窓と扉に手をかける   作:もけ

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久しぶりの更新です。

無印突入前の最後の話なわけですが、説明回みたいで面白みがないですが良かったらお付き合いください。



訓練ちゃんとやってます

 はやてとなのはちゃんが小学校に上がってから2回目の冬。

 

 この2年の間に起こった事と言えば、なのはちゃんのパパさんが無事退院したり、訓練を始めて早々に魔法の事が高町家の面々となのはちゃんの友達にバレれたくらいで、後は特に大きな問題もなく平々凡々……とは言わないけど、まぁ比較的平和に修行の毎日を送っています。

 

 え? 魔法がバレた事に対する扱いが軽いですか?

 

 まぁ最初と言っている事が違う自覚はあるんですが、ぶっちゃけた話バレちゃったもんは仕方ないです。

 

 別に管理局に入っているわけでもなく、こちとら管理外世界の現地住民ですからね。

 

 秘匿するかどうかは個人の自由ですよ。

 

 バレた相手も信用できる人達ですし、そのおかげで訓練し易くなったのも事実ですしね。

 

 気にしない事にしてます。

 

 さて修行の内容ですが、朝、放課後、夕食後と時間帯によって内容を分けていて、朝は僕となのはちゃんが一緒にやっている操作性を重視した魔法訓練です。

 

 早起きしてランニングがてら海沿いの公園で落ち合い、空き缶を地面に落とさないように誘導弾で打ち上げ続ける空き缶リフティングをウォーミングアップとして、そこから缶を複数用意しての交互での打ち上げ合いや陣地を決めてのバレーボールみたいな勝負形式での訓練を1時間くらいかけて行っている。

 

 これまで威力がないため操作性を重視して鍛えてきた僕の方が経験の差で最初こそ勝っていたけど、半年くらいであっさりと差がなくなり、今では物量(制御できる誘導弾の数)に圧されて負け越している始末。

 

 なんたって僕の5個に対してあっちは12個と倍以上だからね。

 

 魔力量はもちろん、マルチタスクの数でも完敗ですよ。

 

放課後はフィジカルトレーニングと格闘訓練のセットで、これはなのはちゃんの友達、月村すずかちゃん(お金持ち)にお願いして専門のトレーナーさんにメニューを組んでもらって、年齢に合った無理のないプログラムを行っている……のはいいんだけど、なぜかすずかちゃんのお姉さんの忍さんが凄い乗り気で月村邸の庭、というか山にアスレチックの巨大コースまで作ってしまい正直何を目指してるのか分からないレベルになっている。

 

 塾や習い事がない日はすずかちゃんともう一人の友達アリサ・バニングスちゃん(やっぱりお金持ち)も加わり、さらにコースを作るのにアドバイザーとして忍さんに強制参加させられていた恭也さんと、なぜかそれに引っ付いて来る形で美由希さんも頻繁に訓練に参加したりしている。

 

 妹達の手前、特にそういった発言はないけど、忍さんと美由希さんの間で恭也さんを巡る恋の火花が飛び交っている様に見えるのは僕の気のせいではないだろう。

 

 これが『リア充爆発しろ』って状況か。

 

 ちなみに高町家の血筋だけど、恭也さんとなのはちゃんは母親違いで、美由希さんは養子でイトコに当たる。

 

 つまり美由希さんと恭也さんが結ばれてもイトコだから問題なし……なのかな?

 

 確かイトコ同士は結婚できたはずだけど、養子を解除しないといけない気もする。

 

 まぁこちらに被害がなければ他人の恋路なんて正直どうでもいいんだけどね。

 

 羨ましいとは思うけど、まだ別に好きな子とかいないしな。

 

 話を戻そう。

 

 格闘訓練については、将来的に魔法の杖レイジングハートが手に入ると仮定して、棒術をチョイスした。

 

 まぁ僕の場合、そもそもニケの形態が棒、というか30cmから2mくらいまで伸びる伸縮性のあるステッキだからちょうど良かった面もある。

 

 ちなみに、恭也さんと美由希さんは別格として、幼少メンバーだと僕を含め一番強いのはすずかちゃんだ。

 

 何と言うかパワーが違う。

 

 前世の知識通りやっぱり吸血鬼なんだろうか。

 

 まぁ、本人から言わない限りわざわざ踏み込む事もないだろうから別にいいけど。

 

 それで次に肉体的に勝っている僕が強く、なのはちゃんとアリサちゃんはいい勝負をしている。

 

 その際、もちろん身体強化魔法は使っていない。

 

 自力を上げないと意味がないからね。

 

 とは言っても、そっちの方も慣れておかないといけないから恭也さんや美由希さんに相手をしてもらっているんだけど、『永全不動八門一派御神真刀流小太刀二刀術』本当にあったんだな。

 

 身体強化しても全く歯が立たない。

 

 パワーやスピードで拮抗したからこそ、余計に経験に裏打ちされた技術で差を付けられる。

 

 なんて言えばそれらしく聞こえるけど、ただ単に御神流が化物の使う剣術だと言う事だ。

 

 命と人生をかけても修められるか分からない様な技術に、普通の武術、しかもたかだか2年しか齧っていない素人が敵うわけがない。

 

 魔法が全てOKの試合形式ならとりあえず空に逃げて、後はなのはちゃんなら射撃や砲撃、僕なら大量の瓦礫なんかを転移させて落とせば勝てるかもしれないけど、暗殺剣としての面もある御神流にルール無用で挑まれたら気配を消した不意打ちで一発で終わるだろう。

 

 とりあえず要鍛錬という事だな。

 

 夕食後の訓練は、なのはちゃんをあまり遅い時間まで出歩かせるわけにはいかない関係で高町家の庭で、少し実践的な魔法の訓練を行っている。

 

 出だしはお決まりになっていて、安全と隠蔽のために最初に僕が結界を張ると、待ってましたと言わんばかりになのはちゃんは飛行魔法で空を飛び回る。

 

 空を飛ぶ事はなのはちゃんが魔法を覚えてからの一番のお気に入りだ。

 

 ちなみにこの結界のせいで高町家に魔法の事がバレました。

 

 空間に対する違和感と、いきなり気配が消えた事を不審に思ったとか何とか……。

 

 剣術家って凄いんだな。

 

 さておき、なのはちゃんが気の済むまで飛び回ってからは直射弾をできるだけ多く展開して弾幕を張る訓練や、誘導弾を絡めたコンビネーション、足を止めての砲撃魔法、周りに散らばった魔力を集めて再利用する収束魔法なんかの訓練を行う。

 

 僕が使っても役に立たないせいもあって、ニケの中の高速飛行、射撃、砲撃の魔法はすっかりなのはちゃん専用に調節されている。

 

 僕がデバイスを必要とするのはより緻密な回復魔法と各種結界魔法くらいかな。

 

 それも一番頻度の高い封時結界なら融通は利かないけど術式丸暗記で使える様になったし、朝練の誘導射撃魔法、歩くくらいのスピードしか出ない飛行魔法、とりあえず自然治癒力を上げるだけの回復魔法、レアスキルと使い分けるために覚えた転移魔法なら自力で何とかなるし、レアスキルの探査の『世界の窓(ワールドウインドウ)』と転移の『世界の扉(ワールドドア)』は魔法陣を必要としないから問題ない。

 

 そんな僕が訓練中何をしているかと言うと、不本意ながら動く的をしている。

 

 一応回避だけじゃなく反撃もするから模擬戦と言えなくもないけど、射撃魔法の雨や視界がピンク一色になる容赦のない砲撃魔法ばかり撃たれてたら気持ち的には完全に的だ。

 

 飛行魔法で浮いてはいるけど基本回避はショート転移で逃げ回り、たまになのはちゃんの直射の射撃魔法を『世界の扉』で反撃に使ったりしてはいるけど、バリアジャケットがないから命中イコール気絶なので背中に冷や汗流しながら割と必死に逃げ回っている。

 

 そんな夕食後の訓練は日によって一時間から二時間くらい。

 

 僕は公立のヌルい学校だから問題ないんだけど、有名私立のなのはちゃんの方は学校の宿題が割と出るので22時までには寝る事にしている手前、逆算して訓練を早く切り上げる事もある。

 

 マルチタスクがいくら使えてもそれで頭が良くなるわけじゃないから分からない問題はやっぱり分からないし、目も手も二つしかないからスピードは変わらないからね。

 

 僕となのはちゃんの話はこれくらいにして、はやては何をしているかと言うと、中三の律姉を受験勉強に専念させてあげるために中一のマト姉と家事を分担して取り仕切ってくれている。

 

 はやては姉御気質なのかみんなを使うのが上手く、ついつい自分で全部やってしまうマト姉とは対照的だ。

 

 家事のない暇な日は一緒に月村家に来て訓練を応援しながら紅茶片手に優雅に読書を楽しんでいたり、月村家のしっかりした方のメイドさんのノエルさんに教えてもらいながら一緒に料理をしていたり、訓練のない日はゲームなんかでみんなで遊んだりしている。

 

 問題のはやての足の麻痺の原因でもある闇の書、夜天の書ははやてが魔法に関わっていないせいか未だ沈黙を守っている。

 

 前世の知識だと9歳の誕生日、6月4日に闇の書が覚醒し、徐々に広がる麻痺のせいで11月ないし12月には入院、とりあえずクリスマスまでは生存していた。

 

 つまり短く見て、闇の書の解決までの猶予は覚醒から半年。

 

 今考えている解決策にはジュエルシードが必要なので、彼女らが小三の5月から逆算して最悪小二の11月を無事に越えられるかがポイントだった。

 

 期日が近づく今年の夏頃から内心ではビクビク、胃はキリキリしてたけど、そんなストレスからも解放されて今は少し気が抜けて炬燵で丸くなっている。

 

 後は計画を推敲しながら、ジュエルシードが降ってくるのを願うだけだ。

 

 来なかったら来なかったで一応想定した考えもあるけど、これは時空管理局と敵対する流れになるので出来れば避けたい。

 

 ジュエルシードが降って来なければフェイト・テスタロッサとは出会わないし、時空管理局とも接触しない。

 

 そしてはやてを助けるために僕となのはちゃんはヴォルケンリッター側に付く事になる。

 

 しかもジュエルシード事件があったからこそ良識ある管理局員のリンディ提督とクロノ執務官が乗る次元航行船アースラが闇の書事件を担当したとも考えられ、それがなかったらはやてごと闇の書の封印を企んでいるグレアム提督の息のかかった部隊が担当する可能性もある。

 

 そうなってくると、最初から降参して名指しでリンディ提督か聖王教会のカリムにはやての保護を求めるか、全面抗戦しか道はなくなってくる。

 

 まぁ色んなケースを考えておいて損はないから無い知恵絞って考えておこう。

 

 とりあえず近況報告としてそのくらいかな?

 

 ……あっ、忘れてた。

 

 どうでもいい事かもしれないんだけど、僕の中の一つの懸案事項として、はやて達の同級生にいた完璧超人のアルビノの少年だけど、どうやら転校してしまったそうだ。

 

 なんでもファッション誌のモデルにスカウトされ、そのまま芸能界デビューするために事務所のある東京に引っ越したのだとか。

 

 試しに彼が載っている雑誌を見せてもらったけど、これだけの浮世離れした外見なら芸能界入りも納得といった感じだった。

 

 あの外見は男でも見蕩れるレベルだな。

 

 どっかのプレイボーイが『薔薇はみんなで愛でるものなのさ』とか言っていたけど、確かに彼ほどの美貌なら放って置くのはもったいない。

 

 まぁ液晶ディスプレイの向こうから陰ながら応援しているとしよう。

 

 さてと、今度こそ報告はこのくらいにして、お正月に向けて和の大道芸の練習でもしようかな。

 

 三が日の稼ぎでみんなへのお年玉の額が変わるから頑張らないと。

 

 今年はなのはちゃんだけでなく、はやて、すずかちゃん、アリサちゃんも着物で手伝ってくれるからきっと凄い稼ぎになるぞ。

 




芸能界デビュー、こういう転生者がいてもいいと思うんですよね。
命の危険もないし、美人もいっぱいいるし。
まぁ魔法は使えませんがね。

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