窓と扉に手をかける   作:もけ

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昨日はコミケの初日でしたね。
僕は行かなかったのですが、連れが行ってきて天気も良くて大盛況だったとか。
タイバニの全年齢対象のギャグ本を15冊買ってきてました。
腐女子に大人気なタイバニだけど、男が見ても面白いですよ?
僕が行くとしたら明日かな。
買えるならツン研さんの総集編本が欲しいかもですw
それにしても、二日目の今日はジャンプ系を好きな人には散々ですね。
天気悪いし、某バスケ漫画はアホな脅迫のせいで販売中止だし。
犯人、早く逮捕されないかな。
と、本編とは関係ない呟きでした。



フェイトと作戦会議

 泣き崩れたフェイトを抱きしめ、あやすように背中を撫でること十数分、ようやく泣き止んでくれたと思ったら泣き疲れてそのまま寝息を立て始めてしまったので後の事はアルフに任せ、明日昼過ぎに改めて来訪する旨を告げてその場を辞した。

 

 翌日、昨日のリベンジにと玄関から普通に入れてもらい、アルフに促されるままリビングに足を踏み入れると

 

「昨日はごめんなさい」

 

 開口一番、赤い顔のフェイトに頭を下げられた。

 

 一瞬呆気にとられるが、真っ直ぐな良い子なんだなと納得すると同時に悪戯心がくすぐられ、謝罪に対して両手を広げて見せる。

 

「?」

 

 まぁ、分からないよね。

 

「これからずっと、会った時と別れる時にハグをしてくれるなら許そう」

 

「う、うん」

 

「(あれ?)」

 

 予想していたリアクションと違い、フェイトは赤い顔のまま近付き、胸に顔を埋め腰に手を回して軽くギュッとしてきた。

 

 その愛くるしさに自然と頬がゆるみ、目論見は外れたけど「ま、いいか」という気分になる。

 

 軽くハグを返してから、背中をポンポンと叩いて体を離す。

 

「ありがとう」

 

「ど、どういたしまして」

 

 照れ隠しで「エヘヘ」と笑うフェイトがまた可愛らしいのなんのって。

 

 フェイト、マジ天使だな。

 

 ぜひ妹になって欲しい。

 

 叶うならシスコンの誹りも甘んじて受けよう。

 

 ただし、ロリコンではない。

 

 あくまで兄として妹を愛でたいのだ。

 

 そこには海よりも深く山よりも高い差があってだな……って、誰に熱弁してるんだろ?

 

 そもそも3歳しか違わないんだからロリコンには当たらないはず。

 

 まぁ、いいや。

 

「ところでアルフ」

 

「ん、なんだい」

 

「昨日頼んだ説教は?」

 

「……あっ」

 

 はい、忘れてました~~。

 

 まぁ想定の範囲内だけどね。

 

 アルフのうっかりじゃなくても、あんな終わり方じゃ説教する方が難しいだろうし。

 

 じゃあ、代わりに言っとかないとな。

 

 このまま育ったら将来が心配で仕方がない。

 

「いいかい、フェイト」

 

「?」

 

 うん、小首傾げるポーズもキュートだね。

 

「同性とならいくらでもいいけど、異性と簡単に肉体的接触をしては駄目だ。さすがに握手を断れとは言わないけど、最低限に留め、パーソナルスペースを守るように」

 

「パーソナルスペース?」

 

「心の壁とでも言えばいいかな。人によってその距離はマチマチだけど、他人に近寄られるとストレスを感じる距離の事だね。これは異性間では特に強く働くから注意が必要だ。他人、知り合い、友達、恋人と関係性によっても変わる。これを間違えるとどんな弊害があるかと言うと、一般的に女性は軽々しく近付いて来る男性を嫌う。しかしパーソナルスペースの範囲が狭かったり無警戒な女性がいた場合、男性の方は相手が気を許したと勘違いして、より馴れ馴れしい態度を取ってきたりする。しかし女性側からして見たらそういう気はないわけで、この男性に対して『馴れ馴れしい勘違い男』というレッテルを貼ってしまい二人の関係はすれ違ったまま破綻してしまう事になる。だから、自分のためにも相手のためにもパーソナルスペースを守る事は大事なんだ。分かった?」

 

「う、うん。……多分」

 

「とりあえず慣れるまでは自分の手の届く範囲に異性が入らないようにしたらいいんじゃないかな。もちろんバトル中や、医療行為、街中、道ですれ違う時、公共交通機関に乗ってる時なんかは別だよ? フェイトに対してコミュニケーションを取ろうとした相手に対して気にすればいい。ただしそれはパーソナルスペースの話であって、理由もなく、ここ重要だから2回言うけど、理由もなく肉体的接触をして来ようとする相手からは逃げるか撃退するように。それは痴漢か変態か、とりあえずいかがわしい目的を持ってるから」

 

「えっと、じゃあさっきのハグはいいって事、だよね?」

 

「いや、アウトだ。あれは昨日するはずだったアルフの説教の効果を試そうと思ってした事で、交渉事でも軽々しく肉体的接触を許容しては駄目だ。いいかい? どんなに気心が知れた間柄でも、フェイトが恋人になりたい、結婚したいと思う相手以外には体を許しちゃいけない。そうしないといざという時に必ず後悔するからね」

 

「分かった」

 

 実際は半分も分かってないだろうけど、とりあえず何をしては駄目かは覚えてくれたみたいだな。

 

「よし、じゃあそろそろ本題に入ろうか」

 

「っ、うん」

 

 フェイトの表情が引き締まる。

 

「改めて言うけど、僕は僕の幸せのためにプレシアの研究、つまりアリシア復活とフェイトが幸せになる手伝いがしたい。プレシアの目的はアリシアの復活だから問題ないけど、フェイトが目指す幸せの形をフェイトの口から聞かせてもらえるかな」

 

 フェイトは一度深く息を吐いてから

 

「私はアリシアのクローンかもしれないけど、それでも母さんの娘で、アリシアの妹だから、私が二人を守りたい。アリシアを生き返らせて「お姉ちゃん」て呼びたい。母さんに昔みたいにまた笑って欲しい。その輪の中に入って私も一緒に笑いたい」

 

 言い切ったフェイトの瞳には強い意思の光りが見て取れた。

 

「それがフェイトの幸せの形なんだね?」

 

「うん」

 

「そう。じゃあ、目的は二つ。アリシアの復活と、プレシアにフェイトを受け入れてもらうこと。そのための手段は考えてあるけど、フェイトの協力が不可欠なんだ。やってくれるかい?」

 

「うん。それが母さんとアリシア、私自身のためでもあるから」

 

「よし、いい答えだ。フェイトにお願いしたい事は3つある。 まず1つ目、プレシアに僕を引き合わせてもらう。これは事実をそのまま伝えれば問題ない。フェイトが地球に来た時には既にジュエルシードは全て集められてしまっていて、その大半を手中に収めた組織が交渉を持ちかけてきたとでも言ってもらえればいい。 次に2つ目、交渉の際に一緒にプレシアを説得してもらう。と言っても、さっきみたいに思ってる事を素直に伝えればいいだけだ。気を付けるポイントはもしプレシアに拒絶されても絶対に引き下がらないこと。大事なのは不屈の心。絶対に自分の夢を叶えるんだって言う強い想いが大切だ。 最後3つ目は、僕の考えが正しければプレシアとの交渉が上手く行った後に武力行使が必要なミッションが発生するからその時は力を貸して欲しい。ここまではいい?」

 

「うん、分かった」

 

 フェイトは力強く頷き、「不屈の心」「絶対に夢を叶える」など確認するように呟いている。

 

 その様子に笑みを浮かべてから、視線を写す。

 

「アルフにもお願いが」

 

「なんだい?」

 

「まずプレシアの見方を変えて欲しい」

 

「小難しいのは苦手だよ。分かり易く言いな」

 

「プレシアはSSランクの大魔導師だけど、その実やってる事は自分の我儘が通らないからって癇癪を起して周りに当たり散らしてる子供と一緒なんだ」

 

「はっ、あの鬼婆がガキだってのかい?」

 

「そうさ。寂しさを我慢して頑張り続けるフェイトよりずっと子供なんだ。だからプレシアには受け入れてもらうって言う下手なスタンスじゃなくて、こっちから受け入れてあげるって言う上から目線のスタンスで接しないと駄目なんだ」

 

「なんだいそりゃあ」

 

「倫理観や常識、他人の迷惑も顧みず、自分の我儘な目的のために脇目も振らずひたすら突き進む人なんだよ。子供っぽいでしょ?」

 

「フェイトにした事は許せないけど、そう言われると何か力が抜けるね」

 

「アリシアが復活したら、プレシアがしてきた事をアリシアに暴露して説教してもらおうと思ってるんだけど、それを手伝ってくれない?」

 

「お、それはいいね。フェイトにした悪行の数々残らず暴露してやるよ」

 

「ア、アルフ」

 

「いいんだよ、フェイト。親だからって何しても許されるってわけじゃないんだ。反省する所はしっかりと反省してもらわないと」

 

「で、でも……」

 

 オロオロするフェイトにはさっきまでの覇気が見る影もない。

 

「それに詳しくは知らないけど時空管理局の法律に触れる事けっこうやってるでしょ。逮捕させる気はサラサラないけど、アリシアとフェイトの教育上誰かが叱ってやらないと示しがつかないと思うんだ」

 

「そう、なのかな」

 

「そうそう」

 

 ま、それもフェイトに話しちゃってる時点で失敗なんだけどね。

 

「させと、あと確認しとくのはプレシアに取り次いでもらうタイミングだけど、フェイトが報告に戻る日取りとかってあるのかな?」

 

「うん、明後日に一度戻る事になってるよ」

 

「明後日ね。時間は?」

 

「お昼過ぎに」

 

「了解。じゃあ昼前に迎えに来るから外でランチでも食べて、ついでにプレシアにお土産でも買ってから向かおうか」

 

「分かった」

 

 アルフはお肉一択だろうからランチはファミレスか洋食屋さんだな。

 

 お土産は……やっぱりベタに翠屋でしょ。

 

 平日だからなのはちゃん達に会うなんてアクシデントもないだろうし。

 

 僕の学校はいいのかって?

 

 明日届け出を出して、しばらくお休みする予定です。

 

 学校側は家庭の事情で通るだろうし、園長先生の説得は考えてある。

 

 プレシアとの交渉次第だけど、成功したら色々やらなくちゃいけない事が出てくるからね。

 

 プレシアやフェイトだけでなく、僕やはやてにとってもここが正念場だから気合入れて頑張らないと。

 




今回はキリが良かったのでちょっと短めでした。
次回はいよいよプレシアさんとご対面。
なんですが、先にお断りを入れさせていただきますと、ジュエルシードはご都合主義で使われます。
ただし、アリシア復活にではありません。
神様転生のタグが入っているからには、そこには転生特典があるわけで、主人公にその記憶がなくても関係ありません。
レアスキルとリンカーコア、デバイスがいい証拠です。
という言い訳を残して、後書きはこの辺で。
皆さま、良いお年を。

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