さて、
俺はどうしてこんな森の中にいるのかね?
(とりあえず現状確認。)
スマホ・電池切れ
腕時計・動いてる
(太陽の位置的に、13:00)
俺の工具バックは
うん、大丈夫
(ふむ、
身体にそれと言った変化なし)
周辺は・・・
木とそこそこの河原・・・河原っ!?
咄嗟に木に身を隠す。
(なんで裸の子供達が
川遊びしてんだよっ!?)
ただ
(聞いた事が無い言葉だな)
背格好は洋風
幼稚園児から・・・ねぇ
まぁ、中学生ほどの背丈の子もちらほら
(見つかったら、即逮捕案件だよな)
ん?
急に騒がしくなった
慌てて服を着だす子達
どこからか“武器を持った数人”が出て来る
(ロングソード・・・
って、令和のご時世にロングソード?)
河原の向こうでは
なにか叫び声が響きだす。
(ぁ~、
どこかで見たようなモンスターだわ)
武器を持った数人が
そのモンスターへ戦いを挑んでいる
(おいおい、
どう足掻いてもそのモンスターには、
飛び道具が有効だろうに)
ロングソードでは
そのモンスターは相性が悪い
なにせ素早く、“低空とは言え飛ぶのだ”
(あ、一人“喰われた”)
モンスターの特徴として、
“人型に対して
必ず頭を狙い捕食する特性がある”
(さて、どうするかね)
下手に声は出せない
それに、俺自身にこれと言った
体術、武器の取り扱いなんて出来ない
それに、“出来たのはゲームの中だからだ”
(飛び道具・・・
弓か、投てき・・・いや、
投げれる物が河原の小石じゃぁ、
大したダメージにはならない)
最低限、投てき用ナイフか、
ショートソード、ショートボウガンとかだ
(手持ちの工具じゃ精々の自衛、
助けに入るのは論外だが)
「え?」
『え?』
最悪だ、あのモンスターから逃げてる
“子供達”とその先導で中学生ぐらいの
女の子と鉢合わせてしまった。
『こんな所に人族っ!?
まさか、貴方があのモンスターをっ!?』
(いや、言葉が分からん)
ぎぇぇええん!!
「ちっ!?」
手近な木の枝を投げつける
どすっ!!
「なっ!?
こんな程度で刺さったっ!?」
『襲われたっ!?
それじゃぁ、貴方も狙われてるのっ!?』
(ありえねぇ、
大した力も込めてない、
それなのに・・・)
「糞が、まだいやがる!!」
奴らは4~8頭で群れをつくり、
常に集団で襲って来る
『そんなっ!?
おにいちゃん達はっ!?』
「よせっ!?
河原を見るなっ!!」
小さい子には手が届き、
目を覆ったが・・・
『いやぁあああっ!?』
女の子は・・・
喰われる誰かを見てしまった
小さい子に首を振り、
見るなと森林側を見せる。
そうすると、小さい子は理解してくれたのか、
他の子達を呼び止め、
木の陰に隠れてくれた。
女の子はそこでうずくまり
動こうとしない
「逃げるぞ!!」
言葉が通じないのは辛いな
確かゲーム上、魔法はイメージ優先で、
“外国人との共闘時”は、
サーバーの方で自動翻訳してくれていた
(イメージ、か)
『そこの子、
これで言葉は通じるか?』
『わっ!?
おじさん凄く良い声!』
(お・・・おじさん)
『あ、おにいちゃんの方が良かった?』
(小さい子なのに良く理解してるような・・・)
『好きに呼びなよ、
今、みんなで何人いるんだ?
近くに自警団か、軍隊、
ギルドとかはあるのか?』
『『『えっと、
ここから川を下って、
少しした所に私達の村があるよ、
そこに、常駐軍隊さん達がいるよ!』』』
3、4人同時に喋るからまぁ、
癒される声なんだよな~・・・ってっ!!
『ちっ!!』
再び木の枝を投げつけ
一頭仕留める
『うひゃぁっ!?』
『みんな走れるな?
そこの女の子は・・・。』
『おねえちゃん・・・。』
『仕方ない、
俺がおぶって行く、
道案内を頼む!』
『うん!!』
『あと、何本か俺に木の枝をくれるか?』
『わかった!!』
女の子は反応が無く、
強引に背中にしょい込み
『走れぇっ!!』
▽
村では狼煙があげられ
臨戦態勢が敷かれていた
『こっちはどうだ!!』
『何時でも迎撃出来る!!』
『河原で遊んでた子達はどうしたんだっ!?』
『訓練生が付いていたが、
誰も戻って来て無いっ!!』
『っ!?
アレを見ろ!!子供達だっ!!』
『後ろに“モンスター”が
追いかけてきているぞ!!』
『第一小隊前へ!!
子供達を救出するっ!!』
『続けっ!!』
▽
『みんなっ!!
もう少しだっ!!』
そう、もう少しだった
『やっ!?』
一人が転げてしまい
ドミノ倒しの用に
8人全員転んでしまった
『っ!?大丈夫『うぇえんっ?!』』
しまった、これじゃ身動きが取れない!!
▽
『不味い!!
子供達が囲まれてしまうっ!!』
▽
『ちぃ、後6頭か。』
『おにいちゃん、いたいよぉ。』
『魔法、使えるのか?』
『まほ~?』
ぎぇぇええん!!
『空気ぐらい読めってのっ!!
アイアンニードル!!』
モンスターの頭部目掛け
鋼鉄製の“槍”が
貫く・・・のではなく、
べちゃっ!!
『あり?
デカすぎた?』
『うわぁ~、つぶれちゃった。』
『キミ、結構平気なんだね。』
『そう?』
『まぁ、魔法が使えるなら、余裕だな。』
『おにいちゃん、
物凄く悪い顔してる。』
『そうかね?』
『兎に角、
護衛魔法“ガーディアンズヴァルキュリア”』
白銀の兎耳の兜をかぶる女性型“魔法”で、
近接戦闘に置ける直接防御、
導師タイプの後衛、補助魔法、
10人程で子供達を守って貰う
『ふわ~!
きれーなおねーさんたち!!』
あれ?
ヴァルキュリア達が
な~んか照れてるような・・・
『ま、いいや、
マルチロック、
スモールアイスニードルレイン!!』
(ま、詠唱、必要無いんだけどね)
確実にモンスターは
氷の針に埋め尽くされ動かなくなった
▽
『大丈夫かっ!!』
『軍人さんたちだ~!』
『おぉ、無事か!
しかし、キミ達は?』
『白いおねーさんたちは、
私達を守ってくれるの!
おにいちゃんもそうなの!』
『見ず知らずの御仁に申し訳ないが、
子供達を渡して貰えるか?』
『ぁ~、ヴァルキュリア?
一応、その子達の保護者らしいぞ?』
ヴァルキュリア達が、
頑として子供達を護る体制で、
相当殺気立っている。
『おねーさんたち?』
首を振りより守りを強くする
『・・・あぁ、そう言う事か、
軍人さん、村に何か迫ってませんか?』
『なにっ!?』
▽
『トラ型だ~っ!!』
『火矢だっ!!急げ~っ!!』
▽
『さて、
どうするかね。』
『御仁、随分落ち着いておられるな?』
『そうでもないですよ、
ヴァルキュリア達に
子供達を任せているから
幾らか安心してますけど、
村の農産物に被害が出てますから、
今後の村の運営に
問題がおきるかと。』
『むぅ、今、本隊に増援を頼んだが、
早くても一週間は・・・。』
(はぁ、仕方ない、
取れるスキルは取っておいて
正解だったな)
『トラ型のモンスターは
何体でしょうか?』
『え?』
『・・・めんどくさいですね、
今、討伐してきます。』
(スキル、高機動戦闘)
『きっ!?きえたっ!?』
▽
『くそっ!?
モンスターめっ!!
一体何体いるんだっ!?』
『はぁ、皆さん、
“下がれ”』
▽
あの御仁は強すぎる
にもかかわらず、
子供達に圧倒される姿は
本当に同一人物なのだろうか?
『はらへったな。』
『ね~。』
ヴァルキュリア達は魔法なので、
俺の魔力から供給され維持される。
ま、スキル・周辺魔力収集のおかげで、
実質無限。
『おねーさんたちはゴハンたべるの?』
『ぁ~・・・どうなの?』
あ、首を傾げてわからないとジェスチャーしてる
『わからないそうだ。』
『おかおみたーい!』
『・・・と、取れるの?』
(てか、俺も見た事無い)
あ、とった
『ほぇ~・・・すごいびじんさん!!』
ぁ~、顔真っ赤にして照れてる
(てか、滅茶苦茶美人やん、
兎耳だけど)
『おねーさん?
なんでしゃべらないの?』
『そう言えば・・・喋れそう?』
今までは精々の
コマンドしか指示を出してない
喋れるのだろうか?
『ヘンナコエジャ、アリマセンヨネ?』
やべっ、めっちゃ可愛い声っ!!
『かわいい~♪』
ぁ~、子供達がヴァルキュリア達に群がって
埋まって行く~
(ま、
味方に付けるなら子供からってね、
大人は追々)
『ねぇ?おにいちゃん!』
『ん~?』
『おねえちゃん達は
ここに住んで貰っていい?』
『へ?』
▽
『で、出来る物だな。』
『ハィ、コウモカンタンニデキルトハ
オモイマセンデシタガ。』
指揮権の委譲と、
スキル・スキルコピー
これは、プレイヤー自身以外にも
スキルを使わせたり、
一時的に
他のプレイヤーに同じスキルを付与し
毒沼の攻略、一定のスキルが無いと
進入出来ないダンジョンもある為、
最初にレベルアップの際、
デフォルトで取得出来るし
ON・OFFも切り替え可能だ
『ほえ~、おにいちゃんって、
魔導士様なんだね?』
『いんにゃ、
器用貧乏って職業だ。』
『きよ~びんぼう?』
『色々ナスキルヲ、沢山取得スルニアタッテ、
ステータスガ、平均ヨリチョットシカ強クナイノ。』
『へ~。』
『チャントオ勉強シタホウガイイヨ?』
『え~?それじゃぁ、
おねえちゃんが教えてよ。』
▽
『御仁、
食料品の供与感謝します。』
『まぁ、あるなら使う、
食べ物も食べなきゃ
もったいないでしょ?』
『はは、確かに、
御仁、
名はあるのですか?』
『・・・ないですよ、
捨てざるを得なかったので。』
『・・・そうでしたか。』
『えぇ、なので、
御仁で構いません。』
▽
(夜、か)
『月は出てるけど、赤いな。』
『ソウネ。』
『・・・良いのか?』
『ナニガ?』
『その兎耳を
良くは思ってない大人が居る、
その為のスキルを『防音ヲ。』わかった。』
▽
『これで大丈夫だ。』
『スキルは、元々所持しています。』
『ならなぜ?』
『あの子の、良き姉で居たいから。』
『・・・あの子の記憶を読んだな?』
『ハィ、でも、
それだけではありません。』
『・・・まぁ、既に指揮権は委譲したし、
スキルコピーで、
あの子に“周辺魔力収集”と、
“身体能力補強上昇”を付与したし、
戦い方も教えるんだろ?』
『・・・そうですね、
立派なヴァルキュリアに
仕立てて見せますわっ!!』
『ぉ、おぅ、
程々にな?
それと、そこの泣き虫ちゃんを、
あやしてあげな?
俺は、外の見回りにでも
行って来るわ。』
『え?』
扉を開けると
あの子が泣きじゃくり抱き着いて来た
『ちょっ?!
どうしたのっ!?』
『おねえちゃ~ん゛っ!?
こわいゆめみだの゛~っ!?』
『そぅ、
なら、おねえちゃんが
守ってあげるね?
一緒にねよう?』
『う゛ん゛、一緒にねる。』
『よしよし。』
▽
さて
(こんな夜更けに
“血生臭いのは”
子供に見せる物じゃないよな)
『やぁやぁ、
見回りですか?』
『っ?!
そ、そうだ、モンスターが、
あれだけ増えたからな。』
『兎耳のモンスターも?』
『なっ、なんの事だっ?!』
『そんなに獣人が嫌いか?』
『当たり前だっ!!
奴らのせいで
西の国は滅茶苦茶にされたんだ!!』
『確かに切っ掛けは
獣人だったのかもしれないが、
彼女達は関係が無いし、
“子供達を護った事実”を、
受け入れられないのか?』
『俺の親友は
西の国でその戦争に巻き込まれて、
獣人に殺されたんだ!!
許せるはずが無いだろうがっ!!』
数人が出て来る
『村長さんはこの事を?』
『言ってたらなんだってんだ?』
『いや、
言ってあった方が良かったかもな。』
(ホワイトファング召喚)
『なっ!?白狼っ!?』
『う、嘘だろッ!?
一体でもAランクのギルド員で
何人も組んで討伐する奴だろっ?!』
『子供に見せる物でもあるまいよ、
“モンスターに襲われてた”
そして、
発見が遅れたと、報告すればいいな。』
(行け、こんなオヤツですまないな)
【構わん】
▽
(・・・主殿、
どうしてそこまで我々に)
『ん~・・・おねえちゃん?』
『は~ぃ、ここにいますよ。』
『おねえちゃん、
すごくいい香り・・・
なんだか・・・ねむ、く、て。』
(催淫香も使い方次第ね)
『主様にここまでして貰って、
ヴァルキュリア明利に付きますね、
心してこの子を守り、
芯の強い子に育て上げるとここに誓います。』
▽
(ぁ~、うん、程々に)
『ホワイトファング、送還。』
【また呼ぶが良い】
『おぅ、またな。』
『おやおや、
御仁よ、見回りご苦労なこって。』
『村長さん。』
『わしは何も見ておらん、
あ奴らは元々の素行も
やや問題があったのでな。』
『村長さんは獣人を?』
『わしの妻がそうだ、
耳は魔法で隠しているがな。』
『どうりで、
あの子からあふれる魔力に
“人間と獣人”の特性が
溢れてた訳だ。』
『ふむ、
ここはようやく腰を据えた
“ハーフ”が集まる村じゃ、
あのヴァルキュリア達は
ここを?』
『既に指揮権はあの子だ、
ま、既に素質を見出されてるみたいだな。』
『素質を?』
『まぁ、ただのヴァルキュリアじゃないからな、
一度気に入られると、
その素質を磨かれ活かし、
最高の戦士へと育て上げる、
そして、いずれは“ヴァルキュリア”を
引き継ぐ器になるだろう。』
『なっ!?』
『まぁ、死後だけどな、
生きている内は、
ヴァルキュリアが護衛に付く、
そして、寿命を終えるか、
殺されるかで、ヴァルキュリアへ変わる、
その護衛に付いていたヴァルキュリアが
その子に取り込まれる形でな。』
『ヴァルキュリアが
永遠と言わしめる理由がソレなのか。』
『さぁな?
志とかが永遠って言うんじゃねえの?』
『そうなのかの?』
『知らん、
村長さん、ここはあのヴァルキュリア達で
安心できるだろう、
俺はこのまま外へ行く。』
『・・・近くても片道四日は掛かるぞ?』
『そんなものか。』
『そんなものでもあるまい、
小隊や、ギルド員での足でだぞ?』
『ま、いいや、
今夜には出る。』
『急だの、
子供達が悲しむ。』
『すまんな、
長居すると情が沸いて
ろくな事にならん、
それじゃぁな。』
▽
(さて、暗視モード)
スターライトスコープで周辺を確認する
『ついて来なくても良いんだが?』
『主様。』
『なんだ?
もぅ指揮権はあの子だ。』
『いえ、
“ありがとうございました。”』
『・・・そうかね。』
そのまま振り返らず
暗闇に消えて行った
『主、何時かまた、
ここにいらして下さい、
皆で歓迎致します。』
深々とお辞儀をしその場を後にした
▽
(ホワイトファング、
周辺はどうだ?)
【我よりは格下ばかりだな】
(そうか)