まぁ、心はいつまでも少年だから、ね。
提督を戦わせたいのよ。
せっかく、あの地から呼び寄せたんだし。
ぼーっとしているパッチに声をかける。
「パッチ司令官?」
「ん?なんだ?ああ、電、遠征から帰ってきたのか」
「なのです!ですが、あの。ソラール提督の事なんですが」
1時間前。
『太陽の光の槍』
バケツをかぶった用な鎧の男が水面に立ち、手に持った赤く輝く黄色の槍を投げる。
ああ、無情。リ級は轟沈。ついでに広がった雷(いかずちじゃないわ!)で周りのイ級も轟沈。
「ハッハハハハ」
という笑い声が海に広がる。
「ということがあったのです」
「ふーん。…って太陽の光の槍って、あの太陽の光の槍か?え?まさか」
「?どの太陽の光の槍ですか?…うん?太陽の光の槍?」
「いや、なんでもない。気にするな。で?どうしたんだ?」
「そのソラールさん曰くただの準備運動だから、戦果は全部私たち持ちだって」
「いいんじゃない?そのままで」
「それだと、私たちのそのアレがですね」
「ソラールと俺はいわば旧友の仲だ。よく分からない事で心配するな」
徐に手が電の頭になり、すこし不器用に撫でる。
ーーーーー
「よし、来い」
「うおりゃあ。ぐあっ」
大振りの縦切りを弾かれる。
「ふん」
そのままタックルが来る。
「ヤベェ」
慌てて横にステップ。
「…というか、剣の練習に、タックルは無いだろ」
「…そうか、すまん。いつも通りやってしまった。まるゆとなら別に気にしてなかったんだが」
「まるゆと?俺をおちょくってるのか?」
「いや、そういうわけじゃない。何というか、私のまるゆは特別でね」
「ふーん。で、そのまるゆが今、お前の後ろでのんびり日向ぼっこしてるんだが」
動きを辞めて、地面に剣を突き刺した。思わずソラールは身構える。
「それなりに戦えるって事だよな」
「ああ、保証する。だが、貴公、今は前に集中しろ」
「ああ、初めからそのつもりだ」
剣を構える。
「で、天龍ちゃんは中破、ソラール提督はほぼ無傷ね。ソラール提督にハンデがあったのに」
「ハンデ?」
「ええ、ソラール提督。確かに優しいけど、見た目通り野蛮よ。本来なら勝つ為なら手を惜しまないはず。天龍ちゃんに合わせて、剣と盾だけで戦ってたのよ」
「ああ、そうか、ソラール提督の戦い方もあるのか。確かに少しぎこちなかったな」
「ええ、出来るだけ守りながら味方に攻撃させる。それが彼の戦い方みたいね。だから、体幹を崩してきたりするし、敵の隙を見逃さない」
「出撃時はまるゆとのコンビみたいだしな。ザ・囮役だな」
「囮だからって油断したら駄目よ」
「分かってる。仮にも扱いが総司令官と同等だからな」
「ええ、『人類の希望』だなんて。全く、上は何を考えてるのかしら」
ーーーーー
「ああ、聞こえるか?単縦陣だ」
『了解した』
マイクに向かって指示を出していくパッチを興味深そうに、2人が見ている。
無論、艦隊の指揮とは程遠いソラールと、攻略とは程遠いまるゆの2人だ。
「敵の編成は」
『戦艦水鬼が一隻、戦艦棲姫が二隻あとは、ヲ級一隻、ネ級二隻』
「ふむ、いつもの。食わせてやれ」
『了解』
目を輝かせて見ている2人に気づき、少し慄く。
パッチから見れば2人の方がよっぽど化け物である。
海の上を駆け、知らない間にかの大王の奇跡を使いこなしているソラール。
海の中を泳ぎ、敵に奇襲を仕掛けて殴り倒すまるゆ。
その両者から、眼差しを受けているのだ。
怖気が凄まじい。果たしてここまで緊張する事があっただろうか。
ーーーーー
結果、作戦実行中、ずっと見られていた。
ただでさえ、資材の消費が激しいゴリ押しの攻略艦隊に加え、あの2人のおかげで、パッチのストレスはマッハである。
お陰で、頭がハゲている。
「資材はこれだけ吹っ飛んだか…なら足りたな。良かった」
日々、駿河鎮守府第三基地から重い資材を輸送してくれている遠征組には頭が上がらない。
「低コストの護衛艦隊か…、まぁこの基地を守るには過剰な気もするが」
頭の中には暴れ回る2人がいる。
一対一が基本の2人に対して6隻で挑む深海棲艦。
着実に沈めて来る2人の方が上手だろうか。
というか2人のイレギュラーには対応する術は無いのでは?
そっと、いつか来るであろう敵艦隊に祈りを捧げる。
ーーーーー
「ふう、久々のドックは辛いなぁ」
「スッキリしましたけどやっぱり狭いです」
「ふう、風呂上りはこの姿に限る」
浴衣姿の戦艦三人が悠々と歩いている。
どこぞの駆逐艦がいたら発狂するだろうか。
その三人の前に、1人の少女が文字通り空から現れる。
流れる長いピンクの髪。
「今回消費した資材から約十日間。仕事は無いです」
衝撃の告白。
三人に戦慄が走る。
「十日も…」
「資材置き場が狭いのが問題なのかしら」
「十日もニー活状態なのか」
「いや、資材の運搬がどうしても限度があるんですよ。資材置き場はあまり変わらないですし」
「なら私たちが運搬すれば」
「ドラム缶持てたかしら」
「ニー活が…。仕方ないマッハでこなす」
「やめい!そもそもドラム缶を積めないし、消費が激しいあんた達三人組が任務をこなすだけで大赤字確定」
暴走する三人を押さえ込もうとする暴走した春雨。
無駄に手振りをしている様を不思議そうに三人が見つめている。
それを陰から輸送任務帰りの遠征組が見ている。
「とても複雑な動きっぽい!」
「春雨のあの動き、僕、アニメで見た事がある」
「ああ、あれは、攻防一体のあの構えだ」
「天地反転撃の動きなのです!」
「さすが、春雨。アニメを見ただけでマスターするなんて」
「もしかして、あの三人組に立ち向かってるのか?」
「ええ、…(あれは、ただあたふたしてるだけじゃ無いかしら)」
ーーーーー
「ふむ。貴公。なかなか良いものを見た」
「お陰でこっちは普段より疲れた」
「ああ!それは済まなかった。どうも、興奮してしまってな」
ソラールは頭を掻きながら申し訳なさそうに言った。
パッチも流石にこれ以上は文句が出なかった。
「ところで、パッチ提督は戦ったりしないのか?」
「机の上で戦ってるが…」
「机の上じゃなくて、深海棲艦相手に」
「出来たらやってる。そもそもお前の方が異常なんだよ」
「いや、そう言われても、他に知ってる提督は総司令官だけだし」
「それなら、駄目だな」
当然である。描写は少なかったが、あの人は規格外なのだ。
オリ設定
八提督と六提督
犬猿の仲。パッチが罠を仕掛け、虫追がそれを邪魔する。
邪魔をするが、殴りかかるなどをしてこない虫追を
罠をけしかけるが、決して悪趣味なもので無い深津を
互いを認めている。
良きライバルであり、戦績は虫追の方が高い。
三人組と春雨
ボケとボケが出会う時、その地域の弱いボケはツッコミになる。即ち、天然とキャラを被っている人では天然の方が強い。
春雨はここでは苦労人である。
ちなみにパッチはそこまで気にならない。
三つ巴である。
『人類の希望』
総司令官を筆頭に、深海棲艦と渡り歩く事ができる人間を指す言葉。
脱艦娘を掲げる一部の人々によって付けられた名前がそのまま定着してしまった。
今では、そのネガティブな意味は既に廃れている。
奥義・天地反転撃
アニメ『夜戦仮面』に登場する。手を複雑に円形に動かしながら敵の物理攻撃が来るのを待ち、その複雑な動きを持って敵をひっくり返し、追撃をする技。相応の筋力と技量、精神力が必要である。
『夜戦仮面・1号』『夜戦仮面・2号』『夜戦仮面・3号』の技
ちなみにまるゆも使える。