ソラール提督がいく(改修中)   作:タータ/タンタル

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まるゆは癒し




ほっぽちゃんも癒し


決してロリコンじゃないんだからね
ながもんも癒しだからね!


第九話

「…そうか。こっちはまぁまぁだ」

「ありがとう。これで計画も上々だ」

「全く。よく言えるよ」

「まぁね。所詮は老いぼれだからなぁ」

 

ーーーーー

 

「ふと気になったのだが、日本以外の国って今もあるのか?」

太陽のタリスマンを興味深々で見つめている北方棲姫に声をかける。

あれから、何故かこちらに来た北方棲姫であるが、半地下室に住み着いている。一応機密事項であるのだが、総司令官が寄越したそうだ。

「うむ、日本ほど被害を受けてないと思うぞ。だけどもハワイ諸島なんかの諸島みたいなのは全滅だろうな。あとどの国も沿岸部なんかは特にね」

北方棲姫は、安楽椅子に足を組みながら座り、広げてあった新聞の上にタリスマンを置き、熱々のコーヒーを啜っている。

「船で輸送するのに大艦隊で護衛しなければならないし、空輸するにも燃料が高く付くし、対空特化の深海棲艦に墜とされたら笑えないし、相当難しいと思うよ。まぁ、私達の登場での恩恵もあるみたいだし」

「例えば?」

「まず、この国に攻めてこられる国がなくなった。海に出れば我々に対応しなければならなくなったからな。余裕がなくなった」

「ある種の平和か」

「平和は争いの上澄みにある。有名な話さ。争いが無ければ平和もない。2つは同時に存在し得る。皮肉な物だ」

「じゃあ、上に戻るよ。何か必要だったら言ってね」

「了解。のんびりしているよ」

北方棲姫は太陽のタリスマンをソラールに返すと、そのまま新聞に目を落とした。

薄暗い部屋に並んだ本棚に囲まれている北方棲姫は、物凄い馴染んでいた。

 

ーーーーー

 

「うむ、これで良いか」

「はい。たぶん大丈夫だと思います」

「そうか。この量を掃除するのも大変だな」

「まぁ、私達三人しか居ないし妖精さんも戻ってきてるし、そこまで汚れて無かったね」

鎮守府の本館から工廠まで、全てを掃除した。

「さて、後はお出迎えの準備をしなければ」

「まるゆも頑張ります」

食堂の飾り付けに向かう。

 

食堂の大扉を開けると、

その先には、ダイニングテーブルに白いテーブルクロスが敷かれており、上にバゲットが置かれている。

そして、食堂から、何やら良い香りがする。

「……なんだこれ」

「すごいですね。ほっぽちゃん」

「私の趣味が料理で良かったな」

「ああ、ありがとう。これで後は」

「あわわ!提督。十分前です」

「了解。急いで着替えて、身嗜みを整えるぞ」

 

ーーーーー

 

慌てて下に降りていった二人を見送り、北方棲姫は半地下室に戻っていった。

「はぁ、本格的に隠れて生活しなければ。地下室的なのがあったかな」

本棚をひっくり返し、一つのファイルを取り出した。

『project dark』

ただそれだけが書かれた因縁の書物だ。

このファイルには計画の動機、構想からこの島の施設の綿密な地図まで全てが詰まっている。

「計画はこれにて完遂か…まさか、こうも上手くいくとは。さて、地下室はどこかにあるかな」

地図を開き、指でなぞっていく。

「…無いな。まぁ、ないなら作れば良いか。脱出用のエレベーターに当たらないようにしないとな」

地下の配管に気をつけながら、少しずつ案を練っていく。

大まかな設計図を作り、あの二人に確認するまで、とりあえず保留しておく。

「さすがにアイツらに勝てるとは思えないもんなぁ」

あの二人は明らかに土俵が違う。堅実にやるには遠距離からの砲撃ぐらいである。

だから、争いの火種になるような物は堅実に潰していかなければならない。

「全く、お偉いさんども。何を考えているのだ?あんな特別な存在なんて作って、量産でもする気か?」

あるいは…

いや

やめておこう。

 

ファイルを棚に戻し、回転させて隠した後に、表の本を取り出した。

『嵐の王‘白’』

そう書かれた黒塗りの本をテーブルに置き、コーヒーの準備をする。

フィルターに豆を入れるドリップ式だ。

「いつか、平和な海で」

 

沸いたお湯をフィルターに注ぐ。

とぽとぽと、お湯の流れる音とともに遠くから話し声が聞こえてきた。

どうやら、あの山道を登って来たらしい。

 

新しい風が吹くだろう。

 

きっと、同胞たちを救ってくれるだろう。

 

 

ーーーーー

 

「なぁ、提督、向こうの提督ってどんななんだ?」

「まるゆが秘書官らしいな」

「…まるゆがか?他に居ないのか?」

「どうも、そうらしい」

「そんな鎮守府に移動になったのか」

親指を上に立ててそのまま前に突き出す。

「そうだ」

「わぁ」

「だが、油断するなよ。装備が貧弱な奴ほど危ないんだ」

小さな漁船2つに自分の全艦隊が入るのだから、他人の事は言えないと、ひひひと笑う。

 

「で、えーと、長門さん?大和さん?武蔵さん?何を」

「何って、釣りだが?」

「釣りです」

「釣りだ」

「ちょっと、その、走行中はスクリューに絡まったら危ないし…というか釣りをしに来た訳じゃないでしょう」

「いや、釣りたくなるだろ」

「漁船ですし」

「向こうの人にお土産をだな」

「いや、お土産って、ここで釣った物をお土産とは言えないんじゃないかな?それに、海の上で止まる予定はないので諦めて下さい」

「そうか、どうしよう」

「向こうの鎮守府の波止場で釣りましょう」

「ああ、それしかないだろうな」

「向こうに着いたら、自分の部屋の整理と、島の地理を見て回るのが、今後の予定です。開くとしたら夕食後です」

「そうなるとお土産をどうしろと」

「私の釣具をお土産に」

「いや、私が替わりになってやる」

「…、お土産の方は提督が用意してありますから、要らないです」

 

「向こうに三人組を置いていって大丈夫だったか?」

「ダメでした。普段は私がボケ担当なのに」

「やめとけ、やめとけ」

「?」

「俺のストレスがマッハだ」

「音速に達したんですね。島風がいれば、羨ましがります」

「…、もう、突っ込まないからな」

「ほら、建物が見えて来ました」

「…」

頭をポリポリと掻く。

他の春雨はとてもおしとやかで健気なのに、この春雨はそれとは真逆を地でいくからとても不気味だ。

気にする事も無いし、同じ艦で性格まで同じだと、そちらの方が恐ろしいと感じるのだが。

「?長門、大和、武蔵どうした?」

「いやね、なんか雰囲気が」

「ちょっと悪いというか、深海棲艦みたいなよくない感じが。いや、深海棲艦とは違うんですけど、何というか」

「わ、私は怖く無いぞ」

「?塩サバを食べていたつもりだったのに、いつの間にか味噌サバを食べていたって感じ?」

「ああ!そうだそれそれ」

「そうです。そんな感じです。みたらし団子を頼んだのに出て来たのが味噌団子だったみたいな」

「わ、私は怖く無いぞ。コーンスープが味噌汁になっても」

「もう突っ込まないからな。まぁ、雰囲気としてはちょっとな」

とてつもなく感じる。欲だ。

欲に満ちたあの世界の記憶が呼び起こされる。

きっと、あそこに居るのは恐ろしい程欲が強い人間に違いない。

階段を登ってその顔を拝んでやろうと、足の動きが速くなる。

そして、本館の前の広場に差し掛かった時。

思わず声が出た。

 

ーーーーー

 

「Tシャツでいいのか?正装にした方がいいのでは?」

「相手も動きやすい服で来るでしょうし、ソラールさんのそれ、とても似合ってますよ」

「ああ、そうか。まぁ、俺の自作のホーリーシンボルだからな!」

ソラールのあのホーリーシンボルをプリントしたTシャツをお揃いで着ている。

 

そして階段を一番に登って来たのは、スキンヘッドの男だった。

 

「あ⁉︎」

「あ⁉︎お前は」

「ソラールさん、知り合いですか?」

「提督?どうした、前に進めないぞ」

「うん?…あ、ああ」

後ろが詰まってしまうので、そのまま流されるままに広場に並ぶ。

提督同士の間に何かがあると両艦隊が疑問に思い始める。

数々の視線がぶつかる中、二人の提督が並ぶ。

「え、ええと。パッチ提督、ですか?」

「ああ、八提督、愛称がパッチだ」

「あ、ええと、ソラールです。よろしく」

「え、ええ」

二人は不器用に握手する。

ますます奇妙な目で見る艦娘達。

「ああ、歓迎の言葉みたいなの言った方がいいよね」

「え⁈あ、はい」

急に質問が飛んできてまるゆが驚いた。

「えーえ。ごほん。お、私はソラールです。提督ですね。ええと艦隊っていうかまるゆだけなんだけど…まぁ、頑張ってます。ええと、ここの施設で何か質問があれば随時聞きに来てくれて構わない。まぁ、見ての通り変わり者だが、ハハハハハハ」

「んじゃあ各自、予め渡してた部屋割り通りに部屋に入って、整理するんだな。終わったら…ええとお昼だっけ?」

「ああ、そうだ」

「食堂に向かえ。そしたら施設を見て回るからな。ソラール提督。その時は頼む」

「ああ、了解している」

 

ーーーーー

 

「貴公の艦隊は結構いるな」

「いや、そっちが少ないんだろう。基本は攻略組、遠征組、居残り組に分かれるだろ。あとは資材集め組とか」

「そうなのか?基本は攻めて無かったからな。あ、まるゆから聞いたかな?」

「…まるゆから?」

「ああ、流れ着いたんだ。この島に」

「成る程、お前もか…」

「ふむ、意外と居るのかも知れないな」

 

「やっぱり、あの二人。知り合いなんじゃ」

「まるゆちゃんもやっぱりそう思うよね。でも、接点は無いはずなんだよ」

「はいはい、前世の恋人同士とか?」

「私は、前世の友人同士だと思います」

「私は…その、長門の意見だな」

「あなた方は多分外れているので天龍さんに聞いてみましょう」

春雨は三人組を置いておいて、天龍に話を振った。

ぶーぶーとブーイングが聞こえるが気にしない。

「あ⁈いま、チビ共と喋ってただろ。なんで急にふる」

「僕も気になります」

「夕立も気になるっぽい」

その他五人の駆逐艦達+αから見つめられ、少し引く。

頬をかきながら考える

「もしかして、スパイ的なサムシングというか、なんだろ。軍の秘密部隊のライバルとか」

あたふたしながら、手をバタバタさせ、なんとか手振りで教えよとするが、春雨から痛恨の一撃が

「ソラールさんは先月、提督になったばかりですし、聞くところによると海の上を漂流してたみたいですよ。あそこまで親しくなるのに時間がかかるんじゃあないですか?」

「あっ、それもそうだな。うん」

そのまま机に突っ伏して動かなくなってしまった。

 

ーーーーー

 

執務室にパッチが入って来た。

ソラールは既に提督机の前のソファに座っている。

「執務室が一つしかないのか」

頭をポリポリと掻きながらもう片方の手で顎を触り、唸りながら、ソラールの向かいに座る。

「それならまるまる使って構わない」

ソラールは立ち上がると、提督机の奥の窓を覗く。

「いや、そっちの指揮がって、そうか、まるゆちゃんだけなのか」

「ああ、基本はこの島の施設の管理と護衛を任されてるからな。近海に深海棲艦が出ないと使わないだろうし。それに使う前に倒せるからな」

「ああ、噂のまるゆちゃんだからな」

「いや、俺も一緒に出るぞ」

「?お前もか…、まさか、総司令官の秘蔵艦隊っておまえか?…いや艦隊ってことはお前みたいなよく分からないのがウヨウヨいるのか」

「それとは扱いが別みたいだが。それに船じゃないし」

「そうか、なら良かった」

パッチは、もう身内がいるのは懲り懲りだと言わんばかりのため息を付く。

「お、どうやら釣れた様だな」

「…ああ、あの三人組か…凄い不思議な組み合わせだろう」

「ああ、長門と大和、武蔵だったな。確か」

「そうだ。大和と武蔵は姉妹艦だが、それ以上の関わりは殆ど無い。結構、あの二人はギクシャクしてたんだ」

「…そうか。その間に長門が入ったと」

「驚いたよ。でも、そうだな。意味を見つけたよ」

「?」

「何で、艦娘…過去の艦の幽霊が人の形を取るのか。何故、深海棲艦は過去の艦や基地の亡霊と言うが、人の形を取るのか」

「成る程、まるで、神々の様だな」

「…そうか、お前聖職者…か?」

「難しいな。一応、太陽を信仰してるが、どうだか…あ!そうだ、確か、俺、崇められてたわ。死んだあと。神格化って言うんだっけ」

「…お前…そうか。うん」

「いやぁ、凄い驚いたね」

「…そうか。ああ、まぁ。よくやったな」

「ああ、きっとあいつがやったんだろう」

「ん?ああ、あいつか」

「ハハハ、太陽になるために禁忌に触れてみるものだな」

「お前…はぁ。欲が少ないな」

呆れた様子で、立ち上がり、そのまま廊下に出て行った。

月明かりが廊下を明るく照らしている。




オリ設定

北方棲姫
ほっぽちゃん。建築レベルが異常に高い。『project dark』に関わる施設は全て彼女の元で作られた。
ネコヤキをサポートにつかって建築する為、効率が良い。岩盤を掘削するのも得意である。
コーヒーを飲む。ハードボイルドな性格。読書家。
軽巡棲鬼ほどでは無いがメカニック。

半地下室
鎮守府本館の執務室の隠し扉から入る。
北方棲姫の住処になっており、彼女によって色々な改造が施されている。
両壁が本棚になっており、本で埋め尽くされている。
元々は資料置き場兼、倉庫。

『嵐の王‘白’』
とある嵐の神が没落するまでを描いた小説。
ただそれだけ。
北方棲姫の愛読書。
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