新訳のび太のバイオハザード ~over time in Gensokyo~ 作:たい焼き
のび太は鈴仙と二人で魔法の森と呼ばれる場所を目指して歩いていた。右手には大きなカバンを持っている。目的は無縁塚に流れ着いた外の世界の道具を主に扱っている古道具店『香霖堂』で買い物をするためだ。
現在結界で隔離しているすすきヶ原の中で行動するにはどうしても武器が足りなかった。のび太が現在持っている銃は汎用性は高いがどうしても火力や制圧力が足りなかった。
また目的の一つとして、鈴仙に合う武器を手に入れる必要もあった。もし自分があの街の中で核の封印に失敗して中のゾンビやB.O.Wが外に出て来たとき、自分以外にも戦える戦力が欲しかったからだ。
人間の里から魔法の森への道のりは幻想郷では比較的マシな部類に入る。もちろん、外の世界のようにアスファルトで舗装されているわけではないが、他の場所に比べれば通いやすい。
「ここですよ。」
しばらく歩き続けると香霖堂が見えてきた。看板も出ていて普通の店のように見えるが、店の周りには、拾ってきたと思われる品々が無造作に置いてあった。幻想郷の住民からしてみれば未知で興味深い物だが、のび太にとっては逆に全てがありふれていて懐かしい物だった。
のび太は無邪気な子どもの頃を思い出しながら鈴仙に続いて香霖堂の中に入った。
中には何千年前の貴重な品物から割と最近の道具まで、人間用・妖怪用問わずありとあらゆる道具を取り扱っていた。「幻想郷縁起」でもこのような店は幻想郷では唯一であるとされている。店主は森近霖之助という名前で商店を開く店主でありながら、蒐集家でもあるそうだ。陳列されている商品はどれも値札が付けられていなかった。
「やあ、いらっしゃい。」
店の奥、椅子に座って本を読んでいる者がこちらに気が付いて声をかけてきた。穏やかな好青年のように見える。恐らく彼がこの店の店主だろう。
「貴方がここの店主の霖之助さんですか?」
「ああそうだが、君は?」
「僕はワイリーと言います。早速ですが、単刀直入にこちらの用件を伝えます。」
一秒たりとも無駄にしたくなかった。それ故に必要最低限の言葉で自分の考えを伝える。
「この店にある外の世界の銃器、弾薬を全て買いたい。」
しばらくの間、店主は考え込んだ。だが返って来た答えは・・・
「悪いけど、銃器や弾薬を売るつもりはないよ。使えるもの自体がそこまで多くないんだ。珍しい物を手放したくないしね。」
幻想郷縁起に書かれていた通りだった。蒐集家でもある霖之助は、気に入った商品を非売品が非常に多い。陳列してある商品に値段が設定されていないのが証拠である。おそらくこの店も、より多くの珍品に出会うことが目的で開いているのだろう。魔理沙が、
「勝手に持っていったりしてもあまり気にしていないようだぜ。」
と言っていたのも裏付けられる。
「それでは、どうすれば売ってくれますか?」
だがのび太も幻想郷を救うために諦められない。直後、霖之助が一つ取引を持ちかけた。
「なら、君が持っている何か珍しい物を見せてくれ。それと交換という形にしよう。」
至極簡単なことだった。こちらの珍品と向こうの銃器を交換しようということだ。余りにも簡単だ条件にのび太は微小する。
「ワイリーさん。何か珍しい物を持っているんですか?」
今までそんな物を見せて貰ったこともない鈴仙は驚くしかできなかった。ひみつ道具かと思ったが、あれは実物が一つもない。
のび太はカバンからある物を取り出す。机の上に置かれたそれは、ゴトッという重たそうな音を立てた。のび太はサッカーボールとほぼ同じ大きさのそれに被せてある布を取り払う。布が取り払われた瞬間、今まで貯めこまれていた光が一気に放出され、薄暗い店内を明るく照らした。
「綺麗・・・」
鈴仙はその光に目と心を奪われていた。それの中に入った光がその中で反射を繰り返し、プリズム効果によって虹色となった光は見事としか言えない。
「ダイヤモンド、この世界では金剛石といった方がいいでしょうか?」
「なるほど、これほど大きな金剛石は見たことがない。」
幻想郷は元々日本の某所にあった辺境の地で、そこを博麗大結界を始めとした結界で隔離した地だ。
ダイヤの性質上、日本にダイヤは殆ど埋蔵していなかった。そのため、幻想郷や過去の日本では、一生に一度見た者の方が圧倒的に少なかったのではないだろうか。
「これで銃器や弾薬の交換の件を了承して頂けないでしょうか?」
のび太は元々このダイヤを始め、様々な宝石を世界征服の資金として使っていた。最も、この世界に来た以上、のび太にとっての価値はないに等しかった。
「・・・ふぅ、分かった。銃も弾幕も全部持って行っていいよ。だけど、その金剛石は受け取れない。見れただけで十分さ。」
あのダイヤを霖之助が買おうとしたら、のび太達が欲しがっている銃器や弾薬、それに店の全ての商品を積み上げても買えないからだ。
「ありがとうございます。」
「それに、僕の集めた銃を異変解決に使ってくれれば僕も満足さ。」
霖之助は立ち上がり、店の倉庫ではなく、地下へと続く隠し通路の扉を封印を解く。
「着いてきてくれ。」
のび太達は霖之助の後に続いて降りて行き、店の中から人の気配が消えた。
階段を降りて地下室の中に入るとそこは、店に直接置くには危険過ぎる物が保管されている場所だった。霖之助について行くまま、赤い扉の中の部屋が銃器が保管されている場所だ。
もちろん銃や弾薬もある。銃砲店のように壁に飾られ、近くにはひと通りの道具が揃えられた作業台もあった。何故か、可愛らしいクマのぬいぐるみとマシンガンが組み合わされた物が置いてあった。クマの額に巻かれたバンダナがトレードマークだ。
何故こんな所にクマのぬいぐるみがあるのか?何故マシンガンを持っているのか?など、色々な疑問が出てくるが、今はそれよりも銃を譲り受けるべきだと思う。
「ワイリーさん。これなんてどうでしょうか?ゾンビも一撃ですよきっと。」
鈴仙がそう言って見せてきたのは、身長の半分はあろうかと思えるアンチマテリアルライフル『Barrett M82』だった。昔は対戦車ライフルと呼ばれ、戦車の装甲も貫くそれは確かにゾンビは一撃だろうが、10kgを超えるそれは取り回しも悪い。
「研究施設に侵入するまでは使えると思いますが、それ以降はかなり荷物になると思いますよ。」
屋外では圧倒的な攻撃力と射程距離で比類無き強さなのだろうが、屋内に入ってしまえば取り回しの悪さが仇となる。
欲しいのはもっと制圧能力が高い物や、一発で敵に致命傷を与えられる物、例えばショットガンやマグナムといった物が欲しい。
のび太が銃を漁っていると、棚からある銃が目に入った。昔、のび太達が街から脱出したときジャイアンが使っていた銃、デザートイーグル.50AEだ。これを手にしたジャイアンは坑道や研究施設の中にいたB.O.Wの山を一掃し、B.O.Wの巣窟に放り込まれた時も生き残り、一人で第3次世界大戦を起こせるんじゃないかと僕らに思わせた。あの時はどっちが化け物かわからなかった。
(これを持っているだけでジャイアンみたいに強くなれる気がするよ)
のび太は、デザートイーグルの状態を確認する。動作に問題がなく、弾も十分にあった。そして近くにあった射撃用の的を目掛けて、引き金を引いた。
ドォン!!
若干重くて鈍い音が倉庫の中に響いた。50口径のマグナム弾が撃ち込まれた的は、中心を撃ち抜かれたうえ、全体に亀裂が走りもう使えないだろう。
(子どもが撃つと肩が外れるって聞いたけど、問題ないな。)
確かに子どもや非力な者が撃つと肩が外れることがあるが、それは射撃姿勢や扱い方の影響が大きい。姿勢を崩すと腕力が強くてもバランスを崩しやすく事故の原因となるが、逆に非力な人物でも正しい姿勢ならば、デザートイーグルを撃つことは可能である。
のび太は試し撃ちが終わったデザートイーグルを自分の目元に近づける。すると、グリップの部分に何かが書いてあった。確認すると『Leon Scott Kennedy』と刻まれていた。
(少しの間借りますよLeonさん)
のび太はその人物と面識はなかったが、銃自体が綺麗に整備されている所を見ると、この銃がどれだけ大切に使われていたか分かる。
「何ですか今の音は!?」
デザートイーグルの発砲音が気になった鈴仙が、のび太の元に駆けつけてきた。右手には先程のBarrett M82、左手にL96A1を50口径仕様に再設計した対物狙撃銃『アキュラシーインターナショナル AW50』背中にミニミ軽機関銃を持って来た。
「・・・鈴仙さん、それ全部を本当に持ち込む気ですか?」
「え?何かいけないんですか?」
どうやら鈴仙には、銃の選出を基本から教えなければいけないようだ。
結局、鈴仙の装備基本は『Beretta 82』と『M1911 コルト・ガバメント』の9mmパラベラム仕様。補助に『Barrett M82』を持たせた。前者の二つで十分なのだが、鈴仙がどうしてもと聞かなかった。まあ無いに越したことはない。
一方のび太は先程のデザートイーグル.50AEとGlock17、フルオート射撃が可能なU.S. AS12を持った。散弾銃は他にもレミントンM870やウィンチェスターシリーズ、ベネリM3等といったショットガンもあったが、のび太がこれを選んだのにも理由がある。この銃はドラムマガジンを使うことで、20発の12ケージ弾を一度に装填出来るため、ショットガンの中でも装弾数が多い。
そのため弾を込める回数が減り、隙が減るのだ。
しかし、それでもこの銃をフルオートで撃った時の反動は大きいので隙が生まれやすい。よっぽどのことが無ければフルオートで撃つのは避けた方がいいだろう。
また、のび太と鈴仙が選んだハンドガンはどれも9mmパラベラム弾を使用するハンドガンだ。9mmパラベラム弾は最も多く使われている弾薬で、霖之助の武器庫の中にも1000発以上あるらしい。使う弾を共有した方が、片方が使い切ってしまった時にもう片方の弾薬を使ってカバー出来るようになった。
そして、弾薬が無くなった時の補助としてコンバットナイフを使うことにした。あくまで補助のため、のび太がプロと同じようには使えない。だが無いよりはマシだった。
「決まったかい?」
今までのび太と鈴仙の様子を見守っていた霖之助が立ち上がってこちらに声をかけてきた。
「はい。でもこんなにたくさんの武器を本当に無料で譲っていいんですか?」
現代では100万はくだらない程をただで譲ってくれると言うのだ。無理もない。
「いいんだ。あの金剛石をお目にかかれただけでも満足さ。」
「そうですか。ありがとうございます。」
「あと、これは個人的なお願いなんだが・・・幻想郷を守ってくれ。」
「わかっていますよ。そのためにここに来たんだ。」
「頼む。この幻想郷が嫌いな奴なんていないさ。」
のび太は必ず幻想郷を救うという約束をして香霖堂を後にした。
日も暮れ、暗闇の中に沈んだ幻想郷を歩く人影が二つ。どちらも銃で武装しているため、事情を知らない者にとっては危険な存在でしかない。
腰にハンドガンを何丁も差し、背中にショットガンや対物ライフルを背負った二人は、戦争でも起こせるのではないかと思わせる。
「これだけあればなんとか持つかな。」
譲り受けた銃器に使う弾薬も十分確保出来た。具体的にはハンドガン用の弾薬は200発以上、12ケージ弾が60発、.50AE弾と12.7x99mmNATO弾が50発だ。どうやって霖之助一人でここまでの武器弾薬を集めたのか気になるところだが、これがなければ異変の元を封印することは出来ても、根本的に解決することは出来なかっただろう。
「早速明日あの街に突入しましょうよ。この銃の試し撃ちがしたいです。」
「え?まだ突入しませんよ?もっと他の皆さんと綿密に計画を練らないと・・・」
「そうですか?ワイリーさんのことだからこういう時は誰よりも先に行動すると思ったのですが。」
「強ち間違っていませんよ。昔の僕だったらそうでした。」
のび太は微小しながら、もしかしたら最後になるかもしれない鈴仙との会話を楽しみながら帰るべき場所に帰っていった。
翌日
夜が明けかけている頃、のび太は結界によって隔離されたすすきヶ原の入り口の前まで来ていた。この時期は冷え込みも激しいため、人が活動し始める時間も普段と比べ少し遅い。のび太が他の者達に気が付かれずに行動するのには最適だった。
「早かったわね。」
入り口の前には結界の防衛と管理をしている紫と霊夢が既に待機していた。前日にのび太がこの時間に突入することを予め連絡しておいたのだ。
「他の人に気づかれる前に作戦を開始したいですから。」
この作戦を知っている者はレミリアや永琳等、各勢力のトップとも言える人物だ。のび太が一人で突入するという危険な作戦を許可されたのは各勢力のトップ達を一人ずつ説得したためである。
「はいこれ。これを使えばこっちと連絡が取れるわ。」
霊夢から渡された物は紅白の陰陽玉だった。霊夢達が間欠泉を止めるために地底に突入したさいに使用した物と同じ物である。
「死ぬんじゃないわよ。あんたが死んだらその後で私が解決しても後味が悪いからね。」
霊夢は陰陽玉と同時に想いをのび太に託す。のび太もその想いに答えるように・・・
「霊夢さんこそ、ゆっくりと縁側でお茶でも飲んでいてくださいよ。」
「こいつ!!生意気言ってくれるわね。」
霊夢ものび太も冗談を言い合って緊張が適度にほぐれたようだ。
「・・・そろそろいいかしら。」
紫がいつの間にかスキマを開いていた。
「本当に貴方一人で行くのね?」
「ええ、この中は慣れた人が行くのが一番いい。」
そう言い残し、のび太は不気味なスキマの中へと姿を消した。
(人が人を殺す瞬間。それは最も人に見せてはいけない光景の一つだ。)
暗いスキマの中からすすきヶ原に向かって一歩ずつ歩いているのび太は心の中で思っていた。
外の世界の不始末を外の人間の手で片付けるというのも目的の一つだが、弾幕ごっこの中で人を殺したこともない純粋な彼女達を人殺しにすることだけは避けたかった。
だからこそのび太はあえて一人で街に突入する道を選んだ。例え限りなく生存確率が低かったとしても。
「さぁて、もう一度地獄に向かうか。」
のび太は地獄の中を歩く速度を上げる。だがそれによって自分に近づいてくる足音を聞きそびれてしまった。
皆さんこんにちは。こんばんわ。
前回はテスト週間のため、執筆出来ませんでしたが、今回は別の理由で少々遅くなりました。
知っているかもしれませんが、短編小説を書いていました。出来はいいとは言えませんが、暇があれば読んで頂きたいです。
さて、私にしてみればあと二日で何ヶ月も待ったゲームが発売されるので気分が有頂天に達しています。
そうです。機動戦士ガンダム外伝シリーズがPS3で蘇るわけです。
残念ながら、オンライン対戦等に対応していないようですが、その前に発売されているEXVSFBも持っているので、対戦出来る方でも募集しようかなと思っています。
てか後書きってこんなんでいいのかな?小説に関係ないし、半分以上ガンダムだし。