なぁ。
可愛いなぁ。
すべすべしそう。すりすりしたい。癒されたい!
「提督?提督」
「ん?ああ。何かようか?」
「いや、大丈夫か?寝ちゃった見たいだから」
「大和、心配です」
「あっ、やべ」
武蔵がスマホを慌てて机の中に仕舞う。
が、ほかの2人はそのまま構えたままである。
「しまえよ、せめて隠せよ」
パッチは三人に呆れるばかりである。
「よっこいせっ、と」
寝転がっていたソファから起き上がる。
「いよいよ、お出ましか」
「?」
「?」
「?」
三人同時に首を傾げる。
ーーーーー
「ふむ、むむ」
「アルブム、どうした?」
「いや、少しばかり気になる事がな」
「だからといって落書きを描いてどうするの?」
「落書きじゃない。歴とした文字だ」
「私は日本語しか分からないです」
「日本語?…あーうん?なんだっけ?」
「…、あー。(前々回で)カッコつけてみましたが、そこからですか。…まぁ、普通はそうね」
「…。すまない。記憶の中に微かにあった気もする」
「そうですか。で、気になった事とは」
「物語の中核に器になった人物がいるんだ。君の言った器だ。不死人の…ああ、知らないか。まぁ、そこは気にするな。とある男だ。もしかしたら自分はその男かもしれない」
「ふむ、自分を見つけた訳ですか」
「ああ、少しずつ整理していく。あ、ああ、日本語についてもおしえてくれ。行くんだろう。故郷に」
「…ええ。徒歩では長いので、歩きながら教えます。もしかしたら記憶の片隅にあるかもしれないですが」
ーーーーー
「…。これで、役は揃ったのか」
「これから我々はこの国で革命を起こす」
「艦娘などという所詮は過去の残骸にこの国の運命を任せる訳に行くまい」
「未来へ進む為に過去は切り捨てるべきなのだ。歴史がそれを語っている」
ーーーーー
「…提督?どうしたんだ?」
「お客さんですか?」
「右眼が疼く」
「敵だ。お前らは引っ込んでいなさい。俺の敵だ」
そう言うとパッチは走り出した。
「ええと、どうしよう」
「提督の指示に従ったほうが良いのかな」
「はっ!闇の組織⁈」
浜辺に立つと、1人の男が立っていた。
「お前は」
「排除」
「成る程な、だいたい分かった」
「排除」
「できるのならな」
闇パッチとでも言うのだろうか。赤く光る目をしている。
手には穂先にかえしがついた長柄の槍と大鷲の書かれた盾を握っている。
「ふん。気持ち悪い事をするね」
逆に、こちらは何も持っていない。
訳ではない。
腰のマグナムをすぐさま構えて引き金を引く
強い反動と轟音と共に弾が射出される。
しかし、弾が構えた大盾に塞がれる。
小さな音と共に玉は静止した。
「成る程。系統としてはあいつらか。ますます気に食わないな」
「排除」
「おまけに聖職者にホイホイ付いていきそうだ。ムカつく」
「排除」
「煩い。誇りを舐めるな」
次々に弾丸を放つ。
盾を崩せば隙はあるはずだ。
「排除」
盾を構えたまま少しずつ近づいてくる。
この手の敵にはソラールが向いているが、まるゆと近海のパトロール中だ。
だが、まだ手はある。
「はっ、亡者の仲間にはなりたくないが」
海に落ちていた太い流木を手に持つ。
「致し方なし」
槍の突きを避けながら、相手の背中に回り込み、二撃加える。そしてそのままチリとなって消えて行った。
「臨機応変ってやつだ。覚えておけ」
木の棒を浜辺に投げ捨てた。
ーーーーー
「うむ、弱い。弱いぞ」
「ソラールさんにそっくりですね」
「まぁ、気にするほどでもないがな。本物は私だし」
「目が赤いのも気になりますし、ずっと排除排除って言ってました」
「亡者の類いか?」
「亡者?もしかして、ゾンビですか⁈イヤ!コワイ!まるゆはホラーは苦手です」
「いや、ホラーでは…ホラーか?いや、うむ」
考え込むソラールと顔が蒼くなるまるゆ。
「ふむ、パッチに相談するか」
「パッチさんと昔馴染みだと言ってましけど、何かあったんですか?」
「いや、あいつが突き落としてきたりだな」
「…それであの仲なんですか?」
「なかなか憎めない奴でな。おまけに実力は確かだ。こっちでも有名な提督なんだろ」
「ええ、八提督は隊長と並ぶ実力者です」
「ふむ。なら、相当だな」
ーーーーー
「ええと、この状況は」
まるゆとソラールは2人でぽつーんとしている。
「提督。答えろ。アレはなんだったんだ」
「提督、教えて下さい」
「裏組織の秘密兵器?それとも裏の自分?」
何故かワクワクしている武蔵は置いておいて、パッチは問い詰められていた。
2人はどうにも話の輪の中に入れない。
「お教えしましょう」
いきなり肩を叩かれ、二人とも震え上がる。そこに居たのは春雨だ。少し心外そうな顔をしている。
「私たちのパッチ提督が、赤目のパッチと戦っていた、とあの三人が問い詰めているんですが、流石にあり得ないと思うんです。私達ならまだしも、ただの人間ですよ」
「いや、嘘じゃないと思うぞ。だって俺も同じ様なのと戦ったんだし」
「赤目のソラールさん、ソラールさんよりも弱かったです」
「ええ…、人間なのに?」
「うーむ。ああ!クローンとかって言う技術が無かったか?それを使えば説明がつくんじゃないか?」
「いや、人間のクローンは、法律上、倫理上認められていないですよ」
「そうなると、法律が変わったのか、人間として認められていないのか」
「え?そんなまさか」
春雨はパッチを眺める。戦艦三隻に問い詰められて色々なんかやっている様だが、どう見ても人間だ。だが、一つの答えに行き着く。本人は語っていなかったが。
「まさか、ソラール提督と同じ」
戦艦に混じってパッチを問い詰める姿をソラールとまるが唖然としながら見ていた。
ーーーーー
暗くなった執務室でスタンドライトの灯の中で、二人は晩酌をしている。
「飛んだ災難だった」
「お疲れ。しかし、ロードランの事を未だに言ってなかったとは」
「だって異世界から来ました。だなんて受け入れられるか?」
「それもそうだな」
「それに、見せられる話じゃない。触れたんだろ禁忌に」
「ああ。恐ろしかった。信じたものが崩れるのが」
「あいつらに、アレを教えたくない」
「…それはわかるが、今日のお昼ごろのアレ。知ってるんじゃないか?」
「予感してただけだ『project dark』この小島を囮に本土を守るって作戦だが、まず有り得ない。この小島に果たして惹かれる深海棲艦がいるだろうか?まして、少数の艦娘しか居ないのに」
ソラールの目が細くなる。
「なら、まるゆが隊長達と逸れたって言うのはなんだったんだ」
「いや、本当に深海棲艦が来たんだろう。だが、それはイレギュラーな出来事だ。たまたま船団が巡航している時に島に近づいたか、誰かが仕向けたか」
「なんだ?お前は、知ってるんじゃ無いのか?」
まるで知っているかの様な話に少し疑問を持った。純粋な疑問だ。
しかし、来たのは怒声だ。
「調べたんだよ。アイツの足跡を追って。孤島にずっといたお前に分からないと思うが、本土には沢山の人がいるんだ。あの地よりも弱くて優しい人たちが。俺達はその為になったんだ。提督に」
負けじとソラールも怒声をあげる。
「ああ、俺には分からないだろう。お前が怒るのも分からない。だが、俺が易々と提督になったと思ったのか?確かに背負うものの大きさが違う。だが、俺はアイツと一緒に居たいんだ。アイツはもはや艦娘では無くなった。だから、人として、一緒に居てやりたい。ほんの数週間の付き合いでも、アイツが背負った物に気付かないほど馬鹿じゃない」
「そうか、済まない」
「ああ、こちらこそ」
この後、こっぴどく怒られるのだが。
オリ設定
とある不死人
北の不死院で目覚め、ロードランの三つの鐘を鳴らして、ニト、イザリス、シース、四人の公王、そしてグウィンを討ち取った存在。
彼、もしくは彼女の歩んだ道は無数にある。その道を決めた存在は果たして何処にいるのか。
次の計画
『project dark』の本当の目的。
深海棲艦と戦う兵器を作り出す。