ソラール提督がいく(改修中)   作:タータ/タンタル

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やばい、槍に慣れてないせいか、詰んだ。


助けて、ソラールさん!


そこのロングソードなんて使いたく無いよ!


第十五話

「…昔話をしよう。昔、人類は争っていた。今よりも沢山の人が死んだ。だからこそ、人は争いを止めようとした。だが、そのお陰で、新たな争いが生まれた。争いを止める為に相手を束縛し傷付けたからだ。前よりも大きな、次の争いの最後、『人類の滅亡』、小規模だけど、その瞬間を見つめる事になる。やがて、人類は大きな争いを止めた。次が来た時が、地球の終わりだと、知ったからだ」

声と共に『カツン、カツン』とヒールが硬い床に当たった音がする。

底が見えない暗闇の中、

彼女はゆっくりとこちらに向かって来た。

長い髪がサラリと流れる。

思わず目が奪われた。

「だから、私達は生まれた」

「…知っている。しかし、それだけでは無い」

「さすが、私達の」

彼女は目の前で跪く。

「提督」

手は白い。

 

ーーーーー

 

「グハァ」

海の上で目覚めた。肺に入った海水を吐き出す。

「オェェ。しょっぺ」

あっぷあっぷしている所に運命の悪戯か、二人組が通りかかる。

「…貴方は」

「俺は…そうか。分かった。黒い鳥とでも呼んでくれ」

「偽名…。まぁ、事情があるんですか?」

「そう言う事だ。空母棲姫」

「…軍の関係者ですか?」

「ああ。そうだ。大人しくしろ」

「…どうする?アルブム」

「へ?…ああ。成る程?」

後ろに大男が立っている。

海の上なのに。

つまりは、

「新手の深海棲艦?」

「違う」

「ならなんで海の上に立ってるんだ?」

「知らない」

「はぁ。分かったよ。降参だ。で?二人はどちらへ?」

「日本へ行く。うん?お前は…日本人か?」

「生憎ね。さっきまで死んでたけど。海流に乗って流されちまった」

「死んだの⁈」

「不死人か?」

「不死人?なんだそれ?」

 

ーーーーー

 

「ふう。まさか俺もだとは」

海の上に立っている。先程、あの男、アルブムに驚いたが、まさか自分までもとは思わなかった。

「…その服…提督…?」

「ああ。元が付くと思うが。殉職した」

「死んで蘇るとか不気味ね」

「お前達ほどじゃ無い。沈んだのに蘇って、挙げ句の果てに同じのがいくつもいる」

「お前…」

「どの子も可愛くてケッコンカッコカリするのに苦労した」

「…お前」

「出来ればヲ級ちゃんとしたかった」

「…」

 

ーーーーー

 

「見せて下さい。人間の可能性を」

「証明して見せよう」

「貴方にならできるはず」

戦艦水鬼は光の粒子になって消えていった。

ただ暗い暗闇に一人で残された。

「ふう。マジな勝負ってのは好きじゃないんだ」

 

暗闇の中を一歩ずつ進んで行く。

次第に体が光に包まれ始める。

 

そして身体は、光溢れる水面に。

 

ーーーーー

 

大本営。

その設備のある地下300メートルの極秘研究所。

秘密兵器量産工場

 

「データの収集は完了した。実験は次の段階へ進む」

「まさか、本当に行けるとは」

「これで人類…いや、日本は絶対的な兵器を手に入れた」

人が中に入ったカプセルが大量に並んでいる。

『Patches』『Solaire』と手前から番号が振られたカプセルの中には本物そっくりの彼らがいる。

「死んでも変えが効く。下手な意思もない。おまけに、データの収集により最適な進化をする」

「我々の計画もここまで進んだ。長かったな」

「十数年も深海棲艦と対して変わらない艦娘に運命を握られていたんだ」

「さぁ、『project phantasma』の始まりだ」

大声と共に拍手が起こる。

数十人の白衣を着た研究者らしき人達だ。

数百…数千はあるカプセル。

まさしく、この地球の歴史に存在していない存在。‘亡霊’達によって船の亡霊を倒す。

その計画の一端がここにあった。




オリ設定

『project phantasma』(プロジェクトファンタズマ)
直訳で亡霊計画。極秘密裏に計画されていた。
異なる世界から流れ着いた存在に人権が適応され難い所を突いて、クローン兵士『phantasma』を作り出す。
『phantasma』には、深海棲艦や艦娘に対抗する為に、艤装の一部を体に埋め込まれている。

戦艦水鬼
本当は戦艦水鬼改。
本体の見た目ではあまり違いがないからね。しょうがないね。


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