でも、
162cmしかない俺でも、
“目線が下の人しか見かけていない”
『いえ、
幼女、もしくは幼少体型を好む
腐った男が大暴れするか
物陰から怪しい吐息で眺めていないかと
少し心配になったので。』
『なんだ、普通だろ?』
『うむ、普通だな、
ウネビよ、
もっとお前の知識を披露してくれないか?』
『・・・大分違いますよ?』
▽
『あ、あははは///』
『わ~、わははは~///』
先の服装なり、ロリコンの意味や
その他もろもろ
“常識を改めるいい機会になったそうだ”
『はぁ、そう言えば、
ミレイアは?』
『『あ、忘れてた。』』
しゅ~
『ん?』
あぁ、聞いてたのね、全部
『王女、控室か寝所を案内して貰えますか?』
『しぃんじょっ!?』
『単純にミレイアを休める為にです、
勘違いしないで頂きたい。』
『そっ!?そうだなっ!?
あっ!?アイレン!!
あ、あんないしてやれっ!』
『あ、アタシがっ!?』
『・・・良いです、
王女、メイドさんを呼んでください。』
『そっ!?そうだなっ!!』
あれ?
『来ないですね?』
『ん?なにかあったのか?』
さっき出て来た場所に近寄る・・・
『アイレンさん、
一番近い部屋を案内して下さい、
いいですね?』
若干苛立ちを込めた声で『いいですね?』
と、二回言った。
『ひっ、わ、わかった、
案内するよ。』
▽
私が若い?
なんの冗談かと思えば
ウネビの世界では私は“18歳”で
一番若々しく
青春を謳歌する真っただ中だそうだ
すでに“二人を産んだ”私を
若いと言ってくれ、
更には王が羨ましいだと?
『これだけの美少女を抱いてるのに
その魅力に気づけていないのは
損ですね、てか、
その怪しい手つきは止めて下さい、
その手は旦那様に向けて下さい。』
私が美少女だとっ!?
因みに、ウネビが進めてくれた服装で
王の寝所に向かっている
決して脱がさせないで
半脱ぎが良いらしい
それに色々身体も手入れして来たのだ
3人目も欲しかったし、
なんと良い時にウネビが来てくれたのだ!
▽
この国の常識が良い方に修正され
女性の権利が跳ね上がり
男性が尻に敷かれる家庭が増えた
▽
『ぁ~、なんか、お疲れ様です、国王。』
『う、うむ、
ウネビよ、改めて褒美を決めたいのだが、
この後の会合に参加してくれるか?』
『はい、わかりました。』
▽
『して、ミレイアの護衛は続けるとして、
報酬金はいかようにしようかの?』
『アイレンが新たに公布した
暦の月事に金貨5枚で。』
『安すぎでは無いか?』
『まぁ、基本給で5枚です、
こうして政治にも絡んでしまいましたし、
新憲法に関わる案件一つに付き、
金貨1枚、護衛中における
魔物の討伐数に付き銀貨5枚、
ハンターギルドにおける
ランクの制定関連に金貨2枚、
魔物のランク付けに関わる毎に金貨1枚、
負傷手当で金貨1枚、
死亡した場合、
それまでに加算された金貨、銀貨は、
全てミレイアに、使い方は任せると。』
『ふむ、それならば妥当だな、
では、未払いの分は
ワシから直接出そう、
それと、まぁ、
アレインの魅力を引き出してくれたのだ、
特別手当として、金貨50枚を渡す、
これは拒否させんぞ?』
『バリエーションなら既に
アイレンに渡してあります、
ごゆっくりとお楽しみ下さい。』
『・・・ぉう。』ゴクリッ
ぁ~、何人出来るのやら
▽
『あ、ウネビ殿。』
『あ、貴方は近衛兵の。』
そうだ、名前聞いてない
『失礼、私はレイクェーン、
重装備兵でした。』
『あ、あの時は
大切な装備を投棄させ
申し訳ありませんでした。』
深く頭を下げる
『やっ!?止めて下さいっ!!
今や貴方は国王と
同等のお立場なのですぞっ!!』
は?
『お気づきでは無いのですか?
アレイン王女、ゲーレイナ国王、
アイレン“第一王女”と、
あれだけ親しくされ、
ましてやこの国の法令にも
関わられているのですぞ?』
『えっ、ちょ、まって、
アイレン、第一王女っ!?』
『知らなかったんですかっ!?』
『知らんがなっ!?』
『あ、ウネビぃ~・・・、
どぅ?』
『・・・どうしてそうなるんだよっ!!』
『ダメなのっ!?』
『レイクェーンっ!!
メイド長を早く呼んでくれっ!!』
どうしてビキニアーマーを
チョイスするんだよっ!?
▽
『メイド長、
アイレンにはああ言う服装は
ダメだと教えて下さいと
散々お願いしましたよねっ!!』
『いえ、面白そうだったので。』
『このダメイドっ!!』
『では、ミレイア王女と、
アイレン王女を、娶るなら
問題は無いと?』
『お゛い゛っ!!』
つい、怒りに任せ、城内の柱を握りつぶしてしまう
『この二カ月、散々言ったよな、
そう言う事は言うな、
軽々しく言うなと、
大体、レイクェーンに言われるまで、
平民扱いは変わっていないと
思ってた俺もアレだが、
その話題だけは触れるな!!
ドワイレイズが、
帝国に屈し、属国を受け入れ、
近日中に
“帝国の王子と、ドワイレイズの第二王女”が
結婚すると、その話題に繋がるから、
箝口令だって出ていた筈だ!!』
『いえ、知らないのは、
ミレイア王女だけです。』
『・・・なんだと?』
『既に、アキラレイ公国に公布されており、
平民ですら周知の事実です、
国王夫妻のご厚意により、
ミレイア王女にはお伝えしませんでしたが、
もう、必要ないようですね、
では、私は国王に、
“雫は墜ちた”と、伝えにまいります。』
『うそ・・・よね?』
『ミレイア。』
『アイネ姉さま、
あんなに嫌だって言ってたのに?
私の後、直ぐに出立するって
言ってたのに?』
『ミレイア!』
▽
『そうか。』
『はい、既に国軍は全て準備を整え経ております。』
『アレイン、
ドワイレイズには無理をさせたな。』
『元は一つの国、
アキラレイ公国は表の顔、
本当の顔は、
各国からの“打倒帝国志願者の集まり”
強大な帝国よ、勝てるの?』
『ウネビ君なら、
何とかしてくれるだろう。』
『結局、伝承通りに
“異界人”に頼らなければ、
勝ち目がないのね?』
『では、私も本来の職に戻ります。』
『暗器部隊、ブラックウィドゥ、
頼んだぞ。』
『はっ。』