ソラール提督がいく(改修中)   作:タータ/タンタル

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僕は月光技量戦士。
だけど、月光は出が遅くてクソ弱い。
仕方がないので理力補正のある鎌を使ってるんですが、こっちは火力が低すぎる。
何?直剣?あんな短いリーチの…つまらん。
俺は愚者セスタスでいくぜ。


結局弱い。

だが、ロマンに勝る力などあるだろうか?



第十二話

「モエツキテシマエ」

数多もの艦載機がこちらに向かって来る。

「全艦隊、迎撃及び回避に専念せよ」

「了解」

轟く対空砲。

素早く放たれる艦載機。

攻撃をやめ、蛇行を始める。

立ち上がる水柱が迫って来る。

 

ーーーーー

 

「総司令官殿、あきつ丸であります」

「件の話か、入っていいぞ」

「失礼します」

灰色の軍服を着たあきつ丸がドアを開けて中に入って来る。

手には分厚い資料の束だ。

「今回のアメリカ航路解放作戦は失敗でした」

「…やはりな」

「と、言いますと」

「ハワイとミッドウェー、それ以外にも多くの船が底に居るんだ。あり得ない話でもない」

「それにしては多すぎる気がするであります。この資料に目を通したのですが、今回、我々の『ふそう』を中心にした大艦隊ですら、突破が出来ない量なんですよ」

資料をめくりながらあきつ丸の話を聞く。

成る程、たしかに少し異常な気もするが、原因は明白だ。

「それだけ、その周辺の海は深いんだよ。それに超弩級船舶型基地なんて、ただの重りにしかならないだろう。どうせなら、狙われないように敵の完全支配権に入る前に停止しなければならないだろうに。後は、アメリカと繋がる為には超高高度の空輸ぐらいしか無いだろう」

「上空に対する索敵能力がどれくらいあるかに左右されるであります」

「ああ、少なくとも、ロケットで空輸なんて馬鹿な真似は出来ないがな」

 

ーーーーー

 

「お帰り。あまり釣れないね」

「ああ、そういえば総司令官がおかしな事を言ってたな」

「アメリカ航路解放作戦ってやつかい?」

「ああ、どうも失敗したらしいんだが」

「…私達に要請が来なかったね」

「いや、そこじゃない。明らかに普通の人から見ておかしいんだ」

レ級は首を傾げる。

竿にアタリが入り、リールを巻き始める。

釣れたのはただのイワシだ。

「あの超弩級船舶型基地を敵陣の中に送り込んだらしい」

「…そりゃ、アホだな」

「そうだろう。でもそんな柔な事、普通するか?」

「…、諜報員をひとり仕向けたいって事?」

「そうだな。コイツを報酬にどうだ?」

「な!そ、それは!」

 

ーーーーー

 

「はぁ、お腹が空いた」

壊れたビルの上に座る。

大きなシャツとズボンを着ている。

アルブムだ。

あれからちっとも記憶が戻らない…いや、記憶が整理出来ていない。

無数に記憶があるのだ。

まるで、世界そのものを取り込んだように。

そして、数多の物語を見た。

地下に押し込められた墓の王。

嵐の王とその妻達の悲劇。

愛に溺れた古竜とそれを受けた小さな古竜達。

深淵に堕ちた暖かな4人の王達。

どれも皆悲劇で終わる。だが、果たして悲劇なのだろうか。

 

とある男がいた。

ダークリングが体に生まれ、亡者として、北の不死院に幽閉されていた。

 

彼はとある使者から世界のカギを貰い、そして、世界に旅立った。

 

カギの通り、突き進み、巡り、鐘を鳴らした。

 

ーーーーー

 

「ですが、総司令官」

あきつ丸が慌てて総司令官を押さえ込む。

その姿を暁が砂糖を大量に入れたコーヒーを飲みながら眺めている。舌を火傷したのか、ひたすらフーフーして冷ましている

「…老人どもに灸を添えるだけだ」

「そうは言っても」

「…もう、虫追の時のような事はさせん」

「例の作戦は成功したのでありますか」

「…そうだ。友軍が間に合わなかった」

「…、そうでしたか」

あきつ丸は床に雪崩れ込んだ。

「それなら、あの子も…」

「まるゆか?」

「ええ、同じ陸の仲間ですが」

「まるゆなら生きのびた」

「え、」

「機密事項なんだが、特別だ。移動させてやろうか?」

あきつ丸の目が輝く。無表情でも喜んでいるのが分かりやすい。

しかし出てくる回答は違う。

「いや、いいです。私からあの子の元へ行く資格はありません」

「それは…」

 

ーーーーー

 

「しかし。あの兵器を使う訳にはいきません」

「だからと言って、我々の国民は飢えている」

「だからと言って、それは逆効果です」

2人の男が、他の人達が見ている中、言い争っている。

それを天井裏から彼女。

軽巡棲姫は覗いている。

軽巡棲鬼の胃カメラ風スコープを使い、マスクのモニターにその様子が映し出される。

「だいぶ、荒れてるようね」

カメラを少しずつ動かしながら辺りを見回す。

「深海棲艦。あれはおそらく怨念の類です。刺激してはいけません」

「なら、飢えて苦しみながら死ねというのか?」

「そうじゃなくて…改めて言いますよ。よく聞いていて下さい。現在、日本の人口は深海棲艦が現れた十二年前の約半分。六千万人まで落ちました。それは分かりますね」

「ああ。沿岸部の価値が大きく下がった。だから、皆、安全な内陸部に籠もっている」

「そうです。だから、その安い土地を我々が買い取り、軍事組織の基地を次々と建てて来ました。なら、同じ要領で農園を作れば、食糧は回復するのでは?」

「いいか、敵がいつ本土強襲を仕掛けてくるのかわからない。なら、あらかじめ倒しておく必要があるだろう。そうでもしなければ働き手の若者はわざわざ危険な場所に来ない」

「人口が半分に減った以上、決してより激化するような行為は避けなければ、人口はますます減る限りですよ」

2人の話は激化し、逆に周囲からは圧倒されたのか、野次の一つも飛ば無かった。

まさに2人とも膠着状態。どちらの意見も一理ある。

そこに現れる特異点。

「ちょっと待ちたまえ、君たち。私直々にいろいろなヒントを与えてやろう」

「…あ、貴女は!」

 

ーーーーー

 

「ああ、永い物語だ」

読んでみても答えは変わらない。私の記憶は依然として混沌としている。

「ナニカ、ホンヲヨンデイタノカ?」

「いいや、自分の記憶だ」

「ソウカ、ワタシタチヨリモナガクテオオキナモノガタリナノネ」

「ああ、本にするととても分厚くなると思う」

「ナラ、ホンヲカイテミルカ?」

「書き記せる自信はない」

「ソウカ、モッタイナイ」

空母棲姫が隣に座る。

「ワタシタチノモノガタリハ、トテモカナシイ。ワタシタチノカツヤクハムナシク、ムイミニオワッタ」

「まるで…」

「?モシカシテ、アナタモ?」

「…いや、違う。我々は次の世界に繋がった。我々は、我々は」

「…ソウ。アナタハワタシタチトハチガウノネ」

「…そうかもしれない。だけど、我々の物語は我々の物語上に積もっていた。悲劇も喜劇も」

「…アナタハ、ヤサシイノネ。きっと私たちも」

空母棲姫の周囲から光が零れ落ちる。

地面に落ちて砕け散った。

美しい娘よ、泣いているのだろうか?

「でも、私たちは終わらない。今にいる」

「…そうか。なら、物語を紡いでくれ。君にはその権利と義務がある」

「それは貴方も、そうでしょう」

「過去の我々には権利すら無いが」

空母棲姫が立ち上がる。

思わずアルブムは跪いた。手を前に伸ばした状態で。

「今の我々はその義務がある」

 

ーーーーー

 

「…さっきから聞いてたけど。もし、本当にそう思って居るのなら、私は貴女を殴るわ」

拳を握り、肩に力をいれ、首をぐるりと動かす。

「え?あ、ガッ」

「そうじゃ無くても癪に触るから同じだけど」

既に右ストレートが入る。さらに流れで左フック。

背中から地面に落ちた。

「私たちの覚悟を侮辱しないでくれる?あきつ丸No.34」

冷たい視線が当たる。

「そこまでにしておけ。あきつ丸。相当効いただろう。ドッグに入るといい」

むくりと起き上がり、痛みを堪えて敬礼する。

「わかりました」

痛みを堪えているせいか、チマチマと歩いて出て行った。

 

「痛かったろう。お前も行ってこい」

「ええ、そうさせて貰うわ。あいつ、お腹に鉄板でも仕込んでいるのかしら」

涙ながらに暁が言った。

 

ーーーーー

 

「これらの資料を参考に、、私の苦労も考慮して頂戴」

そういうと紙の束を机に置き、颯爽と会議室から出て行った。

まさに嵐の類だろう。

その場にいる者達はすかさず山の様な資料をあさり始める。

彼女の言った事が事実であれば今の状況を覆せるかも知れない。

 

「…あんた。普通に堂々と入ってきたけど、度胸あるわね」

「うわ!なんだ…軽巡棲姫か」

「なんだって何よ。レ級」

「だって上からワイヤーでぶら下がっているんだもの」

腕から伸ばしたワイヤーで天井にぶら下がっている。

まさしくニンジャである。

「それは軽巡棲鬼の発明品か?」

「その通り、もちろん原理は不明よ」

「やっぱりな」

「貴女のおかげでうまく進むといいけど」

 




オリ設定

あきつ丸
No.34。まるゆNo.123と同期に六提督の元で建造された。
特殊個体のNo.123よりも先に士官学校を卒業。虫追の元で戦果を上げて行った。
別れの際の一悶着を心の隅で後悔している。

士官学校
本来なら少尉以上の士官を育てる施設だが、艦娘にはそれと等しい役割があるため、この名前を用いている。
通常の士官学校は別にある。

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