窓と扉に手をかける   作:もけ

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一旦休憩、みたいな飛ばしても平気な話です。




作戦会議と言う名のお茶会

 すずかちゃんの奸計(かんけい→悪巧みのこと)にかかりフェイト・テスタロッサに続きアリサちゃんからも戦略的撤退を余儀なくされた後、ファリンさんに客間で匿ってもらってお昼をご馳走になったりしながら今後の事についてアレコレと考えを巡らせていると、

 

『Master、時間です』

 

「ん? あぁ、もうそんな時間か。ありがとう、ニケ」

 

 14時5分前、お茶会に行く時間になっていた。

 

「ん~~、ニケ、認識阻害結界」

 

『? Yes,認識阻害結界 Standby』

 

 アリサちゃんが面倒いけどサボると余計怒りそうだし影を薄くして行こ。

 

 抜き足差し足忍び足~~っと。

 

 いや、結界敷いた時点で意味はないんだけど、こういう気分って大事だよね。

 

 この結界は、周囲を透過する様に映し出す事で結果的に自分の身を隠し、結界の内側の音を逆波長で打消し、結界境面で温度変化を調整、匂いを遮断、赤外線などのセンサー光を迂回させている。

 

 もちろん人間だけじゃなく監視カメラやサーモグラフィなんかの計器類も誤魔化せる。

 

 誤魔化せない重量センサーは飛行魔法で回避。

 

 よって、よっぽど近くで注意して見るか、物理的に接触するかしないとまず気付けない。

 

 そう、「No Touch」なのですっ!!

 

 いや、言ってみたかっただけで特に意味はない。

 

 要はリアル透明人間だね。

 

 コンビニとかの自動ドアは他人に便乗するか、こっそり落ち葉でも使ってセンサー誤魔化さないと通れないのが難点と言えば難点かな。

 

 将来探偵になった時は尾行に使えるし、手品師になった時は転移魔法と合わせて消失系は完璧。

 

 なんて講釈を垂れてる間にテラスに到着した。

 

「(ちょっとごめんなさいね~~っと)」

 

 猫を踏まない様に進み、少女4人とフェレットに気付かれない様に椅子に座……ろうとしたら、椅子に子猫が丸くなっていて座れない。

 

 仕方ないので子猫を結界に入れ、そっと膝に乗せる。

 

「(ん~~良い子、良い子。オマエは温かいな。隠れている以上、紅茶は我慢だけどまぁいい…………か?)」

 

 子猫、テーブル、楽しくおしゃべりしてる彼女たちと視線を上げて行くと、なぜかすずかちゃんと目が合った気がした。

 

 と言うか、ガン見されてる。

 

「(気付かれてる?)」

 

 と緊張すると、おもむろにすずかちゃんが側に置いてあった猫じゃらしをテーブルの下で振り、

 

「にゃ~~ん」

 

「(あっ)」

 

 止める間もなく膝の子猫が結界から出てそれに飛びつきに行ってしまった。

 

 固まる僕。

 

 微笑むすずかちゃん。

 

「それにしてもアイツ遅いわね」

 

「そうだね。真さんどこ行っちゃったんだろう」

 

「アリサちゃんが怖ぁて逃げてるんやないか?」

 

「ふん、年下のこんな可憐な女の子のどこが怖いって言うのよ」

 

「怒り易い所とか」

 

「気ぃ短い所やな」

 

「なのはぁ~~、はやてぇ~~」

 

「そういう所なの」

 

「まさにやな」

 

「ぐぬぬぬぬ」

 

 そんな微笑ましい会話をよそに、すずかちゃんは席を立つ。

 

「思い当たる所があるから、私ちょっと真さん探してくるね」

 

「すずかちゃん? あ、私も」

 

「私も行こか?」

 

「そんなの行く必要ないわよっ」

 

「ううん、すぐだからみんなは待ってて」

 

 そして僕にチラリと流し目を寄越してから部屋を出て行く。

 

「(付いて行くしかないよな)」

 

 その無言の脅迫に屈する僕。

 

 すずかちゃんは近くの部屋に入り、ドアを開け放したままにして待っている。

 

 観念して後を追ってドアを閉め、結界を解除すると、

 

「ふふ、真さんみぃ~つっけたっ♪」

 

 普段見せない様な悪戯っ子の笑顔に迎え撃たれた。

 

 その可愛さに思わず胸がドキッとする。

 

 取り繕うために(動揺したのはバレてそうだけど)降参のポーズで首を振って誤魔化す。

 

「どうして気付いたの?」

 

「一つは、視界の端にいたはずのハッチーが急にいなくなったからです」

 

「ハッチー?」

 

「椅子の上で寝ていた子の名前です」

 

「あぁ」

 

 何匹いるか分からないくらい猫天国の月村邸だが、もちろん全部の猫に名前が付いている……らしい。

 

 なぜ「らしい」かと言うと、全部の名前を覚えているのはすずかちゃんとノエルさんしかいないからだ。

 

 しかも生んだり、拾ったり、貰ったり、あげたりで常に数が増減している。

 

 全部の猫の首に名前の入ったプラカードでもぶら下げない限り僕には覚えられそうにない。

 

「もう一つは」

 

「うん」

 

「女の子の勘です」

 

 ぐはっ!?

 

 ちょっと上目使いで、ウインクに、口元に当てる人差し指。

 

 ベタだけど、だからこそ破壊力が凄い。

 

 くっ、この歳でここまで出来るとは末恐ろしい。

 

 忍さんの入れ時恵だろうか。

 

「さっ、みんな待ってますし、行きましょ」

 

 動揺してる僕に満足したのかご機嫌な様子のすずかちゃんは僕の腕を取って部屋から連れ出す。

 

 うん、年下でもやっぱり女の子には勝てないな。

 

「お待たせ~~」

 

 僕と腕を組んで登場したすずかちゃんを見たリアクションは三者三様。

 

「おぉ」「わぁ」「なっ」

 

 前から、感心するはやて、羨ましがるなのはちゃん、驚愕のアリサちゃん。

 

 ユーノ? ユーノはアリサちゃんの前でグッタリしている。

 

 大方また可愛がると言う名の振り回しの刑にで――――――

 

「ちょっと、すずかから離れなさいよっ!!」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

「危なっ」

 

「避けるなっ!!」

 

「避けるわっ!!」

 

 アリサちゃんの手で投てき武器と化したユーノは、僕ことターゲットに躱され、憐れ壁に真っ赤な華を咲か――――――

 

「し、死んでないからね」

 

「ちっ」

 

「舌打ちっ!?」

 

「ユ、ユーノ君、大丈夫?」

 

「なのは…………僕の味方はなのはだけだよ」

 

「え、う、うん、私がちゃんと守ってあげるからね」

 

「なんやユーノ君はお姫様ポジションやな」

 

「じゃあ、私が勇者?」

 

「そやね。んで、魔王はアリサちゃん」

 

「ぬぅわぁんですってぇぇぇぇ!!」

 

「ぴぃっ!?」

 

「大丈夫、安心してユーノ姫。勇者なのはが魔王アリサちゃんの手から必ず守ってみせるのっ!!」

 

「加勢するで、勇者なのは」

 

「ありがとう、はやてちゃん。ちなみにはやてちゃんの職業は?」

 

「商人?」

 

「まさかの戦力外っ!?」

 

「いや~~、やっぱりキャラは大切にしとかんと」

 

「ぬわぁ~のぉ~はぁ~」

 

「くっ、こうなったら、ここは私に任せてユーノ姫を」

 

「あかん、それは死亡フラグや」

 

「な、なのはぁぁぁぁぁぁ」

 

 カオスだ。

 

 ごっこ遊びって言うか、ただの悪ノリだな。

 

 はやてが振って、なのはちゃんが乗っかり、イジられるのはアリサちゃんっと。

 

 ユーノは…………小道具?

 

 そんな状況に呆れていると、そっと腕を引かれる。

 

 目を向けると、もちろんそこにはカオスの発端であるすずかちゃんが。

 

「真さん、ここは騒がしいから私の部屋に行きませんか?」

 

「え、あ、う、うん」

 

 まぁ、なんだ。 すまん、ユーノ。 骨は拾ってやるからな。

 

 一時間後にアリサちゃんが突入してくるまで、のんびりと紅茶とクッキーをいただきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『ジュエルシードが全然見つからないんだけどこれからどうしたらいいかみんなで話し合おう会議』を始めます」

 

「長いわっ!!」

 

「じゃあ『他のジュエルシードが落ちた世界の番号をサイコロを振って当てようゲーーーーム』」

 

「『じゃあ』ってなんやっ!! ゲームってなんやっ!! てか、趣旨変わっとるわっ!!」

 

「良いツッコミだが、はやて。文句だけなら猿でも出来る。人間様なら代替え案を出せ」

 

「『GW、みんなジュエルシードどこに探し行こうか会議』」

 

「遊ぶ気満々だろっ!! いい加減にしなさい」

 

「「ありがとうございました」」

 

 ぱちぱちぱちぱち、なのはちゃんとすずかちゃんが笑顔で拍手をしてくれる。

 

 他二人は、ふくれてるのと、諦めてるのだけど気にしない。

 

「さて場も温まった事だし、とりあえず依頼主であるフェレット擬き君に進展しない現状への意見を聞こうか」

 

「はい。えっと、確かにあれ以来暴走もなく、また発見も出来ていませんが、それでもまだ一週間です。捜索範囲を広げるのは賛成ですが、僕としては最低でも1ヶ月くらいは経過観察をしたいと思っています」

 

 椅子にクッションを重ねて高さ調節した上に立って、真面目に答えるユーノ。

 

「可能性の問題なんだけど、他の地域、例えば北海道とか沖縄って言っても分からないよね。この国の端っこの方で暴走してて、たまたまなのはちゃんや真さんみたいな魔法使いがいて、もう封印されちゃってるって事はないの?」

 

「ちなみに東京から北海道までは約1000km、沖縄までは約2000kmだ」

 

 すずかちゃんの疑問に、ユーノにも分かる様に補足を加える。

 

「管理外世界であるこの星にそう何人も魔導師がいるとは思えないんだけど実際に目の前にいるからこれは保留として、でも暴走体を封印できる程の魔導師は管理世界にだってそう多くない事、複雑な封印術式をサポートしてくれるデバイスがこの世界にはない事から可能性はかなり低いと思う。じゃあ暴走体が放って置かれてるかと言えば、それもまだ平気みたい。魔法文化のない世界であんなのが暴れてたら大騒ぎになるからね。この星の情報ネットワークは優秀だからすぐ分かると思うんだ」

 

「じゃあジュエルシードが地球にあるって考えたら、運良くまだ暴走してない。実はそもそも暴走しにくい。意外にも平和的に使いこなされてる。可能性は少ないけど誰かほかの人が封印した。こんな所なのかしら」

 

「暴走のし易さとか、普通に使えるとか、その辺は分かっとるんか?」

 

「文献から『ジュエルシードは不安定な高エネルギー体で暴走事故を起こしやすい』てくらいしか……。 言い訳になるけど、そもそもロストロギアは過去に失われた超技術で作られたものだから詳しくは分からないんだよ」

 

「だから危ないから封印しちゃおうって言うんだよね?」

 

「うん、そう。制御できないならせめて封印、管理しようって言うのが時空管理局の方針なんだ」

 

「悪用するよりはいいわね」

 

「地球なら絶対戦争に使われるやろな」

 

「あぁ、でもロストロギアだからって全部が危ない物ってわけじゃないんだよ? ただ今の技術じゃ作れないってだけで、美術品とかはオークションに出品されたりもするって言うし」

 

「へぇ~」

 

「そうなんだ」

 

「ちょっと見てみたいかも」

 

 この後、ユーノの部族であるスクライア一族が過去にどんな物を発掘した事があるかと言う話題で盛り上がり、作戦会議に話が戻る事はなかった。

 

 それでいいのか、ユーノよ。

 




はやてと小学校入る前から付き合ってるせいで、なのはの性格が若干変わってますね。
魅せたり、ノセたりするパフォーマンスの影響もあるかもしれません。
アリサの主人公に対する当たりがキツイのは、まぁ友達大好きの裏返しって事で。
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