空の居場所   作:七九曜

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004-2008/06/01-気になるのは仕方無いね

「別に理解して貰う必要もないだろ」

 

久し振りに会った近所の兄ちゃんに、西宮さんへの気持ちや母との会話について相談しているとそう言われた。

 

現在自分達は彼の部屋でテレビゲームに興じている。恐らく幾分か決め顔でそう宣っていたであろう彼を尻目に、操作するキャラクターは情けない声を残して画面の外へと退場を丁度決めた所だった。

 

もう大学生だという彼ではあるが、ゲームの腕に関して言えば、小学生の自分と接戦を繰り広げる程度だった。御陰でお互いが楽しく過ごせているのだから、自分は感謝こそすれ文句は無い。

 

 

 

切りの良い所で、ゲームを一旦切り上げると、彼はパソコンを立ち上げた。

 

「例えばさ、律、此見て如何思う」

 

そう言って見せられたパソコンには、アニメ調の美少女達が表示されていた。

 

「凄く、卑猥です」

 

七色の髪だったり、肩だけ剥き出しの振袖だったり、太腿を強調する余りパンツ擦れ擦れのミニスカートだったりは未だ我慢出来る。

 

だが此に以下の物が続くと、そうも言えなかった。

 

 

 

JK。

 

女王様。

 

獣耳。

 

絶対領域。

 

過剰な臍出し。

 

巫女装束にヒール、ハイソックス、スカート、フリルの組合せ。

 

スクール水着。

 

平仮名表記。

 

ハイヒール。

 

自称恥ずかしくないズボン。

 

締めるに非ず、挟む物と見つけたるネクタイ。

 

パンモロ要員、腰巻きと化したスカート。

 

小学生前後、果ては幼児。

 

スーツのボタンの間から覗く谷間。

 

稍水着未満の装束。

 

衣服破壊。

 

etc…。

 

 

 

 

 

「此、何てゲーム?」

 

「英雄コレクション」

 

英雄?何処が?

 

「女の子ばっかり…ハーレムコレクションの間違いじゃないの?」

 

「いや、歴史上人物達の女体化の娘達だから一応…」

 

でも、英雄って字面からして男性にしか使わない単語なのにとか、度々服を引ん剥かれる割に薄手の物しか羽織らないのって英雄より痴女の方が適切なのでは等、思う事は有ったが、一々突っ込んでいては話が進まないので止めておく。

 

「取り敢えず、こんな様なゲームは矢鱈と有って、其の内の幾つかは俺も実際に遊んでいる」

 

「だから兄ちゃんは彼女出来無いの?」

 

「…其処は知らん。…話の腰を折らんでくれ。取り敢えずだ。こう言ったの母ちゃんは知らないし、知っても多分良い気はしない。だから俺も態々教えたりはしない。理解も認知もされてる訳でもない。でも誰も不幸じゃない。此だって幸せって事だろ?」

 

凄く立派な事を言ってる雰囲気を醸し出しているけど、其の秘密にしてるのがエロ本紛いなのは如何なのだろう。

 

「逆にドラマだったり何だったり、母ちゃんにだって恐らくそんな様な物はあって、で俺は知らないでいる。偶にテレビ観てる所に出会して、でも何が面白くて観てるか分からん物も有るしな」

 

此方は素直に受け止められる。こう身近な例で置き換えられると、実体験を元に想像出来る為か、何となく納得出来る気がしてくる。

 

「相手毎に理解してる事が有って、知ってる事が有って、知らない事が有って。棲み分けって言うか、其が出来ているのが一番皆んなにとって幸せなんだと俺は思うね」

 

「棲み分け、幸せ」

 

「そっ。だから、気になんなら親とか周りとか気にせず話掛けてみれば良い。んで以って仲良くなるかならないか、自身で好きに決めれば良い」

 

「そうだね」

 

此方に向けられたドヤ顔が可笑しくて、何よりそんな彼に上手く言い包められたと感じ乍ら共感を覚えずにはいられない自分が自分で可笑しくて、つい笑みが溢れた。

 

 

 

 

 

「因みに、インターネットにはこんな物も有ってな?」

 

一面桃色の女の子達の画面を閉じると、今度は虹色の画面を見せられた。いや、妖精達の肉体美や、除け者フレンズの迫真の演技、何より彼等の絶妙な台詞回しに自分が魅せられていた。

 

アイスティーへと溶ける砂糖。本格的な炒飯調理。某県北での体験談。一転攻勢。只ならぬ穿き物への情念。竹輪大明神。

 

未知のエリアに踏み込んだ自分は気が付くと、田舎少年がいけない物を見るかの様に、齧り付く様にして画面に釘付けとなっていた。

 

 

 

 

 

其の日解散したのは、結局三時間哲学の勉強の後となった。

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