ソラール提督がいく(改修中)   作:タータ/タンタル

18 / 29
パッチがメインになっている。

どうしよう。

タイトル詐欺だと言われそう。


本当はソラールさんよりもパッチが好きだとバレてしまう。
だってかっこいいやんか。ひょうきんものだけど戦うと強いとか。

主任みたいで


サイドストーリー3

北の大地

北海道。

深海棲艦が現れてから多くの人々が、この大地に移り住んできた。

有り余るほどの内陸の土地がそこにあるからだ。

疎開先として選ばれたこの大地に、とある不可思議な姉妹一家が居たそうな。

彼女たちは普通は選ばない、鎮守府の無い沿岸部に住んでいる。人は殆ど内陸部に移り住み、数人の老人しか住んでいない正に限界集落の小さな漁村。

 

その少し内陸側にある小さな平屋の家

 

「これだけ稼げたのなら万歳ネ」

黒い髪の毛の彼女は腰に白い手を当ててフンスと鼻息を出す。

目の前には一万円札が置いてある。本日の日給だ。

「ただいま。ふう、冷たかった」

「ただいまです!」

二人の少女が帰ってきた。無論、姉と同じく黒髪で肌白い。

「今日の稼ぎ」

そう言って、テーブルに置いたのは何と十万円。

「この家と土地の家賃は払えるけど、買い取って貰う人が大家さんだからなぁ」

「大家さん曰く、息子の手で内陸で販売しているそうです。だいたい一つ千円で売れるそうです」

「私たちで百本だから、そうなると、すごい減ってる気がする」

「一万。一万」

向かいで啜り泣いている声がするが二人の少女は気にしていない。

今のご時世、庭の草刈りや廃墟の整備よりも漁師の方が稼げるのだ。

 

ーーーーー

 

「おばあちゃん、今日の成果」

店先で二人の少女が不釣り合いな大きさのクーラーボックスを四つ手に持ってやって来た。

店先で待っていた老婆がその中身を確認する。

「うーん、よく分からない魚が十匹と大量の昆布がそれぞれ二箱ね。ええと前回がこれだけで売れたから」

カゴに取って量を計り、器用に指を動かして計算する。

「今日は35万でどうかな」

「やった!」

「やりましたです!」

「まぁ、喜ぶのは良いけど、数年前みたいな物価でも無いし、比較的海産物の値段が上がったとしても、今ならうちの息子みたいに陸で養殖が出来るからね」

 

ーーーーー

 

「ふんす」

拳を腰に当てて鼻息を出す。

目の前には山のようなジャガイモがある。

沿岸部の土地は安いため、安価に農業や牧畜が出来るのだ。

そのため、土地を格安で借りて、畑を耕したりしている。

言わば彼女は農家である。麦わら帽子が似合っている。

 

無論、ほかのご老人方が後ろにいる事を忘れてはいけない。

というか、大体機械がやっているので仕事が無いのだが。

だが、豆によく働く彼女に悪い思いは無いようだ。

 

ーーーーー

 

半年前

 

「昨夜は凄い嵐でしたね」

「んだ!隣の廃墟が倒れてしまったわい」

「そりゃ、大変。息子に手伝わせましょうか?」

「いや、いい。どうせ誰も住まない」

「そうですか」

おばあちゃんが二人、片方は杖をついて海岸沿いを歩いている。

昨夜の嵐の反動か、海は静かな細波の音を立てる。

ふと、向こう側から三人が歩いて来るのが見える。

目を細く、よく凝らして見ると、和服で無いようなそうであるようなよく分からない服を着た茶髪の大柄の女性と、明らかに寒そうな格好をしている少女、普通のセーラー服…いやとても寒そうな格好の小柄な女の子がいる。そして皆、服はボロボロ、髪の毛は黒く、肌は白かった。

歩き方はやけにぎこちなく、とても疲弊しているようだ。

二人はびっくり仰天。この限界集落に若い女性が訪れる事も無ければ、ボロボロの服を着ている事もない。

「ツネさん。ありゃ、凄い」

「ええと、どうしましょう」

「どっちなんでしょうか」

二人は戸惑った。

ぱっと見はテレビの特番に出ていた艦娘。だけど、よく凝らして見るとテレビのニュースに出ていた深海棲艦に似ている。

まるで幽霊の様な三人は二人の横を通り過ぎようとする。

『ぐ〜〜』

大きな音が三人のお腹から出る。

「あれまぁ」

「あらあら」

「「ひっ」」

慌てて二人の少女が、大柄の女性の後ろに隠れた。

今更、二人がいるのに気付いたのか物凄い形相で驚く三人を宥めるように話始める。

「ええと、こんにちは」

「はい。こんにちは」

「ええと、艦娘さんですか?」

「判ラないデす。どっちナんでしょうカ」

少し淀んだか細い声で答える。とても寂しそうである。

二人は少し狼狽た。が、興味の方が勝る。

「…その服は、金剛さんですか?」

「こん、ごう?…はい。多分」

「…なら、素敵な格好の子が島風ちゃん、セーラー服の子が雪風ちゃん。テレビでやってて、暇だから覚えちゃった」

ニッコリと優しく笑う二人の姿を見て、後ろに隠れていた二人が出て来た。

「ええと、…しまかぜです?」

「多分、ゆきかぜ?です」

曖昧で覇気のない挨拶であったが、これが精一杯の声なのだろう。自分の名前を名乗るのに疑問文になる。

そんなにも心身共に疲弊している姿を見て、二人の考えは纏まった。

「うちに来て、休んでいかない?ほら、二人だけだと寂しいから」

「あれ、ツネさんも。まぁ、ツネさん家の方が大きいもの。そちらに行きましょう」

「えっ?」

流れるままに自身の行き先を決められて流れるままに二人の老婆の後ろを歩いている。

なんとなく、断るのが怖かったのだ。

 

ーーーーー

 

「お風呂も沸いてあるよ」

「ほら、三人とも入って来な。着替えは用意しておくから」

流されるように風呂に入り

 

「ほら、お夕飯をお食べ」

「ツネさんの料理は絶品なのよ」

流されるように食事を摂り

 

「はい、おやすみ」

「じゃあ、私も帰って寝るわ」

流されるように布団で寝た

 

ーーーーー

 

「顔色が良くならないね」

「まだ、休息が足らないのかしらね」

「おーい、ツネさん。なんだ、若い子を3人も泊めてるらしいじゃないか」

ズカズカと中に入ったのは男達。

仕事帰りのせいか、泥だらけである。

「土塗れのあんたらが来たら驚いちまうし、泥と汗の臭いでむせちまう」

「なんだよ、ヨメさんもそんな顔しないでくれよ」

「相手は、とても疲れてるんだよ。察しなさい」

「…うん、それなら、仕方ない。ほら、一旦帰って綺麗にしてからだ」

「へいへい」

「了解しました。銭湯に行きましょう」

 

玄関でそんなやり取りがあるのを聞いて、3人とも布団の中で目が覚めた。

「逃げなきゃ」

「どうやって」

「ぐごー」

訂正、二人だ。驚いた様子で起こそうとする。

「ちょっと、起きて」

「起きろ」

「むにゃむにゃ」

そして奥の手を出す。

「オキロ」

「ひっ」

「ひいっ!」

3人目が飛び起きた。慌てて、辺りをキョロキョロとする。その肩を叩いて話をする。

「ほら、逃げないと」

「そうだよ。今のうちに」

「わかった」

律儀に布団を丁寧に畳んでから部屋の外に出る。

 

しかし逃げようとは問屋が下さない。

部屋の前にはおばあちゃんが。

毅然として立っていた。

「ご飯が冷めちゃったけど、朝食の分も食べる?」

 

ーーーーー

 

「それで、何にも覚えてないの?」

「うん」

目の前には昼食となった朝食と昼食がテーブルの上に置いてある。

「それは、困ったね。近くの鎮守府の人に引き取って貰おうかしら。そうすれば思い出せるかも」

思わずスッと手が出て、静止させる。

「それは、やめて、ください」

「…そんなに止めてほしいなら…」

「あ、ありがとう。ございます」

ツネの孫の服を着た二人の少女はガツガツと朝食分を平らげている。

「そんなに急いで食べたら、喉につっかえるぞ」

3人が反射的に声のする方へ向く。

「タイゾウさん、早いですよ。まだ、皆さんの分のご飯は出来てないです」

「そうか、まぁ、待ってるよ」

「そうですか」

そう言うとツネは台所へ入っていった。

タイゾウと呼ばれた男は、軒先で寝転がり始めた。

気が付かなかったが、今日はポカポカしている。何処からか、呑気なイビキが聞こえる。

 

ーーーーー

 

三日後、正午

 

「また、海を眺めているんですか?」

「ええ。ちょっとだけ」

「そう言って毎日、ずっと見ていて飽きないんですか?」

「いえ、とても寂しそうで、でも手を伸ばそうとすると深くて、今にも沈んでいきそうで、でも、凄く恋しくて」

「…そう。貴女は、頑張ったのね」

「?」

頭にハテナが浮かび、首を傾げる。

「いいえ、きっと、そうだったのよ」

「ツネさん」

「もしも、沈んでも、海は冷たいけど、魚の棲家だったり、深くても泳げるから、寂しくないと思うよ」

「…それなら、素敵です」

 

話していると遠くから呼ぶ声が聞こえてくる。

「おーい、お嬢さん達。そろそろ焼けるよ」

野太くて、それでいてよく響く声だ。

「タイゾウさ〜ん。今行きまーす」

ツネも杖を突きながら、早歩きで向こうへ向かった。

10秒程遅れて、彼女は歩き出した。

 

「今日はな、知り合いから、山のようなサンマを貰ったんだが、腐らせそうでな。丁度良かった。若い子がツネさんの所に来て」

ツネさんの家の庭に、七輪をいくつか並べ、それを数人で囲っている。

サンマは炭火とワラで焼かれており、もくもくとした煙が立ち昇る。

また、タイゾウの所では芋を焼いていた。

「サンマ…」

「…サンマ?」

二人の少女は興味深々でサンマを見つめている。

ふと、何が引っかかるようだが、それでも分からないようだ。

 

「…まぁ、そんなに汚して」

二人のTシャツが埃と煙と油で汚れていた。

「あっ、すみません。ごめんなさい」

「だから、お下がりだから気にしないでねと言ったよ。私の孫娘なんて、今はもう立派に成人しているもの」

「ありがとう、ございます」

「それよりも、捨てられなくて困ってたから助かるよ。なんだか、勿体無くてね」

目をそっと閉じて、思い出に浸り始める。

「あの子達がもう少し成長したぐらいの12歳の時に、引越ししてね」

とても優しい笑顔だ

「だから、貴女達が来てくれて嬉しかった。ほら、みーんなお年寄りだから、元気な若い子が来てくれて、嬉しいんだよ」

 

ーーーーー

 

「ふむ」

テレビを見ていたら来客が来た。

ヨメとタイゾウだ。

「ツネさん、ツネさん。大変、鎮守府のお偉いさんが明後日来るって」

見ていた『暴食王赤城が行く海の幸山の幸』が後ろで流れている。

「ヨメさん。本当かい?」

「ええ、村長のタイゾウさんに、なんでもすごいお偉いさんが、鎮守府設備の増設の下見にって、連絡が」

「あら…」

「ごんごうちゃん達はどうしましょうか」

「そうか、こんごうちゃん達はとても怖がってた。でも、どうやって」

「この村の外れに隠せば」

「そうしても、逆に村はずれに基地を作る予定なら、見られるかも」

「ああー、どうしましょう」

『この北海道では、このように、よくじゃがいもが栽培されています。私もよく、小腹が空いた時、5キロぐらいお世話になっています。私の所では、月一でジャガイモを船で買い取りに行ってるんですよ。もちろん、私と加賀さんの給料はかなり減りましたが。背に腹は代えられません』

「そうだ。農家のふりをすれば見つからないかもしれない」

「でも二人の知り合いだったら」

「…でも、万が一にもそれは無いはず。今の基地って沢山あるんでしょう」

「ええ。それに今の3人はテレビで見る三人と同じだとは思えないよ」

「そうか…あの子達、まだ、肌白いままだった」

「金剛ちゃんと雪風ちゃんは茶色、島風ちゃんは薄い金色みたいだけど。みんな黒髪だし」

「それなら、帽子を被って、おばあちゃん風の服を着せればバレないだろう」

三人の井戸端会議は盛り上がり、熱は冷めない。

付けっぱなしの画面の向こうには『デデン』と特徴的なイントロのBGMが流れている。

三人はもう既にぐっすりと、深い眠りの中だ。

 

 




オリ設定

海産物の相場
深海棲艦が現れてから五年間は少し上がった程度だったが、第一次本土防衛戦の後に2倍に跳ね上がる。
一旦、1.3倍程度まで落ち着いたが、第二次本土防衛戦により壊滅的な被害が起きて価格は更に跳ね上がり5倍に。
ただし、養殖は内陸部で活発的に行われる様になったため、少しの贅沢品だが、家庭の食卓に魚は並ぶ。
また、鎮守府に要請を出す事で、艦娘の協力の下で漁に出る事も可能。この場合、漁の成果に対応して報酬を支払わなければならない。

農産物の相場
輸出入が断たれた為、政府の政策により、農業従事者が増えた。安くなった沿岸部の平野を開墾したものが主流になる。
大量生産を推奨されている為、相対的に農産物の価格が下がるが、それでも2.2倍ほどの値段がする。相場は比較的に安定している。

その他の相場
輸入出来ないので、金属類は鎮守府から支給される様になった。その為、純国産製品を造るしかなく、割高になる。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。