新訳のび太のバイオハザード ~over time in Gensokyo~ 作:たい焼き
校門から校庭に入り広い校庭の中を駆け抜ける二つの影、のび太と鈴仙はなんとかゾンビが集まる前に校舎の中に入りたかった。
いつ、学校の周辺にいるゾンビ達がこちらに気づいて学校に押し寄せて来るかわからなかったからだ。
案の定こちらに気づいて走って来る影が三つあった。しかしその影は普通の人のゾンビに比べてかなり小さかった。
「グルルル・・・」
眼球が骸骨から溢れ、何かに喰われたのか肉が削ぎ取られて肋骨や内蔵の一部が見えていて普通ならば死んでいるような状態にも関わらず、生きている時よりも素早い動きでのび太達に飛びかかる。
間一髪で避けたのび太と鈴仙は襲い掛かって来た影、ゾンビ犬と対峙した。
「犬がT-ウイルスで変異したタイプの物だ。通称ケルベロス。素早い動きに注意してください。」
のび太が鈴仙に敵の情報を要点だけ絞って鈴仙に情報を与える。
「とりあえず・・・撃つ!!」
鈴仙は目標の弱点である頭部に銃口を向け、引き金を引く。何者にも邪魔されずに直線に飛ぶ弾丸は正確に標的の頭を撃ち抜く・・・はずだった。
サッ
ケルベロスは動物的な直感か本能なのか、危険を察知して横に飛んで回避する。死んでゾンビになって鈍くなるどころか動きがさらに洗礼されて見事な物になっていた。
「普通に撃っても当たらないわね。」
あくまでも冷静に、決して動揺はしていない。カウンターに飛びかかってきたケルベロスを最小の動きで避け、逆に肘打ちでケルベロスを殴る。空中に浮いた状態で強い衝撃を受けたケルベロスは衝撃を軽減することが出来ず、吹き飛ぶ。その隙を見逃さず鈴仙がすぐに振り向き、銃弾を数発撃ちこむ。
悲鳴にも近いケルベロスの断末魔がその命の終わりを告げた。痙攣しているが、すぐに動かなくなるだろう。
一方のび太は自分に狙いを定めた二匹のケルベロスと対峙していた。その内の一体が飛びかかるが、そんな単調な攻撃がこの死地を生き残ったのび太に通じるわけもなく見事に見切り、屈んで回避する。しかしその回避動作の後こそが最大の隙になる。その隙に合わせてもう一匹のケルベロスが跳びかかってきた。
回避が不可能と悟ったのび太は、思い切った行動に出る。跳びかかってきたケルベロスの口の中に自ら銃を持った腕を突っ込む。
いきなり腕のような太い物を突っ込まれてそのまま腕を噛み千切るという反応が出来ないケルベロスはそのままグロックの引き金を引かれ、後頭部に大きな風穴を開けられた。もちろん即死である。のび太は自分の腕を咥えたまま死んでしまったケルベロスをもう一匹のケルベロスに投げつける。飛んできた死体を回避する生き残ったケルベロスだが、空中に体を浮かせ、隙だらけになった状態をのび太が見逃すわけもなく・・・
タタタン!!
三発の銃弾が体にめり込んだ時の衝撃でケルベロスが吹っ飛び、壁に激突する。
ケルベロスは壁に激突し、血飛沫によって壁に赤色の花が咲いた。絶命したケルベロスは力無く壁からずり落ち、やがて動かなくなった。
「よし、片付いたな。」
ホルスターに銃を収めたのび太は辺りを見渡して確認する。敵が居ないことを確認してから校舎に近づく。校舎のドアは鍵と下駄箱等で破られないように封鎖されていたことを思い出した。のび太はあの頃の事を思い出しながら、中に入れる場所を探す。会議室の窓の一つに鍵がかかっていないことを思い出したのび太はその場所の窓を開け、中に入る。鈴仙も後ろを警戒しながら中に入った。
会議室の中に居たゾンビはのび太が既に始末していたため安全が確保されていた。
のび太は休む間もなく会議室から廊下に出る。そこは静か過ぎて逆に不気味で、子どもが見たら間違いなく幽霊が出る等話を盛って学校の七不思議の一つにされるような様子だった。
とりあえずゾンビ達の気配は感じられないため、この学校の中でも安全だと思われる保健室へ向かった。のび太達が保健室の中に入っていくのを見ている影が一つあったのをのび太達が気が付かなかった。
保健室の中はあの時と寸分の狂いもなかった。ジャイアン達が集めて保管していた食料や弾薬等の物資も何もかもそのままで残っていた。
のび太は保健室の中を見渡した。脱出した時置いてきてしまった金田の事が気がかりだったが、金田が居た場所に血痕も抵抗した跡も無かった。おそらく僕らが脱出した後に呼んだ救助隊に救助して貰ったのだろう。
(とりあえず心残りが一つ消えたな。)
のび太は陰陽玉を取り出して結界の外に居るにとり達に連絡する。
「にとりさん。そっちのカメラで生存者は見当たりませんか?」
しばらくして陰陽玉を通して返事が返ってきた。
「んー・・・。今の所見かけていないけど・・・ちょっと待って。」
にとりが何かを見つけたのか、顔が険しくなった。
「見つけたよ。大きなピアノがある部屋に人影が二つ。だいぶ血を流しているからゾンビに噛まれたか怪我をしたんじゃないかな?」
にとりがカメラ越しで見た映像では、負傷した二人が壁にもたれ掛かっていた。床に小さな血溜まりが出来ていてかなりの重症だと思われる。
「それなら、早く行かないと!!」
血を大量に流しているということは、傷が大きい上に時間が経っているということだ。早く行かないと手遅れになる可能性もある。
「確かピアノがあるのは別棟の二階の音楽室だったはず。早く行きましょう。」
二人はそばに置いてある救急箱を手に取り保健室を出ようとするが、それよりも少し早く誰かが保健室の扉を開いた。その人物は何かが中に居たのにのび太達よりも一瞬早く気が付き、扉を半開きにしたままその場から走り去った。
「!?待って。」
鈴仙が引きとめようとした時には既に曲がり角を曲がっていて服の一部しか見えなかった。分かったことはその人物がまだ感染せずに生きていることと、赤い服装をしているということだけだ。
「急いで追いかけましょう。」
彼女がここに入ろうとしていたということは、何かを求めていたのだろう。のび太の予想が正しければ彼女は傷を負って動けない者達の代わりに医療器具を探しに来て、のび太達をゾンビと勘違いして急いで走り去ったというわけだ。
人とゾンビを見間違えるというのはこんな状況じゃありえなくもないが、それは冷静な判断が出来ないくらいパニックになっているということだ。そんな状況でゾンビが接近するまで気が付かず、命を落とした人の話を聞いたことがある。
案の定、二階に上がってすぐの曲がり角でゾンビ二体と鉢合わせしていた。
「やっぱりか!!鈴仙さんは左を、僕は右を。」
「分かったわ。」
のび太と鈴仙はほぼ同時に床を蹴り、ゾンビに急接近する。
「そこの君!!伏せろ!!」
のび太の声が届いたのか、その少女が目を瞑ってその場に屈んだ。射線が確保され、そこからゾンビに向かって飛び込んだ二発の銃弾が二体のゾンビの額を正確に撃ち抜いた。
力無く倒れたゾンビが動かないことを確認したのび太が今さっき助けた少女に声をかける。
「大丈夫かい?」
のび太が優しく声をかけたが返事は返ってこなかった。少女は何か怯えているかのように震えていた。
「もう大丈夫よ。」
死体を少女の見えない位置まで運んだ鈴仙が戻って来た。
「・・・あれ?あいつらは?」
少女は我に返って辺りを見渡してのび太達に聞いた。
「僕達が退治しました。貴方、お名前は?」
「私?私はリリカ。リリカ・プリズムリバーよ。ってこんなことしてる場合じゃなかった!!」
リリカは慌てて立ち上がってどこかへ走り去ろうとする。
「どちらへ?」
「ルナ姉が怪我をしたんだ。早く手当しないと。」
リリカは元来た道を戻ろうとするが、それを鈴仙が止める。
「待ちなさい。私達はそのために貴方を追って来たのよ。」
「え?どうして姉さん達の怪我を知っていたの?」
「そんなことより、早く行かないと手遅れになるわよ。」
リリカは足を止めて理由を聞くが、返事は返って来ない。答えを返す時間も惜しかったのだろう。
「そうだった。こっちだよ。」
のび太達はけが人のところまで案内してくれるというリリカの後をついていった。失われそうになっている命を救いに・・・
血が一滴、また一滴と滴り落ちるのはこれで何度目だろうか?血の滴はいつの間にか池を作っていた。血が一滴体から抜ける度に意識が遠退いていくのが感じられた。
「姉さん。しっかりして!!」
妹の私を呼ぶ声が聞こえるけど、意識がなくなってきていて何も考えられなくなって来ているのがわかった。
こういう死が直前まで近づいている時はよくやり残したことや昔の思い出が頭の中で思い出されるっていうけど、今の私の頭の中でそれと同じことが起きていた。
もう一度妹達三人揃って演奏したい、もっと妹達と暮らしたい等、考えれば考える程自分の欲が次々と出て来た。
そんなことを考えていると、部屋の入り口辺りが騒がしくなる。私に噛み付いてきた奴らが私達を食い殺そうと木製のドアを叩いているのだろう。今にもドアが破られそうだった。
だけど、そいつらは部屋に入ってくることはなかった。何かが放たれるような音と大きな物が倒れた時になるような音の二種類の音がなった後すぐに静かになったからだ。
静かになったが、間もなくドアが開かれる。人影が三つ。一つには見覚えがあった。
(リリカ?よかった。無事だったのね。)
他の二つの人影には見覚えがなかったが、その人の顔を確認する前に意識が飛びそうになる。
やがて人影が一つ近づいてきた。何か話しているようだけど、よく聞こえなかった。
「やはり感染しているか・・・」
目の前にいる少女の様子を確認してのび太がそう呟いた。腕と肩の二箇所に歯型が付いており、そこから血が止まることなく少しずつ流れていた。
「あの・・・感染って・・・?」
無事だった三姉妹の次女メルランが気になって負傷している長女のルナサの現在の状態について聞いてきた。
「彼らをこんな風にした病気ですよ。」
「ってことは姉さんは・・・」
「放っておけば彼らと同じになります。」
メルランもリリカも絶句した。昨日までいつも通り、何事もなく過ごしてきた日常が突然崩壊するのだ。
「ですが、ちゃんと特効薬もあるので安心してください。」
のび太は予め持ってきていたデイライトをルナサに注射した。それと同時にルナサの何かに耐えているような様子がなくなり、落ち着いた顔付きに戻った。
「後は傷の手当だな。」
のび太は何度も行って慣れたのか、手際よく傷の処置をしていく。
「ってことは、これで姉さんは助かるのね!!」
「はい。ですがここでは危険ですので一旦保健室に戻りましょう。」
「そう・・・ですね・・・」
のび太やプリズムリバー姉妹が振り向くと、既に意識が回復して立ち上がろうとしているルナサの姿があった。しかし意識が朦朧としているためかふらついており、足元が安定していなかった。
そうしている間にもバランスを崩して倒れそうになった。
「おっと。」
のび太は倒れかかっていたルナサを支えるために肩に寄り添った。
「大丈夫ですか?」
「は、はい。」
ルナサの顔がほんの少し赤くなったのを外でゾンビ達の襲来を警戒していた鈴仙が気がついた。
「早く行きましょうよ。いつこっちに来てもおかしくないですよ!!」
「鈴仙さんは二人を連れて先に行ってください。僕はルナサさんを連れて後から行きます。」
「で、でも・・・分かりました。二人共、ついてきて。」
鈴仙が先導してその後にメルランとリリカが続いた。
(流石に私以外の人と仲良くしてるのが気に入らないなんて言えないわよね。)
鈴仙達が保健室へと向かって立ち去って、二人きりになった音楽室でのび太がルナサの怪我の様子を確認しながら教室の外に出る。
「さて、そろそろ行きますか。」
のび太が片手にハンドガンを持って構えて、ルナサがのび太の後ろに隠れながらついていく形で死者が徘徊する学校内を歩いて行った。
ルナサは俺の嫁!!
おっと、後書きか。
次回作の投票では現在ドラゴンボールが優勢かな。お前らドラゴンボール好きだな。なんだ?パズドラの影響か?俺はトランクスしか出ねぇんだよ!!ド畜生が!!
後こんなこと言うのも難だけど、ガンダムにも票を入れて欲しいな。
この作品の最終話まで受け付けているから、どんどん(ガンダムに)票を入れてくれよ。
それじゃ最後に
ルナサは俺の嫁だ。異論があったら戦争な。